プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

森のくまさん騒動

ここ数日、ニュースでさかんに報道されています。

<森のくまさん>替え歌CD販売中止を 歌詞翻訳者が要請

これは、やっぱり相当まずいでしょうね。著作者人格権のうちの同一性保持権を侵害しているのが明白です。それに、訳詞者の馬場祥弘氏が、改変(というか付け加え)部分も含めて、訳詞者になっているのも問題でしょう。

ユニバーサルミュージック側は、「適切な手段を経た」と言っていますので、訳詞者と本件について、何らかの著作権に係わる契約を結んでいると思われますが、いわゆる「著作人格権不行使条項」を入れていなかったのではないかと思われます。

ただ、そうであっても、発表前に訳詞者に、新たに製作した歌詞は見せて、承認をもらうことが契約書上に書かれていないわけはありませんから、契約自体していないのではないかという疑いもぬぐえません。ユニバーサルミュージックは謝罪しないで、強く出たわけですが、その根拠があれば簡単に示せるのに、示していない。今のところは、ユニバーサルミュージックの法的な貧弱さしか見えませんね。この後どうなるでしょうか?(本ブログは僕のもうひとつのブログ、「湘南人のライセンシング日記」の内容を移転しています。)
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2016年の観劇(感激)ベストテン

2016年の観劇(感激)ベストテン

1位:「ルイーザ・ミラー」 テアトロ・レアル(マドリッド)
2位:「ワルキューレ」 ウィーン国立歌劇場(来日)
3位:「ナクソス島のアリアドネ」ウィーン国立歌劇場(来日)
4位:「エフゲニー・オネーギン」マリインスキー歌劇場(来日)
5位:「ローエングリン」新国立劇場
6位:「エトワール・ガラ(バレエ)」パリ・オペラ座(来日)
7位:「イエヌーファ」   新国立劇場
8位:「イル・トロヴァトーレ」 二期会
9位:「シモン・ボッカネグラ」 グラン・テアトロ・リセウ(バルセロナ)
10位:「ペールギュント」 東京フィルハーモニー
11位:「セミラーミデ」 藤沢市民オペラ
番外:「ドン・カルロ」 マリインスキー歌劇場(来日)

 毎年末恒例で、ごく個人的な観劇ベスト10(今年はベストイレブン)をリストアップしてみました。

 1位は、ダントツ。コンロン指揮、レオ・ヌッチ、ラナ・コス、ディミトリー・ベロセルスキーと役者もそろった、ヴェルディの傑作“ルイーザ・ミラー”(イタリア読みでは、"ルイーザ・ミッレル”が本当でしょうか。)!今までに聴いたヴェルディのオペラの中でもベスト3に入るのではと思います。演奏会形式で、これほどのめり込めて幸せになったことはありません。とにかく指揮と歌手の力が素晴らしかったです。はるばるマドリッドまで行った甲斐がありました。この演目、日本では滅多に公演されませんが、ストーリーもおもしろいし、聴き所もたくさんあるし、やってほしいものです。

 2位、3位にはウィーン国立歌劇場来日公演を入れました。今年は、10-11月で、この2演目、それぞれ違うプロダクションで2回づつ聴くという幸福な経験をしました。ウィーン国立歌劇場の公演は、歌手も素晴らしかったですが、やはり指揮とオケが本当に良い。そして新しい響きがあるのです。来年5月には、ウィーンに赴いてオットー・シェンクの「ばらの騎士」を聴く予定です。

 あと、特筆したいのは、4月の東京フィルによるグリーグの劇付随音楽「ペール・ギュント」全曲です。プレトニョフの優美できめ細かく、品格を感じさせる指揮と、ノルウェーのソプラノのベリト・ゾルセットのヴィブラートの全くない清冽な歌唱が印象的でした。

 今年は、ルイーザ・ミラー、セミラーミデ、そしてこのペール・ギュントと演奏会形式で聴いた公演が3つありましたが、どれも素晴らしかったです。オペラを「音楽としてのみ聴く」というのに、疑問を持つかたもいらっしゃると思いますが、音楽にじっくりと浸れるというのは幸せだなぁと感じた年でした。

 それで、来年の観劇で予定している公演は次のようなものです。後半はまだ増えると思います。また、劇場でお目にかかりましょう。それでは、皆様、良いお年をお迎えください。

1月 ウィーンシュトラウスフェスティバル
1月     ワーグナー/歌劇『タンホイザー』序曲  佐渡裕指揮東フィル
2月     蝶々夫人                               新国立劇場
2月      グリーグ:ホルベアの時代から他            千住真理子&スーク室内管弦楽団
2月      オテロ                               フィオーレオペラ(新国立中劇場)
2月     レクイエム(ヴェルディ)                  バッティストーニ指揮
2月      ボレロ(オーレリ・デュポン)            パリオペラ座(来日)
2月      ストラヴィンスキー/ロシア風スケルツォ    プレトニョフ指揮東フィル
3月      シルフィード                   オペラ座来日
3月      グラン・ガラ                   オペラ座来日
3月      ラスマニノフピアノ協奏曲                バッティストーニ公開リハ
3月      ラスマニノフピアノ協奏曲                バッティストーニ指揮東フィル
3月      ランメルモールのルチア            新国立劇場
3月      中村恵理リサイタル                オペラシティ
4月      セビリアの理髪師                藤原歌劇団
5月      春の祭典                          バッティストーニ指揮東フィル
5月      DER ROSENKAVALIER            ウィーン歌劇場
5月      Tannhäuser                    バイエルン歌劇場
5月      TRAVIATA                    フェニーチェ歌劇場
6月      ジークフリート                    新国立劇場
6月      リストブラームス                東フィル
6月      トラヴィアータ                    マッシモ劇場来日
6月      ノルマ                        日生劇場
7月      マーラー2番復活                       ミョンフン指揮東フィル
9月      オテロ                        二期会バッティストーニ指揮
9月       タンホイザー バイエルン歌劇場(来日)
9月       ベートーヴェン英雄                    ミョンフン指揮東フィル
10月      ハイドンシューベルト                    プレトニョフ東フィル
11月      ルサルカ                     日生劇場
12月      ランメルモールのルチア                  藤原歌劇団

新刊「音楽で楽しむ名画」加藤浩子著

 昨年、12月に刊行された「オペラでわかるヨーロッパ史」から、ちょうど1年、加藤さんの新刊が発売になり、予約していたので一昨日の金曜日、初版日の翌日に届きました。「カラー版 音楽で楽しむ名画: フェルメールからシャガールまで (平凡社新書)」。早速、一気に読みました。
 
 音楽と絵画を結びつけた本って、今までなかったように思います。僕は絵も描けないし、歌も歌えませんが、毎年一回、家内とヨーロッパに旅行に出かけるときは、オペラと美術館をセットにして数カ国を巡ります。そういう人はいらっしゃると思いますから、この本を楽しみに待っていた音楽ファン、美術ファンも多いと思います。

 この本には40のエッセイが書かれており、そのひとつひとつが、音楽と絵画のつながりを、歴史的な資料と、緻密な研究、カラーの絵画、そして著者の思考力から編み出される指摘や推察で、実に魅力的で知的な宝石箱のような読み物に仕上げています。

 まず、心臓がドキドキするくらいに衝撃を受けたのは、ヴェルディの“リゴレット”と、スペインの画家ディエゴ・ヴェラスケスの名画“ラス・メニーナス”に見る異形の登場人物との関係について書かれた「宮廷道化に託された人間の姿(P75)」でした。ヴェラスケスは、僕の大好きな画家で、昔、短い期間でしたが、マドリッドに住んでいた時には、この絵の前に何度も何時間も立っていました。宮廷で浪費に明け暮れたフェリペ4世の姫と女官たちを、ヴェラスケスは冷めた目でこの絵を描いたと、スペイン人の教師に教わりましたが、加藤さんは、その異形の人々の悲しみを、マントヴァ公の庇護を受けながら美しい娘を救えなかったリゴレットに結びつけています。

 この文章は、第三章の「はみ出し者たちの饗宴」で語られていますが、この章には他にも「お針子たちの夢」というエッセイもあり、ラ・ボエームとルノワールの絵の関連性が書かれています。そして、ルノワールの「プージヴァルのダンス」のモデルは、モーリス・ユトリロの母のシュザンヌ・バラドンだと説明されています。バラドンも僕の大好きな画家で、昨年のBunkamuraでのエリック・サティ展で、彼女がサティの生涯ただ一人の愛人であったことを知り、とても興奮したのですが、加藤さんの本を読んで、またその興奮がよみがえってきました。

 この他にも、クリムトとマーラーの一人の女性を鍵につながる芸術性のこと、ドビュッシーやラヴェルとモネのフランス印象派の共通性、バイオリンの名手だったパウル・クレーと彼の絵画の中に隠された音楽への造詣などなど、あまり書くと「ネタバレ」になってしまいますので控えますが、この本は音楽と筆者のもつ絵画への愛情と知識が、この2つの分野を時空と領域を超えてコンタクトさせた名著だと思います。

 昨年、僕は家内とアムステルダムの歌劇場で、ドミナーノ・ミキエレットの演出による”ランスへの旅“を聴いてきましたが、この演出はとても素晴らしく、舞台は美術館、コルテーゼ夫人は学芸員、フォルヌヴィル伯爵夫人の荷物として運び込まれるのは、名画の数々、最後のシーンはそのまま紗幕が降りて、画家フランソワ・ジラールの「シャルル10世の戴冠式」になって終わったのですが、加藤さんの本を読んで、その時の興奮もよみがえりました。要は、僕はこの本を読んで興奮ばかりしていたということです。

 演出家でさえも、なかなか結びつけられない音楽と絵画のつながり、これを見事に、しかも、40もの例を出して本に編み上げたところに、この本のすごさがあると思います。何年かしたら続編を出してほしいと願わずにはいられません。Brava 加藤さん!

今年後半の観劇プラン

 早くもおせち料理の案内が届いたので(あまりに早い!)、今年もあと3ヶ月ということに気づきました。毎年10〜11月はオペラの公演ラッシュになるので、ここらへんで何を見に行くのか、一旦整理してみました。

 まず、何より残念だったのは、10月8日からパルマのフェスティバル・ヴェルディに行くつもりで、飛行機のチケットもホテルも取っていたのに、肝心の公演の切符が取れず、ドン・カルロ、群盗、ジョアンナ・ダルコの三作を1週間で見るという旅行を断念せざることになったことです。ヨーロッパのエージェントを通しても席が取れなかったのは初めてです。

 それで、気を取り直して秋冬の予定を立て直しました。

■2016/10/2 ワルキューレ                新国立劇場

■2016/10/8あたり コジ・ファン・トゥッテ                 テアトロ・ジーリオ・ショウワ

■2016/10/16 エフゲニー・オネーギン(マリインスキー) 文化会館

■2016/10/19            ヴェルディ『ルイザ・ミラー』序曲
                      ヴェルディ『マクベス』より舞曲
                      ロッシーニ『ウィリアム・テル』序曲他
                      アンドレア・バッティストーニ指揮東フィル     オペラシティ

■2016/10/30            セミラーミデ                 藤沢市民会館

■2016/11/6                ノルマ                     オーチャードホール

■2016/11/9                ワルキューレ(ウィーン国立歌劇場)   文化会館

■2016/11/26            ナクソス島のアリアドネ(二期会)      日生劇場

■2016/11/27            シューマン:歌劇「ゲノフェーファ」序曲 他
                      パーヴォ・ヤルヴィ指揮
                      ドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団 横浜みなとみらいホール

というところです。ウィーン歌劇場の、フィガロの結婚、ナクソス島のアリアドネも行きたいのですが、チケット高いですねー。とりあえず、ニーナ・シュテンメ、ペトラ・ラングという大物が歌う"ワルキューレ”だけ押さえました。これがこの秋の目玉です。それで、ナクソス島は二期会で聴こうと思います。ノルマはグルベローヴァの方を取りました。パルマ行きがなくなり、ヴェルディの演目が、東フィルの序曲の公演しかなくなってしまったのは、とても寂しいですね。個人的にお勧めなのは、10月の連休のテアトロ・ジーリオ・ショウワの”コジ・ファン・トゥッテ”。昭和大学のオペラ公演ですが、毎年聴きに行って裏切られたことがありません。
http://www.tosei-showa-music.ac.jp/event/20161008-00000153.html
S席で¥4,800-とウィーン歌劇場の1/10です!

バレエは、時間が取れたら新国立の”ロメオとジュリエット”を考えています。



オペラ・スクオーラ講座セミナー終わりました。

23日水曜日に、新百合ヶ丘の昭和音楽大学北校舎5階 ラ・サーラ・スカラで開催された、川崎・しんゆり芸術祭(アルテリッカ発)アート講座第 「オペラ・スクオーラ」の第4回目の講師として、「オペラに見る男と女の素敵な関係」というテーマで2時間お話をしてきました。

大学で教えていますから、しゃべるのは慣れています。けれど、オペラをテーマにして180人もの方を前に話すのは本当に緊張しました。けっこう練習しましたけど、練習通りには行きませんでしたね。それでも、講演後、何人かの来場者の皆様とお話することが出来て良かったです。

今回の「男と女の素敵な関係」は次の例を取り上げました。

 “愛と妙薬”のアッディーナとネモリーノ
 “夢遊病の娘”のアミーナとエルヴィーノ+ロドルフォ伯爵
 “フィガロの結婚”のスザンナとフィガロ、伯爵夫人とケルビーノ、伯爵夫人と伯爵
 “ばらの騎士”のオクタヴィアンとゾフィー、オクタヴィアンと元帥夫人
 “こうもり”のアイゼンシュタインとアデーレ
 “ラ・トラヴィアータ“ のヴィオレッタとアルフレード+ジェルモン、そしてアルフォンシーヌ・プレシとペレゴー伯爵

ばらの騎士とこうもり以外は、藤原歌劇団のご厚意で、映像をお借りすることができたので良かったです。しかし、なにせ、トラヴィアータ好きの僕なので、話の半分くらいを”ラ・トラヴィアータ”に裂いてしましました。ペレゴー伯爵の話は良い話です。これはオペラ以上に実話で「素敵な関係」があったということですね。

もしご覧になってなかったら、僕が昨年に、日本ヴェルディ協会の機関誌”ヴェルディアーナ”にのせたエッセイをご笑覧くださいませ。http://provenzailmar.blog18.fc2.com/blog-entry-564.html


その前の週末は、ベーシストの鈴木良雄さんのライブセッションに行きましたが、それはまた次回。。。。

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