プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

夏まっさかり!

暑いです。昨日のランカトーレのリサイタル良かったみたいですねー。大阪も素晴らしかったとのこと。彼女は強い声という印象がありますが、今ではベルカントも身につけて本当に深みのある歌を聴かせてくれた、、、と、聴いた知人はみなだ絶賛!しかし、僕は行けなかった。(涙)インターフェロン治療開始まで1週間切りましたので、それまでにできるだけ仕事をやっておかないといけないんですよね。ランカトーレは今年3月のパルマでの真珠取りのレイラも降板されたし、今年は縁がなかったと思うしかないです。でも彼女もマチャイゼとともにフランスオペラを歌える数少ないソプラノの一人、またラクメなんか聞かせてほしいものです。

で、これからの話しですが、今月は7月31日に、僕の大好きなバリトン上江隼人さんのリサイタルが紀尾井ホールであります。主にベルディを歌いますが、スティッフェーリオを得意とする彼の歌は楽しみ。先日のリナ・ヴァスタさんのリサイタルの時のドンカルロの2重唱、いや本当にうまいなぁと思いました。まだ若いので、これからがとても楽しみです。日本でも充分にやっていける実力派ですが、あえてミラノに住み勉強しているのです。ヴェルディへの造形の深さはすごいものがあります。

来月は、日本の暑い夏、お盆にデュポン来日です。勅使河原三郎の新作 「睡眠 - Sleep -」を踊ります。僕は8月15日と17日、2日チケット取ってます。これまでには副作用も落ち着くでしょう。

その後の決まっている観劇もいつになく少ないのですが、、

9月6日:ドン・カルロス(フランス語版5幕)、これは絶対見逃せませんね。一日しかやらないのがもったいないですが、イタリアから今旬のバスバリトン、カルロ・コロンバラが来ます。彼は今年モデナでのシモンでフィエスコを演じ、ヌッチと素晴らしい舞台を作りました。ロドリーゴには堀内康夫さん。フォンテンブローの森の第一幕の入る、このフランス語版が上演されるのは珍しく、僕も過去には一度しか見ていませんが、ストーリーが良くわかります。

ただ、問題はこの日テアトロ・ジーリオ・ショウワで”リゴレット”も上演されるんです。ドンカルロスが15時からリゴレットが18時からで両方は見られませんが、両方ともチケットを取っています。リゴレットはジルダに高橋薫子さん。困ったなぁ。 今のところ、なんとかロドリーゴとカルロスの二重唱(第3幕)まで見て、池袋から百合ヶ丘に移動しようかと思っています。なにも同じ日にやらなくてもいいのになぁ。高橋さんのジルダも聞き逃せないんです。彼女はそんなに多く歌うわけではないのですが、何年か前の「夢遊病の女」の素晴らしさが今も「経験」として残っています。

そして、10月はクプファー演出でプラチナチケット化している(してないか。。)新国立のパルジファル。久々のワーグナーですね。ワーグナー協会員でもあるんですが、もう2年くらいワーグナー見ていないような気がします。そして11月は同じく新国立のドン・カルロ、こちらはイタリア御4幕版。飯盛新監督、ベルディもけっこうやってくれますが、やはり後期物が多いですね。藤原のラ・ボエーム、バルバラフリットリのミミ、はどうしようかなぁと考え中です。

そして11月28日はレオ・ヌッチのリサイタル。今年はイタリアから3人の伴奏者を連れてくるそうです。これは、ちょっとした大イベントになるんですよ。まだ秘密ですが。 

あと目をつけているのが、10月25,26日の新国立中劇場での「戯れの饗宴」ジョルダーノですね。珍しい!11月9日に近場のよこすか芸術劇場でサバッティーニが指揮して「愛の妙薬」があるんですが、ナビゲーター付きが五月蠅いのでこれはパス。

10月のモンテヴェルディ「ポッペーアの戴冠」もそそりますね。タイトルロールのロベルタ・マメリってどうなんでしょうか? 9月にはエヴァ・メイも来ます。でもこれより、昨日のランカトーレのほうが良かった感じだなぁ。そして考え中は10月11日のびわ湖ホールのリゴレット。堀内康夫、福井敬、幸田幸子、谷口睦美と国内ベストキャスト!これはツァーもあるのでこれに便乗しようかとも考えています。

海外は今年後半は行けるかどうか微妙ですが、ロイヤルオペラでのリゴレット、キーリンサイドを一応考えています。出張からみなのであまりチョイスがないんです。この時にオシポーワのマノンもありますが、こっちのほうが期待できるかな。

色々と考えていますが、今年後半は治療中の身になりそうなので、どの程度行けるのかは体調によりますね。

一方、今年前半、今迄聴きに行った公演では、一番はロサンジェルスオペラでのドミンゴ、マチャイゼのタイスでしょうか?今年は今迄でまだ20公演というスロースペースの観劇ですが、バレエは"当たり”が多く、新国立のカルミナ・ブラーナ、オペラ座のモロー、デュポンの椿姫の2つの公演が素晴らしかったです。デュポンは来年ついに引退ですね。5月のマノンが最後らしいですが、何でマノンなんでしょう。彼女だったら、ル・パルクか椿姫ではないかと思うのですが.....ケネス・マクミランのマノン、彼女のイメージではないんですけど。でも本人が望んだのかもしれませんね。相手役は未発表ですが、エルヴェ・モローでしょう。フライト予約しなくては。いや、その前にチケットが手に入るかどうかです。

今日はこれでおしまい。
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忙中閑あり...かなぁ?

なんか忙しいです。7月はまだ一回しかブログアップしていませんでした。国内の公演もだんだん行けなくなってきました。先週のホフマン物語まで、今年は23公演行っていますので、いつもより10%ダウンくらいですが、これから年末まではだいぶ減りそうです。

大学の仕事も自分の仕事も1年前に予想していたよりもずっと忙しい(60歳過ぎたらヒマになると思っていた)のに加えて、持病として20年以上大切に持っているC型肝炎のインターフェロン治療もやることになりました。これで3回目。3度目の正直かなぁ。いつか完治することを信じて小型のワインセラーに美味しいボトルを取ってあります。

そんなわけで、車の中のオペラシアターでもゆっくり選んで序曲から聴く余裕がないです。ハンズフリーに電話がどんどんかかってくるし。こういうときは、オペラのソロだとやはりバリトンですね。バリトン。最近はヌッチのヴェルディバリトンアリア集ばかり聴いています。それに僕自身も曲をプラスしてプレイリストを作りました。そうしたら意外と二重唱が良い。

頭が仕事のことでいっぱいでも、この歌を聴くとオペラの世界に引き込まれる第一位は、ドンカルロとロドリーゴの二重唱「われらの胸に友­情を」ですね。これはたまらんです。特に、ドミンゴとヌッチの二重唱、アバド指揮スカラ座.....なにをかいわんや。。

真珠取りのナディールとズルガの二重唱も素晴らしいですが、やっぱり即舞台にワープするのはヴェルディですね。

どうやら2重唱は、そういう効果(仕事からいきなり音楽の世界に引き込む)があるようです。ラクメの花の二重唱もソプラノ、メゾですがいいですし、ノルマとアダルジーザの2重唱も良い。

全然違いますが、ブラジル音楽では、トッキーニョとジルベルト・ジルとか、ボニー・ボウデンとグラシーニャ・レポラーセとか.....

今月は7月31日に上江隼人さんのバリトンリサイタルがあります! これだけが今月のこれからの楽しみ。翌日からインターフェロン。。。。


大野マエストロが編み出す「ホフマン物語」

リヨン歌劇場の「ホフマン物語」楽日を見て来ました。何度も書いていますが、去年の新国立のホフマンから、パルマの真珠取り、LAでのタイス、そして今日のホフマンとフランスオペラをこんなに良く聴いた時は無いと思います。

今日のホフマンは新国立のものとは、作り方も解釈も演出も全く違うもの。「舟歌」や「きじ鳩は逃げた」のような美しいフランスオペラならではの曲調によりかかることなく、ホフマンの苦悩とミラクル医師に代表される「悪」の面を押し出したように感じました。それに合わせるようにローラン・ペリーの演出は黒を基調にした重苦しい感じ。大野マエストロの指揮も先日の横須賀での演奏会のペトルーシュカや展覧会の絵、マ・メール・ロワの軽い感じとは全く違って、かなり荘厳な雰囲気でした。会場であったフランスオペラにとても詳しい知人によれば、彼の持っているCDのどのホフマンよりもテンポが遅いとのことでした。

圧巻だっったのは、テノールのジョン・オズボーン。一昨年、ザルツブルグでバルトリのノルマでポリオーネを熱演して好印象があったのですが、完全に軽いベルカントなので、ホフマンをどう歌うのか気になっていたのですが、実にフランスっぽい、内向的で悲しみを含んだ素晴らしい声を出していました。ベルカントっぽいのも歌えて、フランスものも歌える、、うーん、マチャイゼがまさにそれですね。フランス物というとアラーニャが思い出されますが、オズボーンは最高のホフマンだったと思います。ホフマンの悩み、狂気を余すことろなく表現していました。

その点で、ややものたりなかったのは、オランピア、アントニアなど4役を歌い分けたパトリシア・チョーフィ−。まず、出だしの高音がふらつき、アリアでは高音を動かすのが得意ではないようで、安心して聴いていられない感じがありました。デセイのレベルを期待していましたが、オランピアに限っては幸田浩子のほうが良いと思いました。

ただ、アントニアになってからは素晴らしく、中音での感情表現はグッとくるものがありました。特に父親とのやりとり、3幕目の出だしは彼女が盛り上げ、その後ミラクル医師のアルバロ、オズボーンがからみ、感情表現のぶつかり合いで、5幕中白眉でした。

だから歌手は良かったんですよね。何か違和感を感じるのは、オズボーンがニコライ・ゲッダばりのフランス声、チョーフィーがベッリーニみたいなベルカント、アルバロがルネ・パーペみたいな"ユニバーサル・バリトン”というのがややアンバランスでしょうか?ま、それを言ったら5月のドミンゴとマチャイゼのタイスも妙なコンビなんですけど。

多くの登場人物がいて、その関係がよくわかり、一人一人の心理を掘り下げたという面では素晴らしいと思うのですが、終わった時に感じたのは「長かったぁ」というのが本音。このオペラにテンポ感はあまりいらないと思うのですが、あまりにも重苦しい雰囲気で、主役は「悪」かという感じを持ってしまったせいでしょうか?ところどころに日本語を入れてオッフェンバックっぽいジョークもあるのですが、ワーグナーを聴かされたような気分がしました。

ローラン・ペリーの演出は、この未完のオペラで最後にホフマンを生かします。しかし、ただでさえあまり良くできているとは思えない4幕、5幕の台本と音楽を締めくくるには、ホフマンが死んだ新国立版が良かったと思います。

これをきっかけに、日本でもフランスオペラもっとやってほしいですね。マイヤーベーアとは言いませんが、マノン、ロミオとジュリエット、ユダヤの女、美しきパースの娘、ラクメあたり5連発でお願いします!!

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