プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

バルバラ・フリットリ リサイタル atオペラシティ

26日、バルバラ・フリットリをオペラシティに聴きに行きました。やっぱり素晴らしかった。2006年にムーティーと来日した時のレクイエム、2008年にサンフランシスコまで見に行ったシモン・ボッカネグラ、に続き、生で彼女を聴くのは3回目でしたが、オペラ・シティという小さいホールこともあって、歌手に近い席で、彼女の歌い方の細やかな点まで堪能できました。

リヒャルト・ストラウスの”4つの最後の歌”は、他の歌手が歌うのとは違い、情熱的、イタリア的。中音から高音にかけて、いくつもの歌唱法を駆使して、表現豊かに盛り上げます。リートと言うより、ヴェルディ歌曲という感じです。いつもルネ・フレミングのCDで聴いていますが、全然違う歌い方。神がかっています。感動しました。

ヴェルディは3曲、”イル・トロヴァトーレ”、”シモン”、”運命の力”のアリア、ロマンツァでしたが、これらも本当に素晴らしい。知性的に押さえた高音が、最後に解き放たれて響きわたる、まるで教会音楽のような音の展開。そして、アジリタの素晴らしさ。又さっきも言いましたが、中音の表現力のバリエーションが色彩が変わるように美しい。メゾソプラノも充分カバーする音域を表現します。

そして、アンコールは、トゥーラン・ドットのリュウのアリア。もちろん素晴らしかったですが、本当は当日やらなかったヴェルディの"アロルド”のミーナのアリアが聴きたかったです。

それにしても、昨年のMET来日の際に、ドン・カルロのエリザベッタをやるはずが、スポンサーの機嫌を取るために(あくまで私見)、ラ・ボエームのミミに回したのは悔しい。本人もブログでエリザベッタをやりたかったと言っていました。せっかくとったチケットも魅力半減で、いつかリベンジしたいものです。

この日、もうひとつ感動的だったのは、イタリア人指揮者のカルロ・テナン。まさにヴェルディ的な、メリハリのついた、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。特に、「運命の力」の序曲は思わずブラボー! 昨年のフィレンツェ歌劇場のメータの指揮よりも、洗練はされていないけど、イタリアっぽくて、ワクワク感に溢れていました。また、東京フィルのクラリネットが良かったです。

これだけの、パフォーマンスを堪能して、チケット(下の方のランクですが)\4,000-です。オペラ・シティがんばっています。一昨年暮れにはレオ・ヌッチのリサイタルもやったし。ナタリー・デセイもやったし。こういうホールを応援したいですね。

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ラ・ボエーム 新国立

今年の"初芝居”は、新国立のラ・ボエーム。新国立は、新年のガラがなくなってしまって、ちょっと寂しいし、おかげで初芝居の機会も遅くなってしまった。

出がけに家内が、玄関の掛け軸を、父の句 「風花がきらりとひとつ初芝居」 に掛け替えた。雪が降りそうな天気だし、良い感じです。

さて、ひさびさのプッチーニ、ましてラ・ボエームは前回の新国立の同じプロダクションを見てから8年ぶり。まずは、当たり前だが、プッチーニとヴェルディは違うなぁ!と改めて思いました。特にラ・ボエームはヴェリズモの匂いがプンプンとします。前日にDVDでシモン・ボッカネグラを聞いていたので、この19世紀後期の20年間の間に、オペラの方向性が随分変わったのだなと感心しました。

僕は、完全にヴェルディのファンなので、プッチーニについての知識は貧しいのですが、この日の指揮、オーケストラについて感じたのは、プッチーニって、こんなに大きな音で演奏するの?という感じです。特に、一幕目、二幕目は、ミミやロドルフォの歌が聞こえなくなるほどの大音量なんです。逆に言えば歌手の声量が足りない? たしかに、ミミ役のヴェロニカ・カンジェミは、特に中音以下の声量は足りなく、しかも音程もやや不安定でした。ロドルフォ役のジミン・パクは特に悪いというところもないですが、特に感激する要素も持っていなくて、ヴェルディで言えば椿姫のアルフレードが、まあそつなくこなせると言ったところ。むしろアルフレードで出た方が良い感じです。指揮は、歌手に合わせているという感じがなくて、時に早すぎたりして、安心して聴けなかったというのが本音。

良かったのは、ムゼッタ役のアレクサンドラ・ルプチャンンスキー。声量も表現力も素晴らしかったです。マルチェロ役のアリス・アルギリスもなかなか良かった。

しかし、最近の新国立の公演を聴いていて、主役クラスを全部海外から呼ばなくても良いのではないかと、強く思います。今回もカバーに安藤赴美子や樋口達也など、そうそうたるメンバーが入っており、カバーだけでやってもいいくらい。特にミミとロドルフォはアゴアシ持って呼び寄せるのは、経費(国費?)の無駄と思います。

プロダクションはもう10年近く変わっていないので、何度も見ている方には、そろそろ新しいものをと、思われてしまうのだと思いますが、新国立の劇場としての機能をフルに活用して、ラ・ボエームの甘い、感傷的な音楽を楽しめるものになっていると思います。本当にパリに行きたくなります。

今回、一番楽しめたのは2幕目の合唱、さすが新国立という感じです。カヴアレリア・ルスカティーナも聞きたくなってしまいました。それと4幕目のロドルフォとマルチェロの「ああミミ、君はもう戻ってこない」の二重唱でした。二重唱の方は地味で拍手もおきませんでしたが、4幕目の悲劇のプロローグとしてはとても良い出来でした。

そんなわけで、不満も少しありましたが、全体としては良い気分の初芝居でした。

ただ、僕は、実はプッチーニの作品で、”ラ・ボエーム”ってあまり好きじゃないのです。甘ったる過ぎて、洗練されてなくて。。というのが理由なんですが、印象画の絵が好きなので、ユトリロとかモジリアニ、ヴァランドンなんかの、当時のパリの生活のイメージと重なって、時々無性に見たくなります。プッチーニでは、本当は「三部作」が一番好きなんです。

来週はバルバラ・フリットリのリサイタル、楽しみです。

Happy New Year 2012!

あけましておめでとうございます。今年も”プロヴァンスの海と土を少し”をよろしくお願いします。

ヤンソンス指揮のニューイヤーコンサート良かったですね。チャイコフスキーが入ったのには、びっくりしましたが、豊かな音で、幸せな気分にになりました。


今年は、4月にチューリッヒ、ウィーンにオペラを聴きに行こうと思っています。

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