プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

明日は「愛の妙薬」シラクーザ

明日は、12月のセヴィリア以来の新国立。「愛の妙薬」です。この演目、ドニゼッティのオペラとしては、そんなに好きな方ではないんですが、シラクーザのネモリーノを聞いてみたいと思います。去年の4月にウィーンでラモン・ヴァルガスで聞いているので、その比較もしたいですね。どちらかと言えば、シラクーザよりラモン・ヴァルガスのほうが声の質としてはネモリーノにあっているような気がするんです。ネモリーノって、「人知れぬ涙」という名曲はあるけど、比較的単調な歌が多く、聞かせどこが少ない気がします。むしろ、アッディーナやドゥルカマーラ博士のほうが有名なアリアはないけど、うまい下手が、オペラのパフォーマンスを決定づけます。ウィーンでの、アドリアーナ・クチェロヴァはとても良かったです。明日の、ニコル・キャベルには期待したい。
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大阪いずみホール "シモン・ボッカネグラ”

2013-2014の新国立のラインナップがあまりにも不満足なものなので、今年は海外と大阪に行くことにします。2013年01月26日12時38分15秒

一時代前の歌手達

最近、仕事部屋にUSB-DACシステムと真空菅アンプを入れて、音楽を聴く状況が、劇的に改善されたため、今まで圧縮度を上げて128のMP3で録っておいた音源を全部新しいものに入れ替えている。大変な作業(CDの枚数も半端ではないので)なので、仕事の合間に左手でやってます。

その過程で、しばらく聴かなかった昔の歌手を聴き直すことになっているのだけど、5-6年前に集中して過去の栄光の歌手を聴いていたころと印象がだいぶ違う。たとえば、昔はジュゼッペ・ディ・ステファノがお気に入りだったのだが、今聴くとものたりない。音程が不正確なのと、表現力に乏しいのだ。声の質はとても好きなのだけど、やはりドミンゴのほうが数段上と思う。カラス、テバルディは印象は変わらず、「やっぱり、すごい!」につきる。カラスのカルメン、ステージ録音でないせいっもあるが、バルツァより好きかもしれない。ただ、カラスは2-3時間聴くと疲れます。テバルディはその点、ずーっと聴ける。

テノールでは、昔はあまり気付いていなかったのだけど、ベルゴンツィが素晴らしいと思う。彼のアイーダ、師匠に勧められて聴き直したが、すごい!声もすごいが、音程と、声の押さえ方、様式感、まさに高貴な感じがする。バレエだとホセ・カレーニョか? デル・モナコは相変わらず、すごいと思うのだが、やはりこの頃の歌手はあまり音程を気にしない、(観客も気にしない)傾向があるようで、そこらへんが気になることがある。

シモン・ボッカネグラを歌わせたらカップチルリと言うのが定評で、それはそうだと思うのだが、では今のレオ・ヌッチとどちらが良いかと言われれば、表現力ではヌッチの歌い方のほうが好きだ。バスティアーニもすごいと思うが、バリトンに関しては、やはりヌッチのほうが上かと思う。

ソプラノで聴き直して、いいな、と思ったのは、ビクトリア・デ・ロスアンヘルス。艶のある美しい声。彼女のトラヴィアータとても良い。

ドイツ系では、ソプラノが昔の歌手がすごいと思った。久しぶりに聴いたシュワルツコップ。やはりリヒャルト・シュトラウスは素晴らしい。そして、ワーグナーはフラッグスタッド。現代のワルトフラウト・マイヤーもすごいが、フラッグスタッドの迫力はすごい。ドイツのソプラノで昔の人が光るのは、"ベルカント”が無いせいかもしれない。

あと、改めて感嘆したのは、ハンス・ホッター。彼のヴォータンは、本当に神だ。天から降ってくるような声。

などと昔の歌手を聴いた後に、バルトリ、デセイ、ダムラウ、など色々な人(まだ今はソプラノ比べの段階、時間かかります)の歌を聴くと、本当におもしろい。イタリア系は今の歌手のほうが好きかなぁ。エヴァ・メイは相当に好きです。大きな声の素晴らしさではなくて、ピアニシモの素晴らしさ、これが彼女の魅力。

それにしても思うのは、12月のセビリアを聴きに行った時のこと、(書きかけ)

新国立はどこへ行く?し

新国立劇場の2013-2014シーズンの演目が発表になりましたが、僕を含めて、まわりは、ブーイングですね。ここ数年で一番ひどいのではないか? あ、もちろんオペラの話ですよ。バレエはなかなか良いのです。

小高さん最後のシーズン、手抜きでしょうかね。「指揮も演出もしない音楽監督が、発音もできない歌手を集めて、すべて外人に丸投げして、ベルディイヤー、ワーグナーイヤーであることも忘れて、八方美人(かなり年増の)プログラムを作った」というのが、僕のまわりの総意見です。

正直、見たいと思う演目は「死の都」くらいかな。

9月にスカラ座でヌッチのリゴレットをやるのに、すぐその後、リゴレットでスタートするのも解せないし、ワーグナーがひとつもなく、最近やったばかりのアラベッラとかヴォツネクとか、新鮮味がない。カルメンなんか毎年やっているのでは。

この件、またゆっくり書きます。

それとお話ししたかも知れませんが、こんなイベントを逗子でやります。お近くの方どうぞお出かけ下さい。

http://www.ogasawara-gakuen.com/sub_a44ev.htm



ついに「シモン・ボッカネグラ」が日本で!!!

朗報です。前から何度か告知はしておりましたが、正式にキャストも発表になりました。大阪いずみホールでの「シモン・ボッカネグラ」の公演です。6月22日16時開演

http://www.izumihall.co.jp/schedule/concert.html?cid=504&y=2013&m=6

もう、このブログになんど書いたことか、、僕が一番好きなオペラです。ストーリー、脚本、音楽が、非常に洗練されていながら、非常にイタリア的で上質です。名誉というイタリア人が大事にするものが、後半にかけて心に響きます。そして、その向こうにヴェルディの名誉と、ヴェルディの考え方と生き様が見えてきます。ベルディとピアーヴェとボイトの最高の合作だと思います。

ジェノヴァから見たリグリアの海は、今もきれいなのでしょうか?

日本で初めて上演されたのは、NHKのイタリアオペラの1976年の公演で、あのピエロ・カップチルリの公演でした。その頃はボサノバばかり聴いていたからなぁ。全く興味なかったです。

で、それからずーっと公演されなくて、もしかすると2001年のフェニーチェ来日の時までされていない? びわ湖ホールでもやりましたけど、とにかくヴェルディの作品の中では、非常に公演回数が少ないです。もちろん、27もあるヴェルディのオペラで、日本でほとんど公演されていないものは他にもありますが、ことシモンに関しては、今や世界でけっこうブームなんです。ヌッチもしょっちゅう歌っているし(去年チューリッヒで聴きました)、ドミンゴも(METまで行きました)、ホロストフスキーでさえ(サンフランシスコに行きました)。なのに日本ではかわいそうな扱いだったのです。

大阪のいずみホールえらいですね。決して大きいホールではないそうですが、過去にも"カルメル会の修道女”、春琴抄、カーリュウ・リバー、隅田川、ランスへの旅など、意欲的な公演をやっているんですね。

今回は日本が世界に誇るバリトン、堀内康雄さんがタイトルロールです。もちろん行きますよ。家内と泊まりがけで行きます。皆さん、大阪なんて、チューリッヒ行くより全然近いですから、是非見に行って下さい。このオペラはやみつきになります。深いんです。

DVDでもアバド指揮カルロ・グェルフィのタイトルロールでフィレンツェの5月祭のDVD出ていますが、これも良いです。フロンターリのも見ましたが、これはいまひとつでした。

堀内さん、シモンの他にも、二人のフォスカリやナブッコやシチリアの晩鐘や色々日本でやってほしいなぁ、と欲張ったことも考えてしまいます。

さ、みんなで6月は大阪いきましょう!

河原忠之(プロデュース・指揮)

シモン・ボッカネグラ:堀内康雄
アメーリア・グリマルディ:尾崎比佐子
ヤコポ・フィエスコ:花月 真
ガブリエーレ・アドルノ:松本薫平
パオロ・アルビアーニ:青山 貴
ピエトロ:萩原寛明

ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団
ザ・カレッジ・オペラハウス合唱団

逗子でヴェルディ生誕200年祭り

今日は簡単に、、

こんなことやることになりました。成り行きでそうなっちゃったんです。

http://www.ogasawara-gakuen.com/sub_a44ev.htm

逗子に近いところにお住まいの方、是非入らして下さい。(有料ですが)

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イタリア・オペラの巨匠 ヴェルディ生誕 200周年記念
知っていると10倍おもしろい オペラ入門 セミナー

講師 草間 文彦
第一回目 2月16日(土) 13:30~14:40
◆ オペラにロマンを与えた名作「椿姫」は実話だった!
椿姫は実在した女性で、今もパリのお墓には赤い椿の花が絶えません。しかし、椿姫は本当に「姫」だったのか?なぜカラヤンはスカラ座の椿姫でブーイングになってしまったのか?過去、現在の色々な演出と歌手、指揮者を比較。椿姫の秘密とイタリア・オペラの魅力を明かします。また、日本の劇場で良い席を安く取る方法なども伝授いたします。

第二回目 3月23日(土) 13:30~14:40
◆ ヴェルディ・オペラ の楽しみ方
● 今年日本で最も多く上演される名作。バリトンの頂点「リゴレット」。パヴァロッティから日本のイケメン歌手までが歌うマントヴァ公。
●盗作されたヴィクトル・ユゴーが不覚にも涙した四重唱とは?
● イタリア統一運動に火をつけた名作「仮面舞踏会」。プラシド・ドミンゴの十八番。
なぜ?舞台がボストンのものとスウェーデンのものが2つ存在するのか?

●2013年最後に来日するトリノ歌劇場の豪華な キャストは?
● オペラを楽しく見る4つの準備。
● 劇場で「ブラヴォー」のかけ声を掛けてみましょう。
● 「アイーダ」、「ナブッコ」など今年日本で上演されるヴェルディの演目を中心に今年公演予定の名作をご紹介いたします。


一度は行ってみたい
イタリアの歌劇場外観。
それはそれは立派です!


装飾も見事な観客席

受講料 各 2,000円/70分
2回セット受講の場合は3,000円
ご予約が必要です。
講師: 草間 文彦

日本ヴェルディ協会会員、東京理科大学大学院「著作権とライセンス」非常勤講師、過去10年で200以上のオペラ公演を見、著作権とオペラの研究をしています。国内の歌劇場はもとより、スカラ座、メトロポリタン、ウィーン国立、ハンブルグ国立、サンフランシスコ、ロサンジェルス、ザルツブルグなど数々の海外のオペラを訪れています。


ヴェルディの肖像画と草間先生

オペラのブログ「プロヴァンスの海と土を少し」  http://provenzailmar.blog18.fc2.com/
主宰、著書に「実践ライセンスビジネス・マネジメント」 (2009日本経済新聞出版社刊)


CASA VERDI



ヴェルディがなくなったホテル

ジュゼッペ・ヴェルディ・・知るヒトぞ知る素敵なお話
左写真はCASA VERDI(音楽家の憩いの家)。今も世界で一つだけの音楽家のための老人ホームなのです。ヴェルディは晩年一緒に仕事をしてきた演奏家や脚本家が恵まれない生活をおくっていることに心を痛め音楽家が入れる豪華な老人ホームを自費で作りました。ヴェルディの意思は受け継がれ現在でも約50人の老音楽家が住み、学生に声楽や楽器の演奏を教えながら日々を暮らしています。

ヴェルディは気難しい人でしたが自分の莫大な遺産をすべてこのような事業と自分のもっていた土地の小作人に与えてなくなりました。ベルディが亡くなったときCASA VERDI(沿道)には25万人の人が集まり、820人の合唱団が歌ったという話はヴェルディの人気ぶりとお人柄のよさがうかがえますね。

生誕200周年!今年はヴェルディの足跡をたどって見ませんか?

TUTTO VERDI

ヴェルディファンの間では、今、2つの"TUTTO VERDI(全部ヴェルディ)”の話題に花が咲いています。ひとつは、衛星放送のクラシカで今年、ヴェルディの27作品すべてを1年かけて放映する"TUTTO VERDI"。もうひとつがこの写真の、イタリアで発売されたばかりの超豪華ブルーレイディスク集と装丁本ボックスの"TUTTO VERDI"。

後者の方を、先週入手したお話ししました。開けてびっくり。
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LPレコードが入っているのかと思いましたが、中身はなんとカラフル。ブルーレイのディスクの色がイタリアン! ドイツでもヴェルディと同じく、今年が生誕200年のワーグナー全集とか出ているのでしょうか? まさかこんな色にしたら、ワグネリアンが怒りますよねー。

僕はイタリアのデザイナー(故)エンリコ・コベリの仕事もやっているんですが、コベリからもらうカタログみたいです。

びっくりしたのは、27演目、すべてが2000年以降のもの。一番新しいのは2012年のパフォーマンスもありました。しかし、やはりレオ・ヌッチは5作品で主演に出ています。そして2008年にレーナート・ブルゾンが歌っているんですねー。

なんかもったいなくて、すぐには見られない感じ。環境を整えて、明日から視聴開始します。

パリ・オペラ座の香り:ドロテ・ジルベール、

今年の初芝居は、ばれえ”ブベニチェク・ニューイヤーガラ ~カノン~” at オーチャードホールでした。ちなみに、ここ数年の初芝居は......
2012:ラ・ボエーム 新国立
2011:トリスタンとイゾルデ 新国立
2010:歌舞伎、春の壽、車引 歌舞伎座
2009/2008:New Year GALA 新国立
2007:ランメルモールのルチア(ランカートレ)

というう感じですね。バレエが初芝居というのは初めて。年の終わりがナットクラッカーということはあったと思いますが、、、

「ル・スフル・ドゥ・レスプリ~魂のため息~」
「トッカータ」※日本初演
「牧神」※日本初演
「プレリュードとフーガ」※世界初演
「ドリアン・グレイの肖像」※日本初演

ブベニチェクの双子の兄弟が振り付け、音楽、舞台まで全部やっていたんですが、キャストはこんな感じ

イリ・ブベニチェク (ドレスデン・バレエ / プリンシパル)
オットー・ブベニチェク (ハンブルグ・バレエ / プリンシパル)
エルヴェ・モロー (パリ・オペラ座バレエ / エトワール)
ドロテ・ジルベール (パリ・オペラ座バレエ / エトワール)
アルセン・メーラビャン(スウェーデン国立バレエ / プリンシパル)
ラファエル・クム=マルケ(ドレスデン・バレエ / プリンシパル)
カテリーナ・マルコフスカヤ(元ドレスデン・バレエ / プリンシパル)
ヨン・ヴァイエホ(ドレスデン・バレエ / ファースト・ソリスト)
アンナ・メルクロヴァ(ドレスデン・バレエ / ファースト・ソリスト)
ヤニック・ビトンクール (パリ・オペラ座バレエ / スジェ)
クラウディオ・カンジアロッシ(ドレスデン・バレエ / セカンド・ソリスト)
ドゥオシー・ジュウ(ドレスデン・バレエ / コリフェ)

そんなに、すごいスターがいるわけではないんですが、ブベニチェク兄弟のゲイッぽい振り付け良かったです。

とは言え、僕のお目当ては、オペラ座のエトワール ドロテ・ジルベール。これは最高でした。エルヴェ・モローと二人で、このペアは、全くパリ、パリのオペラ座でした。ジルベールは、僕はスジェのころから注目していたんですが、手の先まで優雅、どちらかと言うとクラシックを得意としているイメージ(ジゼルなど)なんですが、今回世界初演のヤナーチェクの「プレリュードとフーガ」、良かったです。まだ、デュポンのように、彼女の名前だけでは客が呼べないのでしょうが、これからが楽しみなエトワールです。

TUTTO VERDI

先日は1月2日だと言うのに、バレンボイムのシモン・ボッカネグラへの腹立ちで、新年のごあいさつも忘れてしまいました。改めまして、あけましておめでとうございます。今年も「プロヴァンスの海と土を少し」をよろしくお願いします。ヴェルディ生誕200年、今年は生家を見に行きたいとおもっております。

とりあえず、年始のオークションで、ヨーロッパで発売されたばかりの、27枚のブルーレイのヴェルディ全集、"TUTTO VERDI"入手しました。今、この白い全集はアマゾンでも売り切れとあって、気合いが入りすぎてけっこう高く競り落としたんですが、この写真のようにばかでかい箱でした。で、HMVには茶色い箱のものが、1月31日に発売予定でで「3枚買えば」という例のセールで¥49,800-で予約受付中で、果たして、白いのと茶色いの、どう違うのかと想ってました。th-DSC01503 のコピー

で、商品が届いてみたら、白いのはケースで中身が茶色、つまり同じ商品だったんですねー。参ったなぁ。1万円以上高く競り落としてしまった。。皆さん、気をつけましょう。

ま、ヴェルディへの供養だと思ってあきらめます。31日にHMVで発売開始になる前にせっせと見なくては。

ところで、初芝居は、オペラではなくて、バレエに行きました。オーチャードホールの"カレン by ブベニチェク”。パリオペラ座のエトワール、僕の大好きな(オーレリ・デュポンの次に)ドロテ・ジルベールが素晴らしかったです。この話は週末に。。

スカラ座はどこへ行く?

年末に、NHKのBSでスカラ座の特集を4晩連続でやりました。僕は、シモン・ボッカネグラと、ジークフリート(まだ半分)を見ました。カルメンは、演出家にすごいブーイングだったそうですね。そこをそのまま流してしまうREIはおもしろいですね。もしかしたら、毎回ブーイングで、ブーイング無しのパフォーマンスが無かったのでは。

ここでは、僕が愛してやまない、”シモン・ボッカネグラ”についてちょっと話します。結論から言うと、”バレンボイムはベルリンに帰れ!”ということになるんですが、それだけで終わってはブログにもならないので、もう少し書きます。2012-2013のヴェルディイヤーを、なんとローエングリンでスタートしたスカラ座。まあ、ワーグナーイヤーでもあるので、色々と理屈をこねていますが、そこらへんは加藤浩子さんのブログ http://plaza.rakuten.co.jp/casahiroko/の「スカラ座の「らしからぬ」オープニング」をご覧下さい。

まあ、でもバレンボイムのローエングリンは悪いはずはなく、僕はスカラ座のオープニングをローエングリンで見たくなかっただけです。(ドイツの劇場であれば、拍手喝采ですが)パスしましたが(実はチラ見した)、キャストも相当なもんだし、良かったんでしょう。

でもね、でも、あの”シモン・ボッカネグラ”は最悪でした。何が最悪か。。これを語るのが難しいのですが、楽曲のパフォーマンスとしては良いんですよ。だから最悪なんです。完全にワーグナーの”シモン”になっている。曲の過剰な膨らまし方、歌唱の最後の伸ばし方、テンポを自由に変えて、情感を盛り上げるやり方、うまいですよ。でも、これって、日本の宅配ビザのおいしいやつって感じなんです。つまり、本物のピザじゃなくて、お手軽に、味の判断レベルを落として「ま、これも悪くない」という感じ。

シモンは聴けば聴くほど、その奥深いヴェルディがオペラに込めた意思がわかってくる、そんなとっつきの悪い演目なんですが、僕は海外で3回、DVDやCDでも色々な指揮者と歌手のパフォーマンスを聴きました。指揮で一番良かったのは、アバド、タイトルロールでは、ヌッチです。いずれにしろ、このオペラには、リグリア海の海賊だったシモンが陸に上がって、ジェノヴァの総督になり、結局は毒殺されるのですが、敵を皆許して、リグリアの海に戻っていくというオペラで、指揮者には、リグリアの海の波の音のような、インテンポなトーンが求められると思うのです。そして観客が感動する以上に、音楽が盛り上がりすぎてはいけない。音楽はあくまで美しい波のようにオペラを支えるのです。演出でも必ずリグリアの海がバックになります。

しかし、バレンボイムのシモンはトリスタンかマイスタージンガーのように、指揮と音楽で、聴衆を盛り上げてしまうのです。これなら、はじめてシモンを見た人も、それなりに満足するでしょう。しかし、スカラ座はピザ屋で言えば、イタリアの本格ピザ(南と北ではちがいますが)を出す、最高のピザ屋なんです。つまり最高のヴェルディを提供する、ヴェルディの劇場なんです。ここで、宅配ピザか、マクドナルドのクォーターパウンダーみたいな、シモンボッカネグラをやるのは許されません。味の分からない人には、スカラ座屋のピザなんだから、間違い無く本物のピザだと思われてしまうことだってあるでしょう。バイロイトでイタリアの指揮者が、イタリア感覚のズンパッパみたいなワーグナーをやって、しかもオープニングはリゴレットだった、みたいな話ですね。それでも、ドイツのオペラ初心者は感嘆するかもしれませんが、真のワーグナーファンはそれを許すでしょうか?


バレンボイム、僕は彼のワーグナーは大好きです。ワーグナーを聴くなら、故人ならフルトヴェングラー、今生きている指揮者ならバレンボイムが最高だと思います。この人たちを聴いたら、悪いんですけど、今度の新国立の音楽監督になる飯盛さんでさえ、バイロイトで指揮棒をふるどころか、助手しかできなかったのが良くわかります。(飯盛さんに限らず、日本人にワーグナーは振れないという感じがします。カイベルトみたいに、トリスタンを振りながら死にたいと言っていて、その通りになるようなものすごいパワーを入れるには、日本人は淡泊すぎます。)

そういうバレンボイムが、スカラ座の監督になった時点で、もうスカラ座がおかしくなってきているんですが、超一流の指揮者が、本人が好きでもないヴェルディをいじくりまわすと、オペラを良く知らない人は、「ヴェルディはこういうものか、なるほどすごい。」みたいになっちゃう危険があります。アメリカ人が緑茶に砂糖を入れて飲むのをオーケーと言う、またそれをグローバル化という方には、それはけっこうですが、僕はそのレベルまで落ちたくありません。

フランス人の渡り鳥総督(と師匠が言っていました)とバレンボイムにいいようにされているのは、スカラ座の音楽監督は超一流でなくてはいけないからなんです。でも、寿司屋にカレーの巨匠を連れてくるよりは、ノセダ、ルイジ、なんならカルロ・リッツィでもいいんじゃないですか? 

今年のスカラ座の来日もヴェルディのリゴレットとファルスタッフですが、この鳴り物入りの公演に、バレンボイムが来ない? 今から舞台の袖で転倒するか、古傷の右腕が痛み出す予定があるんですかね。スカラ座の音楽監督が、日本への公演に、それもスカラのヴェルディの公演に来ない? 日本のオペラファンも随分と馬鹿にされたものです。あるいは本人もバレンボイムも、ヴェルディを振るのは不得意だと自認しているからでしょうか?それなら、音楽監督なんかやめなさいよ言いたい。ベルリンだけだって忙しいのだから。でも、バレンボイムが来なくて、ホッとしているのが本音なんですけどね。

去年の僕のオペラと声楽のリサイタルの観劇は20数回でした。多いと思われる方もいらっしゃるでしょうが、唯一の趣味ですから、週に1回のペースで行きたいと思っているんです。去年は、3年に一度の世界バレエがあって、これを全部見たりして、バレエへの浮気が多く、フィナンシャル的にオペラまで資金が回らなかったす。しかし、最後にテレビで、こんなに腹の立つ公演を見せられるとは思いませんでした。スカラ座のブーイングは、あまりにもヒステリックだと思うことが多いですが、このシモンの後のバレンボイムへのブーイングがひどかったのは、当然でしょう。

バレンボイムのファンの方、さっきも言ったように、僕も今でもバレンボイムのファンです。ですから、この過激なブログを読んで、すぐに怒らないで下さい。彼が日本でトリスタンとイゾルデを振った時は、熱が9度あったのですが、這ってNHKホールまで行きました。バレンボイム、パーペ、マイヤー。至福の一時でした。また、彼が日本でワーグナーを振るときは絶対に行きます。彼のワーグナーは作曲家の意思を120%理解し、150%表現していると思うからです。

でも、これはスカラ座に限った話なんです。最高の寿司にカレーをかけるのはやめてください。私も日本寿司協会の会員なんで、本当にそう思うのです。

ヴェルディ、ワーグナー生誕200年の年が始まる。

2013年が始まりました。あけましておめでとうございます。

ちょうど、衛星放送のウィーン楽友協会からのニューイヤーコンサートを見終わったところです。このコンサートにも、ヴェルディのドン・カルロとワーグナーのローエングリンから一曲づつ入ってましたね。こんなのは、このコンサートでは初めてでは。それにしても、後半のヨハンジュニアの「劇場のカドリーユ」って、解説でも言ってましたが、ベルディのぱくりですね。ほとんどリゴレット。この頃は著作権なんて、こんなもんだったんですね。大学院の授業で使わせてもらいます。っっm
春に楽友協会には行ってきたので、なんだか親近感がましました。

メストの指揮は、思った通り、ゆったりと華麗な感じでした。しかし、昨年、10月右肩が痛くて来日中止ってのは、ガセじゃないでしょうかね。色々なうわさがありますが。指揮者というのは、聴く物からすると、指揮者個人の性格も含めて好き嫌いが決まるもの。今のところ、メストは今ひとつ評価が決まらない。というか、生で聴いたのは2008年の来日の時のトラヴィアータだけですから、音楽的にもまだつかめませんね。

明後日のNHKの新春オペラ。今年はすごいですよ。ベルディ、ワーグナー中心なんですが、そこになんと、ロッシーニの「ランスへの旅」の14重唱が、日本最高と言っても良いキャストで入ります。これは滅多に聴けない。僕も、ゲルギエフが指揮をしたのしか生で聴いていませんが、素晴らしいものです。こういうトライを新国立でもやってほしいなぁ。

今年は、そういうわけで、ヴェルディ、ワーグナーの良い公演が続きます。そこで、僕もそのご紹介ということで、こんなのをやります。ご近所の方、どうぞ起こし下さい。ま、実は、僕が習っていたイタリア語の教室が生徒不足で存亡の危機にあるため、なんとかイタリア語の生徒を集めようというボランティアなんですが。

http://www.ogasawara-gakuen.com/sub_a44ev.htm

ま、色々とおもしろいことをやっていきたい、2013年です。




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