FC2ブログ

プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

東フィルフレンチプログラム

しばらく、ブログをアップしていませんでした。その間に樫本大進のリサイタルとミュージカル”エヴィータ”に行って来たのですが、サボってしまいました。

それで、7月18日の東フィル定期公演にオペラシティまで行って来ました。ラヴェルとドビュッシー。なんか夏の夜に聞くには良いです。だいたい、僕は印象派好きだし。。。

この日のお目当ては、何と言っても東フィルを初めて指揮するスイスイタリアンの27歳のイケメン、ロレンツォ・ヴィオッティ!なかなか良かったですよ。バッティストーニの下の世代になりますね。最初のラヴェルの「道化師の朝の歌」スタッカートが強めで、もともとエネルギーに溢れたこの曲を更に持ち上げていました。ただ、ラヴェルの持つキラキラ感はやや弱く、水彩画というよりは油絵の印象。少しねっとりとした重みを感じます。ただ、それが曲にコアな部分を与えていて、単に耳障りの良いラヴェルではなく、聴衆に向かい合うことを求めるラヴェルに仕立ててくれています。

そして続くのは、ラヴェルの珍しい協奏曲。ピアノは小山実稚恵。同じラヴェルでも、道化師から20年以上経って作曲されたこの曲は、キュビズムのような感じ。ガーシュインを思わせるところもあり、ちょっとジャズっぽい。ヴィオッティは小山のバックで美しくキャンバスを彩っていましたが、ピアノの音色はラヴェルにはやや重い感じか..... ピアノソロのアンコールはドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」。美しく叙情的なこの演目のほうが小山のピアノがぴったりでした。

後半は、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」と交響詩「海」。後者は、生で聴くのは初めて。牧神のほうは、ちょっと安全運転という感じで、曲の色が弱くしか感じられませんでした。それでも、オケを立体的に塊感のある音にまとめていたので、気持ち良く聴けました。「海」は実に良かった。道化師同様に、エネルギーをフルに注入した結果、波や風が頬をなぜるような迫真感がありました。

東フィルも、また若くて良い指揮者を連れて来ましたね!

指揮:ロレンツォ・ヴィオッティ
ピアノ:小山実稚恵
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

ラヴェル/道化師の朝の歌
ラヴェル/ピアノ協奏曲 ト長調
ドビュッシー/牧神の午後ヘの前奏曲
ドビュッシー/交響詩 『海』(管弦楽のための交響的素描)
スポンサーサイト

東フィル定期公演、バッティと小曽根

 しばらく前の公演の感想です。

これは、おもしろい試み(と言ってはいけないのかもしれないですが)でした。1960年代にベルリンで「三羽がらす」と呼ばれていたピアニストは、マルティン・タウプマン、イエルク・デームス、フリードリッヒ・グルダですが、そのグルダが作曲した、意欲的な作品「コンチェルト・フォー・マイセルフ」に小曽根真がピアノで入り、彼の仲間のエレキベースとドラムが加わり、東フィルをバッティが振るというものでした。コンテンポラリーな音楽か、と思ったら、なんと印象派、いや、むしろロマン派に近い、美しいメロディを持った作品。しかし、時にはピアノ線を直接たたいて不協和音を出すというようなところもあって、とてもおもしろかったです。ただ、初日ということで、ベースとドラムスがかなり緊張していて、楽譜から目が離せない状態で演奏していたのが、やや残念。ジャズっぽくもう少し爆発してほしかったですね。

東京フィルハーモニー交響楽団・第116回東京オペラシティ定期シリーズ
指揮:アンドレア・バッティストーニ

グルダ:コンチェルト・フォー・マイセルフ
 ピアノ:小曽根 真
 エレクトリック・ベース:ロバート・クビスジン
 ドラムス:クラレンス・ペン

ラフマニノフ:交響曲第二番

東フィル定期公演、シベリウスとグリーグ(ちょっと前の公演)

だいぶ前の公演なのですが、2月26日のオペラシティでの、東京フィルハーモニー定期公演、プレトニョフと牛田智大の競演について、やっと書きます。

指揮:ミハイル・プレトニョフ
ピアノ:牛田智大*
シベリウス/交響詩『フィンランディア』
グリーグ/ピアノ協奏曲*
シベリウス/組曲『ペレアスとメリザンド』
シベリウス/交響曲第7番

 オールスカンジナビアプログラムですね。最初のフィンランディア、好きな曲なんですが、プレトニョフらしさがあまり出ていませんでした。なんか、ボワーっと鳴らしている感じ。曲の内面をえぐって音を出すということを期待していたのですが。。。。後の第7番がとても良かったので、ちょっと理解に苦しみました。フィンランディア、あまり練習しなかったのかなぁ。ペレアスとメリザンドはなかなか重い指揮でしたが、聴き応えありました。

 牛田智大、聴きやすいタッチのピアノを弾くという感じ。ただ、同じ若手のチョ・ソンジンの屈託の無い華やかさや、反田恭平の神経質とも思われるような技巧の繊細さに比べると、やや退屈な感じがしました。

 まあ、フィンランディアにしてもグリーグにしても、好みの問題が大きいとは思います。




パーヴォ・ヤルヴィと樫本大進オールフランスプログラム

 珍しく、N響の定期公演へ行きました。と言っても2月16日のことなので、ずいぶん経ってしまったのですが……

 オールフランスプログラムという内容。目当てはもちろん、ここ数年、とても良く聴いている樫本大進のサン・サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番!ヴァイオリン協奏曲の定番とも言える美しい旋律を持った作品ですが、樫本のは、この聴き慣れた曲を、まるで初めて聴く曲のように新鮮に響かせます。曲の「精神」がそのまま雫のように音になる感じは、彼ならでは。本当に魅せられてしまいます。ただ、いつも聴いている東フィルに比べると、オケの弦の音がやや粗い感じがしました。2階のL前方、S席だったので、東フィルの定席の前から6列目とは響きも違うのですが、それだけではない、何かオケが樫本をバックアップしていない感じがしました。一昨年、ヤルヴィがカンマーフィルハーモニーを率いて、樫本大進とベートーヴェンを横浜で演奏した時のオケとの一体感には、かなわないという感じでした。

 1曲目のデュリフレの3つの舞曲は、初めて聴きました。1927年の作曲と聞いて、現代音楽かと思ったのですが、実際は印象派の音色でした。ドビュッシーの影響も感じられますが、実に美しい、清らかな旋律。キース・ジャレットのピアノのイメージがしました。バレエ音楽ですから、これに振り付けを付けたものを見たいなぁ。

 フォーレのレクイエム、久しぶりに聴きました。好きです。ヴェルディのレクイエムも良いけれど、自分の葬式にはフォーレかモーツァルトのレクイエムにしてほしいものです。ヴェルレクでは、ちょっと間違うと地獄へ落ちそうです。

 ヤルヴィの指揮はとても良く、オケも粗さが目立たなかったのだけど、合唱が新国立などに比べて清涼感に欠けました。同じく、市原愛と、開演前に体調不良で降板したバリトンのシュエンに代わって出た甲斐栄次郎もやや物足りなかったです。二人とも少しオペラっぽい。ピエ・イェズのソプラノは、ボーイソプラのが歌うこともあるくらいなので、もっと透明感が欲しかったし、バリトンは荘厳な宗教感が欲しかったと思います。でも、充分水準以上の出来でした。

 さて、次回はオペラ座からバレエ、スカラ座からオペラ2つの報告の予定です。

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ヴァイオリン:樫本大進
ソプラノ:市原 愛
バリトン:甲斐栄次郎

デュリュフレ/3つの舞曲 作品6

サン・サーンス/ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61
フォーレ/レクイエム 作品48

東フィル定期公演シベリウス&グリーグ

 いつもはオペラシティで聴く東京フィルハーモニー交響楽団の定期公演、この日(2月23日)はサントリーホールで聴きました。音響のせいでしょうか、楽器の配置が大きく違っていておもしろかったです。1階10列目、真ん中の良席でした。

 この日は、オール北欧プログラム。なかでもグリーグのピアノ協奏曲イ短調を日本の若手ピアニストの先鋒、牛田智大が弾くのが目玉。彼のピアノは、とても柔らかく、けれん味がなく、プレトニョフの心地よく抑制された指揮とぴったり合いました。第一楽章があまりにも有名ですが、僕は第2楽章の洗練された北欧の家具のようで、白樺の林に吹く風のようなさわやかな旋律が大好きです。彼のピアノは叙情的になりすぎず、しかし曲の風景をホールいっぱいに描き出すような筆のタッチがあります。

 ただ、最近の若手ピアニスト、ちょっと神経質な反田恭平や、明るく華やかなチョ・ソンジンなどに比べると、自己主張が弱い感じがします。このグリーグ、もっとオケを引っ張るような強さが欲しかったというのが実感。世界に羽ばたいていくには、もう少しアグレッシブでも良いかと思います。

 この日圧巻だったのは、シベリウスの交響曲第7番。シベリウスの番号交響曲で最後のものですが、(第8番は破棄されて、スケッチだけが残っているようです。)楽章はひとつだけ。交響詩と呼んでもよさそうなもの。フィンランディアやタピオラに近い構成の曲です。フルートが重要な役割を持ち、複雑なメロディーの中心になったり、装飾音になったりして、曲全体の透明感を強くしています。プレトニョフの指揮は、最初のティンパニから弦の、地底から響いてくるような導入部分が、やややりすぎという感じがありましたが、以降は、曲としての塊感を強く保ち、緻密な結晶のような音を聴かせてくれて、とても満足でした。

 それに比べて、この日のコンサートの最初の交響詩「フィンランディア」は、音作りがちょっと疑問でした。大変遅いテンポだったのは、まあ良いとして、全体に音がばらけて、盛り上がるところにが、塊感がないのに、ボリュームだけ上がってしまい、雑な感じが否めませんでした。プレトニョフらしくなかったです。彼には、もっとコンパクトで内省的な、オラモのような指揮を期待していただけに残念。そして、それが第7番では出来ていたのが不思議でした。

 このブログでも何度が触れましたが、僕の好きなシベリウスは、現在ストックホルム王立フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者のサカリ・オラモというフィンランド人の指揮のもの。ハンヌ・リントゥの前にフィンランド放送交響楽団の首席指揮者も務めていましたが、日本ではあまり知られていません。彼の静かな、口数の少ない、内省的なシベリウスは素晴らしいです。僕の持っているオラモのシベリウス交響曲全集、今では廃盤で\20,000-近いプレミアムが付いていますが、別々に集めると安く買えます。是非お試しください。

アンコールのシベリウスのポルカ!初めて聴きましたが、とてもキュートで素敵でした。

 最近、北欧に行きたくなってきました。もちろん、フィンランドでシベリウスを聴きたいのですが、リントゥのはあまり……やはりオラモで聴きたいので、スウェーデンに行かないと行けませんね。。

指揮:ミハイル・プレトニョフ
ピアノ:牛田智大*
ソロアンコール:シベリウス/『もみの木』
シベリウス/交響詩『フィンランディア』
グリーグ/ピアノ協奏曲*
シベリウス/組曲『ペレアスとメリザンド』
シベリウス/交響曲第7番
アンコール:シベリウス『ポルカ』

FC2Ad