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プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

見通し立たず

コロナウィルスの騒ぎで、多くのコンサートが中止になっています。僕も3月だけで3つ。ビオンディ指揮のバロックオペラ「シッラ」、中村恵理リサイタル、新国立劇場の「コジ・ファン・トゥッテ」です。3月16日の東フィルのプレトニョフ指揮の「我が祖国」全曲はやるみたいですね。

しかし、出演を予定していた歌手や演奏者の方々、本当に気の毒です。特にオペラは長い時間をかけて準備してきたはずですので。

そして、僕は6月にザルツブルグの音楽祭とパリに行く予定で、もうオペラとバレエ6公演のチケット取っているんですが、ヨーロッパに行けるのかなぁ。行けたとしても帰ってこられるのかなぁ。なかばあきらめています。

早く、まともな状況に戻って欲しいですが、やはり特効薬とワクチンが出来るまでは難しいでしょうね。
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イタリア歌劇場での公演中止

もう、皆さんに情報が入っていると思いますが、イタリア北部での新型コロナウィルス患者発生のため、ミラノのスカラ座、ジェノヴァのカルロ・フェリーチェ歌劇場が公演を当面中止することになりました。僕の周りでもスカラ座の仮面舞踏会のチケットを取っていた人が何人かいて、がっかりしています。しかし、ついこの前まで、「対岸の火事」と見ていたイタリア人からすると、いっぺんに200人以上の患者が出て来て相当警戒感を持っていると思います。僕は、6月に、パリ、ザルツブルグ、パレルモにオペラを見に行く予定で、もうチケットもフライトもホテルも押さえてあるのですが、本当に行けるのかなぁと思い始めています。

日本でもスポーツや音楽イベントを中心に、興行の中止が相次いでいますが、オペラやコンサートではなぜかそういう話は出ていません。個人的にはチケットを取っている公演が流れるのは嫌ですが、オペラの客層が高齢者が多いことも考えると、国立の劇場などはそろそろ真剣に考えないといけない時期なのではないかと思います。

と、書いてから3時間したら、新国立劇場も主催公演の中止が発表になりました。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200226-02260201-sph-ent

二期会「椿姫」



 2月20日、東京文化会館でのマチネ、「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」に行って来ました。今週は、これで3回目のオペラ。日水木とソワレ1回、マチネ2回です。この歳(66歳)になってくると、週に3回オペラを見に行くには、ある程度体力に余力を持って備えることが重要になります。でないと公演中に寝てしまったりします。

 この日は、僕が所属する日本ヴェルディ協会が文化会館のホワイエに会員募集のブースを出しているので、開演前と休憩時間に、そこに他の会員の方と立ちました。10人位の方とお話し出来て、入会案内をお渡ししました。

 さて、この日の目玉は、なんと言っても、マエストロのサグリパンティ氏。ヴェルディ協会で講演会に招聘したりしたので、もう慣れましたが、最初は名前を口にするときに緊張してしまいました。(特に女性の方に電話で話す時、、、)

 彼の指揮は、抑揚感に溢れながら、インテンポで実にイタリアっぽい指揮で、素晴らしいものでした。音の強弱の付け方が特徴的で、登場人物の喜びや怒り、悲しみ、孤独を表すところを、音で引っ張って行く感じでした。ただ、個人的な好みとしては、やや強弱が付きすぎている感じがしました。

 舞台美術が凝っており、白い椿の花をステージに置いた形になっています。幕が進むにつれて、花びらの枚数が少なくなって、ヴィオレッタの命も短くなることを暗示していました。2幕目以降は舞台上方に大きな鏡が出て、舞台上の動きを映し出すのが面白いと思いました。椿の花とわかれば、そういうふうに思うのですが、最初に幕が上がって思ったのは、60-70年代に流行っていた、ピザレストランの「カプリ」の店内(洞窟に似せてある)のようで、ちょっとピザが食べたくなりました。

 この日の歌手陣は、若手組でした。1幕目1場は全体に緊張からか声がうわずり気味で、ちょっと心配したのですが、休憩後の2幕目のフローラの夜会からは、劇的に良くなりました。最初のほうでは高音がまとまらなかったヴィオレッタの谷原めぐみは、2,3幕目では素晴らしい歌唱を聴かせてくれました。「道をはずれた女」はグッと来ましたね。アルフレードの樋口達也も2幕目の怒りまくっている表現、3幕目で打って変わってヴィオレッタを励ます「パリを離れて」は聞き応えがありました。ヴィオレッタの最期がアルフレードの胸の中、というのは、20回以上見ているトラヴィアータでも初めてです。当たり前のように思いますが、普通は、ヴィオレッタは一人で死んで行き(あるいは生き返って行く)、それをアルフレードやジェルモンがかこんで終わるというものですが、この日の二期会の演出は新鮮でした。

 もう一つ驚いたのは、2幕目のフローラの夜会の場面のバレエで、ダンサーが男女10名出て来て、コンテンポラリーで本格的な踊りを繰り広げるのです。どこかのバレエ団が参加しているのかと思いましたが、そうではないようで、二期会で選んだようで、かなりのキャリアのダンサーも入っていました。これが迫力ありましたね。バレエの終わりには客席から大きな拍手が沸きました。プログラムに、バレエ評論家の長野由紀が3ページに渡って、ノイマイヤーのバレエ「椿姫」について書いてあるのも、今回の公演でバレエの重要性を示したものかと思いました。二期会の新しい試みでしょうか、歓迎したいですね。このようなバレエをマクベスにも入れてやってほしいです。

 木曜日のマチネでしたが、8割方は満席になっていました。とは言え、まだチケットは売られていますので、この土日の公演間に合います。是非ご覧になってください。

指揮: ジャコモ・サグリパンティ
演出: 原田 諒
装置: 松井るみ
衣裳: 前田文子
照明: 喜多村 貴
振付: 麻咲梨乃
合唱指揮: 佐藤 宏
演出助手: 菊池裕美子
舞台監督: 村田健輔
公演監督: 大野徹也

ヴィオレッタ 谷原めぐみ

フローラ 藤井麻美

アンニーナ 磯地美樹

アルフレード 樋口達哉※

ジェルモン 成田博之

ガストン 下村将太

ドゥフォール 米谷毅彦

ドビニー 伊藤 純

グランヴィル 峰 茂樹

ジュゼッペ 吉見佳晃

仲介人 香月 健

ダンサー: 千葉さなえ、玲実くれあ、輝生かなで、栗原寧々、鈴木萌恵
岡崎大樹、上垣内 平、宮澤良輔、谷森雄次、岩下貴史
合唱 : 二期会合唱団
管弦楽 : 東京都交響楽団

「カルメン」東フィル定期公演

 2月19日、東京フィルハーモニーの定期公演会でビゼーのカルメンが演奏会形式で上演されました。世界の歌劇場で一番演奏されることの多い演目は、「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」で、次がこの「カルメン」だそうですが、僕は、「カルメン」はまだ4回目です。前回は2009年なので、本当に久しぶり。

 この日は、なんと言ってもマエストロ チョン・ミョンフンの指揮が素晴らしかったです。この熱いオペラを、情熱的に、しかし実に知的に響かせていました。今まで聴いたカルメンの音楽が、どちらかというと「ドンシャリ」的になってしまったことが多かった(それがスコアの指示なのかもしれませんが)ので、ミョンフンのふくよかにふくらませるような音に感動しました。また、指揮の姿もかっこいいですよねー。この前ミョンフンを聴いたのは、去年のスカラ座での「シモン・ボッカネグラ」でしたが、これも凄く良かったのですが、彼のスタイルには「カルメン」の方が合うようです。

 最近のオペラの演奏会形式は、ただ、立って前を向いて歌うというのではなく、かなり演技も付けてくれるので、聴いていてもオペラの中に入り込みやすいです。ドン・ホセ役のキム・アルフレードには、やられましたねー。ともすれば、平板のようになりがちなこの役で、素晴らしい感情表現を出していました。かすれるような声まで出して、破綻が無い。カルメンを聴いて、ドン・ホセの心の内側、その苦しみが痛いほどわかったのは初めてです。この人で、ヴェルディを聴いたらいいだろうなぁ、とも思いました。

 そして、ミカエラ役のソプラノのアンドレア・キャロルもとても良かったです。プログラムに「豊かで暗い低音域ときらめく高音域」と書いてありましたが、まったくその通り。中低音の歌唱の多いこの役を、実に存在感のあるものにしていました。アジリタも上手そう。「リゴレット」のジルダや「ドン・パスクァーレ」のノリーナも歌っているそうです。聴いてみたいなぁ。

 タイトルロールのイタリア人、マリーナ・コンパラートは、カルメンを得意としているだけあって、余裕綽々の歌唱。低音から高音まで輝くような声です。ただ、中低音部では、もう少しドスの効いたところがあっても良かったかと思います。

 もう一人の韓国人、エスカミーリョ役のバリトン、チェ・ビョンヒョクも立派な声で良かったのですが、ちょっと声を作っている感があり、声の厚みを感じませんでした。やや一本調子だったかなとも思います。この点、山賊の親玉のダンカイロを歌った、上江隼人のほうが、レチタティーヴォの部分も入れて、実に表現力のある歌唱をしていました。Bravoです。上江は二期会から藤原歌劇団に最近移ったのですが、引っ張りだこですね。
 その他の日本人もすごい豪華キャスト、モラレスの青山貴、メルセデスの山下牧子など、多分、主役級のアンダーになっているのではないかと思いました。これだけの歌手を世界と日本から集めたのも、マエストロの力があってのことでしょう。

 ちなみに、この日の公演は、レチタティーヴォがちょっと省略されながら入った、コミックとグランドオペラの折衷版でした。僕はレチタティーヴォ版が好きなので、この点でも満足です。演奏会形式ではレチタティーヴォは省略されるかと思っていましたので。

 東フィルではシーズンに一回程度、演奏会形式のオペラを入れます。去年はフィデリオ(これもチョン・ミョンフン指揮)でした。いつも非常にクォリティの高い公演ですが、定期会員だとS席で前から3列目、¥6,300-という超リーズナブルなチケットプライスです。

 次の東フィルの公演は3月16日、プレトニョフ指揮でスメタナの「我が祖国」全曲です。これも楽しみです。

カルメン(メゾ・ソプラノ):マリーナ・コンパラート
ドン・ホセ(テノール):キム・アルフレード
エスカミーリョ(バリトン):チェ・ビョンヒョク
ミカエラ(ソプラノ):アンドレア・キャロル
スニガ(バス):伊藤貴之
モラレス(バリトン):青山貴
ダンカイロ(バリトン):上江隼人
レメンダード(テノール):清水徹太郎
フラスキータ(ソプラノ):伊藤晴
メルセデス(メゾ・ソプラノ):山下牧子
合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:冨平恭平)
児童合唱:杉並児童合唱団(児童合唱指揮:津嶋麻子)

指揮:チョン・ミョンフン
東京フィルハーモニー交響楽団

セビリアの理髪師@新国立劇場

 今年2回目の新国立劇場は、お馴染みの「セビリアの理髪師」。ヨーゼフ・ケップリンガーというオーストリアの演出家になるこのプロダクションは、2005年の初演以来、既に4回目の公演。僕自身も3回目の観劇です。廻り舞台にドールハウスのように組み立てられた巨大なバルトロの家(3階建て)の中と外で、せわしなく動き廻る歌手達の演出が、音楽を聴くのを邪魔するという意見を良く聴きます。僕も最初に聴いた時は、そんな印象を持ちました。が、このオペラブッファを表現するのに、この演出はとてもポジティブに働いてると思います。実際に、こんな生活をしていた人達のドラマなんだと思うと、歌っていない時の動きも面白みがあります。例えば、ロジーナが自分の部屋で、エクササイズをけっこう激しくやっているところ、なんとボクササイズまでやっています。積極的で明るい彼女の性格が良くわかります。バルトロの部屋にある骸骨の標本見本も面白いですね。まあ、3回同じプロダクションを見ているので、こちらにも余裕もあると言えるのですが、双眼鏡で色々と見てしまいました。

 歌手は、非常に高いレベルで、非の打ち所が無いという感じ。一番感嘆したのは、アルマヴィーヴァ伯爵を歌ったアメリカ人のルネ・バルベラ。2幕目最後の大アリア「もう逆らうのをやめろ」は素晴らしかったですね。高音がちょっと鼻に掛かって、しかし上質な白ワイン(軽めの)のような味わいのある声で難しい装飾歌唱を軽々とこなしていく。いや、本当に良かったです。過去の公演では2012年には、この大アリアが省略されていてがっかりした記憶があります。もっとも、この大アリア、最近になって復活してきて良く歌われるようになってきましたが、5-6年前までは、普通に切り取られていることが多かったのです。そして、フィガロのフランス人、フローリアン・センペイも、過去に聴いたフィガロの中でもベストの出来。奥行きと輝きのある声は、一幕目の「街の何でも屋」からエンジン全開でした。そして、ロジーナの脇園彩もベリッシマ!中低音から高音まで、しっかりと決まる音程。魔法のようなアジリタ。Una Voce Poco Faは、今まで聴いたものの中でもバルトリにならぶ凄いものでした。昨年のドンナ・エルヴィーラも素晴らしかったし、来年はケルビーノを歌ってくれるし、海外で活躍している日本人が逆輸入で来てくれるの、とても嬉しいです。

 その他、バルトロのパオロ・ボルドーニャ、ドン・バジリオのマルコ・スポッティも良かったです。ベルタの加納悦子は演技もなかなかでしたが、2幕目の「年寄りは妻を求め」のカヴァレッタ(?)が特筆もので良かったです。脇役が良いと、本当に舞台が締まります。これほど、歌手陣が充実したロッシーニを聴くのは、2015年、アムステルダムで聴いた「ランスへの旅」以来でしょうか? それだけに、新国立でもランスやウィリアムテル、湖上の美人などを新作としてやってほしい気持ちが募ります。

 指揮者のアントネッロ・アルマンディは初めて聴きました。序曲でいきなり、ホルンが「プハ〜」とやらかしてしまって、これはちょっと残念。高まっていた気持ちに水をあびせられた感じです。それ以外は、良かったと思います。ただ、なんか、響きが固い感じがします。ロッシーニらしい、ゆらめくような軽さが充分に出ていない気がしました。

 それにしても、満足なセヴィリアでした。今週は、このあと、東フィルのカルメン、二期会の椿姫と週3回のオペラウィークです。体調を整えて臨みます。

指揮:アントネッロ・アッレマンディ
演出:ヨーゼフ・E.ケップリンガー
アルマヴィーヴァ伯爵:ルネ・バルベラ
ロジーナ:脇園 彩
バルトロ:パオロ・ボルドーニャ
フィガロ:フローリアン・センペイ
ドン・バジリオ:マルコ・スポッティ
ベルタ:加納悦子
フィオレッロ:吉川健一
隊長:木幡雅志
アンブロージオ:古川和彦
管弦楽:東京交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団
チェンバロ:小埜寺美樹

ラ・ボエーム@新国立劇場

 今年の新国立劇場での初オペラは、1月31日のラ・ボエームでした。目当ては、なんと言ってもニーノ・マチャイゼです。彼女は今回初来日、今まで日本に来たことがないので、ファンの僕は、今まで彼女を聴くために、パルマ(真珠採り)、ロサンジェルス(タイス)、アムステルダム(ランスへの旅)、と追っかけて来ました。今回、マチャイゼは日本をとても気に入った(特に浅草)ようなので、これからはもっと来てくれるでしょう。

 彼女の声は、いつものように芯がしっかりあって、低音から高音までをしっかりと歌い込み、情感を表す技術に優れたものでしたが、正直なところ、ミミという役柄にぴったりかと言うと、そうは言えないような気がしました。マチャイゼの魅力は、やはり「強い女性」を演じた時に最高潮になると思います。ですので、ジルダとか、タイス、レイラ、フォルビル伯爵夫人などの役で聴いた時のほうが、しっくり来ましたね。彼女自身も、プッチーニの演目で、ここ5-10年の間に歌うことを目指しているのは、トスカだと言っています。

 ロドルフォ役のマッテオ・リッピも良かったです。高音まで良く伸びる明るめのイタリアンボイス。貧しい芸術家という雰囲気を良く出していました。マルチェロのマリオ・カッシも良いバリトンだと思いますが、やや一本調子なのが気になりました。ムゼッタの辻井亜希穂。ドイツを中心に実績充分ということで、美しい声でしたが、もう少し華やかさ(色っぽさ?)が欲しかった気がします。ショナールの森口賢二は、安定した声と演技で舞台を引き締めていました。

 僕はラ・ボエームを見るのはまだ3回目なんです。以前に見たのも2回とも新国立の粟国演出です。この演出は美しいですね。クラシックで、印象派の絵画のようです。僕のオペラの師匠のK先生が、プッチーニはルノアールのようだと言っていましたが、まったくその通り。(一方ヴェルディは、セザンヌでしょうか?)特に第3幕の雪のアンフェール関門の場面は紗幕をうまく使って、本当に絵画のようです。新国立の演出の中では、「ばらの騎士」とならんで、名演出だと思います。

 最後に、指揮。新国立ではおなじみになったカリニャーニです。カリニャーニの指揮の特徴はグングンと歌唱をひっぱり、落とすところは落として歌唱を浮き上がらせるところです。この日もそんな感じを受けました。かなり映画音楽っぽい。ただ、このラ・ボエームは、ヴェルディなど(オテロが印象に残っていますが)のように、音楽の塊感を出す曲ではないので、このような指揮がプッチーニファンの人の耳にどう響いたのかは、ちょっと疑問でした。

 ネガティブなことも色々と書きましたが、全体としては、非常に水準の高いラ・ボエームでした。満足!

指揮:パオロ・カリニャーニ
演出:粟國 淳
美術:パスクアーレ・グロッシ
衣装:アレッサンドロ・チャンマルーギ
照明:笠原俊幸

ミミ:ニーノ・マチャイゼ
ロドルフォ:マッテオ・リッピ
マルチェッロ:マリオ・カッシ
ムゼッタ:辻井亜季穂
ショナール:森口賢二
コッリーネ:松位 浩
ベノア:鹿野由之
アルチンドロ:晴 雅彦
パルピニョール:寺田宗永
管弦楽:東京交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

ヴェルディ協会20周年ガラ

2月1日の土曜日は、サントリーホールのブルーローズで、私も所属している「NPO日本ヴェルディ協会設立20周年記念ガラコンサート」がありました。400人のスペースが埋まるかどうか心配していたのですが、満席になりました!15分の休憩を挟んで2時間で15曲、オールヴェルディプログラムです。ヴェルディファンのためのコンサートということで、良く知られている曲の他に、なかなか聴けない曲(エルナーニ、シチリアの晩鐘、運命の力、シモン・ボッカネグラなどから)もちりばめられて、大変に充実した内容でした。しかも、プログラムと一緒になった機関誌”ヴェルディアーナ“は90頁のボリューム。

歌手陣も日本の第一線で活躍中の人達が集まりました。新国立の研修所時代から応援(勝手に)している、テノールの城宏憲さん、高音までスクッと立ち上がり、イタリア的な輝きのある声!同じく研修所出身のソプラノ高橋恵理さんは、美しいコロラトゥーラが印象的でした。情感のこもったソプラノの廣田美穂さんは藤原きってのヴェルディ歌い。妻屋秀和さんは、いつもながら安定した声で世界でも一流のバス、フィエスコのロマンツァ、素晴らしかったです。オペラの中に引っ張り混むようなリアリティのあるバリトンの甲斐栄次郎さん。いつも同じことばかり言っていますが、甲斐さんにはシモン・ボッカネグラを歌って欲しいです。そして、僕の大好きなメッゾ、谷口睦美さん。この日は、数日前に舞台で転んでむち打ち症になったとのことで、公演後のパーティでは、首を固定する金具で痛々しかったですが、レオノーラのアリア、エボリのアリアは、オペラ全幕を聴きたくなるような迫力。何年か前にマッダレーナを聴いて、凄いと思いましたが、この人のヴェルディはやはり迫力です!

この6人の歌手が次から次に歌っていくのですが、2時間を一人で伴奏されたピアニストの高橋裕子さんも素晴らしかったです。

自画自賛みたいになりますが、数ある作曲家系の団体の中でも、ヴェルディ協会の活動は質、量ともに素晴らしいものがあります。次回のイベントは、2月12日の「ジャコモ・サグリパンティ講演会」ですが、これもソプラノ、テノール、ピアノ演奏のミニ・コンサート付きです。で、ヴェルディ協会会員は無料、一般でも1,000円というリーズナブルな設定です。詳しくは下記をご覧ください。

http://www.verdi.or.jp

最後に宣伝が入ってしまいましたが、この日のヴェルディガラ、本当に素晴らしかったです。


1.ナブッコ第2幕 ザッカーリアの祈り
お前は予言者の言葉によって 妻屋秀和

2.エルナーニ第1幕 エルヴィーラのアリア
エルナーニ、私を救い出して 廣田美穂

3.アイーダ第1幕 ラダメスのロマンツァ
清らかのアイーダ 城宏憲

4.イル・トロヴァトーレ第2幕 アズチェーナのカンツォーネ
炎は燃えて 谷口睦美

5.イル・トロヴァトーレ第4幕 レオノーラのアリア
恋はばら色の翼にのって 高橋恵理

6.シチリアの晩鐘第2幕 ブローチダのエール
おお、我がパレルモ 妻屋秀和

7.ドン・カルロス第4幕 ロドリーグのエール
これが私の最期の日 甲斐栄次郎

8.マクベス第4幕 マクダフのアリア
ああ、父の手は 城宏憲

---------- 休憩 ----------

9.ラ・トラヴィアータ第1幕 ヴィオレッタのアリア
不思議だわ〜おそらくあれはあの方ね〜いつも自由で… 高橋恵理

10.ラ・トラヴィアータ第2幕 アルフレードのアリア
僕のたぎる心の情熱を〜おお、悔やまれる、恥ずかしい 城宏憲

11.ラ・トラヴィアータ第3幕 アルフレードとヴィオレッタの二重唱
愛しい人よ、パリを離れて 城宏憲/高橋恵理

12.運命の力第3幕 ドン・カルロのアリア
死ぬのか!怖ろしい!〜私の運命を決定づける賭け    甲斐栄次郎

13.運命の力第4幕 レオノーラのメロディーア
神よ、安らぎをお与えください 廣田美穂

14.ドン・カルロ第4幕 エボリのアリア
宿命の贈り物よ 谷口睦美

15.シモン・ボッカネグラ プロローゴ フィエスコのロマンツァ
おまえ最後の別れを…引き裂かれた父の心は 妻屋秀和

ピアノ 高橋裕子

ニューイヤー・バレエ@新国立劇場

今年の“初芝居”は、新国立劇場での“ニューイヤー・バレエ”、1月12日の公演になりました。新春らしく、客席には着物の方も多く華やかな気分になりました。車で行っていなければ、シャンパンで乾杯するところなのですが。。。

この日は、バランシンの”セレナーデ”(チャイコフスキー)で始まり、”ライモンダ”と”海賊”のパ・ド・ドゥ。休憩が入って、日本初演の”DGV” (Danse a Grande Vitesse)という構成でした。セレナーデは総勢26名のダンサーで演じられる作品です。一糸乱れぬ群舞が美しく、手先の演技がとても繊細で、あたかも希望を手に入れるかのような動きが素晴らしかったです。音楽は、数年前までテレビのでテンプスタッフ(だったと思います)のCMでかかっていたもの。ちょっとそのイメージが強すぎた感じはありますが、約20分ほど、チャイコフスキーの世界に浸らせてもらいました。衣装も半透明の長いスカートが美しかったです。

パ・ド・ドゥ2つは、両方ともマリウス・プティバ版。“ライモンダ”は新国立の看板スター、プリンシパルの福岡雄大と小野絢子、この二人は舞台に立っただけで、存在感をグッと感じさせますね。この日に気がつきましたが、小野さんは、藤原歌劇団のソプラノのスター、砂田涼子さんに良く似ています。“海賊”は新鋭のファースト・ソリスト木村優里、ソリストの速見渉悟。二人ともフェッテが鋭くて芯が通っていて素晴らしい。近い未来のプリンシパルでしょう。

“DGV”はヨーロッパの高速鉄道のTGVをもじった「超高速ダンス」という意味だそうです。ダンス自体はそれほど”高速“というわけではありませんが、音楽は金管楽器と打楽器を主体とした、非常に印象深いものでした。東京交響楽団を指揮するマーティン・イェーツもきびきびした音作りで良かったと思います。

ニューイヤーということで、もう少しガラ公演っぽくなるのではと思っていたのですが、中編2作をはさんで、パ・ド・ドゥが2つ。客席に比べて舞台はやや地味だったか?でも、満足しました。今年は初めて新国立のバレエの方もシーズンチケットを買いました。次は5月のドン・キホーテです。楽しみ。

2020年あけましておめでとうございます。

ちょっと遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いを致します。

今年の初観劇は、テレビでのNHKニューイヤーオペラでした。今年は良かったですねー。序盤は、ナブッコ、セビリア、椿姫からお馴染みのナンバーばかりで、「ヒットパレード」になるのかと不安な気分になりましたが、中盤、後半はテーマで構成された充実した内容になっていました。特にルサルカや、シモン・ボッカネグラ、ファウストなどのマイナーなオペラからの選曲は嬉しかったです。歌手では運命の力のアリアを歌った中村恵理さん、いつもながら迫力と繊細さが高いレベルで昇華していました。フィエスコを歌った妻屋さん、上江さんをタイトルロールにしてシモン・ボッカネグラを全幕やってほしくなりました。バッティストーニの指揮も歌手をグングンひっぱていく力があって最高でした。これほど素晴らしいのだったら、来年はチケット取って会場で聴いてもいいかなと思います。でも、即完売なんでしょうね。

さて、個人的に、今年前半に行こうと思っている公演を列記してみます。何かのご参考になれば幸いです。

1月:ニューイヤーバレエ(新国立)
1月:東フィル定期公演バッティストーニ指揮、ラフマニノフ、ベルリオーズ他(オペラシティ)
1月:ラ・ボエーム、僕の大好きなマチャイゼ出演!(新国立)
2月:セヴィリアの理髪師(新国立)
2月:東フィル定期公演ミョンフン指揮カルメン演奏会形式(歌手が豪華です!必聴!)
3月:シッラ、ヘンデルのオペラをビオンディ指揮エーロパガランテで。メッセニアの神託の再現なるか!超期待です。(神奈川音楽堂)
3月:中村恵理リサイタル(横須賀芸術劇場)
4月:ジュリオ・チェーザレ(新国立)
4月:東フィル定期公演佐渡裕指揮バーンスタイン(オペラシティ)
4月:サムソンとデリラ二期会公演(文化会館)
5月:ドン・キホーテ バレエ(新国立)
5-6月:ワルキューレ カウフマン主演!(パリオペラ座)
5-6月:MAYERLINGバレエ-マクミラン版(パリオペラ座)
5-6月:オルフェ/ベルリオーズ(ノイマイヤー演出バレエ付き)(ザルツブルグ)
5-6月:ドン・パスクァーレ バルトリ出演(ザルツブルグ)
5-6月:ガラ・コンサート (ザルツブルグ)
5-6月:海賊 、ベリーニ(パレルモマッシモ劇場)
6月:ノルマ、ランカトーレ(パレルモマッシモ劇場来日)
6月:ナブッコ、バッティストーニ(パレルモマッシモ劇場来日)
6月:東フィル定期公演プレトニョフ チャイコフスキー(オペラシティ)
6月:マイスタージンガー(新国立)

2019年観劇ベスト10

 2019年もあと僅かになり、個人的にはもう観劇の予定はないので、今年の僕的ベスト10を挙げてみようと思います。今年の観劇回数は34回と、かなり少なくなってしまいましたので、皆さんの頭の中にある“ベスト”演目が漏れてしまっていることもあるかと思います。

1位:フローレス来日コンサート (オペラシティ)

2位:クルレンツィス&コパチンスカヤ (オーチャードホール)

3位:フェスティヴァル・ヴェルディ ガラ (パルマ王立劇場)

4位:ウエルテル (新国立劇場)

5位:ルイーザ・ミッレル (パルマ フランチェスコ協会)

6位:トゥーランドット (新国立劇場)

7位:二人のフォスカリ (パルマ王立劇場)

8位:東フィル バッティストーニ (オペラシティ)

9位:ラ・トラヴィアータ 藤原本公演 (文化会館)

10位:フィレンツェの悲劇、ジャンニ・スキッキ (新国立劇場)

番外:トッキーニョ リサイタル (リスボンチボリ劇場)

フローレスのコンサートは、直近の観劇だったので、印象が強いということもありますが、それを差し引いても素晴らしいものでした。彼の声を聴ける時代にいて幸せです。クルレンツィスのチャイコフスキープログラムも感動ものでしたが、やはり彼はオペラで聴きたいです。3位のパルマでのヴェルディ・ガラは、その後すぐに発表されたレオ・ヌッチの引退の声明で、期せずして彼の公式な最後の公演になってしまいました。もう77歳になりますし、ここ数年、いつ引退してもおかしくないと思い、彼の公演を追いかけて来ましたので、しかたないと思います。有終の美を飾ったとも思います。しかし、それでも彼の後を継ぐようなヴェルディバリトンが見当たらないことも考えると寂しい限りです。もう、僕の大好きな“シモン・ボッカネグラ”を“ヌッチで聴くこともできない!

あとは、番外にある、“トッキーニョ”のリサイタル。これはブログにはアップしていませんが、彼はブラジルでボサノバとMPB(ブラジルのポップス:ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)の王様のような人です。もう50年以上のファンで、一度聞きたいと思っていましたが、日本に来ないのです。ブラジルは遠いし、治安が悪そうだと思っていたら、リスボンで毎年のようにリサイタルをしていることを知り、たまたま、フェスティヴァル・ヴェルディと同じ時期だったので、脚を伸ばしました。2日連続で聴きに行きましたが、ホント良かったです。ただ、ポルトガル語のおしゃべりが多くて、それが全く解らずに残念。

来年の前半で楽しみなのは、1月の新国立でマチャイゼが歌う“ラ・ボエーム”、3月の神奈川音楽堂でのヘンデルのオペラ“シッラ”でしょうか?特に後者はめったに聴けません。6月には、ヨーロッパに行きます。ザルツブルグの音楽祭中心に聴いてきます。

最近、投稿の回数が少なくなってしまっていますが、どうぞ、来年もお付き合いください。

 

フローレス来日!

 12月10日、オペラシティで行われたファン・ディエゴ・フローレスの公演に行って来ました。生のフローレスを聴くのは3回目、過去2回は海外でした。スカラ座の“オルフェオとエウリディーチェ”、METでの“ラ・トラヴィアータ”、両方とも本当に素晴らしかったので、今回の来日公演は期待をしていましたが、期待をはるかに超えたパフォーマンスでした。

 フローレスと言えば、ペーザロでデビューしてその後も長いこと出演していたので、ロッシーニ歌いというイメージがありますが、この日の曲目にはロッシーニは1曲もなく、ベッリーニに始まり、ドニゼッティ、ヴェルディ、レハール、マスネ、ビゼー、プッチーニと、時代を追って、ベルカントからヴェリズモ方面に上ってくるメニューになっていました。彼の声は、全く滞りの無い精密機器が見事にチューニングされたような、「完璧な声」と言えるでしょう。低音から高音まで、一声目でまったくブレなく音程が決まります。ハイC(3点C)でも持ち上げるということが全然無いので、ハイCに聞こえないのです。この日のハイCは、ヴェルディの2曲、“ラ・トラヴィアータ”の“わが後悔(o mio rimorso)”とアンコール最終曲”リゴレット“の”女心の歌(la donna è mobile)”の最後で聴けました。”o mio rimorso”は最後の”lavero♫”の繰り返しを2回、空白にしてピアノに委ね、その後、スクッとハイCが立ち上がるというコンサートバージョン。背中がゾクッとしました。METで聴いた時は、ヴィオレッタがダムラウだったのですが、対するアルフレードがあんなに「知的」に見えたことはありません。だいたい、アルフレードは、軟弱か未熟成、あるいはアントニオ・ポーリのように「可哀そう」という感じになるのですが、フローレスだとインテリジェンスに溢れた美青年になってしまいます。
 先週、新国立で“ラ・トラヴィアータ”を見たばかりなので、そっちに話がいってしましましたが、この日のコンサートはベッリーニの小品から始まりました。まずは喉をならすという感じ。そして、1曲ピアノのソロが入って、ドニゼッティが2曲。”人知れぬ涙“も素晴らしかったですが、エドゥガルドの「我が祖先の墓よ」は1曲で、”ランメルモールのルチア“のオペラの世界に引き込まれてしまいました。そしてヴェルディは、トラヴィアータの前に珍しい”アッティラ“からフォレスト(だと思いました)のアリア「おお悲しいことよ!」は、初期のヴェルディの軽さをノーブルな声で表現して、これも素晴らしいものでした。
 長めの休憩の後は、レハール、マスネ、ビゼー、プッチーニと続きました。最後にプッチーニを持ってきたことで、これからこの作曲家の作品を歌っていくのかなと思わされました。7時に始まって8時45分くらいで、全曲終了。ところが、この後のアンコールが凄かったのです。海外でフローレスのリサイタルを聴いた人から、アンコールは「フローレス歌謡ショ−」みたいになると聴いていましたが、その通り。第3部が始まりました。ギターを持って登場すると、最近レコーディングして発売された新CD“ベサメ・ムーチョ〜ラテンアルバム”から4曲連続で歌いました。ギターも上手い!それもそのはず、彼は、10代の頃はもともと出身国のペルーでシンガーソングライターとして、ギター片手にライブをしていたそうです。そして、鳴り止まぬ拍手に応えて、さらにアンコールは続き、“グラナダ”、“誰も寝てはならぬ”、“女心の歌”と続きました。個人的には、フローレスにヴェリズモまで行ってほしくはないですが、プッチーニも良かったですね。ここ10年で序々に声が重くなって来ているので、歌う曲も変わってきたのだと思います。今は、声に芯があって、“誰も寝て葉ならぬ”のようなずっしりとした曲もこなします。フローレスの声をポルシェの6気筒対向エンジンの音、と言った人がいましたが、今や12気筒エンジンのようです。

 ひとつ残念だったのは、かなり空席が目立ったこと。特に1階の後方と2階が空いていました。やはり、ピアノ伴奏のリサイタルとしては高めの料金が響いたのでしょうか?これだけ素晴らしい公演なのに、ちょっと残念な気がしました。
 さて、次にフローレスを聴けるのは、どこででしょうか?“ウェルテル”なんか聴きたいですよねー。

下に曲目とアンコール曲目の手書きパネルの写真を付けます。
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・ベッリーニ:「お行き、幸せなバラよ」
  ”Vanne, o rosa fortunata” (Bellini)

・ベッリーニ:「喜ばせてあげて」
  ”Ma rendi pur contento” (Bellini)

・ベッリーニ:ラルゴと主題 ヘ短調(ピアノ・ソロ)
  Largo e Tema in Fa Minore per Pianoforte solo (Bellini)

・ドニゼッティ:オペラ《愛の妙薬》より「人知れぬ涙」
  “Una furtiva lagrima”, from L’elisir d’amore (Donizetti)

・ドニゼッティ:オペラ《ランメルモールのルチア》より
「わが祖先の墓よ……やがてこの世に別れを告げよう」
  “Tombe degli avi miei… Fra poco a me ricovero”, from Lucia di Lammermoor (Donizetti)

・ヴェルディ:歌のないロマンツァ ヘ長調(ピアノ・ソロ)
  Romanza senza parole in Fa Maggiore per pianoforte solo (Verdi)

・ヴェルディ:オペラ《アッティラ》より「おお、悲しいことよ!でも私は生きていた」
  “Oh dolore! Ed io vivea”, from Attila (Verdi)

・ヴェルディ:オペラ《ラ・トラヴィアータ(椿姫)》より
「あの人から遠く離れて…燃える心を…おお、なんたる恥辱」
  “Lunge da lei… De’miei bollenti spiriti… O mio rimorso” , from La traviata (Verdi)

・レハール:オペレッタ《微笑みの国》より「君はわが心のすべて」
  “Dein ist mein ganzes Herz”, from Das Land des Lächelns (Lehár)

・レハール:オペレッタ《パガニーニ》より「女性へのキスは喜んで」
  “Gern hab’ich die Frau’n geküsst”, from Paganini (Lehár)

・レハール:オペレッタ《ジュディッタ》より「友よ、人生は活きる価値がある」
  “Freunde, das Leben ist Lebenswert”, from Giuditta (Lehár)

・ドニゼッティ:ワルツ ハ長調(ピアノ・ソロ)
  Valzer in Do Maggiore per pianoforte (Donizetti)

・マスネ:オペラ《ウェルテル》より「春風よ、なぜ私を目覚めさせるのか」
  “Pourquoi me réveiller”, from Werther (Massenet)

・ビゼー:オペラ《カルメン》より「お前の投げたこの花を」(花の歌)
  “La fleur que tu m’avais jetée”, from Carmen (Bizet)

・マスネ:オペラ《タイース》から 瞑想曲
  “Meditation from Thais (Massenet)

・プッチーニ:オペラ《ラ・ボエーム》より「冷たい手を」
  “Che gelida manina”, from Labohéme (Puccini)

「椿姫」新国立劇場

 5日のマチネに行って来ました。ヴァンサン・プサールの演出のこの演目も今回でたしか3回目になるかと思います。全回見ていますが、今回は舞台美術がだいぶ変わったようです。特に1幕目のヴィオレッタの夜会のシーンでは、ブルーの床と壁が一体化して、不思議な3次元空間を作っていました。全幕を通じて鏡をうまく使い、非常に美しい舞台を構成していました。3幕目のヴィオレッタの病床の舞台は、賛否両論あるようですが、紗幕のようなカーテンがヴィオレッタと他の人々を隔てており、ここで既にヴィオレッタが亡くなっていることを明示しています。つまりカーテンの向こう側は、「この世」で、手前側のヴィオレッタのいる方は「あの世」なのです。このカーテンも美しかったです。ただ、今までよりもちょっと生地が厚くなったような気がして、多少声の通りが悪くなっていたかもしれません。いずれにしろ、ヴィオレッタはこの時点でもうこの世から去っているのです。ですからラストで立ったまま倒れずに、両手を挙げて暗転になるのだと思います。

 また、この幕でベッドの代わりをするピアノは、1幕目から舞台の中央で存在を誇示するようになっています。これも賛否両論(というよりは「否」の意見のほうが多いようですが…)あるようですが、僕はヴィオレッタのモデルになった、マリー・デュプレシ(アルフォンシーヌ・プレシ)の最愛の恋人だったフランツ・リストを暗示しているのだと思います。(リストは当時、超絶技巧ピアニストとして名を馳せていた)リストは、マリーを残して旅に発ち、結局戻ってこなかったのです。しかし、この演出が僕の考える通りだとしても、少しプサールの自己満足的な表現かもしれませんが。。。

 タイトルロールのギリシャ人ソプラノ、ミルト・パパタナシュはヴィジュアル的には、文句のないヴィオレッタです。この役でデビューをし、得意としているそうです。歌唱力もあり、感情表現も上手いのですが、やや気持ちが入りすぎていて、聴いているほうが付いていけないところがありました。アルフレードやジェルモンとの2重唱でも、テンションの違いが大きかったと思います。もっとも、これはアルフレードの場合は、ドミニク・チェネスの力不足も大きいでしょう。すぐに息が上がってしまうようで、音程もちょっと怪しい。乾杯の歌は、最初の出だしで「やらかして」いました。ジェルモンの須藤慎吾は素晴らしい歌唱で、この日最も多く拍手をもらっていました。いわゆる高めのヴェルディバリトンではなく、低めで立派に歌っていましたが、威厳がありすぎて、2幕目第一場のヴィオレッタとの2重唱も、序々に、同じメロディーを歌って徐々に感情が一体化していく、その一番の聴き所の印象が薄いのです。ジェルモンには彼なりの苦闘があると思うのですが、そういうところが余り感じられずに、むしろすっかり割り切ってしまっているという感じがしました。

 それでも、3幕目のパパタナシュのアリア「道を踏み外した女」は素晴らしい出来でしたし、二重唱の「パリを離れて」も心を打つものがありました。

 指揮のレプシッチは新国立初登場。「破綻の無い指揮」という感じで終始していましたが、二幕目、三幕目で、舞台が盛り上がるところで、オケのトーンが落ちてしまい、「おやっ?」と思うことがありました。あくまでも、歌手を浮き出させようとする主旨なのでしょうか?

 色々とネガティブなことを書きましたが、美しい舞台と充分な水準の歌手で、楽しめた公演でした。

 なお、幕間に、1階のロビーのヴェルディ協会のブースに立っておりました。お立ち寄り頂いた皆様に感謝致します。ヴェルディ協会では、来年2月1日にサントリーホールブルーローズで「創立20周年ガラコンサート」を開催します。どうぞ、皆様お越しくださいませ。

指揮:イヴァン・レプシッチ
演出:ヴァンサン・プサール

ヴィオレッタ:ミルト・パパタナシュ
アルフレード:ドミニク・チェネス
ジェルモン:須藤慎吾
フローラ:小林由佳
アンニーナ:増田弥生
新国立劇場合唱団、東京フィルハーモニー管弦楽団

マリインスキー歌劇場「スペードの女王」

 11月30日の東京文化会館でのマチネに行って来ました。ゲルギエフの十八番のこの作品ですが、日本で公演されることは滅多にありません。僕も生で聴くのは初めてです。

 何よりも、チャイコフスキーの音楽が美しい!序曲はロマンチックで、かつロシアの荒々く広大な大地を感じさせる(なぜか、映画「ひまわり」を思い出してしまいます)壮大な響きが素晴らしいです。3幕目の序曲などは、ウルウルしてきました。ゲルギエフの指揮は、抑え気味ですが、弦のハーモニーを美しく浮きだたせていました。

 歌手では、リーザ役のイリーナ・チュリロワが感情が良く表されたゴージャスな声で魅了されました。3幕でのゲルマンを待っての「悲しみにも疲れ果てた」は絶品。ただ、対するゲルマンのミハイル・ヴェクアが今ひとつでした。高音を持ち上げるようなかったるさがあり、情感がこもらないフラットな歌い方、声量もチュリロワに比べて劣るので、二重唱が盛り上がりませんでした。この役を得意としていると言う、ダブルキャストで12月1日に歌うウラディミール・ガルージンを聴いてみたかったです。

 トムスキー伯爵を歌ったバリトンのウラジスラフ・スリムスキーは安定していて、歌にも演技にも余裕があり、舞台を締めていました。エレツキー公爵のロマン・プルデンコも同じくバリトンですが、ちょっと声を作っている感じ。しかし、公爵という役柄にはあった作り方(威厳のある)で悪くなかったです。

 合唱が多い作品ですが、合唱団は奥行きがあって素晴らしい歌唱でした。

 舞台美術と衣装は、クラシックとモダンを折衷したもので、非常に洒落ていて良かったと思います。ただ、演出は少しだるい。人の動きが緩慢としていて音楽に合っていない感じがしました。特にリーザが死ぬシーンは、川に飛び込むのではなく、次の場面の賭博場の中をゆっくり歩いて消えて行くのは、やや目障り。

 全体に上質なオペラを見た感じがしましたが、「長かった」と感じてしまったのは、筋書きがちょっと退屈なのですね。プログラム(¥1,500-でとても充実していました!)にも詳しく書いてありましたが、プーシキンの短編小説を伸ばして、色々と場面を加えて作られたオペラ作品とのこと。個人的にはプッチーニの「外套」のように、短編小説っぽいオペラにしてくれたほうが良かった感じがしました。ダブルビル用とか、トリプルビル用にするとか、、、、これを、今ここで言っても全くしかたないんですが。。

 ともあれ、この作品と「マゼッパ」というマイナーな作品を持ってきてくれたマリインスキー歌劇場とジャパン・アーツに大感謝です。「椿姫」ばかりの来日引っ越し公演の中で、このようなプログラムは光ります。

指揮:ワレリー・ゲルギエフ

演出:アレクセイ・ステパノフ

ゲルマン:ミハイル・ヴェクア
トムスキー:ウラジスラフ・スリムスキー
エレツキー:ロマン・ブルデンゴ
チェカリンスキー:アレクサンドロ・トロフィモフ
スーリン:ユーリ・ウラソフ
チャプリツキー:アンドレイ・ゾーリン
ナルーモフ:ドミトリー・グリゴリエフ
伯爵夫人:アンナ・キクナーゼ
リーザ:イリーナ・チュリロワ
ポリーナ:ユリア・マトーチュキナ(ミロヴゾール「ダフニス」)
マーシャ:キラ・ロギノヴァ
プリレーパ(クロエ):アンナ・デニソヴァ
児童合唱:杉並児童合唱団
マリンスキー歌劇場合唱団、管弦楽団

「二人のフォスカリ」と「ルイーザ・ミレル」

 レオ・ヌッチの引退というニュースを聞いて、すっかり落胆してしまい、パルマで聴いた2つのオペラの感想を書いていませんでした。それにしても、今回聴いたGALAが最後になったのかなぁ。

「二人のフォスカリ」を生で見るの初めてです。Tutto VerdiのBlueRayでは何度も見ていたので、この演目もヌッチのイメージが出来上がっているのですが、今回は、今、人気上昇中のウラジミール・ストヤノフが老フォスカリ、日本でもお馴染みのステファン・ポップ(今も来日中のはず)がヤコポ・フォスカリでした。会場は、パルマ王立劇場。海外の劇場の中では、一番回数多く訪れているところで、きれいだし、大きさも中くらい(1500名)で丁度良く、来ている人も適度にドレッシー、適度に老若男女入り交じり、そして、バーも充実しています。(休憩が短いのですが。)

 この公演、指揮がとても良かったです。パオロ・アリバベーニという指揮者は初めてでしたが、全体にレガートで、高まるところをギューッと締めるという感じの指揮で、メリハリがついていて良かったです。歌手ではなんと言ってもストヤノフが、気品があり、老フォスカリの悲しさがそのまま声になったような表現力とあいまって、舞台を支配していました。このくらいの力量があると、ヌッチのイメージも消えますね。ステファン・ポップも非常に良かったのですが、声量がややあり過ぎて、ピアニシモを多用するストヤノフとの対比がちょっと気になりました。ヒロインのルクレツィアを歌ったマリア・カザルヴァは初めて聴きますが、終始叫びまくっていたイメージ。それと、ブレスの音がきつくて気になりました。あまり評価できません。

 演出、舞台美術は秀逸でした。舞台の奥がアーチ状の壁になっているのですが、それがすだれのような板で構成されていて、そこにモノクロ10人委員会のメンバーの顔が出たり、幾何学的な模様が出たり、単なる素通しになったりするのが、とてもシンプルで洒落ているのです。ヤコポが投獄されているところは天井から鎖が何本も下がってきて表現します。歌手の衣装は時代物ですが、舞台のほうは現代っぽい。お金はかけないが、ドイツの歌劇場みたいな、素っ気なく、かつ難解なものとは違って、好感が持てました。t05_c.jpg  フォスカリのステージ(後方の壁上部にグラフィックが出る)

 この演目、日本でついぞ上演された記憶がないのですが、まあ、あまりにも地味すぎるのでしょう。地味と言えばシモン・ボッカネグラも地味なのですが、フォスカリは地味な上に、役柄の持っている憎しみや悲しみの必然性が良くわからないのです。シモンでは、なぜ、フィエスコがシモンを憎んでいるのかが、25年前のプロローグから良くわかるのですが、フォスカリの場合はロレダーノがなぜフォスカリ一族を滅亡させるまで恨んでいたのかが明確ではありません。

 とは言え、美しいオペラでした。

翌日は、場所を変え、修復中の市内中心部にある、聖フランチェスコ教会を会場にした「ルイーザ・ミレル(ミラー)」でした。僕たちの泊まったフラットから歩いて3分、休憩時にトイレに戻れるくらいの距離で便利でした。教会の内外すべてが足場に覆われており、まったくの建築現場。ここをオペラの舞台にしてしまうなんて、すごいアイデアですね。同じ市内にある、ファルネーゼ劇場を使う手もあったと思うのですが、教会の方が視覚的にも音響的にもインパクトあります。

 この日の指揮はロベルト・アバド。今回のフェスティヴァル・ヴェルディの総監督でもあります。彼の指揮を聴いた人からは、絶賛の声は聞いていなかったので、それほど期待していなかったのですが、なかなか良かったです。オケを強くコントロールするという感じではなく、適宜、比較的自由に泳がせておいて、要所を締める、フォスカリよりももっとゆったりとした感じで、この演目にはあっていました。安心して聴けました。ルイーザのフランチェスカ・ドット。レッジェロなしかし、良く通る声。装飾歌唱も美しく、芝居もなかなか良かったし、満足です。ロドルフォを歌ったアマディ・ラーニャ、父ミラーのフランコ・ヴァッサーロ、ウルムのガブリエレ・サゴナ、伯爵のリカルド・ザネラートと皆、水準以上の歌唱でしたが、この日はフェデリカのマルティナ・ベッリが急に降板し、代役となった歌手(アナウンスだけだったので名前を覚えていません)が、いまひとつでした。アンダーとして良く練習しているのはわかるのですが、何せ声量がなさ過ぎて、他の歌手とのやりとりが厳しかったです。

 演出は、舞台美術に関して言えば120点。教会の石壁と、そこにかけられた足場を有効に利用し、カーテンのない舞台で、幕間の舞台の変換も演出していました。なかなか、こういうのを体験する機会はないと思います。しかし、演出はラストでずっこけました。というのは、最後、死ぬのがルイーザ、ロドルフォ、ウルムの3人だけではなく、残りの出演者全員が死んでしまうのです。ロドルフォが、招待客の入っていない、フェデリカとの結婚式場のテーブルにあるワインカラフェ(20くらいある)すべてに、手に持った小瓶から毒薬を入れてしまい、最後はこのワインで全員乾杯でした。これでは、ストーリーも代わってしまいます。ボルジア家みたいですね。そこまでは、演出とても良かっただけに、ちょっと気が抜けてしまいました。

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フランチェスコ教会

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ルイーザ・ミレル カーテン(?)コール

 しかし、数年前にはその年の5月になっても、演目どころか開催も危ぶまれていたA「フェスティヴァル・ヴェルディ」、今年はすでに来年の演目が発表されていたのにはびっくりしました。強力なスポンサーが付いたのでしょうか?来年は、王立劇場で「イ・ロンバルディ」、「エルナーニ」、ブッセートで「リゴレット」、フランチェスコ教会(まだ修復中か?)で「マクベス」です。詳細は1月末に発表のようですが、期待できますね。

レオ・ヌッチ引退!

先週、パルマで聴いたばかりなのに、その後、衝撃的ニュースです。レオ・ヌッチが引退。7月にはリゴレットは歌わないと言っていたので、だんだんとレパートリーを絞って行って、最終的にはリサイタルだけにするのかなと思っていいたのです。ですが、どうも記事 を読むと、完全にリタイアのようです。いつかそういう時が来ると思っていたのですが、実際そうなると実に寂しい。ヌッチ以外にシモン・ボッカネグラを歌うバリトンは考えられないです。来年のスカラ座来日でジェルモンを歌うと発表されていましたが、現時点でNBSのホームページを見るとキャストの表示がなくなっているようです。ヌッチがいなくなると、海外まで出かけてオペラを聴こうという意気込みが半分くらいダウンしますねー。

残念

パルマ王立歌劇場の「ヴェルディ・ガラ」

しばらく、ブログをご無沙汰してしまいました。その間に新国立の「エウゲニー・オネーギン」に行きましたが、あまりぱっとしませんでした。指揮、歌手ともにまずまずというところだったのですが、演出がだるかったです。特に舞台美術。左右対称になっている幕が多く、且つ屋外のシーンが無い。2000年の舞台では、窓の外に秋の木がのぞいていたりして、詩情があったのですが、今回は、閉塞的で退屈でした。

さて、このオネーギンを見た翌日からヨーロッパに渡り、イタリア、パルマでのフェスティヴァル・ヴェルディに行って来ました。見て来たのは3演目、「ヴェルディ・ガラ」、「二人のフォスカリ」、「ルイーザ・ミラー」です。その中でも一番チケットが取りにくかったのは、10月10日、ヴェルディの誕生日だけに開催される「ヴェルディ・ガラ」。レオ・ヌッチが出るのですから当然でしょうね。

 会場はパルマ王立歌劇場。王立と言っても、パルマに王様がいるわけではないのですが、19世紀のパルマ王国の名残りです。なかなか格調高い劇場です。席数も1500と、イタリアの地方劇場としては大きなほうです。

 チケットを取った当初は、ヌッチと、イリーナ・ルングが共演する予定になっていましたが、ルングは降板。新進ソプラノのアナスターシア・バルトリ(チェチリア・バルトリではありません。)がステージに立ちました。彼女の最初の歌は、オテロの「柳の歌」。高音の伸びは普通という感じですが、中低音部の輝きと表現力が素晴らしい。「運命の力」のアリア「神よ平和を与えたまえ」は特に中音部が多く、聴き応えがありました。

 さて、ヌッチのほうですが、もはや77歳。レーナート・ブルゾンもこの年齢ではほとんど引退していた歳です。しかし、彼は超人ですね。この日も絶好調。「ドン・カルロ」4幕の「終わりの日は来た」、「二人のフォスカリ」1幕からの「やっと一人きりに。」など、高音のシャープさは昔のようにはありませんが、その分重みを増して、中低音部の節回しと迫力は、この年齢になってもまだ進化しているようです。彼は、6月のスカラ座の「リゴレット」の公演を最後に、この演目を封印したそうですが、それを知ってか、アンコールでは、観客から「リゴレット!リゴレット!」の歓声が。応えて歌った、「悪魔め、鬼め」は凄みを感じるものでした。ここ5年くらい、「そろそろ危ない(引退)のでは」と思い、ヌッチを追いかけていますが、この分ならまだまだ大丈夫そうです。来年のスカラ座来日でもジェルモンを歌うようですね。

アンコールの後には、フェスティヴァルで「二人のフォスカリ」のヤコポ・フィエスコを歌っているステファン・ポップが加わって「乾杯の歌」が始まり、これと同時に、大勢の劇場スタッフが観客にシャンパンを配り始め、本当に「乾杯」の歌になりました。いや、洒落ていますよね。2020年のフェスティヴァルの演目ももう発表されました。
リゴレット、マクベス、イ・ロンバルディ、エルナニだそうです。つい数年前まで、6月頃まで演目がわからずに、開催されるかも不安だったこのフェスティヴァル、スポンサーが増えたのでしょうか?ずいぶんと充実した内容になってきました。

 ヌッチは、この日の昼頃、パルマの公園内のヴェルディの銅像の前で行われた、「生誕のレセプション」にも出席していました。そして、レセプションの最後に、出席者と「ナブッコ」の「黄金の翼に乗って」を歌っていました。合唱団の一員です。すごい豪華な合唱を聴かせてもらいました。

あ、忘れてました。この日の指揮はチャンパ。僕の大好きな指揮者です。オーケストラが、エミリアのユースオーケストラでしたので、彼の力が最大限に発揮されたとは言えませんが、若い団員を実に丁寧に指揮をしていました。

追加

プラティアの最後部から聴きました。とても近い感じがします。

金箔舞う中「乾杯の歌」

金箔舞うなかで「乾杯の歌」

追加乾杯

観客も「乾杯!」







ランスへの旅 藤原歌劇団

 台風迫る新国立劇場に、ランスへの旅を聴きに行って来ました。この演目は大好きです。ロッシーニの作品の中でも一番好きだと思います。ただ、あまり上演されないので、今回の観劇も2015年の日生劇場での藤原の公演以来です。藤原歌劇団主催ですが、新国立劇場と、東京二期会も共催。最近、こういう相互乗り入れが増えてきて良いですね。

 ランスへの旅は、17人もの登場人物が出て来て、「黄金の百合亭」という温泉リゾートホテル(?)を舞台に、ドタバタを繰り広げるオペラブッファなので、そこのところを「面白くない」、「浅薄だ」という向きもあるようです。が、そこに描き出される人間関係と人物描写は素晴らしいものです。そして、音楽もどこを切り取っても、すぐに口ずさめるような美しく印象的なメロディーライン。時代も出自もちょっと違いますが、リヒャルト・シュトラウスの「ナクソス島のアリアドネ」に似ていますね。このオペラも僕は大好きです。

それにしても、これだけの人数の歌手をダブルキャストで揃えた藤原の実力は凄いものですね。最後の14重唱を歌うキャストだけでも計28人です。その中で、何と言ってもコリーナの光岡さん、美しい声と装飾歌唱。最後の新国王シャルル10世を讃える「即興詩」は、ハープだけをバックにみごとなものでした。そして、今回初めて聴いたフォルビル伯爵夫人の横前さん。パルマを中心に活躍しているそうですが、感情表現が素晴らしい。そして、コロラトゥーラが聴衆を天国に導くメリベーア公爵夫人の富岡さん。明るく輝くヴァリトンの上江さんのドン・アルヴァーロ。上江さんは今年、二期会から藤原に移りました。ミラノに長いこと住んでいてイタリアオペラに造詣の深い彼には、藤原のほうが出番が多いと思います。そして、甘い声で最近どんどん出演が増えている糸賀さんは、騎士ベルフィオーレを歌いました。ホセ・ブロスの声を彷彿とさせるような、彼独特のテノール。高音がちょっと割れるところがありましたが、どんなにゆったり聞いていても、目をつぶっていても、彼の声はわかります。ピーター・グライムスとか、こうもり、フィデリオとか、英独系のオペラでの出演が多かったのですが、彼もやはりイタリアオペラにぴったりな声ですね。

それと、本編では重要な役ではないのですが、マッダレーナの高橋未来子さん、幕が開いて最初にしばらくの間、歌う役なんです。これがしまらないとオペラが最初から崩壊する。いや、素晴らしいスターターでした。「夢遊病の女」の最初のリーザなんかもそうですが、主役ではないけど、とても重要な役です。

 園田マエストロの指揮は、アルベルト・ゼッダを彷彿とさせる、優雅で明るい音楽作り。

 そして前にも書いたかもしれませんが、最後の大団円のシーンでかかる荘厳な曲が、チャイコフスキーのバレエ曲「眠れる森の美女」の”アポテオーズ”という最終曲、そのものだと言うこと。この頃は著作権なんか意味なかったんですね。この曲は19世紀にはフランスで大評判になり、フランス第二の国歌(16世紀のアンリ4世への賛歌)と呼ばれていたそうだということ。このアポテオーズは世界バレエのカーテンコールにも使われています。https://www.youtube.com/watch?t=17&v=kOxeQY59YNo

とにかく、1幕のわりには、休憩込みで3時間と比較的長いオペラですが、飽きることなく堪能しました。


指揮:園田隆一郎
演出:松本重孝

コリンナ:光岡暁恵
メリベーア公爵夫人:富岡明子
フォルビル伯爵夫人:横前奈緒
コルテーゼ夫人:坂口裕子
騎士ベルフィオーレ:糸賀修平
リーベンスコフ伯爵:山本康寛
シドニー卿:小野寺光
ドン・プロフォンド:押川浩士
トロンボノク男爵:折江忠通
ドン・アルヴァーロ:上江隼人
ドン・ルイジーノ:田島達也
ドン・ルイジーノ:曽我雄一
デリア:中井奈穂
マッダレーナ:高橋未来子
モデスティーナ:田代直子
ゼフィリーノ:有本康人
アントーニオ:田村洋貴

合唱 藤原歌劇団合唱部/新国立劇場合唱団/二期会合唱団
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団



 

カルミナ・ブラーナ by Bunkamura

K-Ballet Companyの公演を9月4日にオーチャードホールで見て来ました。寸前まで行けるかどうかわからなかったのですが、何とか間に合いました。赤坂からタクシーで駆けつけたのですが、渋谷界隈混んでいてハラハラしました。なにしろ、一幕仕立てで、遅刻したらあとから入場するタイミングが全くないんですから。

 今回の目玉は、指揮がバッティストーニだということ!去年3月にも新宿文化ホールでオペラ形式のカルミナ・ブラーナを振っていますね。こういう劇的な曲目はバッティの十八番です。ただ、今回は、思ったほどの「爆発」はなく、どちらかというとシャープに切れ込む感じ。バレエと歌唱にうまく合わせていました。それでも、「フォルトウナ」のテーマの、地響きがするような迫力は、なかなか普通のバレエの演奏では聴けません。ちなみに余談ですが、このフォルトゥナのテーマは、映画「マトリックス」の最終作(レボリューションズ)の見所、主人公ネオとエージェントの対決に使われるバックミュージックにそっくりです。いや、こっちのほうがカルミナに似ているのですが。実際、あの音楽をカルミナだと思っている方も多いようですが、これは別物です。(参考 https://www.youtube.com/watch?v=vNCDtg7M3LA 1:14あたりから始まります。)

本題に戻ります。カンタータの歌唱では、初めて聴く今井未希がとても良かったです。合唱の上を飛んで来るような美しく鋭い声でした。一方、いつも良いと思う、バリトンの与那城敬がやや声がモゴモゴして聞こえたのは、ホールの音響のせいか?僕は3階の右の袖で聴いていたのですが、今ひとつ納得がいきませんでした。これは、合唱も同じくで、同じ新国立劇場合唱団でも、新国立劇場で聴いたカルミナほどの迫力を感じず、やや軽いと思いました。

 バレエは、熊川哲也渾身の振り付けという感じ。群舞は円を強調して、それが色々に変化するようになっています。これは迫力がありましたが、色々な要素が入りすぎていて、見る方からするとやや集中しきれない感じがありました。フォルトゥナはじめとする、メインのキャラクター達の踊りも素晴らしいのですが、もともとのカルミナ・ブラーナがシンプルな詩歌集であることを考えると、やや動きが全体的にtoo muchだと思います。

 ここらへんは、新国立バレエの前監督、デヴィッド・ビントレーの振り付けたカルミナが非常にシンプルで、インパクトが強かったのとどうしても比較したくなってしまいます。

 とは言え、バレエ、歌唱、音楽のすべてに、超一流を起用したこのような、総合芸術への挑戦がBunkamuraで行われたことは、非常に意義深いと思います。30周年記念ということですが、これからもこのような挑戦を続けて欲しいと思います。

演出・振付 熊川哲也
指揮 アンドレア・バッティストーニ
東京フィルハーモニー交響楽団
歌唱
 ソプラノ 今井未希
 カウンターテナー 藤木大地
 バリトン 与那城 敬
 合唱:新国立劇場合唱団、NHK東京児童合唱団

バレエ
 アドルフ 関野海斗
 フォルトゥナ 中村洋子
 太陽 高橋裕哉
 ヴィーナス 矢内千夏
 ダヴィデ 堀内将兵
 サタン 遅沢佑介
 白鳥 成田紗弥
 神父 伊坂文月
 他

トゥーランドット@新国立劇場

 7月21日日曜日のマチネに行って来ました。このチケットを予約した時(シーズンで数公演)、たしか中村恵理のリューのキャストで取っていたと思い込んでいたのですが、実際は砂川涼子のBキャストのほうでした。もちろん新国立に行ってから気づいたわけではないので、サプライズではなかったのですが。しかし、砂川涼子のリュー、この日の歌手の中で一番良かったと思います。ピアニシモからフォルテまで感情表現が美しく、カラフルな高音と相まって、死を覚悟していく3幕目のアリア「氷に包まれた貴女」はグッとくるものがありありました。この人、どんどん上手くなっていますね。(もちろん、昔から日本のディーヴァだったのですが)最近聴いたのでは、ジャンニスキッキのラウレッタ、ホフマン物語のオリンピア、ウェルテルのソフィーなどがありますが、どれも本当に素晴らしかったです。

 それに比べるとタイトルロールのジェニファー・ウィルソン、カラフのデヴィッド・ポメロイは、“並”というか”竹“というか、今ひとつインパクトにかけました。合唱がかなり強力なので、それに打ち消されるところがあったのと、二人とも高音がちょっと苦しいのです。リューに比べると、この二人の「思い」は底の浅いものなので、感情表現がうまく出来ていなかったというのは、的外れかもしれませんが、それにしても、心に響くところがありません。Aキャストのテオリン、イリンカイはどうだったのでしょうか?

 ティムールの妻屋秀和はさすがの安定感ですね。しかし、なぜBキャストは21日、一日だけだったのでしょう?

 話題になっている演出、賛否両論のようですが、僕は、とても良かったと思います。最近であれば、ゲーム・オブ・スローンズ、ちょっと昔ならマトリックスのザイオン(演出家のオリエは「ブレードランナー」を引き合いに出していますが)を思い出させる無機質で垂直的な舞台は、スペクタクルでした。オリエは、このオペラは残忍な権力について語っていると言っていますが、僕がいつもこのオペラを見て、最後に帳尻合わせのように「愛」を語っているのに、違和感を覚えていたのが、オリエの言葉ですっきりとしました。そして、リューが自害したことに、オロオロするような仕草で、亡骸のそばを離れないトゥーラン・ドットも、最後に「彼の名は愛」と言うと自刃します。カラフから愛を教えられたのではなく、リューから愛を教えられたという流れになっていると思いますが、このほうが自然。「リューの名は愛」ということですね。

大野和士の指揮は、いつものようにテンポがゆっくりしていました。バルセロナ交響楽団は緊迫感のある演奏でしたが、緊迫感がやや強すぎて、プッチーニの甘いメロディがやや霞んだかなという感じがありました。幕間にオーケストラのホルンが、「マイスタージンガー」の練習をしていてびっくりしましたが、(多分、バルセロナ響のコンサートでやるのでしょう)このトゥーランドットもちょっとワーグナーっぽいかなという感じがありました。

 最後に、、、合唱は凄かったですね。これは、再演される時にも3つの合唱団でかなえてほしいものです。

指揮
 大野和士
演出
 アレックス・オリエ
美術
 アルフォンス・フローレス
衣裳
 リュック・カステーイス
照明
 ウルス・シェーネバウム
トゥーランドット
 ジェニファー・ウィルソン
カラフ
 デヴィッド・ポメロイ
リュー
 砂川涼子
ティムール
 妻屋秀和
アルトゥム皇帝
 持木 弘
ピン
 森口賢二
パン
 秋谷直之
ポン
 糸賀修平
官吏
 成田 眞
合唱指揮
 三澤洋史
合唱
 新国立劇場合唱団
 藤原歌劇団合唱部
 びわ湖ホール声楽アンサンブル
児童合唱
 TOKYO FM少年合唱団
管弦楽
 バルセロナ交響楽団

今年後半の観劇予定

まだまだ梅雨は明けそうにありませんねー。

今年後半の観劇予定をリストアップしてみました。

7月
東フィル定期公演 チョン・ミョンフン指揮 シベリウスヴァイオリン協奏曲
新国立     トゥーランドット(新制作、リューが中村理恵)

8月
サントリーホール 小菅優、樫本大進コンサート モーツァルト ピアノとヴァイオリンのためのソナタ

9月
オーチャード カルミナ・ブラーナ バッティストーニ指揮 K-Ballet Company
新国立 ランスへの旅 藤原歌劇団 園田隆一郎指揮

10月
新国立 オネーギン
リスボン トッキーニョリサイタル(ブラジルの歌手)
パルマ王立歌劇場 ガラ・ヴェルディ レオヌッチ&イリーナ・ルング (ヌッチの見納めかも…)
パルマ王立歌劇場  二人のフォスカリ
パルマ王立歌劇場 ルイーザ・ミラー パルマ
パルマ王立歌劇場 ナブッコ
東フィル定期公演 プレトニョフ指揮 ビゼー交響曲第一番
新国立バレエ ロミオとジュリエット

11月
東フィル定期公演 ケンショウワタナベ指揮 ラヴェル、マーラー

12月
オペラシティ ファン・ディエゴ・フローレスリサイタル)

半年で14公演と、いつもよりだいぶ少ないのですが、今年は、 10月にパルマまで遠征するのです。ですので、ロイヤルオペラとトリエステ歌劇場の来日公演はあきらめました。パルマも5日連続の観劇になるので、体力的に持つかどうか、、後半の2演目はまだチケット取っていません。ヌッチのガラ公演は幸運にもチケットが直で取れました。彼も来年78歳!聴けるうちに聴いておこうというわけです。
あとは、バレエのカルミナブラーナをバッティストーニが指揮するのも楽しみです。そして12月のフローレス、ちゃんと来てくれるかどうかちょっと心配ですね。

とりあえず、ご報告