プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

スティッフェーリオ at MET

MET125周年記念公演のうち、今回選んだもうひとつのプログラムがヴェルディの佳作というか超佳作”スティッフェーリオ”、これは日本でいくら待っていても生きているうちに上演されるかどうか......

ヴェルディの作品としては14番目、マクベスやルイーザ・ミラーより後、リゴレットや椿姫などより前という中期の作品になる。

が、序曲だけを聴くと第一作の”オベルト”にも似た響きがあり、ものすごく初期の作品ような気がしてしまう。スタッカートで刻まれたところなどは、ちょっと拍子抜けする感じ。ルイーザ・ミラーなどの盛り上がる感じが全くない、素っ気無い序曲だ。

今回、指揮は、前日にシモン・ボッカネグラでタイトルロールを唄ったプラシド・ドミンゴ。タイトル・ロールのテノールは、一時、アラーニャと並んで新3大テノールの一角と言われるホセ・クーラだった。妻を寝取られる苦悩する牧師の役だが、とにかく声は素晴らしい。表現力もなかなかなものだが、最後のどんでん返しで妻を許す講話の場面、舞台が横向きになっているためか、いまひとつせっかくのラストシーンが映えなかった感がある。

リーナのジュリアーナ・ディ・ジャコモ、スタンカーのアンドレイ・ドバーの3人とも、素晴らしい歌唱力で、一幕目からオペラをグイグイと引っ張っていく感じ。老牧師ヨルグ役のフィリップ・エンは、やや若々しすぎるが、演技力で全体を押さえている。

曲自体も通しでは初めて聞いたのだが、ドミンゴの指揮は決して悪くなかった。オーケストラを大きく鳴らすことなく、緻密に音楽を作り上げていた感じ。

それにしてもドミンゴに対する拍手は凄いもので、指揮者単独のカーテンコールがあった。
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しかし、序曲の淡泊さを除けば、非常に緊張感が高く、最後にあっと思わせるどんでん返しもあるこの作品、カソリックの国では、”牧師の妻が浮気して離婚云々”というのは受け入れられがたいテーマだとは思うが、ヴェルディの作品の中でもう少しは多く上演されて良いのではないかと思った。




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ウェストサイド・ストーリー

NYに中4日滞在で、4階の観劇という充実したスケジュール。ミュージカルは、オン・ブロードウェイの”ウェストサイドストーリー”を水曜のマチネで見た。

ストーリーは現代版ロミオとジュリエットという感じだけど、バーンスタインの音楽で初演されたのが1957年だから、もう50年以上の歴史を持つ名作。
ピクチャ 1

ミュージカルにはトーシローの僕としては”わぁ、本場のミュージカルはすごい!”と語彙に乏しい表現しかできないが、本当凄かったです。特に踊りね。


今回はオペラに予算を多く割いたので、ウェストサイドストーリーは天井桟敷の席になったけど、充分な満足感を得られました。

ドミンゴのシモン・ボッカネグラ

プラシド・ドミンゴがはじめてヴァリトンに臨んだ、METのシモン・ボッカネグラ。一言、良かったぁ!

メトロポリタン歌劇場125周年記念の記念演目にふさわしい出来でした。

音が下がったことによるのか、昔の艶のある若々しい声に戻ったようでした。プロローグの幕は他のキャストがやや声が出にくい感じがあった中で、最初から全開!すばらしい声をきかせてくれました。

ベルディの作品の中でも僕はこのシモン・ボッカネグラが好きです。昔”イタリア・オペラを”NHKがやってたころに、スカラ座を連れたアバドが日本でやったらしいですが、このところ日本での上演がめったにありません。

それで、一昨年はサンフランシスコ・オペラでディミートリー・ホロストフスキーのタイトルロールの上演を初めて聴きました。これは素晴らしいものでした。

ドミンゴのシモンはホロストフスキーと音域も、演出も大きく異なり、躍動的で廻りを引っ張っていきます。1幕以降は、アメリア役のアドリアネ・ピエゾンカとガブリエレ役のマルセロ・ジョルダニも素晴らしい歌唱力で魅せます。

フィエスコ役のジェームズ・モリス! METではワーグナーものでしか見ていませんでしたが、こういうベルディ作品の脇役でも光りました。ドミンゴがMETに出てから45周年だそうだけど、モリスも相当なものでしょう。

レヴァインの指揮も、聞き慣れたアバドなどに比べると生き生きと躍動的で役者を引き立ててて行きます。序曲は、レヴァインなりの主張が良く出ていたと思います。

最後は、スタンディングオベーションの大喝采。素晴らしいものでした。同行させたオペラ初体験の娘も大喜び。

ドミンゴの「プロヴァンスの海と土」でアルフレードはビリャソンなんてのも聞いて見たくなりました。
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ジョー・サンプルの夜

土曜日からNYに来ています。今回の目的は何と言ってもドミンゴのシモン・ボッカネグラなのですが、日曜日の夜はブルー・ノートでなつかしのジョー・サンプルを聴きました。

日本にも良く来ているらしいけど、僕が聴くのは80年代のカーメルとかボイシズ・イン・ザ・レインとか、そこらへんから聴いてないのでかれこれ30年ぶり。

ヴィレッジのJazzスポットもしばらく来る機会がなくて、数年ぶり。

なかなか良い時間を過ごしました。ジョー・サンプルはけっこうおしゃべりが多くて、それはそれでおもしろかったのだけど、その分ピアノ弾いて欲しかった感もあり。ラストはずいぶんアレンジしたカーメルでした。

家のどっかに眠っているLPを探してみよう。P1020670.jpg


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プラハ交響楽団

3連チャン観劇の最終日はオーケストラ、プラハ交響楽団の、スメタナ「我が祖国」、ドヴォルザーク「チェロ協奏曲104」、「交響曲9番新世界より」。オペラシティのステージが狭く見えるフルオーケストラ。

一言で言って非常に良かったです。やはりチェコ人のドヴォルザークは本場物という感じ。どの曲も良く聞いている曲なので、味付けの具合も良くわかりました。決して代わったことはやっていませんが、実に立派な曲作りをしていると思いました。チェロ協奏曲では、その立派さに長谷川陽子のチェロがやや負けている感じはありました。が、新世界はまさに本領発揮。新大陸で故郷を思いながら力強く生きたドヴォルザーク、、、などと勝手に想像してウルウルするような新世界でした。客席もほぼ満員です。

帰りの車の中では、大音量でチェロ協奏曲(フルニエの)を聴きながら帰りました。

さて、いよいよ来週はニューヨークへ飛び、シモン・ボッカネグラとスッティフィーリオのヴェルディ2作の連チャン観劇です。

「愛の妙薬」ベルガモ・ドニゼッティ劇場

この連休は、歌舞伎、オペラ、コンサートの3連チャンでした。

「愛の妙薬」のお目当ては、何と言っても若手(もうそうでもないのか...?)のソプラノ、デジレ・ランカトーレ。以前、ラクメ、ランメルモールのルチアで聞いて、すっかり虜になっていました。

アディーナ役の「愛の妙薬」では、以前に増して中音域の表現力が素晴らしくふくらんで、声量も豊かになり、実に気持ち良く聞かせてもらった。一方で、高音域は時によって割れるような感じになることが1-2度あったのがやや残念。

2719.jpg今回のキャストはランカトーレ以外は無名に近い配役であったが、ネモリーノ役のロベルト・イウリアーノは望外に良かった。特にどこが秀でているというわけではないのだが、ネモリーノの役柄を非常に良く把握しており、それが歌唱にも出ている。聞かせどころの「人知れぬ涙」のところはブラボーものだった。

ベルコーレのマリオ・カッシは、前半やや声が細く安定していなかったが、後半喉が温まってきてからは、良く声が通ってとても良くなった。ドゥルカマーラのマッティオ・ペイローネもこれと言った派手な特徴もないが、非常にうまくまとめて唄っていた。演技も上々。このドットーレにダンサーを3人からませたのが、何やら怪しげな薬売りのムードを高めており、良い演出だと思った。

今年初めてのオペラ観劇は、なかなか良いスタートでした。今年これから30-40本くらいの観劇があると思うが、これは早くもベスト10に入りそうな予感!!

歌舞伎座で初芝居

まもなく建て替えに入る三原橋の歌舞伎座、最後の初春大歌舞伎ということで見に行ってきました。


出し物は☆☆「春の壽」(はるのことぶき:踊り、梅玉、福助、雀右衛門)「菅原伝授手習鑑(車引 すがわらでんじゅてならいかがみ、芝翫、吉右衛門、錦之助、幸四郎、富十郎)「京鹿子娘道成寺」(きょうかのこむすめどうじょうじ、勘三郎、團十郎9「与話情浮名横櫛」(よわなさけうきなのよこぐし、染五郎、福助)

何と言っても、大学時代からファンだった中村芝翫が見られたので大満足。今年で82歳とは思えません。本当は世話物で見たかった感じもしますが。

しかし、お正月の歌舞伎座はいいですな。
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新国立劇場2010ニューイヤーガラ

新国立劇場のニューイヤーガラに行ってきました。お正月は1日はウィーンフィルのニューイヤーコンサート、3日はNHKのオペラガラをテレビで見て、5日に新国立劇場に初芝居に出かけるというのが定例化しています。

今回は日本人二人、幸田浩子と堀内康雄、外人二人ノルマ・ファンティーニとゾラン・トドロヴィッチの4人がメイン。新国立にも何度か来ているらしい、ノルマ・ファンティーニの表現力のある歌唱が迫力ありました。マノン・レスコーの「ひとり寂しく捨てられて」が一番良かったと思います。ただ、歌の中に泣き声を入れるのは、それなりに効果的なのですが、スープに後から塩を入れたような感じで、全体の歌に馴染みきっていない気がしました。

それにまして良かったのが幸田浩子。ホフマン物語は何度も聞きましたが、段々こなれてきてうまくなってきたように思います。声に厚みを増してきた。(体も....)リゴレットの「慕わしい人の名は」も歌に表情があって素敵でした。ただ、アンコールのヴェルディの乾杯の歌は、やや口がモゴモゴした感じがありました。

期待の堀内康雄はややお疲れ気味っぽく、得意の「プロヴァンスの海と陸」がバラケてしまっていたのがとても残念でした。ところが2曲目のアンドレア・シェニエ「祖国の敵」は一転素晴らしかった。寒かったから喉が暖まっていなかったのかもしれませんね。

ゾラン・トドロヴィッチはまあ悪くはないのですが、どうもイタリア語がイタリア語に聞こえない。当方、ここ1年くらい週に1回のイタリア語教室にさぼりながら通っているレベルですが、「アイーダ」が「アイージャ」のように聞こえるのはどうも頂けません。これは、佐野成宏か福井敬の日本人テナーを入れてくれたほうが良かったような....

バレエでは、こうもりがとても良かったです。ソリストのの堀口純、実はこの人知らなかったのです。どちらかというと小柄ですが、華があってプリマ!という感じがしました。最初の”グラン・パ”も良かったのですが、ミーハーとしてはやはり寺島姉妹が入っていて欲しかったです。

しかし、このガラは全体に曲目の選定も良く、歌手のレベルも高い、スパークリングワインもついて、しかもリーズナブルプライスで、毎年満足なコンサートです。ただ、新年くらいはもっと日本人の歌手をメインにしても充分良いステージができるのではないかと思うのですが。。。それでも、今年のNHKのガラと比較すると、むこうはなんかおどろおどろしい寺田農のスターウォーズの皇帝のナレーションが邪魔くさかったですし、合唱ががなるように聞こえてうるさく、全体に新国立のガラがずっと洗練していました。


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あけましておめでとうございます。2010

あけましておめでとうございます。ただ今、恒例のウィーン楽友協会のニューイヤーコンサートの中継を鑑賞中。今年のプレートルは2008年よりリラックスしていて良いですね。85歳! クライバーが生きていればまだ79歳。こうなると長生きしたもん勝ちという感じ。

ともあれ今年も当ブログ、プロヴァンスの海と土を少し をよろしくお願いします。

                                      さまよえる湘南人

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