プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

新国立オペラ研修所公演

「文豪の傑作をうたう」というタイトルの今回の研修所公演も、いつもの公演同様、力の入った見応えのある”掘り出し物”イベントでした。

今回は、”文豪”と言うタイトルから選ばれた作品に、ラフマニノフの「フランチェスカ・ダ・ミリニ」、ブリテン「ビリー・パッド」、マスネ「ドン・キショット」、ヴァイル「マハゴニー市の興亡」、トマ「ハムレット」、ボーイト「メフィストーフェレ」など、名前は聞いていても実際に聴く機会が滅多にない演目が多く、とても楽しめた。

研修所生も第12期になり、なかなかの充実。10期の中ではソプラノの中村真紀の実力が際だっている。今回もメフィストーフェレのマルガリータの鬼気迫る迫力ある唄いは群を抜いていた。特徴のある声のテノールの糸賀修平、ヴェルディテノールにぴったりだが、まだ声自体がナマな感じがする。僕の好みの声なのでこれからに期待したい。

11期は粒ぞろい。今日はメゾの塩崎めぐみが、「マハゴニー市」で好演!演技も素晴らしいものだった。

12期ではバスの後藤春馬が味のある深い声で、これもこれからに期待できる。バリトンの西村圭市も歌と演技で、ドン・キショットのサンチョ・パンサ役でユーモラスな味を出して実に好演だった。

休憩を入れて2時間40分、前から2列目の席で見ることができてチケット代¥1,500-というのは、本当にvalue for money。なかなか至福の時でした。次の研修所公演はヴェルディの「ファルスタッフ」これも楽しみ!!
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新国立”ヴォツェック”

先週のカプリッチョに続いて20世紀オペラ、それもかなりの抽象ものということで、ややおっかなびっくりでオペラパレスまで出向いた。

結果は、○マル!! 濃度の高い、緊密な1時間半3幕に魅せられました。


演出、歌手、舞台装置、そして音楽が一体となった舞台のレベルは非常に高かった。四角い空間をブロックの箱のようにして、これを人体実験をする部屋や、ヴォツェックの家になぞらえて、空中で前後左右上下に動かし、時には揺らした。その下には舞台一面に貼った真っ黒な水が張られて、まるで葦が生えているような沼をイメージさせ、月光や、ナイフによるマリーの殺害場面などを、その水面自体に反射させ、さらにそこから反射して天井に映し出す。不安を醸し出す音楽は、このような演出によりより研ぎ澄まされて、しかしあくまで美しく、歌手の声と合唱に調和する。

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初めて見たヴォツェックですから、色々と言えるわけではないのですが、すっかり魅了されました。

タイトルロールのトーマス・ヨハネス・マイヤー、マリー役のウルズラ・ヘッセ・フォン・デン・シュタイネン(長い...)を始め、出演者は歌ももちろん、演技が素晴らしかった。

しいて言えば鼓手長のエンドリック・ヴォトリッヒが男の中の男というマッチョな役柄な割には、声量も歌い方もやや”細い”感じがしましたが、これも小さな事で、今年後半のオペラ観劇では、ボリショイの”オネーギン”についで良かったのでは?

いや満足!




カプリッチョ

リヒャルト・ストラウス最後のオペラということは知っていたが、ほとんど興味のなかったこの作品。2週間ほど前に二期会から手紙が届き「予定営業目標の半分も席が埋まっていない!」という悲鳴のようなお願いに、NBSのアポロン会員よりは安い!と思い、一枚寄付みのつもりで切符買いました。

日生劇場はとにかく座席が狭くて苦痛。ま、2時間強の作品なので我慢できたというところ。

作品自体に関する知識も勉強も不足していて、あーだこーだ言える立場にないのだが、演出がやや凝りすぎていて、はなはだわかりにくい。ナチス兵が出てくる意味や、最後に主演の伯爵令嬢がいきなり老人になってしまうなど、どうもわからん。もともと、やたらに言葉の多い「言語劇」と言うべきオペラなので、もう少しすっきりとした演出のほうが良かったような気がする。
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途中グランドペラ風にバレエが多く出てくるのも、このローウェルスの演出の特徴なのだろろうか。狭い舞台が余計狭く見えるだけだと感じた。

全体に、「ナクソス島のアドリアネ」に似た感じの内容だが、正直なところナクソス島のほうがずっとおもしろいし、音楽も素敵だ。「言葉か音楽か?」というテーマだが、肝腎の音楽が80歳をすぎたシュトラウスからほとばしるようには出てこなかったのだろうか。8重唱と最後のマドレーヌのアリアくらいが聞き所。

歌手は女性陣が良かった。伯爵令嬢役佐々木典子、イタリア人ソプラノの羽山弘子、女優暮クレロンの加納悦子ともに健闘していた。指揮の沼尻竜典は複雑な音楽を良く引っ張っていたと思うが、シティフィルが今ひとつ力不足という印象を持った。室内楽的なところの繊細さでは特に残念な感じ。

滅多に公演されない演目、人集めに苦労している割には、有料のガイドブックには、あらすじも載っていなくて、やたらと歌手のプロフィールに裂いている量が多い。新国立の同じ値段のものに比べて不親切だと感じた。

二期会救済!と意気込んで行ったが肩すかし....と言ってしまっては言い過ぎか。。



メトロポリタンのシモン・ボッカネグラ取りました。

今年もあと1ヶ月ちょっとで終わりだが、どうも年末の観劇プランがプアーである。今のところ決まっているのは次ぎの通り。

2009.11.20 二期会のカプリッチョ
2009.11.23 新国立のヴォツェック
2009.11.29 新国立研修所公演
2009.12.1 バレエ白鳥の湖 マリインスキー劇場

これ以降、1月28日のドニゼッティ劇場来日公演デジレ・ランカトーレ主演の”愛の妙薬”まで空いてしまってます。去年、ハーディング指揮のクリスマスコンサートを取りながら海外に旅行に行ってしまって見られなかったのがトラウマになって、切符が取れない!

でもって、12月は半ばあきらめて、1月にメトロポリタン劇場まで遠征することにしました。METは125周年のシーズンで良い演目ばかりやってます。特にヴェルディには力を入れていて、1月は2演目を並行してやります。シモン・ボッカネグラはドミンゴがタイトルロールをヴァリトンで唄うとのこと。この人はもともとヴァリトンだったはず。シモンは大好きな演目で非常に楽しみ。これと初めて見るスティッフェーリオの2演目を1月18日、19日で取りました。こんなの日本でいくら待っていてもやらないだろうなぁ。

ということで、1月が楽しみになってきました。

ボサノバのア・カペラ”BR6”

ボサノバのア・カペラのグループを見つけて、日本で手に入るCD2枚を買いました。主にジョビンやガーシュインの曲をやっている6人組。ブラジルでは1960年代から素晴らしいア・カペラのボサノバグループが活躍していました。だいたい4人組で、QUATRO EMCYとMPB-4がその双璧。僕はMPB-4がジョビンのナンバーを歌った”アナ・ルイーザ”はボサノバの中でも5本の指に入るほど好きだが、今回のBR6のWAVEも素晴らしい!!51pacwd.jpg
オペラのCDやDVDを買うときに真剣に調べるのに対し、ボサノバは経験と知識があると思っているので、勘でジャケット買いをしているこの頃、けっこう失敗が多い。その中ではこれは出色の見つけ物!

夕方の仕事帰りの車で聴くには最高です。

パトリシア・プティボン オペラ・アリア・コンサート

11月2日のパトリシア・プティボンのコンサート、初めて生で聞いたけどこれは良かった!。前から、突如来日キャンセルとか、舞台により出来不出来が多いとか聞いていたので、なんかネガティブな印象を持っていたのですが........どっこい、素晴らしい内容。同じフランス人歌手のナタリー・デセイとも似た感じもありますが、とにかくコミカルで舞台を盛り上げる。カデンツァが多く、音がどこに行ってしまうのか...というところもあったけれど、豊かな声量とコロラットゥーラがかったリリック・ソプラノが非常に魅力的でした。

前半はヘンデル、ハイドン、モーツァルトの古典中心で、後半にはプーランク、サティ、ガーシュインなどの近代物での構成でしたが、プーランク、サティー、そして何より3曲もやってくれたアンコールで、オランピアと、フランスものをたくさんやってくれたのが良かったですね。

これは、ちょっとファンになりそう。早速CD発注。ホフマン物語はDVDもあったので購入を考えましたが、6,000円と高いのと、その値段ならBluRayで欲しかったのでもう少し待つことに。。。pitibon.jpg

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