プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

クルレンツィスのドン・ジョヴァンニ

12月は、新国立の「セビリアの理髪師」で大アリアを聴いて、ジョナサン・ノットのコジ・ファン・トゥッテにも行こうと思っていたのですが、さすが歳末、なんかチョー忙しくなってしまい、どちらも諦めざるを得ませんでした。残念無念。特にジョナサン・ノットの演奏会形式のコジ、良かったみたいですねー。

というわけで、せめて何か家で聴こうと思って、ちょっと遅いんですけど、テオドール・クルレンツィスの「ドン・ジョヴァンニ」を買いました。クルレンツィスはここ1-2年の間にフィガロの結婚、コジ・ファン・トゥッテをCD化しており、すごい話題になっていましたので、これで、ダ・ポンテ三部作完成というわけです。
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まずは序曲から、びっくりです。とは言ってもフィガロの時に、もう、凄くびっくりさせられましたので、ある程度は予想範囲内。フィガロ同様に早いテンポで、切れの良い包丁で肉をザクッ、ザクッと切っていくような音作り。荒くなる寸前のところ、崖っぷちでとどまって、鮮烈な印象です。歌手は、いつものように肩の力を抜いたおしゃべりのような歌いで、あくまでも音楽が前に来ます。古楽器によるロックかラップを聴いているようです。

なんでも、ペルミのスタジオで一回全部を録音したのを聴いて、「駄目だ。やり直し」と再録したそうです。いや、コスト度外視ですね。スタジオ録音ということもあり、録音技術がすごいと思います。クルレンツィスの凄さを感じるのは、この録音によることも大きいですね。多分、マイクと歌手や楽器が、すごく近いのだと思います。

最近、クラシカでクルレンツィスのインタビューがあったそうですが、聞き逃しました。ここで聴けます。ドイツ語のナレーションがかぶりますが、英語です。もうひとつ、ここにも。。。

いや、かなりアクの強い人物というか、クールというか...バッティのようなフレンドリーな感じはしません。

しかし、このドン・ジョヴァンニ癖になります。車でも聴いています。

日本にも来て欲しいものですが、自分のオケである「ムジカ・エテルナ」を連れて来なければ駄目だということと、日本にあまり興味が無いんだそうです。そこで、クルレンツィスを聴きたい方は、来年夏のザルツブルグへ行きましょう!

モーツァルトのレクイエムと皇帝ティトが聴けます! ミサイル基地のあるペルミよりは近いと思います。


モーツァルト
歌劇 “ドン・ジョヴァンニ” K.527(全曲)

ディミトリス・ティリアコス(バリトン/ドン・ジョヴァンニ)
ヴィート・プリアンテ(バリトン/レポレッロ)
ミカ・カレス(バス/騎士長)
ミルト・パパタナシュ(ソプラノ/ドンナ・アンナ)
ケネス・ターヴァー(テノール/ドン・オッターヴィオ)
カリーナ・ガウヴィン(ソプラノ/ドンナ・エルヴィーラ)
グイード・ロコンソロ(バリトン/マゼット)
クリスティーナ・ガンシュ(ソプラノ/ツェルリーナ)

テオドール・クルレンツィス(指揮)
ムジカ・エテルナ

2015年11月23日-12月7日、ロシア、ペルミ、セッション録音
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テオドール・クルレンツィスの魔法

遅くなりましたが、本年も皆様、よろしくお願いを致します。

まだ「初芝居」行ってないんです。数年前までは1月の松の内に新国立のガラがあったので、これが良かったのですが、ここ数年は、1月2週のサントリーホールの「ウィーン・シュトラウス フェスティヴァル・オーケストラ」の新年コンサートがスタートです。

ですが、今年のお正月は、はまりにはまっている音楽があります。

昨年の12月に購入してから、この2枚を毎日のように聴いています。そもそも、そんなにモーツァルトを積極的に聴く方ではないのですが、このギリシア人の若い指揮者、(1972年生まれ)クルレンツィスの魔法のようなモーツァルトには驚愕!
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最初にフィガロの結婚を買ったのですが、序曲だけでびっくりです。古楽器による演奏自体は、最近のはやりだし、他にもあるだろうが、この指揮者により演奏、速いというよりも”クィック“という表現があてはまるようなスピードで、各楽器が”会議は踊る“では無く、”オーケストラは踊る”という感じで、響き渡るのだ。そこにフォルテピアノがリズムを刻みます。

演奏するのは“ムジカエテルナ”というロシアのウラル山脈のふもとの小都市、ベルミのオーケストラ。演奏自体の中に即興と思われるところがいくつも聴かれるので、“いきなりライブ”での録音かとも思ったが、実際には「フィガロの結婚」は11日間、昼夜を徹してのやり直しを繰り返す録音の末に出来上がったものだそうです。

「モーツァルトってベルカントでやるものなのね!」と改めて(というか初めて)気づく衝撃。「恋とはどんなものかしら」に至っては(今、それを聴きながら書いていますが)好きに歌っているという感じです。だいたい、全体として、「オペラを歌っています。」という感じがしません。レチタティーヴォと歌唱の境目も通常のフィガロほどはっきりしていない。レチタティーヴォの伴奏は、フォルテピアノというのもおもしろい。

 伯爵夫人を歌う、ジモーネ・ケルメス、素敵です。第二のバルトリと、ある音楽評論家の方がおっしゃっていましたが、全くその雰囲気。

両CDともに\6,000-というのは高いですが、日本版で解説もしっかりあり、3枚組。なによりこれほど幸せな気分にしてくれる音楽に出会ったのは久しぶり。

Amazonのサイトから試聴できます


是非、フィガロの序曲だけでも聴いてみてください!! 新しい世界が開きます!

クルレンツィス、驚異のモーツァルト!

今年の公演行きも終わってしまったので、以前から話題になっていた(らしい...)ギリシアの若手指揮者、テオドール・クルレンツィスの「フィガロの結婚」と「コジ・ファン・トゥッテ」のCDを買って聴きました。

すげぇ!!なんだ、これ! 立派な解説書はまだ読んでいないのですが、とにかくこんなモーツァルトがあったのか!という感じ。鋭く立ち上がり、緊迫感を保ったまま、でもあくまでも楽しい指揮。歌手は、普通の会話のように歌い、適宜ベルカントしてしまいます。(もともとモーツァルトはベルカントで歌われてたそうな)レチタティーボもフォルテピアノでメロディつけてます。

いやー、まだ興奮中で途中経過ご報告。今からでもお正月用に間に合います。なんか幸せな気分です。上記のAmazonで試聴できます。フィガロの序曲だけでもお聴き下さい。

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なんかもやもやっとした、ドン・カルロその後

今日、9日、ドンカルロの最終日なんとかもう一度行きたかったのですが、目の前に仕事があって動けず、かと言ってそれが終わってすぐに新国立②駆けつけても3幕目に間に合わかったのは明白なので、結局あきらめました。


この前のドン・カルロの後、僕の持っている各種ドン・カルロのDVDやCDを聴き比べたり、過去の自分のブログを読み直してみたりしましたが、やっぱりあの12月3日の上演はどうも満足できません。結局、指揮が一番良くなかったような気がします。単調で変なところで緩急を付けすぎるので歌手ともコンフリクトする。今回のリッツォはずっと鳴らしっぱなという印象。

僕、最初にこの新国のドン・カルロの指揮者がリッツィ(カルロ)かと思ったんですよね。そりゃ無理ですよね。リッツォさんはだいぶ差がありました。

歌手についても総じて、日が経つに連れて思い出すと「やっぱり良くなかったなぁ」と思う感じです。ガナッシだけ群を抜いていて、その逆で「あー良かったぁ!」と思っています。

今回のドン・カルロも楽日の昨日はけっこう良かったようですね。12月3日に行った僕と、11月26,30,12月3日に行った人とも大分印象が違うようです。だから一度行って印象が良くない公演も2度行くことがあるのです。

今、一生懸命、頭の中の最新のドン・カルロのイメージを昨年10月のスカラ座での、版に切り替えているところです。ヴェルディの中でも重い方のシモン、オテロ、ドン・カルロは、けっこう公演に行くと、その後ずーっと耳の奥に響くんですよね。オテロなんか、まだ2年前のフェニーチェのクンデの声が響いてます。シモン・ボッカネグラはもちろんヌッチですけど、これも何度も聴いて最高だった今年のモデナのヌッチが響いてます。ドン・カルロの響きを何とかしなくては。。。。アンプの調整みたいにはいかないですね。

スティッフェリオ 2012 パルマ歌劇場

これもTUTTO VERDI 26全ヴェルディ オペラ演目ブルーレイディスクからです。

 ロベルト・アロニカ(T スティッフェリオ)
 ユ・ガンクン(于冠群)(S リーナ)
 ロベルト・フロンターリ(Br スタンカル)
 ガブリエーレ・マンジョーネ(T ラッファエーレ)
 ゲオルギー・アンドグラーゼ(Bs ヨルグ)
 コジモ・ヴァッサッロ(T フェデリーコ)
 ロレライ・ソリス(S ドロテア)
 パルマ・レッジョ劇場管弦楽団&合唱団
 アンドレア・バッティストーニ(指揮)

これは、何と言ってもバッティストーニの指揮が凄い。火を噴くようなオケを引き出しています。1987年生まれですから、25歳! イタリアオペラをこれから引っ張っていく天才でしょう。ただ、多少天狗になっているようで、ドタキャンやら、オーケストラとのコミュニケーションの問題が生まれることもあり、時々ブーイングもくらっているようです。しかし、そのくらい生意気でなければ25歳で指揮者としてやっていけないでしょう。

僕は、この演目は、METでホセ・クーラのタイトルロール、ドミンゴの指揮で見ました。これも大変良かったですが、音楽はこのパルマのほうが良いですね。

このスティフェリオは、プロテスタントの牧師、妻が不倫をして、悩んだあげくに許すという物語です。おそらく、イタリアのオペラの中で唯一プロテスタントを登場させたオペラではないかと思います。そのせいで、初演こそトリエステでやっていますが、イタリア国内での上演はあまり多くありません。最近は、前述のホセ・クーラがこれを得意にしていて、つい先々週も、フランスのモンテカルロ歌劇場でタイトルロールをやり、これは非常に良かったようです。

パルマでのタイトルロールは、スピントの実力者ロベルト・アロニカです。この人は、あまり高音が出るタイプのテノールではない。バリ・テノールに近い感じです。ボローニャ歌劇場で来日した際のエルナーニのタイトルロールを、亡くなったリチートラの代わりに演じましたが、その時も中音は素晴らしいし、表現力もあったのですが、高音が魅力に乏しかった。この印象は変わりません。その点はクーラのほうが上だと思います。

ユ・ガンクンは初めて聴く韓国のソプラノですが、やや重めの声で中音から高音まで良く伸びてなかなか良いと思いました。ただ、声の表現力がもう少し欲しい。一本調子な感じがあります。

今回、良かった、というか見直したのは、義父役のスタンカーのロベルト・フロンターリ。この人は生でもDVDでも随分聴いていますが、あまり良いという印象を持ったことがありません。印象が薄いというか.....しかし、今回の熱演はなかなか素晴らしい。聴かせます。もちろん、ヌッチにくらべれば落ちますが、それでもブラボーです。

演出はMETの時もそうですが、プロテスタント、それもどうもアーミッシュ派あたりの厳格な宗派(ではないかと思ってるんですが。)を扱っている題材のようで、パルマの演出も暗く質素です。でも、やや現代っぽい象徴的な演出(巨大な聖書など)が、効果的で、ラストは素晴らしい。

それにしても、このパルマの劇場、定員は600か800くらいでしょうか。素晴らしい劇場ですね。今年のヴェルディフェスティバルはいつも通り10月、演目はシモン・ボッカネグラ、群盗、レクイエムです。まだキャストはレクイエムしか決まっていませんが、指揮はガッティ、歌手はチェドリンス、バルチェローナ、メッリ、ペルトゥージと夢のような面々。すごいですね。METだって、こんなにそろえるのは大変。今年こそ現地に行きたいと思っています。スクリーンショット3




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