プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

大野和士講演会&ミニコンサート

 4月14日土曜日の夜に、内幸町ホールで、ヴェルディ協会主催のマエストロ大野和士氏の講演会が行われました。僕は、協会のスタッフとしてこのイベントの準備をしていたので事前に知っていたのですが、当日のお客様へのサプライズとして、なんと、ソプラノの中村恵理さんが、バリトンの原田圭さんと一緒に出演し歌ってくれたのです。色々と理由が(大人の、、、)あって、前もって発表できなかったのですが、180名の小ホールで、大野マエストロのピアノで、今や世界的ソプラノの名花である中村恵理さんの歌を聴けるなんて、なんて贅沢でしょう。

 大野さんの語りのおもしろさには定評があり、僕もリヨン歌劇場来日の際のマエストロの講演会で、語る、弾く、歌う、寝そべる(!)の大熱演に引き込まれた思い出があります。この日も、大野さんのヴェルディ愛がステージに溢れていました。ヴェルディが同じ時代のワーグナーと違い、あくまで人間をテーマにし、その思いや悩みを音楽にしていく、その過程を「ラ・トラヴィアータ」と「リゴレット」を例に挙げて説明してくれました。

Follie…follie…delirio vano e questo(馬鹿げているわ、むなしい妄想よ、これは)の有名なフレーズを中村さんが歌ったあとに、これが、藤圭子の「新宿の女」の「馬鹿だなぁ、馬鹿だなぁ、だまされちゃって」と同じ想いと状況をあらわしていて、しかも、長調から短調に移るのも同じだというのを、これも大野さん自身が歌いながら説明されました。会場は笑いに包まれました。

リゴレットの方では、ジルダの一幕目の「私のお父さん...:という呼びかけと2幕目の同じ父への呼びかけの歌い方の違い、2幕目ではもう父の可愛いジルダではなくなっている娘の声になるという、その違いを中村さんが歌ってくれました。

その他、ジルダの八分休符のスタッカートとヴィオレッタのそれとの違いなども、わかりやすくお話しくださいました。いやぁ、おもしろかった。休憩なしの1時間50分、聴衆は魅了されました。

このイベント、ヴェルディ協会員は入場料無料です。6月19日にはイタリア会館で、バーリ歌劇場とともに来日する、指揮者ビザンティとバリトンのガザーレのトークショーがあります。これも会員無料で、多分、ガザーレさんは歌ってくれることでしょう。これを機会にヴェルディ協会入会をご検討ください。一般会員、年会費は¥10,000-です。

ヴェルディ協会ホームページ
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絶品の「ノルマ」

 この3月末で、大学院のほうが退任になるので、授業もゼミもなくなって、だいぶ暇になるかと思っていたのですが、貧乏性なもので、空いた時間にどんどん仕事を突っ込んだり、旅行をしたりしていたら、何だか忙しくなってしまいました。そんなわけで、今まですべての観劇をブログにしていたのですが、2-3月で2つほどコンサートが漏れてしまっています。なんとか後でおっつけたいと思っていますが、とりあえず、オペラは外せないので、昨日、オーチャードホールで聴いた、二期会の「ノルマ」の感想をアップします。

 まず、今日一番に書きたいのが「指揮」です。素晴らしかったです。リッカルド・フリッツァ、新国立の2009年のオテロは、あまり印象に残らなかったのですが、昨年の「ラ・トラヴィアータ」の指揮は望外に(失礼!)に良かったのです。ピアニシモが美しく、品があって、しかし退屈でない、「静かなトラヴィアータ」でした。昨日のノルマはまさしく絶品!序曲が始まって「あっ!」と思ったのは、昨今、ノルマの序曲は古楽っぽくメリハリを付けて、楽器の響きを短くして聞かせるのがデファクト・スタンダードみたいになっているのに、フリッツァの指揮は、現代楽器をふくよかに、のびやかに鳴らします。それでいて、だぶついたところは全くなく、色に溢れたように、楽器ひとつひとつが聞き取れるような指揮でした。METでのリッツィ、一昨年のデヴィーアのノルマの時のランツィロッタの指揮も、ピリオド楽器風で、それはそれで素晴らしかったのですが、フリッツァの古き良き「ノルマ」は素晴らしい。彼は、「ラ・トラヴィアータ」の時は、1950−60年代的な演奏を排除すると言うポリシーで指揮に臨んでいましたが、ノルマでは逆ですね。けっこうへそ曲がりなのではないかとも思います。

 彼の指揮は、ノルマでも全体に低音量です。歌手もそれに合わせています。しかし、ここぞというところでは、楽器をピックアップするように浮きだたせて、音波を作ります。それもとても品格のある音波を!2幕目の序奏はずっとピアニシモが続き、ノルマの「眠っているとも」に続くのですが、ここの緊迫感が幕全体への期待を膨らませます。そして、3幕のノルマとポリオーネの2重唱「貴方は私の手中に」の序奏では、もう涙がウルウルです。ベッリーニの美しいメロディを、これだけ美しく聴かせてくれた指揮は、ノルマも6回くらい聴いていますが、滅多になかったです。僕としては、この日のMVPはマエストロ・フリッツァに捧げたいですね。多分、僕自身の好みとも合っているのでしょう。

 そして、歌手も本当に良かったです。大隅智佳子に代わって、2日続けてタイトルロールを歌った大村博美、ノルマの心情を細かくにじみ出させるような、美しい歌唱でした。”Casta Diva”はやや破綻を怖れて、8割方のパワーだったような気がしますが、静かな指揮とぴったり合っていました。ポリオーネの樋口達哉、やっと彼の持ち味が出せる役が来ましたね。ルサルカの王子じゃないでしょう!得意の高音も良かったですが、中音での感情表現が豊かで聴き応えありました。アダルジーザの富岡明子も、とても良かったのですが、役にはやや立派すぎる歌唱だったような気がします。声質がレッジェロ、リリコという感じではないのでしかたがないのですが、もう少しノルマに合わせて、彼女よりだいぶ歳も格も下だというのが、感じられる歌い方をして欲しかったです。ノルマとの二重唱や掛け合いの時に、このアンバランスがちょっと気になりました。オロヴェーゾの狩野賢一もがんばっていました。妻屋さんの次の世代として期待できますね。そして、特筆すべきなのは、二期会合唱団。少し荒いところがあるのがドルイド教徒らしくて、ノルマの合唱としては素晴らしかったです。聴き応えありました。

 セミステージ方式ということで、ステージに乗ったオケの後ろ、合唱団の前に台を設けて、そこである程度演技もつけて歌うという方式、評価が分かれそうですが、僕はとても良かったと思います。ここ数年、演奏会形式、セミステージ形式の公演を聴く機会が増えていますが、いずみホールのシモン・ボッカネグラや、テアトロ・レアル(マドリッド)でのルイーザ・ミラーなど、動きの付いた演奏会形式は、引き込まれ度が違います。藤沢市民オペラの時に、セミラーミデ役の安藤赴美子さんが、両手でこぶしを挙げて歌っているのを見ただけで、グッと来ましたから、やはりただ突っ立っているよりは、何らかの演技が少しついただけでも印象は変わります。今回はノルマはけっこう衣装も替えていましたね。

 これだけ素晴らしい内容で、2階の良い席で¥6,000−。Value for moneyですねー。残念だったのは、けっこう空いている席があったこと。二期会には、もっと宣伝してほしいですね。ポスターも無いんですよ。せっかくの箱がもったいない。

 それにしても、十二分に満足なノルマでした。昨日からずっとCD聴き返しています。(バルトリ、アントニーニ盤)

指揮: リッカルド・フリッツァ

演出: 菊池裕美子
映像: 栗山聡之
照明: 大島祐夫
合唱指揮: 佐藤 宏
舞台監督: 幸泉浩司

ポリオーネ:樋口達哉
オロヴェーゾ:狩野賢一
ノルマ:大村博美
アダルジーザ:富岡明子
クロティルデ:大賀真理子
フラーヴィオ:新海康仁

あけましておめでとうございます。

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。本年も、よろしくお願いを致します。

1月も半ばなんですが、まだオペラもバレエもコンサートも行ってないんです。いつもは、サントリーホールでの新春コンサートに行くのですが、今年は、何故かチケット取り逃してしまいました。1月は東フィルのミョンフン指揮のジュピターだけです。その代わり2月は、オペラ、バレエ、コンサートで7演目観劇の予定があります。

さて、それはそうと、新国立劇場のオペラ新芸術監督の大野和士さんが、2018-2019年の演目を発表しましたね。

新制作の演出が4つもあって、意欲的! 個人的には、大野さん、リヨンにいたのですから、フランスオペラがひとつ欲しかったというところです。

詳しくは下記サイトをご覧下さい。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_011679.html

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