プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

USB DAC デジタルオーディオ&真空管アンプの威力!!

僕の家(クレーの描いた絵になぞらえて、”R荘”と読んでいます。その名の通りR屋根他、Rのモチーフがたくさん使ってある、オーストラリアで焼いた淡い色のレンガの家です。)を設計してくれた、長い友人(40年近い)の建築家のSさん。クラシックも大変詳しく、色々教えてもらいました。特に黄金時代の指揮者や、歌手、その違いなど。僕が実際には聞いていないけど、好きになった指揮者、エーリッヒ・クライバー、マリオ・ジュリーニ、トスカニーニ、そてして、歌手では、テヴァルディ、シミオナート、ゴッビ、ベルゴンツィなど、皆、彼から知りました。

で、年に一度は2-3時間ごはんを食べながら音楽の話をして、その後、彼のアトリエで、色々な曲の聞き比べをするのが11-12月の恒例行事なんですが、今年は、彼が最近入れた、USB-DACオーディオを聞きました。これは、すごかった。パソコンの音楽データ(圧縮してありますが)を直接アンプにぶちこんで聞くというものです。彼はアンプに真空管のものと、なんの調整もない、メインだけのアンプを使い分けていましたが、とにかく信じられない音がします。スピーカーなんか関係ありませんね。何でもいいという感じ。デセイやバルトリ、カラス、シュワルツコップの息づかいまで聞こえる。モノラルの古い録音でも、今の音のようになってしまう。

早速、その場でインターネットでUSB-DACを注文、¥18,000- そして、真空管を4本使ったアンプも注文、これがなんと中国製で1万円。

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後ろに見える、赤いのがUSB-DACです。

いつも聞いている、「男と女」のテーマを聞いたら、もうパリの音がそのまましてきます。(DVDから音だけ取ったデータがあるので)。ジュリーニのトラヴィアータ序曲、カラヤンのアイーダ、フルトヴェングラーのワーグナー序曲、セルジオ・メンデス、A.C.ジョビン、みんなものすごい迫力。うちには、2階のリビングに自慢のJBLの38cmウーファーのL300を使った大オーディオセットがあるんですが、この安い新しいほうが良い。ちなみに、スピーカーは15年もののJBLの12cmの2wayです。

今は、ドニゼッティの「連隊の女」を聞いています。こんなの、前は画像見なければ、聞くだけではおもしろくなかったんです。

これは、お勧めです。車にもなんとか備え付けようかと思います。
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これからの観劇の予定

先週のソフィア国立歌劇場のトスカ、1週間たっても、そのイメージは変わらず、指揮のアレッサンドロ・サンジョルジとタイトルロールのラドスティーナ・ニコレエヴァの強烈な印象、そして美しい舞台が頭に焼き付いています。

本当は、火曜日の新国立のトスカの最終日を見たかったのですが、大学院の講義の日で行けませんでした。残念、オペラ仲間の先輩は、ノルマ・ファンティーニと舞台がはねてから飲みに行ったそうです。なお、残念。

さて、来月から来年前半の観劇予定は次の通り。

12月:新国立で「セヴィリアの理髪師」古いプロダクションですが、それだけ人気のあるプロダクション。僕も大好きです。指揮のカルロ・モンタナーロは、新国立の09年の蝶々夫人で非常に上品な良い音を出していた印象があり、アルマヴィーヴァ伯爵のルシアノ・ボテリョとロジーナのロクサーナ・コンスタンティネスクは、初めてですが非常に評判良いようです。

12月は、時間が取れれば新国立のバレエ、シンデレラでも見ようかなと思います。

本当は、今日からシチリアへ行って、ヌッチのフォスカリ見ていたはずだったのに、、、と毎日3回くらい考えていますが、しかたないですね。いくら日本でやらないから、いくらヌッチだからと言って、その1演目のためにだけシチリアまで行くというのは、ま、チョーお金持ち、時間持ち出ないと無理です。

で、年が明けて1月。一昨年までは、新国立のニューイヤー・ガラに行っていたんですが、去年から中止。なんで?大晦日から元旦にかけてのコンサートもないし、全く官僚的な劇場です。

初芝居は、バレエで、7日の「ブベニチェク・ニューイヤーガラ ~カノン~」ノイマイヤー演出はあまり好きではないのですが、パリオペラ座のエトワール、ドロテ・ジルベールが踊るので、これが目当て。この人、パリオペラ座では、デュポンの次に好きです。デュポンは彫刻的、ジルベールはあくまで優しく.......

オペラは、月末の「愛の妙薬」ですね。シラクーザが歌うネモリーノも楽しみですが、アディーナをやる、ニコル・キャベル、4月のドン・ジョヴァンニでドンナ・エルヴィーラをやって、非常に清楚で美しい声を聴かせてくれました。多分、アディーナのほうがぴったりきそう。演出も非常にコミカルで楽しそうです。

2月に入ると、藤原歌劇の「仮面舞踏会」、とにかくヴェルディイヤーですからね。これはなんと言っても、レナートの堀内康雄さんに期待。来年は彼を3演目くらい見ますよ。藤原は、今年の「夢遊病の女」も上出来だったので、期待したいですね。

で、2月20日は二期会の「こうもり」、1月に見たい演目ですが、2月です。オルロフスキーが林美智子、アデーレが幸田浩子、アルフレードが樋口達哉、指揮は大植英次 と、日本人でかためて、どのくらいやってくれるのかが楽しみ。

3月、3月は、ヴェルディが続きますね。そういうふうにチケット取ったんですけどね。新国立のアイーダが30日、これは加藤浩子先生の授業の一環として行きます。終わったあとは食事会。ここでもアモナズロで堀内康雄さん、前回も素晴らしかったからなぁ。ゼッフェレリ演出のアイーダが日本で見られるというのは、なかなかの贅沢です。

その前24日は二期会のトラヴィアータ、安藤赴美子と上江隼人というのが気に入りました。久しぶりのトラヴィアータです。

4月にはいってフィニーチェ歌劇場来日の"オテロ”。ちょうど先週に、フェニーチェで同じキャストでやって、ものすごーく良かったという現地からの報が入りました。チョン・ミョン・フンの指揮も素晴らしかったが、タイトルロールのグレゴリー・クンデ、もともとロッシーニ歌いなんですが、新世代のオテロを切り開いたということで、これは絶対楽しみです。

そして、5月22日のナブッコとチケット取ったのですが、このナブッコは行けなくなってしまった。その時にザルツブルグの5月祭に行くからです。ここで、チェチリア・バルトリのノルマを見るのが、何よりの目的。この人は絶対日本に来ない(ヨーロッパの中でも飛行機に乗らないくらいの、飛行機嫌い、でも一度名古屋に来たことあるんですけどね)、そして、ブラームスのドイツレクイエムも彼女とルネ・パーペという絶対ありえない組み合わせで聴きます。ついでにハンブルグにより、最近評判の女性指揮者、シモーネ・マーガレット・ヤング指揮のマイスタージンガーで、フローリアン・フォークトを聴きます。まあ、フォークトは都民劇場で4月に来日して、同じ演目やるのですけどね。そして運がよければ、滞在中の4月18日に、ベルリンフィルでアバドがベルリオーズの真夏の夜の夢を振るのが見られるかも。。

でも、そのおかげでナブッコのチケットを売らなくては。また、その時、フリットリが来日してリサイタルやるんですよねー。絶対、ヴェルディ歌うでしょうから、これは複雑な気分ですね。去年、ドン・カルロのエリザベッタ聞き逃したしね。

今のところ、ここらへんまでチケット取っています。あと来日で大物は、9月(?)のスカラ座来日での、リゴレット、まだキャスト発表になっていないようですが、レオ・ヌッチとエレーナ・モシュク。最高じゃないですかね。誰がマントヴァ公やるのかが気になりますが。絶対良い席取ります。

そして、12月のトリノ王立歌劇場来日、これは難しい。ノセダの指揮は良いとして、なんでブリットリがトスカを歌って、仮面舞踏会を歌わないのだ!リカルドがヴァルガスは良いとしても、アメーリアはフリットリでしょ。なんで、オクサナ・ディカになるの? まあ、まだ先だからゆっくり考えましょう。

9月はマリエッラ・デヴィーアが来日してトラヴィアータをやるという話もあり。でもどの劇場で来るのだろうか?

あと、6月に大阪泉ホール主催でシモン・ボッカネグラ、ついに日本でやります。それも堀内康雄!これは大阪まで行かなくては。

年に2度外遊してオペラを見るというのは無理があるのですが、5月のMETのデセイの「ジュリオ・チェーザレ」は出来れば行きたい。

まだ、調べなくてはいけない劇場がたくさんあります。でも、今日はこれでおしまい、



ソフィア国立歌劇場 トスカ

久しぶりのプッチーニ。1月の新国立のラ・ボエーム以来です。もともと、ゼッフェレリのトゥーラン・ドットからオペラに入って、最初のうちはプッチーニ大好きだったのですが、ヴェルディにはまってから、なんかプッチーニは軽い感じで、聴かなくなってしまいました。歌舞伎で言うと時代物がワーグナー、世話物がヴェルディ、新派がプッチーニという感じがします。

とは言え、トスカは悪くない。推理小説的要素があり、ストーリーにも無理がない。時代性も良く出ている。とにかく音楽が最初から最後まで美しい。

今日のトスカ、次女のオペラ観劇デビューでした。長女はMETでシモン・ボッカネグラでデビューしていますが、あんなオペラなのに、けっこう気に入っていました。で、次女も今日のトスカには満足!実は新国立のトスカで、ノルマ・ファンティーニを聴かそうかとも思ったのですが、ジャパン・アーツからタダ券を1枚送ってくれたので、こちらにしたというところ。="_blank">tosca3.jpg
ソフィアというのは、ちょっとリスクあったのですが、結果としてはかなり良かったです。まずは、指揮者のイタリア人、アレッサンドロ・サンジョルジが秀逸。舞台を引っ張っていくパワーがありながら、テデウムの場面では、繊細に不安感を出し、良かったですね。そして、タイトルロールのラドスティーナ・ニコレエヴァ、久しぶりのリリコ・スピント、ドラマティコにも近いかな。表現力のある歌唱でした。細かいところで、まだ不安定なところもありましたが、ソフィア歌劇場のルーツを持った歌手だと思います。パチパチ。

で、男のほうの歌手は、名前も出さないですが、たいしたことない、特にスカルピアは無視させて頂きました。指揮とオケとトスカが良ければ、80点。ま、言い換えれば、僕はプッチーニのオペラに、そんなに多くを期待していないのです。そう言っては、ファンの人には失礼だけど、訴えてくるものをあまり感じ無い。ストーリーもお涙ちょうだいと言う感じ。悪く言っているのではなく、みんなが楽しめるエンタテイメントだと思うのです。だから、根掘り葉掘り悪いところを言うより、良いところで評価したい。置き換えの演出も、お金はかけていないけど、センス抜群。黒と赤を主体に、舞台を広く使って迫力がありました。

これも、ジャパンアーツの主催。いまやジャパンアーツと東京プロムジカの時代ですね。僕の結婚の時の立ち会い人をやってもらった、故神原芳郎さん、昔はオペラもクラシックもポピュラーも扱うスーパーエージェントでしたが、解散して久しいです。

話が飛びましたが、今週は、デセイ、ヌッチ、そして今日のトスカと、今年で一番良い週になりました。あと、年内は、新国立のセヴィリアの理髪師だけしか取ってないんですが、もうひとつくらい行きたいな。
【“ソフィア国立歌劇場 トスカ”の続きを読む】

感動のレオ・ヌッチ at オペラシティ

昨日、オペラシティの駐車場に車をつけたのが開演3分前。愛車プジョーをリュックベンソン監督"TAXI"のように、猛烈に飛ばしてきたのだけれど、1曲目の”詩人の祈り”は扉越しに聞くことに......世界初演だったのに......でも2曲目からは、オペラシティの係員のお姉さんが優しく席に誘導してくれました。有り難う!!

今年4月にチューリッヒ歌劇場で「シモン・ボッカネグラ」のタイトルロールを聞いた時、終わりの20分感激で涙が止まりませんでした。指揮のカルロ・リッツィまでが幕じりに下がって、最後はヌッチ一人のカーテンコールが延々と続くのを最前列で見た幸福。それがまた蘇りました。今度は初台で。

70歳のヌッチ、高音の輝きは若いときより薄れたと思いますが、中低音での表現力はまだまだ進化していると思います。今日、ヌッチの過去のCDを聞いて改めてそう思いました。ヌッチは進化を続けています。70歳にしてまだ新しいヌッチが現れてくる!!


とは言え、最初の部分では、やや中低音が不安定な感じがあり心配しましたが、2部のロドリーゴの「私は死ぬ」のあたりから素晴らしくなりました。エンジン全開。ロドリーゴのこれ、確かに歌いましたよね。プログラム(席に忘れてきてしまった)では、イル・トロヴァトーレの「君の微笑み」になっていたと思いますが。いつも車の中で聞いているので、曲は覚えていても曲の題名覚えてないんです。(シャッフルにするからなお良く無いね)ポーザ候が死んでいくところですよね。これはもう涙なくしては聞けないアリアですね。フォスカリも良かった。良すぎた。困る。だって、本当は11月28日に、シチリアパレルモのマッシモ劇場まで行って、ヌッチの「二人のフォスカリ」見る予定だったんです。事情があり行けなくなってしまった。あー、、、、でもヌッチのフォスカリ、全編聞きたいです。仮面もエルナーニも良かった。この人は、小さな声でも(バリトンのピアニシモって言えるのでしょうか?)音を上げていっても、絶対に音程がぶれることがない。豪快に歌いあげるけど、緻密で正確なのです。それが、ルーチョ・ガッロなどと全然違う。(ガッロも大好きですが)安心して、身をゆだねてヌッチの歌の世界に入っていけるのです。シモン・ボッカネグラだって、ヌッチでないと泣けない。他の歌手では、そこまで身も心も歌手に託せないのです。
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だから、音大の生徒やプロの歌手もたくさん聴きに来ているのです。実際、来月、新国立にセヴィリアのバルトロを歌うブルーノ・プラティコさんも来ていたそうですし、若手バリトンの大貫志朗さんも来ていてご紹介頂きました。(イケメン!)エルナーニを聴きながら、ヌッチは歌手であり、また、ヴェルディの語り部だなとつくづく思いました。イタリア語は少ししかわかりませんが、ヴェルディと同じバリトンの声で、ヴェルディの大切にした、平和、愛(プッチーニの愛ではない)、名誉、などを伝えてくるのです。あの人柄で。。。

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アンコールが5曲!連続です。それも、いきなりリゴレットの「悪魔め、鬼め」ですよ。こんなのアンコールで歌わないでしょ。ソプラノが夢遊病のフィナーレのアリアをアンコールで歌うようなものです。すごいパワー。聞くところによると自転車で鍛えているそうです。そして、アンコールでイル・トロヴァトーレも歌いました。もう大満足。聴衆全員スタンディング・オベーション。ヌッチの周りにはステージ下に人が集まり、握手攻め、中には、ヌッチに腰を下ろしてもらって写真を撮っている人までいました。人を魅了しますね。僕もiPadで写真とっていたら係の女性が来ましたが、ステージ前で写真撮りまくられているヌッチを見て、笑いながら、「えー、ちょっと..」っとだけ言って戻りました。やっぱりオペラシティのスタッフ大好き!

ヌッチは自分のヴェルディイヤーは日本で始まり(今回のツァー)日本で終わる(来年のスカラ座来日のリゴレット)と言っています。彼は日本大好きなんですよ。僕も去年から今年にかけて”最盛期”のヌッチを3度も聴けて幸せです。

レオ・ヌッチ、日本なら人間国宝ですよね。それにしても、東京で月曜にゲルギエフ指揮でデセイが、水曜日にヌッチが聴ける、それも大きすぎないホールで。けっこう贅沢な街です。
それと、東京プロムジカ、このところ素晴らしい企画ばかりやりますねー。今日、なくしたプログラムを購入する電話をしたついでに、会員になりました。がんばれー。





ランメルモールのルチア コンサート形式 ゲルギエフ指揮

デセイはやはり凄い。命を削って声を削って歌ってくれた今回のルチア、ドニゼッティでウッと来ることもあまりないのですが、感激しました。

来日前には色々な噂が飛び交って、このルチアだけのために本当にサントリーホールまで来てくれるのかと心配していたのです。フランスでも9月キャンセルが出たという話もあったし。。

今回ステージに登場したときも、何か疲れ気味の感じでしたが、歌い出せばそんな心配は吹き飛びました。今回の彼女の歌い方は、今までの彼女のルチアを歌っていた時とはちょっと違ったかなと言う感じをもちました。やや多め装飾を入れながら超高音はピアニシモを長く美しく入れて(あるいはピアニシモにせざるえなかったのかも)、音程はいつも通り非常に正確で、ますますベルカント!という感じが強くしました。バルトリの向こうを張っているわけではないと思いますが、昨年から今年に書けてはジュリオ・チェーザレなどで演目がだぶったりしましたので、どうしても比較されますよね。今回は、デセイの良さが以前より非常に良く出ていたと思います。これには指揮のゲルギエフも非常に貢献していて、あの顔(ジャック・ニコルソンかと思う)からは考えられない緻密さ、軽さとすっと立ち上がるDOHCエンジンのような(なんだ、その例えは?)盛り上がりが、デセイの歌と見事にマッチしていました。ゲルギエフは何でも振れて、ほとんど寝ないそうですが、僕は、ロッシーニの「ランスへの旅」を聞いた時も同じ印象を持ちました。ロマン派以前のイタリアのオペラも素晴らしくコンダクトしますね。狂乱の場は、デセイのすごさと、ゲルギエフの切れのよい音、そしてやはりグラスハーモニカで合わせてくれると断然美しく、もう息が止まりそうでした。



で、今回の歌手陣は下記。

ルチア   :ナタリー・デセイ(ソプラノ)
エンリーコ :ウラジスラフ・スリムスキー(バリトン)
エドガルド :エフゲニー・アキーモフ(テノール)
アルトゥーロ:ディミトリー・ヴォロパエフ(テノール)
ライモンド :イリヤ・バンニク(バス) 
アリーサ  :ジャンナ・ドムブロフスカヤ(メゾ・ソプラノ)
ノルマンノ :水口聡(テノール)
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正直なところ、今回はデセイの一人舞台。エドガルド(昨日まで間違えてエンリーコと書いてました。失礼の上塗り)を代役で歌ったスリムスキーは、いないほうが良いくらいひどかったです。褒めている方、良かったと思っている方、気分を悪くされると思いますので先に謝りますが、音程は全然定まらないし、レチタティーボなんかグニャグニャ、とにかく声出しの最後の部分だけは思いっきり大きな声を出して、どうだという感じでした。まあベリズモならがまんできないことも無いと思いますが、ベルカントのこのオペラではどうにもならない代物(また、失礼)でした。まだましだったのはあるトゥーロのヴァバエフ、ノルマンノの水口聡でしょうか?

この、演目は、あのマリア・カラスでさえ、最初のアリア「あたりは沈黙に閉ざされ」で、現在残っている録音でも、激しく音程を外してしまっています。ルチアは難しいのです。これを立派にこなしたデセイを褒めるべきであって、スリムスキーを責めるのは酷かもしれませんが、それでもブラボーを出していた聴衆の皆さんもいましたね。とにかく声量さえあればブラボーという感じは、バレエで言えば、ピルエットとかジャンプさえ早くて高ければ大拍手と同じかなと思いました。

ルチアあたりもだんだん唄える人が少なくなってきました。デセイがいなくなれば、美しいフランス語版のルチアなんか、何世紀も聴けないのでは。でも、最近、パトリシア・プティポンがオペラに出だしたという話も聞きます。ドイツライプツィヒ出身の出色の若手ソプラノ、シモーネ・ケルメスも古楽からヴェルディの「イル・トロヴァトーレ」を唄ったというニュースも入っています。

なんとか、今の若い優秀な世代がつないで行ってほしいものです。ただ、イタリアものの場合、ヴァリトンの後継者がいないんですよ。ゴッビ、バスティアーニ、ブルゾン、そして今晩聞くヌッチ、、、その後がいない。。

ま、一週間のうちに世界最高峰のソプラノとバリトンでイタリアオペラが聴ける東京とう街、なかなかすごいと思います。

最初に見るべきオペラは何でしょう?

今月、ソフィア歌劇場の「トスカ」にうちの次女を連れて行きます。オペラ初見参。なんで、ソフィアなのかというと、切符が一枚タダでもらったからです。出演者のレベルにややムラがありますが、トスカはまあまあ良さそう。最初に見るオペラとしては推理小説的要素も入っていて良いでしょう。ちなみにうちの娘は、文学部の「文芸創作科」というところにいて、ミュージカルや、芝居、映画、本などにつかっています。

長女の方はアメリカの大学に行っていたので、21歳くらいの時にNYで会って、METでシモン・ボッカネグラを見ました。僕は、それとステュッフィーリオを見に行ったのですが、どっちも初めて見るオペラとしては勧められるものではなかったです。ところが、長女は、英語の字幕(シートの背についている)が難なく理解できたせいか、シモン、えらく気に入ったようでした。良かった。良かった。

でも、一般的に友人から「初めてのオペラ、何を見たら良い?」と聞かれるとけっこう困りますよね。オペラの演目はいくらでも頭に浮かぶけど、近いうちに手頃な値段で、質の良いオペラで、とっつきが良いものをやっているとは限らない。

今なら、3月の新国立のアイーダですね。これがなんと言ってもお勧め。あるいは、来週から始まるセヴィリアの理髪師も、舞台装置、演出が素晴らしいのでお勧め。ここらへんだと2万くらいでまずまず良い席取れますね。新国立劇場(今は、オペラパレスと呼ぶのだけど、どうもそうは呼びにくい)は、ここ数年は”大外れ”がなくて、安定して良いパフォーマンスを見せてくれています。それでいて、1万3千円くらいから2万円のB-C席でも、選べば充分眺望の良いところで見られますし、もちろん音響もNHKホール、文化会館、神奈川県民ホール(最悪)、オーチャードホール(ここも最悪)などに比べて良いのです。ですから、ここで最初のオペラを見るのは、リーズナブルで良いと思います。

あとは演目ですが、僕の独断で羅列するとつぎの演目かな。

トラヴィアータ(ヴェルディ)
リゴレット(ヴェルディ)
仮面舞踏会(ヴェルディ)
アイーダ(ヴェルディ)
ニュールンベルグのマイスタージンガー(ワーグナー)
リング:(ラインの黄金)
リング:ワルキューレ(ワーグナー)
フィガロの結婚(モーツァルト)
コジ・ファン・トゥッテ(モーツァルト)
トゥーランドット(プッチーニ)
トスカ(プッチーニ)
カルメン(ビゼー)
セヴィリアの理髪師(ロッシーニ)
ランスへの旅(ロッシーニ)
連隊の娘(ドニゼッティ、ただしナタリー・デセイ主演に限る)
愛の妙薬(ドニゼッティ)
夢遊病の女(ベッリーニ)
バラの騎士(リヒャルト・ストラウス)

この中でも、もっと絞れと言われたら、”トラヴィアータ”、”フィガロの結婚”、”バラの騎士”を挙げます。トラヴィアータと、バラの騎士は、何と言っても序曲が、これぞオペラ、正統のオペラという感じがするんです。ただ、トラヴィアータの場合は、置き換えが多いですからね。いきなり、カーセンとかコンビチュニーの演出を見ると混乱しますよね。演出家で言うならば、初心者向けはゼッフェレリをおいて他にないと思います。豪華絢爛!

その点、バラの騎士はあまり置き換えはないんじゃないでしょうか?(あまり見ていないので、間違っていたらごめんなさい)最初のオペラをブッファにするかセリアにするかというのも、アドバイスする時の課題ですけど、ハンカチ握りしめてという期待を持たれている方には、ヴェルディ以降のオペラを勧めるしかないですね。この中だと、トラヴィアータとトスカくらいかな。

ストーリーに多少無理はあってもおもしろい、という意味では、ドニゼッティはいいですね。ベルカントの良い歌手で聞きたいところですから、引っ越し公演がメインになりコストはかかりそうですが。"連隊の娘"は、もう絶対にデセイのでないとダメです。僕も生では見ていません。リゴレットは、ヴァリトンが良くないと貧相になりますから、来年のスカラ座来日のヌッチのタイトルロール(高そう。。。)まで待つことです。その点、仮面舞踏会は、曲が楽しいので、藤原歌劇あたりでも満足できそう。

ワーグナーは、はまる人はどの作品からでもはまるので、特にこれというのを示さなくても良いと思いますが、ヴェルディファンとしての僕個人は、マイスタージンガーからリングに行って、結局トリスタンという感じです。タンホイザーは歌手の善し悪しがもろに出るのですが、マイスタージンガーのほうが二人の主人公でごまかせそうです。

僕が最初に見たオペラは、フィレンツェ歌劇場、ゼッフェレリ演出のトゥーラン・ドットでした。これは圧倒されましたね。今になれば、実はプッチーニはあまり好きじゃ無いので、ラ・ボエームも上のリストには入れていませんが、それでもプッチーニは甘いメロディーと朗々と歌い上げる感じが、初めての人には””ザ・オペラという感じに響くのではないでしょうか。

カルメンは、なにせストーリーの勉強をしなくてもわかりますし、曲も美しいですし、良く上演されているので見やすいと思います。これも藤原が良くやりますね。ただ、初めて見る人には関係無い話ですが、カルメンの曲ってラクメの作曲家のドリーブの、歌曲”カディスの女”の8割がたコピペみたいなところが多くあって、なーんかビゼーの人柄を疑いますね。この時代、そいういうのは有りだったみたいですが、カルメンとカディスの女はちょっとひどすぎ。ちなみにカディスの女は1850年頃、カルメンは1875年に作曲されています。

さて、モーツァルト。フィガロとコジ・ファン・トゥッテと無難なところを挙げました。実は、僕、そんなにモーツァルトのオペラに興味ないんです。モーツァルトはどちらかというと、室内楽のほうがたくさんCD持っています。でもフィガロは好きですけど。魔笛なんかは、ドイツ語圏では一番良く上演されているということですが、2度ほど生で見ましたが、全然おもしろくない。曲もつまらない。と言うことではずしました。全くの個人的好みです。

そういう意味では、ロッシーニのそれも”ランスへの旅”を入れたのは、逆にえこひいきです。こんな演目、日本で10年に一回公演されるかどうか........ 僕はマイリンスキーのゲルギエフ指揮で見た他は、DVDでしか見ていませんが、絶対おもしろいです。ドタバタですが、11重唱だか14重唱だかがあって、すごい迫力。実際マイリンスキーの時は、初めてオペラを見る人と一緒に見に行きましたが、感激していました。セヴィリアは、ちょうど今月末から新国立でやります。これは演出も舞台装置も良く(何度も使い回しているという批判はありますがが)、最初に見るオペラとしては、直近で一番良いのではないかと思います。

あとは、現代物では、ヤナーチェクの"利口な女狐”いいですね。大人も子供もそれなりに楽しめます。小澤征爾指揮のサイトウキネンのDVDが良いんですが、高いですね。オペラ座のDVDは安いのですが、演出がエンゲルよりもペリーのほうが洒落ていて、夢が膨らむ気がします。ただ、絵本を読んで、その結末を知っている子供を連れていくとPTSDになりかねないのでやめたほうが良いかも。

現代ものでは、METで一時良くやっていた”ヘンゼルとグレーテル”もおもしろいと思いますが、ヤナーチェクもそうですが、ここらへんから入るのは、やっぱり邪道なんでしょうね。

なかなか若い人(でなくても)がオペラを見ないのは、やっぱりチケットが高いということがあると思います。僕はバレエも見ますが、バレエならいつもS席取ります。せいぜい1万6千円くらいですし、バレエは音楽だけ楽しむというわけにはいかないですしね。

オペラも同様に、特に最初のうちは良い席で見たいものです。でも、そうすると高いですよね。バレエの倍以上します。そのうちに慣れてきて同じ演目を2回、3回見るくらいになると、今日は音楽を中心に聞こうとかすれば、安い席でもいいんですけど、最初はストーリーも、歌手の姿も、舞台装置も音楽も、みんな良いところで聴くのと、そうでないのではすごく印象が違いますからね。最初に悪い席でオペラを見ると、ファンにはならないかもしれません。

そういう意味でも、新国立劇場はまあ手頃だと思って下さい。

実は、このブログ書きながら、今、パリオペラ座のバレエ、”シルヴィア”のノイマイヤー振り付け版、オレリーデュポン、マニュエル・ルグリの2005年公演版DVDを見ています。ちょうど今日届いたので。

オペラとバレエ両方見る人は少ないですね。でも、このシルヴィアもドリーブ作曲ですが、チャイコフスキーも両方作曲していますし、グランドペラにはバレエも入っていますし、利口な女狐や椿姫、オネーギンなんかはバレエにもなってますし、比較したりしておもしろいですよ。オペラを見ている方にはバレエを、バレエを見ている方にはオペラをお勧めします。

おしまい。

最もオペラっぽい(?)バレエ、ドリーブの”シルヴィア" at 新国立

10月はオペラのほうは不遇な月でした。ウィーン国立歌劇場来日で楽しみにしていたメストが来日しないので、ラクメをあきらめてチケット譲りました。シュナイダーあんまり好きじゃ無いんです。うまいのは認めるけど、重い、鈍い。で、その代わりに、フィガロかアンナ・ボレーナ行こうと思ったのですが、土日は切符が取れず(遅すぎた..)、平日は仕事の都合で、結局行けませんでした。ま、フィガロとアンナ・ボレーナ、作品としてそんなに好きなほうではないので、最初からサロメしか取っていなかったのですが。これがヴェルディとかドニゼッティだったら全部取っていました。

それに続いて、11月シチリア行きで楽しみにしていたマッリエッラ・デヴィーアがトラヴィアータ降板。結局、フォスカリだけのためにイタリア行くのも時間とお金かかりすぎということであきらめることに。これで11月デセイが来日しなかったら、踏んだり蹴ったりという感じです。デセイのサイトには来日の予定がないんですよ。もっとも、最初から載っていないんですが。ジャパン・アーツのサイトにも実に控えめにしか出ていないし、先月パリ公演をキャンセルしたらしいし、ドタキャンなんて嫌だなぁ。ルチアを演奏会形式で聞くのを楽しみにしているのですが。

さて、昨日は、夏に、世界バレエを見て以来、久々のバレエ公演。それも僕の大好きな演目、”シルヴィア”です。同じ、ドリーブの作曲でも”コッペリア”より音楽も、作品自体も好きです。この2つ、良く「シルヴィア、コッペリア組曲」になって、踊られる事が多く、一緒くたにされますが、中身は全く違う。ただ、作曲家が、オペラ、”ラクメ”の、レオ・ドリーブ(1836 - 1891)は、バレエ音楽や歌劇で知られるフランス・ロマン派の作曲家で あるなので、作曲家から語られることが多い作品です。同時代の音楽家でオペラもバレエも手がけたチャイコフスキーが、ドリーブの舞台を見て「バレエ音楽とはこうでなくてはならない。」と賞賛したと言われます。フランスのチャイコフスキーとも呼ばれる、ロマンチック・バレエの作曲家、ドリーブは、しかし、このバレエ2曲とオペラ、"ラクメ”、そして小歌曲”カディスの女たち”しか余に残さず50代で亡くなりました。一説には、若くして成功し、パリのコンセルヴァトワールの教師になり、生活が安定して、作曲への意欲を失ったという話もあります。

しかし、どの曲も、才能がほとばしるすばらしさがあり、僕はマイアーベーアーなどより好きです。

コッペリア、シルヴィアも音楽だけ聴いても素晴らしく、今も1953年録音のピエール・モントゥー指揮、ボストン交響楽団のモノラルCDを聴きながら書いていますが、2幕目、3幕目の序曲は、そのままオペラにつながりそう。3幕目のブラスによるファンファーレは、ワルキューレさながらです。

肝心のバレエのほうですが、この演目があまりやられない理由のひとつは、相当のレベルのダンサーがそろわないと出来ないということがあります。オペラで言うと「ランスへの旅」での14重唱のようなもんですね。

今回、シルヴィアが公演できるというのは、新国立バレエ団のレベルが、非常に高くなっていることの証明みたいなもんだと思いました。客演で主演の庭師を踊ったツァオ・チーは、技術面でもジャンプ力、華やかさでも今ひとつ。シルヴィアの佐久間奈緒はバーミンガムのプリンシパルの輝きがありました。オライオンの新国立ダンサー、厚地康雄は表現力も技術力も素晴らしく、主役を食っていましたね。海賊役の3人もすごかったですね。昔、ABTでホセ・カレーニョがライモンダを踊った時、非常に不調でジャンプは低いは、軸はぶれるは、かわいそうなくらいでした。僕はカレーニョのファンで何度も見ていますが、悪かったのはその時だけですね。フリオ・ボッカの引退公演でした、たしか。とにかく、その時、まわりで踊っているダンサーが、チョー張り切ってカレーニョの倍くらいジャンプするんですよね。僕のバレエの師匠のKさんに言わせると、ABTはそういうところだそうで、ヒロインが不調の時は、アピールするチャンス!とばかりに、プリンシパル以下のダンサーは張り切るらしいです。ヨーロッパの劇場では、それは許されないらしい。でも、昨日の舞台、チーがカレーニョっぽくて、日本人のダンサーがものすごい張り切っていて、ABTの舞台思い出しました。

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今回、誰よりも良かったのは、本島美和。前から好きだったんですが、今回のダイアナの役ははまり役、存在感と立ち居振る舞いの美しいこと。日本のモニカ・ルディエール!と思いました。全く目が釘付けになっていました。

ビントレーの振り付けは、現代の夜会から、出席者が仮装をして夢の世界に行くという構成になっており、二人のゲイのスキンヘッドが、おもしろい役回りをしたり、動きにも複雑さがあり、それでいて置き換えをやりすぎなくて、好感が持てましたが、やはりアシュトン版のほうが、動きが激しく、まさに踊りまくるという感じで好きかなと思います。

僕のようにオペラとバレエを7:3くらいの割合で見るものにとっては、19世紀のフランスのグランドペラのように、バレエの入ったオペラってのは、魅力的ですよね。なかなか今では公演されることも少ないですが、新国立ならできますよね。見たことないですが、アレヴィの「ユダヤの女」なんかはバレエシーン、かなり壮大だそうです。

それにしても、鬼才ドリーブ、4作しか書かなかったなんてもったいない。ラクメの「花の2重唱」など、CMにもよく使われていますから、多くの人が知っていると思います。本当に美しい女性2重唱です。「カディスの女」はめったに聴けませんが、パトリシア・プティポン得意としています。ここで、多分オリンピアでの歌唱が聴けます。http://www.nicovideo.jp/watch/sm4116513

今回のシルヴィア、音楽も良かったです。指揮者のポール・マーフィー張り切ってた感じですね。

最もオペラに近いバレエ(と僕が思う)シルヴィア、堪能しました。

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