プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ザルツブルグ音楽祭のチェチリア・バルトリ

ザルツブルグ音楽祭に行った訳ではないのですが、現地でのヘンデルのオペラ「ジューリオ・チェーザレ」の評判がとても良いです。オペラの評判というか、出演しているメゾソプラノのチェチリア・バルトリが素晴らしかったようです。これだけ見にザルツブルグまで行こうかと本気で考えました。なにしろ、彼女は大の飛行機嫌いでサンクトペテルブルクに行くのにも船を利用したそうですから、日本に来る可能性は少ないんです。

僕が彼女に”やられた”のは、”夢遊病の女" ファン・ディエゴ・フローレスとの共演でCDになっていますが、これはすごいです。デセイとフローレスのもすごいけど、声質が違う、歌い方も違う。本当に軽いレッジェロな歌い方で、コロラトゥーラも素晴らしく、メゾソプラノとは思えない(実際、この人の場合アルトからソプラノまでカバーする)音程です。フィナーレのアリア、前にも言いましたが、これがなければ、是非夢遊病の女を歌いたいというソプラノが多いそうですが、このアリア、本当に超絶技巧です。こんなすごい夢遊病の女の最後のアリアは聴いたことがありません。

最近出たアルバム "Sospiri(ため息)”はまさにため息ものです。

この中のUna Voce Poco Fa(セビリアの理髪師より)は、頭にガツンと来ました。今まで、カラスが赤十字のコンサートで歌ったのが一番良いと思っていた、大好きな曲ですが、こんな歌い方があるんだ!!と思いました。

ちょうど、朝に自宅にアマゾンからCDが届いたので、それを車のステレオに入れて大音響で鳴らしながら湾岸高速を走っていたのですが、ちょうどお台場の出口で出るところで、この曲が始まって、ショックを受けてそのまま走り過ぎて銀座まで行ってしまいました。

これから、香港に行くので、そろそろ終わります。食事旅行です。

このCD是非、聞いて見てください。

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グラインドボーンに行きたい!

しばらく更新していませんでした。9月末より東京理科大大学院で、「著作権のライセンシング」の授業の講師をやることになり、その準備で盆休み以来ずっとオフィスにこもっています。

著作権を確率したベルヌ条約は、ヴィクトル・ユゴーが草案したもので、そのきっかけはヴェルディが彼の原作をオペラに使ったことにあると、僕は思っています。その検証をして、なんとかこの授業の中で、オペラと著作権の成立の構図を教えたいと思っています。ヴェルディは著作権料(特にレクイエムなど)で大富豪となり、その上農業でも成功したので、私財を投じて今も立派に活用されている"音楽家の家”をミラノに残しました。が、それまでの作曲家は王室などのパトロンが付くか、学校の先生にでもならなければ、稼げなかったのです。モーツァルトもその代表。ドニゼッティは貧しく亡くなりました。ワーグナーは借金取りに追われる半生と王室から金を搾り取る後半生でした。

ま、そんな余計なことを、授業に取り入れようとしているので、用意も時間がかかるのです。学生が喜んでくれるといいなぁ。

ところで、先週、イギリスのグラインドボーン音楽祭で、マエストロ大野和士指揮による、ラヴェルのダブルヴビルの公演、「スペイン時間」と「子供と魔法」はとても良かったようです。加藤弘子先生からのFBで知りました。ここは、ある意味バイロイトより敷居高いですよね。一度行って見たい。

今年は、すでにチューリッヒ劇場、ウィーン国立劇場に行きましたが、やはり11月にシチリアに行ってマッシモ劇場のパレルモで、ヌッチの"二人のフォスカリ”、カターニャで、デヴィーアの”ラ・トラヴィアータ”を見に行くことにしました。すでにフライトチケットも取りました。こんなことでもないと、シチリアなんか行かないですよね。いや、逆かな。オペラのためにシチリアまで行く人はあまりいないかな?

バレエと違って(と言うとバレエのファンには怒られそうですが)、オペラは、勉強して行かないと楽しめないです。今回はトラヴィアータは、だいたい暗記していまうが、二人のフォスカリは、何度か見て行かないと。。

本当は9月にLAオペラで、ドミンゴがバリトンで歌うフォスカリがあるんですけど、ちょっと行けないだろうなぁ。

9月からは、教える一方で、習う方も始まります。加藤先生のオペラ講座「ヴェルディとワーグナーのオペラ」全6回シリーズです。これも楽しみ。

世界バレエBプロ

世界バレエBプロです。Aプロも良かったと思ったが、比較するとBプロの方が魅力的でした。

まず、出だしでタマラ・ロホとスティーブン・マックレーの”ライモンダ”が良かったです。ロホが良いのは当たり前ですが、やはりマックレーは、今回の掘り出しもの(僕にとっては)。技術もジャンプ力もスピードもありますが、何より上品。気に入りました。

デュポンは、今回初めて(だと思う)"アザー・ダンス"を見ましたが、モダンとクラシックが融合していて、デュポンの魅力を見せるための演目のよう。素晴らしかった。相手役のジョシュア・オファルト。この3月にエトワールになったばかりの若手。まだデュポンをエスコートするって言う感じまで行きませんが、なかなか感性のある踊りを見せました。

そして、ルグリの”オネーギン”を久しぶりに見られたのも嬉しかった。ほんと久しぶりです。この前の時はモニカ・ルディエールとでしたから、最高のキャストでしたが、今日のマリア・アイシュヴァルト(シュツットガルト・バレエ)も悪くなかったです。このオネーギンの最後の手紙のやりとりの部分や、椿姫の3幕のパ・ド・ドゥなどは、オペラとは全然違う表現(椿姫のパ・ド・ドゥはオペラには無い)なんですが、オペラでは、簡潔に表現して余韻を残すところを、バレエでは、魂まで見えるように、感情を込めて無言で踊ります。この表現の違いがとてもおもしろい。"海賊”なんかも、ヴェルディ版やベリーニ版と比較して見ると面白いです。マノンなんかは、バレエの完成度は相当高いと思います。

で、その"海賊”、今日はナタリーヤ・オシポワとイワン・ワシリーエフがやりましたが、これは素晴らしかった。今日の最高の出来じゃないかな。オシポワは、だいぶ前から目を付けていたのですが、ここ数年で、ぽちゃっとした可愛い感じから、筋肉質のシャープな体型になり、踊りも素晴らしくうまくなった感じ。ワシリーエフは、僕のバレエの師匠、Kさんのお気に入り。さすが、すごいパフォーマンスでした。

残念だったのは、マチュー・ガニオがシルフィードを踊ったのですが、なんか小さい回転で軸がぶれたり、いまひとつパッとしなかったなぁ。

一方、あまり好きではない、セミオノワがシェエラザードで、切れのある良い踊りを見せてくれたのは、得した気分です。

今日は、公演の最終日ということで、カーテンコールの後に、全出演者が、使用したトゥシューズを、大量に観客席に投げ入れるというサプライズがありました。

今日に限って2階席だったので、残念。先週までの3公演はずっと一階の10列より前だったのに。

デュポンのトゥシューズ手に入れたら家宝にするのになぁ。

ともあれ、7月から続いた僕のバレエシーズンも、一応終わり。これからオペラに戻りたいところですが、9月末から始まる大学院での講師業の支度でしばらく相当忙しくなりそうで、次のオペラは、9月8日の藤原歌劇の"夢遊病の女”です。しばらく仕事に没頭します。

世界バレエ "バヤデール”

オペラの世界には、”3大馬鹿男”というのがいると言う話は良くでてきます。色々と候補がいるんですが、僕は、馬鹿順に言うと、ラクメのジェラルド、トゥーランドットのカラフ、リゴレットのマントヴァ公かと思います。もちろん、ピンカートンなんかもっと馬鹿ですが、主要人物じゃないし、トラヴィアータのアルフレードを指す人もいますが、ちょっとかわいそうだし。。

ところで、今日のバレエの主役の戦士ソロルは、相当馬鹿でしょう。なにしろ、絶世の美女で魅力的なニキヤという女性がいながら、金持ちの娘のガムザッティにうつつを抜かし、その結果ニキヤは殺されてしまうんですから。ま、バレエの場合、ストーリーはそれほど重要ではないので、いいか、と思ってました。しかし、今日のディアナ・ヴィシニョーワのニキヤの哀しさの表現には、グッと来ました。この人、こういう役、本当にうまい、何年か前にMETの最前列で見た、マラーホフとのマノンも凄かったです。ロホともデュポンとも違う、やわらかい踊り、手の先まで感情がこもった動き。オペラ歌手で言うと、誰かな? エヴァ・メイのピアニシモという感じか? もう少し、強い女性のイメージかなぁ。
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ソロル役の、マルセロ・ゴメス。この人もなかなか良かった。ABTではホセ・カレーニョの後継者になるのでしょうか?

そして、金の仏像がダニール・シムキンというのは、まさにうってつけの役、跳ぶ、はねる、すごい拍手でした。

世界バレエも、あと一演目、日曜日のBプロで終わりです。そうすると次ぎは藤原の"夢遊病の女”が9月にありますね。また、Back to Operaです。

扉は必ず--- 世界バレエAプロ

世界バレエAプロに行って来ました。今回の世界バレエはA,B両プロに、全幕のバヤデールとドン・キホーテと4公演見に行くことになりました。最初はBプロと、ドン・キホーテだけ取っていたのですが、女友達の編集者Kさんから、残り2公演の切符が手に入りました。この人は自分でも踊る、肝いりのバレエファン。チケットもすごく良い席でした。

今日はなんと言っても、パリ、オペラ座のエトワール(最高位のダンサー)オーレリ・デュポンと、そのオペラ座を数年前に定年(42歳)で辞めて、現在ウィーン国立バレエの監督をしている、マニュエル・ルグリが、ひさしぶりに日本で二人で踊ったのです。それも、僕が大好きなキリアンの振り付けの「扉は必ず--」Aurelie-Dupont.jpg

前のブログでも書きましたが、デュポンはオペラ歌手で言えば、ナタリー・デセイのように、存在感と演技が感動的。2児の母になりましたが、ますます技と表現力に磨きがかかっています。一方のルグリは、そうですね、あえて言えばドミンゴでしょうか? ほぼ神格化されていますね。ウィーンの監督になっても、まだ踊り続けている、ステージに立つだけでオーラがあります。

扉、はなんども見ていますが、今日のはちょっと振り付けが違ったような気がしました。いずれにしろ、今までで一番良かった。感動しました。非常に難しい動きを二人でやるのですが、静止するところで、1ミリもぶれがない、二人が衣裳にくるまれた彫刻のようになるんです。前にルグリがデュポンでなくて、誰だったか他のプルミエール・ダンスーズのバレリーナとやったのですが、似て非なるものになってしまいましたね。この二人のやる、椿姫、黒のパ・ド・ドゥ(ちなみに、原作にはあるが、オペラでは省略されている場面)なんかも、この二人以外は考えられないという感じがします。

そしてあとは、やはりタマラ・ロホのシルフィード。実に品がありました。芯がビシッとしているんです。そりゃ、みんな一流ですから、芯がビシッとしていないダンサーなんかいないのですが、ロホは別格です。今日のラストが、ノヴィコワとサラファーノフというマリインスキーバレエ(サンクトペテルブルグ)のペアのドン・キホーテのグラン・パだったのですが、この前のロホとマックレーのに比べると、やはり残念ながら格が違いすぎます。

あとは、マラーホフが太りました。びっくり。あれは、もう出ないほうが良いのでは。がっかりしました。ヴィシニョーワはちょっと老けたかなぁ。でも、バヤデールの相手役がマルセル・ゴメスでホッとしました。

オペラ、ラクメの作曲家として知られる、レオ・ドリーブのバレエ曲、コッペリア、シルビアからピックアップした、「ドリーブ組曲」を東京バレエの上野水香が踊りましたが、これは良かったです。3年前は、スリップして倒れそうになって、ひやひやしましたが。それにしても、何度も言いますが、ドリーブって美しい曲を書いたのに、パリで音楽学校の先生に引っ込んでしまって、世に残ったのは3-4曲しかないのは残念ですね。チャイコフスキーを、「バレエ音楽とはこうでなければ」とうならせたと言う逸話が残っています。

さて、今週は、バレエあと2公演です。仕事もしなくちゃ。

「棟梁日誌」と「ふくきち舞台日記」

毎日、つらつらと色々な人にブログを読ませて頂いているんですが、辛口コメントで知られる「棟梁日誌」http://www.h5.dion.ne.jp/~goten/diario.htm が3月末から更新されていません。過去にも1ヶ月くらい更新されなかったことはありましたが、こんなに長いのは珍しい。棟梁はロッシーニ協会の理事のはずですが、病気なんかじゃないと良いのですが。復帰を待っています。また、僕の大好きな「ふくきち舞台日記」http://fukukichi.blog.ocn.ne.jp/も、ここ1週間ほど更新されていません。こちらは、コンピューターの故障とのことですので、遅かれ早かれ復帰すると思いますが、けっこう、頻繁に更新されていて、歌舞伎、文楽、オペラなど舞台芸術を広くカバーしているので、とてもおもしろいのです。ふくきちさん、待ってますよー。

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