プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

本年最後の(多分)ブログ

今年もあと6日。今日は、僕も仕事納めです。

オペラ、バレエの観劇は、2012年は31回の観劇。だいたいこのペースに安定してきました。ただ、今年は世界バレエがあったので、バレエ観劇がやや多く、31回のうち6回です。

本年のベスト10、一応上げてみますね。自己満足的ですが。。

1. シモン・ボッカネグラ 4/12 チューリッヒ歌劇場にて:チューリヒまで行った甲斐がありました。去年から今年にかけて4回見たレオ・ヌッチのうち、最高のパフォーマンス。デル・モナコ(ジャン・カルロ)の演出も素晴らしい。テノールのサルトリ、指揮のリッツィ他、メンバーもつぶぞろい。最前列で見られました。2014年に歌劇場は違うが、シモンが日本にやってくることが決まったようです。マル秘情報。

2.バルバラ・フリットリリサイタル  1/26 言うことなし。リヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」が聴けたのが最高でした。来年も来てベルディの歌曲やりますが、僕は渡欧中。残念

3.ローエングリン   6/1 新国立 フォークトの神の声。なんだ、これは!!こんなヘルデンテノールは聴いた事がない。ということで、来年5月にハンブルグまで聴きにいきます。(4月に日本に来ますけど)

4.ドン・ジョヴァンニ 4/27 新国立 世界最高のジョヴァンニ歌いと言われる、マリウシュ・クヴィエチェンに参りました。ドンナ・アンナのアガ・ミコライも良かった。総じて歌手のレベル非常に高い。騎士長の妻屋さんも良かったけれど、先日のセヴィリアで劇的に痩せていました。大丈夫かなぁ。心配。

5.レオ・ヌッチ リサイタル 11/14 オペラシティ  リサイタル6曲。それもリゴレットの”鬼よ、悪魔よ”を入れるとは。去年に続いて、素晴らしいリサイタル。今年は弦楽が入ってオペラ感が増しました。中音の表現力は10年前より一段も二段もあがっており、70歳を迎えて今が最高のヌッチ。来年のリゴレットは良い席で見たいです。

6.世界バレエA&Bプロ  8/5&14 とにかくオーレリ・デュポンとマニュエル・ルグリが見られて幸せ。「扉は必ず」はこの二人しか考えられない。デュポンとオファルトの「アザーダンス」も素晴らしかった。デュポンはモダンに限るというのが僕の印象。まあ、あと2年クラシックはあまりやらないでしょう。4月にも来日するのでチケットゲットしています。

6.ギョーム・テル 4/12 これも、チューリッヒ歌劇場。メイとシラクーザのコンビと言えば、おわかりになるでしょう。素晴らしいパフォーマンスでした。ペレイラ総裁のシーズンも今年で終わってしまいますね。残念

7.ランメルモールのルチア コンサート形式 11/12 サントリーホール、ナタリー・デセイはこれだけのために来日してくれました。多少疲れが見られたものの、コンサート形式で、彼女のベル・カントを堪能できました。ゲルギエフの指揮も軽快で盛り上がりも素晴らしく、これは安い席だったけど儲けものでした。

8.デジレ・ランカトーレ&セルソ・アルベロ リサイタル 4/14 オペラシティ ドニゼッティ中心のリサイタルでしたが、久しぶりに聴いたランカトーレのソプラノが成熟していてびっくり。ヴェルディも充分行けると思います。そしてアルベロも絶好調、アンコールの清教徒の二重唱素晴らしかった。

9.アイーダコンサート形式:7/27 新国立 ヘーホイ、素晴らしい! 来年3月も彼女でやってほしいなぁ

10. 愛の妙薬 4/10: ウィーン国立歌劇場  ラモン・ヴァルガスがはまり役でした。めっけものは、アディーナ役の若いドリアーナ・クチェロヴァ。しかし、この劇場は場所もいいし、値段も高く無いし、そして何よりオーケストラの音が違う。ウィーンは寒かったですが、満足、満足


番外:エヴァ・メイ リサイタル 9/26 オペラシティ:もう何度も行っているので、期待通り、という感じで良かったのです。だから10位までに入れなかったのですが、アンコールでリヒャルト・シュトラウスのアモールを歌ったのにびっくり。いや、こういうのも歌ってほしいなぁ。エヴァ・メイのツェルビネッタも見たい。


ということで、今年のベスト10でした。

なお、ワーストは 新国立の"セヴィリアの理髪師”で、これが今年最後の観劇というのが残念でした。


来年もよろしくお願いを致します。

草間文彦
スポンサーサイト

ヴェルディを丹念に聴いていこうと思う

最近、ロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティなどベルカントを聴く時期が夏から続いて、それからしばらくワーグナー、リヒャルト・シュトラウスのドイツ勢を聴いていましたが、フルトヴェングラーのワルキューレのところで疲れました。ワーグナーは新しいDVD、まだマイスタージンガーとかパルジファルとかサラッとしか見ていないのがあるのですが、今日、だいぶ前に頼んだ、コンビチュニーのトラヴィアータが来たので、これをきっかけにヴェルディに戻ります。

数えたらトラヴィアータたくさん持っていましたね。16枚というか16公演分。見に行ったのも、一番多い演目で、ここ10年で11回、多分、今年は4-5回行くでしょう。

今まで見たトラヴィアータのベストは2007年チューリッヒ歌劇場で、メスト指揮、エヴァ・メイ、レオ・ヌッチのでしたね。これは凄かった、舞台装置と演出がひどかったが。次は2010年のトリノ王立のナタリー・デセイでしょう。

僕として、夢のキャスティングは.........

指揮:マリオ・ジュリーニ(カラスとやっていたころ)
演出:リリアーナ・カヴァーニ
ヴィオレッタ・ヴァレリー:ナタリー・デセイ      (カバー:ダニエラ・デッシー)
アルフレード・ジェルモン:プラシド・ドミンゴの若い頃 (カバー:ローランド・ビャリソン)
ジョルジオ・ジェルモン:レーナート・ブルゾン     (カバー:レオ・ヌッチ)
フローラ・ベルヴォー:安藤赴美子           
アンニーナ     :藤村実穂子
ドゥフォール男爵:ディミトリー・ホロストフスキー
ドビニー侯爵  :妻屋秀和
ガストン子爵  :佐野成宏
グランヴィル医師:ミケーレ・ペルトゥージ
ジュゼッペ:福井敬
【“ヴェルディを丹念に聴いていこうと思う”の続きを読む】

ヴェルディ&ワーグナーイヤー

来年の両巨匠誕生200周年を祝って、「ヴェルディ&ワーグナー生誕200年祭実行委員会」が発足しました。(していました。)これは、画期的なことだそうですが、名を連ねているのはジャパンアーツを筆頭に、新国立劇場、新日本フィル、二期会、東京音楽祭、日本オペラ振興会、読響、HMVといった、プロモーター、劇場、楽団、公演団体に限られています。ここに、ヴェルディ協会とワーグナー協会がはいればもっといいのに。

僕のようにヴェルディもワーグナーも両方とも聴くような素人ファンは少ないんでしょうか。僕にとては、ヴェルディが一人横綱で観劇の精力の6割方を裂いていますが、大関にはワーグナーとロッシーニ、関脇にドニゼッティとベッリーニ(あくまで個人的な番付です)、小結にモーツァルト、リヒャルト・ストラウス、前頭筆頭にはマスネ、ドリーブ(ラクメしかないが)という感じです。プッチーニが入っていませんよね。プッチーニはメロディは好きなんですが、オペラとしては新派かテレビドラマのようで、ストーリーの満足感に欠けます。日本人のほとんどが好きな「ラ・ボエーム」はDVDすら持っていません。三部作の「外套」は好きですが。

話は戻って、ワーグナーは観劇もしているし、DVDもCDもそこそこあるのですが、なんせ長いのと重い(雰囲気が)で、日曜の朝気軽に朝ご飯を食べながら聴くという感じにならないんですよね。朝ご飯はロッシーニがドニゼッティですね。これならDVD横目に見ながらでも食べられます。

しかし、来年はハンブルグまでマイスタージンガーを聴きに行くので、少し真剣にワーグナー聴いています。まずは、マイスタージンガーをMET&レヴァインで見たのですが、どうもピント来ません。マイルドすぎる。今は、バレンボイム版を聴いていますが、ずっといいですね。でも、やっぱりフルトヴェングラー、ショルティあたりがベストなのかなぁ。メータがバイエルンで来た時も良かったです。

で、とりあえず、フルトヴェングラー、バレンボイムあたりに絞って(この二人は師弟関係ですね、たしか)色々と聞いて行こうと思います。フルトヴェングラーのリングは、CD12枚は、やっと半分聴きましたが、けっこう疲れます。

それと、歌手は男性は、その名もジークフリート・イェルザレムを筆頭に、ドミンゴ、ルネ・コロ、ルネ・パーペ、そしてハンス・ホッター!!その他色々と名前が挙がってくるのですが、女性は?というと、ワルフラウト・マイヤーくらいしかまともに聴いていないのです。で、また古いところに戻って、キルスティン・フラグスタッド(フラグスタートですかね?)を聴き始めています。前にも書きましたが、この人は、最近入れた真空管アンプとデジタルUSB-DACの結合したシステムで、素晴らしい声だということがわかりました。

でも、どうもワーグナーは古いほうに行きますね。

で、ヴェルディの方は、こちらは、もう観劇もDVDもCDもそろえまくっています。2月の藤原の「仮面舞踏会」、3月の新国立の「アイーダ」ゼッフェレリ演出、やっぱりいいですね。堀内康雄のアモナズロがまた聞けます。オペラにこれから入ろうという方には、絶好の豪華絢爛演出です。同じく3月は二期会、安藤赴美子の「トラヴィアータ」、4月はフェニーチェ歌劇場来日でミョンフン指揮グンデ、タイトルロールの「オテロ」、そして神国の「ナブッコ」はザルツブルグにバルトリを聴きに行くので行けなくなりました。残念。切符売らなくちゃ。しかも、旅行の間にフリットリが来てヴェルディの歌曲を歌うそうで、残念至極。でもフリットリは日本には年に1-2回来ているので、絶対来ないだろうバルトリ優先です。

この後はまだ思案中、6月のハンガリーオペラの「トラヴィアータ」エヴァ・メイの方で行きます。6年前にメストと来た時の3幕目のピアニシモが忘れられません。そして、大阪いずみホールで、堀内康雄のシモン・ボッカネグラ。今まで海外まで見に行っていたので、シモンが大阪で見られるなら当然行きます。

で、その後が問題。4月の新国のリゴレットはパスですね。でも、10月のスカラ座来日のヌッチのリゴレットは、手を尽くして良い席で見たいです。ハーディングが振ってくれたほうがいいんですけどね、

あとはトリノ王立が12月に来ますが、「仮面舞踏会」、ノセダは良いとしてキャスト悪くは無いけど、エコノミー券くらいなら行きたいかな。この頃、METかイタリアにヴェルディ中心に聴きに出張しようかとも思っていますし、新国立の演目にもよりますね。

今年から来年にかけては、ヌッチはヨーロッパ各地で「二人のフォスカリ」をやっていますので、これもどこかで見たいです。ムーティーもシモン・ボッカネグラを最近ローマで振って、素晴らしかったとのこと。来日するかもという期待気味のうわさもあります。スカラ座は、来年「オベルト」もやるし、当然、来日での2公演「リゴレット」、「ファルスタッフ」そして、「ナブッコ」、「マクベス」、「仮面舞踏会」、「ドン・カルロ」、「アイーダ」とヴェルディナンバー揃いです。

だんだん小さくなってしまっている、パルマのヴェルディフェスティバル、今年はどうなるのでしょうか?できれば、それにからめて行きたいんです。

あ、あと、藤原がマリエッラ・デヴィーアを呼んでトラヴィアータを9月にやりますね。アルフレードがちょっと、というかかなり何ですが、この前シチリアで聴くはずだった敵をとりたいと思います。トラヴィアータとシモンは年に3回でも4回でも見てあきません。トリスタンは3年に1回くらいにしてほしいですが、でももう5年聴いていないなぁ。

休みの日、オペラ聴きながらこんなふうにチェックしていると楽しいです。僕はバレエも行くので、そっちもチェック。しかし15年くらい前は、同じようにボサノバ、Jazzのライブのチェックしていて、トゥース・シールスマン(Jazzハーモニカの巨匠)を聴きにNYまで行ったり、ジョアン・ジルベルトを3日続けて聴きに行ったりしてたんですから、僕の音楽環境もだいぶ変わりました。

今日は雨です。一日こんな感じで過ごしそう。

CD、DVD年末買いあさり

先週は「セルヴィアの理髪師」でお騒がせしました。そのうち「フィガロの再婚」とか書きそうです。

さて、しばらくオペラがないので......来年1月のシラクーザの「愛の妙薬」までない。なので、来週、暇があれば、新国立のバレエ「シンデレラ」でも見てこようかと思っています。1月7日は、ブベニチェク・ニューイヤーガラ ~カノン~、僕の大好きなパリオペラ座のエトワール(にやっとなった)ドロテ・ジルベール来日です。

ということで、オペラはCDとDVD買いまくりました。昨日まで、HMVが40%OFFの大セールやっていたんです。


■DVD 『ジョヴァンナ・ダルコ』全曲 ラヴィア演出、バルトレッティ&パルマ・レッジョ劇場

■DVD 『アッティラ』全曲 マエストリーニ演出、バッティストーニ&パルマ・レッジョ劇場、

■CD 歌劇《シモン・ボッカネグラ》 ブルゾン(バリトン)サッバティーニ(テノール)

■CD 『トリスタンとイゾルデ』全曲 フルトヴェングラー&フィルハーモニア管、フラグスタッフ

■CD 『ばらの騎士』全曲 カラヤン&フィルハーモニア管、シュヴァルツコップ

■DVD 『マクベス』全曲 パウントニー演出、ヴェルザー=メスト&チューリヒ歌劇場、ハンプトン

■CD キルステン・フラグスタート名演集(10CD)

■DVD 『ジョヴァンナ・ダルコ』全曲 ラヴィア演出、バルトレッティ&パルマ・レッジョ劇場

■CD 『夢遊病の女』全曲 ヴォットー&スカラ座、カラス、コッソット、他(1957) モノ

■CD 『椿姫(トラヴィアータ)』全曲 ネシュリング&パルマ・レージョ劇場、デッシー、スグーラ

■CD 『ニュルンベルクのマイスタージンガー』全曲 バレンボイム&バイロイト、

■DVD 『トスカ』全曲 ジアッキエーリ演出、ボエーミ&カルロ・フェリーチェ劇場、デッシー、スグーラ

■CD 『ノルマ』全曲 ムーティ&フィレンツェ五月祭管、イーグレン、ラ・スコーラ、他

■『夢遊病の女』全曲 M.ジマーマン演出、ピド&メトロポリタン歌劇場、デセイ、フローレス

■CD 『二人のフォスカリ』全曲 ジュリーニ&ミラノRAI響、ベルゴンツィ、グェルフィ、

いやぁ、良く買ったもんだ。まだ数枚しか来ていませんが。一番楽しみなのは、ヴェルディのマイナーなジョヴァンナ・ダルコ、アッティラあたりかな。あれ、レニャーノの戦いも頼んだとおもったんだが。ここらへんのDVDはなかなか良いのがなかったんです。高かったし。この2枚は3000円前後で和訳まで付いてます。

それと、カラスの夢遊病の女、最後のアリアが聴きたい! ワーグナーでは、前からフラグスタッドは聞いていたのですが、なんか古くさいなぁ、と思っていたんです。やっぱり、マイヤーなんかのほうが良いと。

ところが真空管&USB DACのアンプで聞いたら、フラッグスタッドで、フルトヴェングラーが振っているワルキューレのすごいこと!ワーグナーはこれですね。トリスタンとフラグスタッドの10枚組み買ってしまいました。来年はベルディとワーグナーの生誕200周年、お正月から聞きまくります。!

お詫び

昨日までのブログで、「セヴィリアの理髪師」を「セルヴィアの理髪師」と書き間違えていました。なんか、ブラックジョークのようですが、実はオペラが終わったあと、「これは、"セヴィリアの理髪師”じゃないなぁ。”シベリアの理髪師”?、うーん、レベル的には、世田谷の理髪師"?, ミロシェビッチ大統領が出てきたら”セルヴィアの理髪師”?」などと、一人馬鹿なことを考えておりました。そのせいで間違えたもので、故意ではなかったのです。大変失礼しました。筆者拝

「セヴィリアの理髪師」の快楽

柄にも無く、重い話題のブログを書いてしまったので、今日は軽く。。。

セヴィリアの理髪師の予習用に、色々な指揮者や歌手のバージョンのプロダクションを見たり、聞いたりしました。全盤で5枚、Una Voce Poco Faだけだと10個くらいありました。一番重いのは、63年グラインドボーン(行きたい..)のヴィットリオ・グイ、この人はグラインドボーンの音楽監督を長くやっていたと思いますが、彼の指揮で、僕の好きな可愛い声のヴィクトリア・ロス・アンヘルスのロジーナのCD。いや、これはトリスタンが始まったかというような重さ。これはゴッビとカラスのよりも重い。一番軽いのは、2010年に出たバルトリのCD(名盤です)Sospiriに入っているUna Voce Poco Fa、ベルカントの極みという装飾歌唱のこのバージョン、車の中で初めて聞いて、たまげて高速の降り口を行き過ぎてしまいました。

バルトリのセヴィリアのフルバージョンがないかと思ったら、あったんですよ。1988年ボローニャでの、ヌッチがフィガロ、指揮パターネ。なんとバルトリ22歳です。でも、この歳でも圧倒的にうまい。そして、ヌッチが、テノールのようにキラキラした声で素晴らしいです。これ、いくらか忘れましたが、HMVで安いです。DECCA盤、ちなみに1日かけて聞き比べて、一番良くなかったUna Voce Poco Faはゲオルギューでした。まぁ、これは納得ですが。

ところで、私の師匠から教えられて、ようやく合点が行ったのですが、新国立のセヴィリアでは最後のアルマヴィーヴァ伯爵のアリアがカットされていたんです。どうも間が抜けていたと思いました。

「セヴィリアの理髪師」の憂鬱−2

昨日のブログ、ちょっと過激すぎたかなぁ、ウジウジしています。だって、コンスタンティネスク、プラティコはとても良かったのですから、もう少し書き方があったなぁ、と反省。ベルタの与田朝子も良かったし(2005年も彼女でしたね)、出番は少なかったですが、フィオレッロの桝貴志もなかなかでした。彼は、研修所の時から知っていますが、良いバリトンです。だからこそ、アルマヴィーヴァ伯爵を、研修所の後輩(10期)の糸賀修平にやってほしかったなぁ。昨日、ポテリョの名前を、タイポして「歩手リョ」と書きましたが、あえてそのままにしてあります。

で、演出について書かなかったのですが、各ブログともボロクソです。たしかに、1幕目の終わりなど、騒音が多くて音楽の邪魔になっていたところはありましたが、僕は、この演出はなかなか良いと思っています。それで、再演を見に行ったんです。フランコ時代のスペインに置き換えているところがおもしろいですし、その状況が、電柱やスクーター、交換所という看板で(Cambio)、実は女郎屋をやっているところなどが歴史検証良くできていると思います。いつでも、舞台の進行以外のところで、アイロンかけたり、絵のほこりをはらったりしているのが、アンダルシアのゴタゴタした感じと、ロッシーニの「ランスへの旅」的な喜劇性を強調していて、良くできた演出だと思います。芸術的には,,,,,,,,,

しかし、とても気になるのは、フランコ政権下というのは1930年代から1975年代まで続いた、欧米で一番最後まであったディクテーターシップで、多くの罪の無い民間人がスペイン内戦に続く抑圧政治で、命を落としたのです。ナチスなどよりもっと最近のことで、今でもスペインではフランコ政権下に獄中で無くなった夫の未亡人や家族がたくさんいるのです。フランコの話さえ嫌がります。

これは、カンボジアでオペラブッファをやって、劇中にポルポトやクメールルージュの兵隊が出す演出をするのと同じような感じだと思います。

僕は、スペインに思い入れがあり、フランコの生存中、死んだ直後、そして、その後ファンカルロス王が民政に移行する時代、何度も現地に行っています。スペイン人がこの演出を見たら、決して笑わないと思います。ケップリンガーがオーストリア人の若手演出家というのも、うがった見方をしたくなります。

数年前、リヒャルト・シュトラウスのカプリッチョが日生劇場で公演された際も、置き換えでジョエル・ローウェルスという若手演出家が、ナチスに弾圧されるユダヤ人という設定で暗さを強調していましたが、正直なところ、不愉快な気持ちがしました。

カルメンや、仮面舞踏会のボストンバージョンみたいな時代まで行けば、それはもういいと思いますが、まだ、悲しみが癒えない人々が多くいるような歴史のネガティブな事実、特に軍政などをオペラの演出に安易に持って来る、ヨーロッパの若手演出家の考え方には疑問を持ちます。あるいは意図的なのでしょうか?だとすれば、ネオナチ?と思ってしまいます。僕が敏感すぎるのですかね。

僕のブログは、匿名でなく、名前からプロフィールすべて丸出しにしてあります。ですから、こんな過激なことを言っても許してください。

新国立「セヴィリアの理髪師」の憂鬱

「XXXの憂鬱」というタイトルのブログを時々アップするようになってしまいました。勘三郎の逝去での落ち込みを、振り払おうと期待して行った今日の「セヴィリアの理髪師」、今帰ってきましたが、結論から言うと「癒やし」の効果は薄かったです。

僕は、自分のブログを書くときも、オペラを観劇する時も、他の方の書いたブログは、見ないようにしています。プログラムも買うことがありますが、読むのは終演後家に帰ってからです。でないと、素人に毛が生えたくらいの、僕のレベルでは、予断が入ってしまうのです。ただ、公演に行く前の1週間くらいは、色々違う演奏を聞き比べます。それが、下準備の勉強です。

ところが、今日は、新国立に開演2時間半前に着いてしまい、喫茶店でやることもなかったので、「セヴィリア」のブログを色々と見てみました。概して、指揮者と、フィガロ役のイェニスの評判が良かったようですが、実際、終演しての感想は、この二人が、ロッシーニの傑作を台無しにしたという感じを持ちました。まず、指揮者のモンタナーロ、以前に蝶々夫人では聴いていて、それなりに良かった印象があるのですが、セヴィリアの序曲が始まった時に愕然としました。平坦で、立体感のない演奏、ロッシーニのもつワクワク感が無い!。管楽器も弦楽器も、音量同じで上がるか下がるかだけ。音が被さってきて、ピチカートやクレッシェンドが交差する立体感がないんです。昔の重厚なワーグナーみたいな指揮でも、今の軽い古学的な指揮でも、この立体感はロッシーニならではです。まるで、バロックの室内楽みたい...は言い過ぎか。でも最後まで、そういう演奏でした。

「セヴィリア」は曲が少なく、レチタティーヴォが多いので、いざ曲が始まるときには、ワクワク感が気持ちを高揚させるんです。それが最後までなかった。

そして、イェニス。この人は、ロッシーニ歌うべきではないですね。一声目から、”ド”ヴェリズモ声です。その声を無理無理ロッシーニのベルカントっぽくしようとするので、指揮と同じく平坦になってしまう。歌うアナウンサー。ま、行きがけの車で、ヌッチとバルトリのCDを聴いていたのも悪かったとは思いますが。。

なんとか、この演目を救ったのは、バルトロのブルーノ・プラティコと、ロジーナのロクサーナ・コンスタンティネスクです。プラティコについては、説明はいらないでしょう。超ヴェテランのバリトン。数週間前の、ヌッチのリサイタルの時に既に来日していて、聴きにきていました。歌ういかたは知り尽くしていて、演技ができる余裕があった、タダ一人の歌手。ロクサーナは、まだまだこれからという感じの若手ですが、自分の実力を良くわかっていて、その範囲内でベストな歌唱をしてくれました。アジリタ、装飾などまだ物足りないところがありますが、音程は非常に正確で、ウナポコ(Una Voce Poco Faをこう個人的に呼んでいます。うなぎとたぬきの混じったキャラクターみたいですが)は相当練習したんじゃないでしょうか。とにかく一生懸命で気概が伝わりました。基本的にベルカントなんでしょうが、ウナポコの途中の "Ma!"の表現が、全くマリア・カラスdした。机たたくところまで。声質はややくぐもった感じありますが、それでもすがすがしい声でした。

伯爵の歩手リョは....すみません。コメント無しです。カヴァーの新国立研修所卒の糸賀修平君の甘いテノールのほうが、ずーっと良いです。(ピーター・グライムズにも出てましたが) 変わって欲しかった。

ロッシーニ、詳しくないのに、こんな断定的なこと書いていいんでしょうかね。でも、ここ2年間で1ダースくらい見た新国立の演目の中では、最低だったと思います。小高さんと、飯盛さんの間に落っこちゃったんでしょうか。

それと、これも定かではないんですが、なんかアリアとかカットされてませんでしたか? 何か抜けている、何か短い。。勘違いかな。

ロッシーニ協会の会員の方に、今日の感想聴いてみたいです。僕はヴェルディ協会会員ですので、間違っていたらごめんなさい。

言いたいこといいまくりのブログになってしまいました。

勘三郎逝く

ああ、勘三郎が亡くなってしまいました。僕の人生の中で、大好きだった先代勘三郎と18代目が二人亡くなったことになります。僕が初めて歌舞伎を見に、母に連れられて歌舞伎座に行ったのは、多分小学校4-5年の頃だったと思います。父母とも、歌舞伎が大好きで、今の僕と家内がオペラを見るように、歌舞伎にはまっていました。で、切符が余ったんだと思います。でなければ小学校で歌舞伎には連れて行ってもらえないでしょう。その時の演目なんかは覚えていませんが、先代の勘三郎と、勘九郎(今の勘三郎)が出ていたんです。で、母に「あなたより年下なのよ」と言われて、こりゃ、すごいもんだと思ったのを強烈に覚えています。何か時代物だったような気がします。

それからしばらくして高校から大学の間、けっこう歌舞伎にはまりました。とにかく先代の勘三郎、大好きでした。名勘三郎は先代も、今も世話物でしょう。そこに、アドリブをどんどん入れる。政治や経済、スポーツの話などつぶやいて、客席まで降りてくる。その頃、そういう江戸時代風の世話物をやれるのは、先代勘三郎しかいませんでした。

先代は「中村屋!」ともかけ声がかかりましたが、住んでいた渋谷区宇田川町にちなんで「宇田川町!」というかけ声、これは大向こうから常連の客が時々かけていました。これが格好良かったなぁ。住まいの名前で呼ばれていたのは、あとはやはり先代の尾上松緑の「紀尾井町」くらいでした。(訂正→勘違いしていました。宇田川町は歌右衛門(6代目)への掛け声でした。ここにお詫びと訂正)

勘九郎は、その親のセンスを全部見事に受け継いで、素晴らしい役者になりました。時代物の忠臣蔵なんかもいいけど、やっぱり世話物がいいなぁ。最近はオペラばかり行っていて、歌舞伎は2年に一回くらいしか行きませんが、4-5年前の歌舞伎座の寺子屋の松王丸、そして新作「ふるあめりかに袖はぬらさじ」の置屋の親父、玉三郎のお園とのやりとり、いや、泣けました。新作でこんなのがあるのとびっくりしました。

正直、この世代横並びになっている、他の人気役者の中でも、群を抜いてうまいと思います。

フェイスブックで知り合った、関西の演劇評論家の方が、ワーグナーは時代物、ヴェルディは世話物と呼んでいて、これはぴったりと思いました。僕はさらに、プッチーニは新派で、バロックオペラは能か文楽と思いますが、僕は歌舞伎でもヴェルディ派。世話物が大好きです。でも、好きだった、富重郎も芝翫も鬼籍にはいってしまい、今、勘三郎が57歳の若さで去ってしまった。先代は70代後半まで舞台に立っていました。なんとも残念です。e116443dfe9a79a4b2e1cc30f8caaa04.jpg

FC2Ad