プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ボローニャ歌劇場 ”エルナーニ”

台風の翌日、ボローニャ歌劇場のエルナーニを見てきました。台風当日の「清教徒」は払い戻しも出たそう。翌日で良かったです。

エルナーニはヴェルディの作品でも日本ではめったに上演されない。僕の大好きなシモン・ボッカネグラと同じような運命にあるようで、非常に良い作品なのに残念なことです。で、今回はC席でも3万4千円という切符を奮発して行ってきました。会場は平土間こそ8割方埋まっている(多分フジテレビがスポンサーに切符を配りまくったのだろう)ものの、全体としては5-6割の入場。こんなに空いているのなら、エコノミー券などを出して、少しでも客数を増やしたらどうかと思う。まして、今回はカルメン、清教徒ともに3つの主演キャストが変更するという"失態”を演じでいるのだから、そのくらい日本のオペラファンに対してもするべきではないか。また、色々な不安のある中で来日してくれた劇場の団員に対しても、ある程度席を埋める責任がオーガナイザーにはあると思います。

ストーリーは、なんとも暗く、現代から見ると支離滅裂という感もあるけれど、これがヴェルディが始めてユーゴーの原作を使ったものではないだろうか?その後、リゴレット(原作:王は愉しむ)とユーゴを使うことが、ユーゴが著作権の世界最初で、現在も有効な国際条約、ベルヌ条約発効に力を入れることのきっかけになったのではないかと思う。ともあれ、このエルナーニのヴェルディの音楽は序曲から最後まで素晴らしいです。

主役はタイトルロールのエルナーニということになるのだが、テノール、ソプラノ、バリトン、バスの4人がほぼ同じボリュームで歌っている。これは良い歌手が4人そろわないとできないオペラですね。

エルナーニ : ロベルト・アロニカ
エルヴィーラ : ディミトラ・テオドッシュウ
ドン・カルロ : ロベルト・フロンターリ
シルヴァ : フェルッチョ・フルラネット

フルラネットは、この日群を抜いて良かった。往年のニコライ・ギャロフ(彼もシルヴァを演じている)をさらに重くしたような、ものすごい存在感のある声。カーテンコールの拍手も一番多かったです。

アロニカは、やはりリチートラで聴きたかったというのが本心。しかし、来日前にスクーター事故で亡くなってしまったのは、世界のオペラ界の大損失。実はスクーターに乗っていて脳梗塞をおこしたというのが真相らしいですが。しかし、アロニカ、一幕目では高音に上がる時に段付きが出るような感じがありましたが、2幕以降は大健闘。

カルロ王のフロンターリは、先日の新国立の「運命の力」、2007年のスカラ座で「椿姫」で聴いていますが、声質は良いのだけれど、歌い方が一本調子なのが気になっていました。ヌッチに比べると、力量がだいぶ違うかなという感じ。しかし、今回の国王は、比較的、そのような彼の歌い方が気にならず、気持ち良く聴けました。ただ、ヌッチが高齢化してきている今、METにも良く出ている、カルロ・グェルフィあたりが、そろそろ日本にも来てくれていいと思います。

わからなかったのがテオドッシュウ。僕は、彼女は始めて聴いたのですが、とにかく声量がなくて聞こえない。座っている場所(4階R)が悪かったのかなあ。高音はすべてピアニシモみたいな感じでした。声の質自体は、美しいと思いましたが、役柄自体も存在感に欠けるので、余計、存在感のないソプラノになっていました。

指揮のレナート・パルンボ、評価できるほどエルナーニを聞き込んでいないのですが、唯一持っているムーティー指揮のDVDが頭に入っていて、全く不安なく聴けたというのは、きっと良かったのだと思います。

2013年のヴェルディ生誕100年までに、日本の原子力発電所の不安が収まって、海外の歌手がきちんと来日してくくれるようになるのでしょうか?心配なところです。

ところで、ウェブサイトを見ていたら、来年、2月にLAオペラでドミンゴ主演でシモン・ボッカネグラをやるとのこと。昨年1月にMETで同じ演目を見ていますが、時差ボケでうかつにも、けっこう寝てしまったので、もう一度見に行こうかと思い、カレンダーにチェック入れました。

10月は8日のバイエルン歌劇場のナクソス島です。しかし、これも団員400人のうち100人が来日拒否というニュースが大々的に伝わったばかり。心配です。



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