プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ボニー・ボウデンのこと

ボニー・ボウデン(Bonnie Bowden)と聞いて、すぐにピンと来る人は、相当なボサノバ・フリークですね。 セルジオメンデスの70年代のグループ Brasil'77で、メンデスの現夫人のグラシーニャ・レポラーセと一緒に二人組の女性ボーカルだった女性です。

メンデスの率いるグループにはBrasil 66から今に至るまで二人かそれ以上の女性ボーカルがいますが、必ずメインとサブ。それもメインのボーカルの実力が飛び抜けて歌が上手(66の後半のラニ・ホールとカレン・フィリップスの比較を出すまでもなく)なんですが、レポラーセとボウデンの時は前者がメインとは言うものの、ボニー・ボウデンも非常に声が良く、Jazzっぽい曲は彼女のほうがうまかったのです。

ですから、あの頃のアルバムはリードも半分づつくらいです。

特にLove Musicのボニー・ボウデンのリードボーカルは良かった! 秋川リサに似たファニーフェイス。僕は大ファンで、プラチナチケットを入手して、六本木のサンバクラブで目の前3mくらいのところで彼女の声を聞いたこともあります。

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紫のドレスがボウデン、黄色がレポラーセです。

で、この前、彼女は今どうしているのだろう。。と思ってサイト検索をかけたところ、ありました。

http://www.bonniebowden.com/

なんと今はロサンジェルスを中心に、Jazzとオペラ(!!)をやっているのだと。。確かに声が良かったものね。ホームページのタイトルも"ボニー・ボウデン、リリック・コロラトゥーラ・ソプラノ”となっています。

そして、いくつか彼女のCDの紹介や、試聴もできるのですが、そこにはなんと”O Mio Babbino Caro(私のおとうさん)”が。。これ、プッチーニのジャンニスキッキの中の名曲です。僕の大好きなアリアです。

ボサノバからオペラへ。。華麗なる転身。おまけにJazzも。僕は聞くだけだけど、同じだぞー。一度LAへ言った時にライブかなんかに行って見たいものです。

しかも、彼女は今も昔と変わらない容姿で美しい。相棒とは随分違います。

ちなみに、もう一人「今はどうしているのか?」と思って探した大好きだったもう一人の歌手。ペドロ&カプリシャスの初代ボーカル、前野曜子。なんと88年に39才の若さで亡くなっていました。

YouTubeで彼女の"別れの朝”を聞きました。





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行って見たい米国での”ラインの黄金”

新国立の「ラインの黄金」、見てから日が経つに連れ、又、DVDでバイロイトの91年バレンボイム版を見たりすると、どうも段々評価が落ちてきてしまった。イヤ、決して悪くはないのだが、ちょっと薄めのコーヒーかスープみたいな感じが強まっています。

今年は、時を同じくして、ニューヨークのメトロポリタン劇場(MET)でもロサンジェルス・オペラでも「ラインの黄金」から始まって”ニーベルングの指環”を上演します。METのほうはいつも通りクラシックな、オットー・シェンク演出のバージョン、2005年に日本にワルキューレでエッシェンバッハ指揮、ドミンゴ主演で来たバージョンと思われますが、LAオペラのほうは、同じくプラシド・ドミンゴの演出で、かなり前衛的なものみたいです。METでのヘンゼルとグレーテルのように、着ぐるみのような大きなかぶりものが出演したり、舞台が惑星のようになったりする予告編がWEBサイトhttp://www.laopera.comから見られます。
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ちょっと見に行きたいですね。3月だと、LA往復なんと\9,800-の大韓航空便フライトがあったりしたので、真剣に考えたけど、ちょっとスケジュールあわず断念。 でも、6月に出張で西海岸に行きそうなので、その時にはLAで"ラ・トラヴィアータ”が見られるかもしれません。

今年は、不況の影響か春以降の海外歌劇場の来日公演がめっきり減っているので、海外に出る機会のある方は是非行く場所にオペラハウスがあるかどうかチェック!!


ラインの黄金

いよいよ新国立で”トーキョー・リング”がはじまりました。なんかK-1格闘技みたいですが、2001年から2003年にかけて新国立で上演され好評を得た、ニーベルングの指環4部作の2度目の公演。

前回の時は最後の第3夜”神々の黄昏”しか見ていなかったけど、今回は序夜の"ラインの黄金”からすべてを見るつもりです。とは言っても後半の2作は来年だけど。

ラインの黄金、楽しみました。まずは、新国立の舞台装置を総動員したスペクタクルな現代演出がインパクトあります。大きな額縁状の舞台in舞台、ニーベルングやワルハラ(ヴァルハル=新築された神々の城)をHOLLYWOODの大きなサインやネオンのように表現していたり、持って行く荷物がW(ワルハラ)マークの引越用段ボール箱に入っているのもおもしろい。

歌手ではメインのキャストである、ヴォータン、アルベリヒ、フリッカ、ローゲ、エルダが皆外人で、もう少し日本人を使ってくれても良かったと思う。決してレベルは低くないのだが、アルベリヒのユルゲン・リンを除いては、イマイチ緊張感が足りない感じがするのと演技もややおおざっぱなのが不満点。特にローゲのトーマス・ズンネガルドは、もう少しクセを強く出して、ローゲらしさ(ロードオブザリングでいえば、ゴラムみたいな。。)を出して欲しかった。(これは、どうしてもMETやバイロイトのステージをDVDで見ているので、比較してしまう。)その点日本人ではミーメの高橋淳がクセのあるミーメの声をうまく作り、動きの多さを要求される演技も素晴らしく、観客の拍手も多かった。また、ファーゾルトの長谷川顕、ファーフナー妻屋秀和も重みのあるバスだが、モゴモゴとせず、聴き応えがあり、良いキャスティングだったと思う。特殊メイクにもかかわらず演技も良かった。

残念なのは、この演目の代表的な曲である"ワルハラへの入場”を歌うドンナー役の稲垣俊也が声がやや上ずっていたこと、それとエルダ、ノルンの全員がメゾで、アルトが一人もいなかったことか。

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ダン・エッティンガーの指揮は、節制が効いているというかでしゃばらないというか、これが今まで見たエッティンガーも含めて、彼の持ち味なのだと思うが、演出がこれだけ冒険をしているのだから、もう少しメリハリを付けた音が欲しい気もした。ホルンが時折不安定な音を出していたのも気になった。一昨日見た、中劇場の"カルメル会”の若い指揮者カルタンバックの音のほうが、おもしろい。

と、文句もあったが、舞台が前後左右上下に動き、廻り、薄いアタッシュケースの中からアルベリヒが出てきたり、"仕掛け”だけでも見応えがある。その意味では"アイーダ”と同じような満足感があった。

次ぎは来月のワルキューレ。これもメインは外人歌手になるが、もう少し日本での練習をきっちりやってくれることを期待。(と言っても、今回は演出のキース・ウォーナーが来日していないのだが)それと、4部作の中でも聴きどころがもっとも多いこの演目、ダン・エッティンガーも、多少出しゃばってほしいものだ。




カルメル会修道女の対話

昨日3月13日、新国立中劇場での"研修所公演”「カルメル会修道女の対話」に行ってきました。ここの研修所公演は、非常にレベルが高いです。

いつも中劇場でやりますが、客席とステージが近く、料金は安くとてもお買い得。昨年はフィガロの結婚でしたが、今年は珍しいフランスの作曲家プーランクの1950年代の作品。

しかし正直なところ内容は暗すぎ。。プッチニーニの修道女アンジェリカと、ドニゼッティのロベルト・デヴェリューの暗い部分だけ取ったようなストーリーで、最後は16人の修道女が皆ギロチン台に消えるというものです。

演出と舞台効果はなかなか良かったです。特に舞台と照明の良さは大劇場、中劇場を問わず新国立の美点。ただ現代演出なのかクラシック演出なのか、いまひとつはっきりしないのが気になりました。

コストをかけない現代演出に徹底しても良かったような気がします。冒頭の侯爵の書斎の場の本棚だけがクラシックで浮いた感じでした。

研修生中心とは言え、歌唱力は皆卓越したものがあり、特に主演のシスター・ブランシュ役の上田純子、新任の修道院長シスター・リドワーヌ役の中村真紀は聞き応えがありました。

音楽は、はじめて聴く楽曲なので、なんとも言えませんが、指揮のカルタンバックは、映画音楽的な効果をフルに出して、大胆と繊細を使い分けて良い音を作っていたと思います。

ただ、やはり作品そのものが冗長すぎて、オペラというよりは戯曲に曲を付けて、セリフの前や後ろに大きな音で効果音を入れた"音付き演劇”(ちょっと言い方悪すぎますかね)という感じがしました。

作品の好き嫌いから言えば、あまり好きではないです。

やはりオペラは、セリフがある程度割愛されて、それを音楽が補い「なんでこうなるの?」と言う部分は音楽に答えがある、というものではないかと思うのですが、この「カルメル会修道女の対話」はたしかに "対話”というタイトルにあるように、よくしゃべることが特色なのでしょう。やや、疲れました。

全体に芝居の流れや、音楽にも、プッチーニと、彼の"三部作”の中の”修道女アンジェリカ”の影響があると思います。なぜか東洋的な鐘の音などが入っていました。

さて、明日はいよいよ「ラインの黄金」でトーキョーリングの始まりです。

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ダニエル・ハーディング at トリフォニーホール

やっと、ハーディングを聴きにいけました。”やっと”というのは、今までなかなかチケット取れず、昨年12月25日のみなとみらいホールでのクリスマスのコンサートのチケットを取ったところまでは良かったのですが、結局、その時に家族でアメリカに旅行に行ってしまい、行き損ないました。(代わりにミュージカル"オペラ座の怪人”を同じ日に海の向こうで見ましたが。。。)

で、この若干33才の天才(と言われている)ハーディング!やっぱりすごい!

今回の曲目は、ドビュッシー作曲 牧神の午後への前奏曲、ラヴェル作曲 ラ・ヴァルス、ベルリオーズ作曲 幻想交響曲で、まあまあ知っているのはラ・ヴァルスくらいでしたが、実にラグジャリーな、輝きと花のある演奏を聴かせてくれました。「のだめ」の主人公で指揮者の千秋のライバルのフランス人ジャンが、マンガの中でこのラ・ヴァルスを演奏したシーンで、その華やかさに、指揮者のジャンの廻りに花びらが散りまくるというのがありましたが、ま、そんな感じ。
ハーディング

顔も指揮の動きもいいしね。女性ファンがすごいでしょうね。20年後に、太らないといいが。。 

19才でバーミングハム交響楽団でデビューしただけあって、既に巨匠の貫禄。 オペラでは、エクスの音楽祭でのドン・ジョヴァンニが有名みたいだけど、日本でもオペラの指揮やってほしいものです。

ところで、コンサートの前に錦糸町の丸井7階にある中華料理店「謝朋殿」というところで食事しましたが、なかなかお洒落で、しかも美味しい、安い。トリフォニーでの開幕前の早めの夕食に持ってこいの場所を見つけました。


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