プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

イル・トロヴァトーレ

昨晩の新国立の"イル・トロヴァトーレ”は満足!終わってからも興奮さめやりませんでした。

まず、大拍手を送りたいのは、合唱。三澤さんにブラボーです。二幕目の「ジプシーの鍛冶屋の合唱」をはじめ、実に迫力があり美しい合唱が聴けました。先月から今月にかけてのボローニャ、バイエルンとも合唱が今ひとつピリッとしていなかったので、すっきりした感じ。まあ、ヴェルディのこの作品はナブッコなどと並んで、合唱がしまらないとどうしようもないですが。

レオノーラ  :タマール・イヴェーリ
マンリーコ  :ヴァルテル・フラッカーロ
ルーナ伯爵  :ヴィットリオ・ヴィテッリ
アズチェーナ :アンドレア・ウルブリッヒ
フェルランド :妻屋 秀和

タマール・イヴェーリは、急遽登板の代役だったらしいが、素晴らしい出来でした。4幕目でマンリーコへの思いを唄うアリア、同じくルーナ伯爵との2重唱は、グッと来ました。リリックな声で若いときのグルヴェローヴァみたい。この人は、2009年の新国立のオテロでデスモデナをやっていて、この時も素晴らしかったです。できれば毎年来て欲しい。

マンリーコのフラッカーロも上出来。けっこう難しい歌もうまく歌いこなしていました。3幕目の「レオノーラを助けに行くぞ」というアリアの最後のハイC(多分)は盛り上がりました。拍手喝采。

ルーナ伯爵のヴィットリオ・ヴィッテリも悪くなかったのですが、個人的には、ヴェルディバリトンとしては、もう少し高音に艶がほしいところ、3幕目までは高音に上がっていくところに段付きがありましたが、4幕目は素晴らしいできでした。

アズチェーナのアンドレア・ウルブリッヒも、おどろおどろしさが出ていて良かったのですが、私が持っているDVD(帰って来て探したのだが見つからない)が、たしかコッソットがやっていて、これが山姥のような迫力だったので、どうもやや軽く感じました。

ピエトロ・リッツォ指揮の音楽は、なかなか締まったヴェルディを聴かせてくれました。かと言ってドイツ風、オーストリア風にはなっていなくて、あくまでイタリア。途中のズンパッパも調子良く入り、堪能しました。

それにしても、制作時期的に近いとは言え、トラヴィアータやリゴレットと似たフレーズが多いなあ。

演出は、好き嫌いの出るところだと思います。最初から最後まで舞台を動き回る死に神は、ハリーポッターの吸魂鬼みたいでしたが、僕はまあいいんじゃないかと思います。ただ、最後にバックが真っ赤になって、大きな顔が出てくるのは、良くわからなかった。

ともあれ、今回の”イル・トロヴァトーレ”は今年見たオペラの中でも、出色の出来だったと思います。ブラヴィ!

ところで、そう言いながら一幕目は、また寝てしまいました。となりの家内に「良く寝ていたね」と言われました。何故でしょうか、一幕目は寝てしまうことが多い。オペラは寝ても追突しないからいいけど。。。。
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バイエルン国立歌劇場「ナクソス島のアドリアネ」

バイエルンのナクソスを見てきました。公演直前に訪日拒否(原発事故のため)の団員が100人も出て、どうなることかと思ったのですが、外部から人を集めて公演にこぎつけたようです。しかし、ヨナス・カウフマンはまたしても、扁桃腺の手術とかなんとかで訪日中止。今年もう2度目ですね。はっきり最初から「原発事故の国には行きたくない」と言ってくれたほうがすっきりしますね。2007年にミラノに行ったときスカラ座で、アルフレードで聴きましたが、うまいけど、それほど観劇しなかった。シラクーザ、リチートラの方が良いと思いました。

ともあれ、ナクソス島のほうは、たいしたキャスト変更もなく公演されました。感想としては、ケント・ナガノの指揮は良し、けれども歌手陣は今ひとつ、、という感じ。音楽は、軽快で、後半だんだん重厚になりストーリー性を良く表現していたと思います。途中、不覚にも寝てしまい(最近、しょっちゅう寝る)その時のバイオリンがイマイチだったと家内が言っていましたが。

歌手は、主要人物が、なんか小粒なんです。バイエルン国立劇場研修所公演って感じ。特にツェルビネッタのダニエラ・ファリー、声も姿もいいんですが、ツェルビネッタに必須のはねるようなコケティッシュな感じが全く無い。オペラ・ブッファという感じじゃないんです。なんか弁護士が唄っているみたい。真面目に丁寧にうたっている。これでは、重厚なアドリアネとの対比が全然出て来ないので、全体がピリッと来ないのです。

良かったのは、合唱。中村絵里も入ったノルン(違う、妖精か)の3人、男性の合唱はとても良かったです。これは、先週のボローニャのエルナーニより良かった。カーセンの演出は、バレエの練習で始まる最初こそおもしろいのですが、だんだん、単調になってきて、クライマックスとも言えるバッカスの登場では、なんのサプライズも無し。なんか予算切り詰めのための演出みたいな感じですね。

2時間20分休憩無しの公演、出演者、楽団、指揮者のみなさん、ご苦労様でした。が、僕の大好きなオペラ・ブッファ、「ナクソス島」3回見ていますが、残念ながら60点くらいというところでしょう。関西二期会のナクソスのほうがおもしろかったです。

今月は、あと「イル・トロヴァトーレ」に期待しましょう。

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