プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

マチャイゼに会いたい秋

今年は2月の真珠取りと5月のタイスで、グルジア出身の今が旬のソプラノ、ニーノ・マチャイゼにやられてしまい、以降彼女のスケジュールばかり気になっています。ヌッチとシラクーザ以外でこんなにスケジュールが気になる歌手はいません。「やられた」という感じになったのは、デセイを聴いて以来かも。

でもって、マチャイゼは来年2月にフォルヌヴィル伯爵夫人役(多分)でアムステルダムの歌劇場(珍しいですね)で、ロッシーニの「ランスへの旅(指揮:モンタナーリ)」に出演決定。切符はまだ未発売ですが、もう飛行機予約しました。この週はウィーンでヌッチのシモンがあります。これはチケット取りました。すでにアロケーションかかっていましたが、なんとか取れてラッキー。だって、あとのキャストがフィエスコ:フルラネット、アドルノ:ヴァルガス、そしてアメーリアがフリットリ。NHKホールのかたきが取れます。ただ、指揮者がフィリップ・オーギャンってのがちょっと?なんですが。ワーグナーっぽい?

そして、もうひとつロンドンでのアンドレア・シェニエも見て来ます。カウフマン。家内のリクエスト。

マチャイゼは9月にはLAでトラヴィアータをやります。LAオペラのことはほとんど日本の方のブログには出ませんが、なかなか良いのです。タイスもLAで聴き、マチャイゼの相手役アタナエルはドミンゴでしたが、トラヴィアータでもジェルモンはドミンゴです。「ドミンゴ劇場」と最初は、やや馬鹿にしていたんですけど、何回か聴くとここで聴くドミンゴはいつもものすごいです。気合いがはいっています。そして何より良いのはMETではスターになろうとするけど、LAでは音楽監督なので、マチャイゼなどの若手を育てるために、ちょっと後ろに下がるんです。そして、指揮者のジェームズ・コンロンが素晴らしい。地味な指揮者ですが、実に品がある。観客と演出がやや品が無いのが残念ですが。

しかし、9月は個人的にはニュージーランドに「ロード・オブ・ザ・リング」の旅に行くので、LAには行けないでしょう。そうすると11月にハンブルグで、なんとルイーザ・ミラーに出るのですよ。こっちのほうが魅力的。

予算も考えずに妄想に耽っています。
スポンサーサイト

ファルスタッフ at サイトウキネン~オペラへの愛

“ファルスタッフ” at サイトウキネン〜オペラへの愛

今年で”サイトウキネン“としては最後となる松本でのフェスティヴァルでの “ファルスタッフ”に行ってきました。期待以上に素晴らしく、想像以上に感動した、というのが正直な感想。まったく素晴らしい公演でした。

マエストロ ファビオ・ルイージ、最近では去年10月にスカラ座でドン・カルロを聴きました。今、考えて見るとその前もその前も彼の振ったのを聴いたのは、皆 ”ドン・カルロ”?METとスカラで振っているのでそうなったんでしょうね。カルミナ・ブラーナも聴いた気になっていましたが、あれはストリーミングでした。そこらへんの曲のイメージがあるせいかい、ルイージと言うとバッティストーニやマリオッティ、そして、今騒動になっているトリノ王立のノセダなどのイタリアの指揮者に比べて、やや重厚という印象を持っていたのですが、今日は指揮棒を振ったとたんに、凄い音が出てきました! “キレキレ”というとバラエティ番組用語みたいですが、本当にエッジの効いた、それでいて繊細、軽いところはあくまで軽く、そしてテンポも早いのです。Ⅰ幕目から、音楽に吸い込まれました。そして最後までそれが続きました。また、オーケストラが本当に良くマエストロの意図を汲み取って音を出していました。すごく練習したんでしょうね。終演後に、ピットの中で演奏者が皆握手して廻っているんです。なので今日が楽日かと思いましたが、そうではない。それだけにこ感動的でした。

去年のスカラ来日のハーディングのファルスタッフの指揮も良かったですが、今日のルイージの指揮に比べてみると、「”ウィンザーの陽気な女房たち” をイギリス人が振っているのよね。」という感じがあります。で、今日のは「イタリア人がヴェルディを振っている、そんでもって半分くらいはボイートが乗り移っている!」という感じ。これDVDかCDにならないですかね。ホント名演だったと思います。

歌手のほうも素晴らしかったです。名が通っている(というか僕が知っているのは)、マッシモ・カヴァレッティ(フォード)、とこの前ランカトーレとのデュオリサイタルを聞き損ねたパオロ・ファナーレくらいでした。しかし全歌手のレベルが本当に高かったです。カヴァレッティは最初から最後までステージをリードする力を持っていました。アリーチェ役のスペイン人ソプラノ、マイテ・アルベローラは、ややメゾっぽかったですが、素晴らしく安定しています。そして、自分の魅力の出る部分を良くしっていて(中音ですね)、そこをアピールする。実に魅力的。

メグのジェイミー・バートンはベッリーニからワーグナーまで幅広く歌っているようですが、表現力豊かなメゾでこの役に絶対必要な演技も素晴らしい。

びっくりしたのは、ドクター・カイウス役のラウール・ヒメネス。どっかで聞いたなぁと思ったらヌッチのセヴィリアやってますね。けっこうな歳だと思いますが、素晴らしいテノールの美声を聞かせてくれました。演技はこの人が一番うまかったなぁ。ベテランの余裕というところでしょうか。

タイトルロールのハワイ出身のクイン・ケルシー。出だし、声が安定しませんでしたが、徐々に調子を上げました。圧巻だったのは3幕でテムズ川から逃れて風呂にはいってぼやくところの独唱が、哀れな感じと、自分自身を鼓舞する様子がとても良く表現されていました。Bravo! ただ、この1年で見て来たファルスタッフがマエストリ、ブルゾン(80歳近いんですが、ブッセートで去年聴きました)という大物だったので、彼等に比較すると「大酒飲み」の巨漢のファルスタッフと言うよりも、「だまし討ちにあっちゃうかわいそうな小太りおじさん」という感じでした。ですので、後半に彼の魅力が出ましたね。

それにしても、歌手達の重唱や演技も相当の練習をしていると思います。最後の夜の森のところではただでさえ狭い舞台にローソクをかざした子供達が登場し立錐の余地もないようなところを、踊るように動き回って歌います。良くぶつからないものだと思いました。

この演出は、タングルウッド以来の小澤の友人、デヴィッド・ニースによるものですが、クラシックで質が高く、松本という美しい町での公演に相応しいものでした。最前列で観劇したので、舞台装置が本物の木や生花を存分に使っていることがわかりました。そして、廻り舞台や移動装置がないので、幕ごとの大道具はカーテンの向こうで人的移動、それもかなり大がかりな、、、をしているはずなんですが、物音が殆どしないんです。

フィナーレのフーガ、10人の歌手が勢揃い。やっぱりすごいレベルなことを痛感。ロッシーニ歌手もいるので、もう少しそろえば “ランスへの旅“の14重唱も出来そう。で、このフーガ、歌と音楽の一体感が素晴らしい。終わる前から立ち上がりたくなりました。

初めて行ったサイトウキネン、数時間の滞在でしたが満足は1週間続くでしょう。

そして、音楽祭を支えるスタッフの人たちのことも書かずにはいられません。観客として行ったので、会場案内や、カタログの販売をしている方々としか接しませんでしたが、本当にこのフェスティバルと音楽、オペラを愛していて、観客を暖かく迎えてくれます。長いカーテンコールが終わって、ホールの外に出てくると、スタッフの方々が列を作って観客に「有り難うございました」と声をかけて見送ってくれるんですよね。これにはウルってきてしまい、「いや、有り難うございました。」と返しました。

インターフェロン治療の中、ロキソニンを飲んで解熱しながらの観劇でしたが、素晴らしい感動は病も治します。

今日出会ったすべての人々に感謝を捧げます!

サイトウキネンフェスティバル行き

インターフェロン治療の効果のほどはまだわかりませんが、副作用は落ち着いてきたので、オペラ観劇再開です。この治療やっているときは長いオペラは辛いですね。何度も話しますが、前回の2007年にNHKホールでバレンボイムがトリスタンとイゾルデ(ワルフラウト・マイヤー!)を振ったのを聴きましたが、休憩入れて5時間。解熱剤飲んでも9度くらい熱があって、いやー、ホントトリスタン和音に溶け込みました。今迄聴いたワーグナーでは最高でしたが。

9月6日の仏語5幕版ドン・カルロスリゴレットの2連戦も行けそうです。ただ、どこかは切れてしまうので、ドンカルロの最初の休憩あたりで池袋から百合ヶ丘に向かわないとダメだと思います。

それと、10月11,12日に同じくテアトロ・ジーリオ・ショウワで藤原の「夢遊病の女」があります。何度も見たプロダクションですが、藤原のこのベッリーニは安定しているので、是非行かなくては。.......と、この.....の間にゆりフレンズの窓口に電話してセブンイレブンでチケット取って来ました。便利なものです。

では、次ぎにブログを書くのは、日曜日の松本からの帰りのあずさ号の中でしょう。

オーレリ・デュポンX勅使河原三郎「睡眠」2回目

 タイトルに「勅使河原三郎xオーレリデュポン」と書きましたが、これはあくまでデュポン贔屓の僕の書き方で、この公演の主役はあくまで勅使河原三郎でした。勅使河原は、な、なんと御年61歳!僕と同じ歳。とてもそうは見えない外見と鋭い動き、とどまることのないスタミナ、息をのむ表現力の豊かさは鬼気迫るものがあり驚愕です。演出のすべて、美術、音楽、ライティング、衣装をすべて自分でやる彼のスタイルは、実に緻密な舞台を作っていました。特に細かいアクリル板を上下させて、そこに光を当てる舞台作りは本当に美しかった。

 勅使河原は、昨年の秋にもオペラ座のために「闇は黒馬を隠す」という作品を作っていました。キリアン、ブラウンと彼が3つの現代作品を演出したわけで、彼の実力がどれほど欧州のバレエ界で認められているかがわかります。その時はデュポンはジェレミー・ベランガールと彼の作品を踊ったとのことで、それが今回の公演に伏線としてつながったようです。

 それにしても、バカンスは絶対に長く取るフランス人のデュポンが、その休みの多くをつぶして日本でのこの1時間20分の作品に参加するというのは異例でしょう。世界バレエ以外で8月のスペシャルな公演と言うのはあまり覚えがありません。来年の5月20日のガルニエ宮での「マノン」を最後にエトワールを引退する彼女の新しい道が今回の勅使河原との踊りの中に見えるでは、と期待して2日目の15日と楽日の17日に観劇しました。

 デュポンは、昔はルグリ、そしてル・リッシュ、最近はエルヴェ・モローを相手役に、モダンバレエの舞台を数多くやっています。特にノイマイヤーやキリアンなどの難しい動きを完璧にこなし、その存在感のある踊りは他のエトワールの追随を許さないと僕は思っています。今年の3月に来日した時の椿姫(相手役は男でも惚れそうなエルヴェ・モロー)は彼女の生の舞台でもベストのひとつでした。http://provenzailmar.blog18.fc2.com/blog-entry-432.htmlあとは、僕が大好きなのは、プレルジョカージュ振り付けの「ル・パルク」とキリアンの「扉は必ず」。特に後者は彼女とルグリの最高傑作だと思います。https://www.youtube.com/watch?v=PHRM8HbqKqM

さて、今回の「睡眠」は、僕としては初めて見るデュポンの完全コンテンポラリー、そして珍しく、パートナーと手も触れないフリーなバレエでした。過去に ”Dancing at gatering” などの素晴らしい「一人バレエ」の作品はありますが、今回も彼女の豊かな表現力、舞台全体を支配する”ノーブル”とも言える比類無き気品、そして何より静止している時に「空に浮いた静止」と、「地にのめり込む静止」の2つの重量感を使い分けているように感じられるほどのすごい存在感が、彼女の魅力として充分に舞台を支配していました。これにはうなるほど感動しました。

ただ、何か他のダンサーと違うんです。勅使河原とは、その違うところで異質な者同士がマッチして新しいものを生み出していると感じるのですが、(睡眠できない男とそれに導くデュポンというイメージ?)、佐東、そしてあと二人のKARASのダンサーとは、踊りの動きが近いだけに、明らかに違うその動きの差が気になるのです。これは、一緒に観劇に行った僕の長年の知人で、自身もコンテンポラリーのダンサーであるMs. Y.H.に、あとで解説を頼みました。彼女いわく、デュポンのようにクラシックの基礎を習得していダンサーは、「重心を高く保つ」、また「胸の呼吸は閉じている」ことが身についている。これはコンテンポラリーのダンサーとは逆だそうです。ですので、デュポンは他の3人の女性ダンサーよりも腰高に見える。そして激しく手を宙に挙げる時も、他のダンサーは勢いを付けて、肩を一旦少し下げてから手を出すのに対し、デュポンは何の前触れもなくスッと手が上がる。

 こう言ったところは、オペラ座の他のダンサーと踊っていると全く違和感が無いのですが、この舞台に限って言えば、デュポンが自身は意図しなくても、舞台上を覆うように作っている彼女の「結界」とも言える部分が土星の輪のようにデュポンの踊りについて回ります。これに対して、低い重心で地からわき出てくるようなKARASのダンサーがその結界に入れないでいるように感じました。

 そして、もう一つ不思議だったのはパンフレットの表紙やキャストの写真には、デュポンの衣装は白い糸くずが垂れたようなけっこうセクシーなものだったのに、この日はリクルート用みたいな黒いパンツと普通のブラウス。何か、急に衣装が替わったような気がしないでもなかったのですが、これはY.H氏によると、去年のオペラ座の衣装だそうです。パンフレットの表紙は眠りの精のようなデュポンとそれに引っ張られんとしている勅使河原の写真が黒いバックに浮き出しているのですが、けっこう誤解を生みますね。公演後、帰る観客の間からも「衣装どうして?」という声は多く聞かれました。本来、写真の衣装を使うつもりだったのでしょうか?でなければ、あれだけの露出で衣装をアピールしているのは不自然です。僕は、デュポンは最もドレープが似合うダンサーだと思っていますので、この衣装でも見たかったという願望はあります。

 15日の公演で感じたこの異和感をそのまま持って、17日の東京での最終日のステージに臨みましが、今日のデュポンは15日よりもずっと自由に、周りを気にせずに踊っている印象を受けました。15日にはやや未消化な感じを受けたKARASのダンサーと一緒に踊る部分は、もっと合わなくなっていましたが、「合わせよう」という意識がなくなった分、彼女の結界は素晴らしく美しく、まさに水を撒いたばかりの庭のようになっていました。

 Y.H.氏によれば、クラシックで一流のダンサーがコンテンポラリーをやるためには、相当の新しい練習をしなくてはならないとのこと。オペラ座出身でも、ギエムやジル・ロマンなどベジャール派の人はオペラ座にいた時からそういうことをやっているので、すぐにコンテンポラリーに移れたのでしょうが、デュポンはあくまでクラシックが下地です。(彼女のDVD「オーレリ・デュポン 輝ける一瞬に」などを見ると良くわかります。

 オーレリには来年の引退以降も、先週完全引退を49歳で発表したギエムの歳まで、あと6年は踊ってほしいもので。しかし、実際に踊れる場を考えると、やはりかっての「ルグリと仲間達」のようなスペシャルなプロモーション的な舞台がふさわしいのではと思います。コジョカルだって自分の「仲間達」とプロジェクトをやっているくらいですから、デュポンが望みさえすればそのような場は持てると思います。15日の舞台を見たときは、彼女が新たにコンテンポラリーに挑むのかなと思ったのですが、今日の舞台では全くそれを感じませんでした。今、既に完成されている彼女の美しい踊り、ダンサーとしてだけでなく「人間」を感じるその存在自体を変える試みはしてほしくないですし、おそらくしないでしょう。

一方で、彼女はインタビューでも家庭への復帰を漏らしています。2度の産休を経て踊ってきた彼女は、子供達と夫、ベランガールとの時間を多く取るようになるのでしょうか? そうなると、主にオペラ座で教えながら時々チャンスがあれば踊るという程度の露出になってしまうでしょう。

 今回の「睡眠」への出演が、彼女にとってもしかすると、ひとつの決断をするきっかけになる可能性は充分にあると思います。新しい方向性を見つけてくれれば、この舞台は彼女の新しい「夜明け」になるようでしょうし、そうでなければ「夕暮れ」になってしまうかもしれません。そうするとやっぱり来年5月のガルニエ宮での「マノン」は行くべきでしょうか?

 それにしてもクォリティの高い公演でした。勅使河原三郎の公演自体を作る構成力はすごいものがありますね。前から6列目と、バレエではベストの席ではありませんでしたが、デュポンを堪能するにはベストシート。S席で7,000円-。€55,00-です。9月にフランス語版のドン・カルロでまた行きますが、日本のMETも頑張ってくれています。ちなみに、この公演、まだ名古屋と神戸で一公演づつあります。新幹線代をかけても見に行く価値がありますよ。

あと、ペーザロのロッシーニフェスティヴァル、現地の色々な方々から情報が入ります。来年は行きたいなぁ.....欲望限り無し。。。。



オーレリ・デュポンx勅使河原三郎「睡眠」

休みをばっちり取るフランス人がバカンスをつぶして来日(?)し、挑んだ新しいコンテンポラリーバレエの世界。いや、なかなかのものでした。初めてと言ってよいデュポンのフリーのバレエ。そのレベルは高かったのですが、勅使河原とKARASのダンサーとの基本的なダンサーとしての動きの違いに違和感が。あるいは、それは異なる2つのものの出会いなのか? はたまた、来年5月の引退を控えたデュポンがバカンスをつぶしていどんだ意欲作は、彼女の新しい夜明けなのか? それとも夕暮れなのか?

今日だけでは理解しきれませんでした。17日の公演にもう一度行ってきます。そして、ブログをアップします。

http://www.st-karas.com/sleep/

レオ・ヌッチを聴く!

レオ・ヌッチ!70歳を過ぎて現役、かつ最高のイタリアンバリトン、ヴェルディバリトン。今年は11月に来日します。http://www.tokyopromusica.jp/concert/concert_20141128.html
今回はロッシーニやベッリーニも歌ってくれます。たしか2014-2015シーズンはどこかでセヴィリアに出るはずです。どこだったかな?調べなくちゃ。

ヌッチは、今とにかく聴けるだけ聴いておきたい歌手ですね。最近衰え気味だった中高音部がまた輝いてきましたし(3月のシモンではびっくりしました)、表現力はますます凄い! 最近の "Si Vendetta" なんか神業としか言えない域に達しています。彼はわざと音階をはずすんですね。それもかなり。ただ、それが感情の発露として聞こえるので(それを意図している)、全然おかしくない。しかも感情を入れる歌手の陥りがちな「やり過ぎ」にならないんです。それが全幕を通じて聴けるのが「シモン・ボッカネグラ」。私の若い知人は、今年から来年にかけて、ヌッチのシモンをどこまでも追っかけるそうです。

とりあえずは10-11月のスカラ座。これがおもしろいのは、タイトルロールがヌッチとドミンゴのダブルキャスト。スカラ座ならではの豪華版。ドミンゴの時はバレンボイムが珍しく振ります。この二人は若い時イスラエルでとても親密だったんですね。で、ヌッチは当然バレンボイムでは歌いまでん。ステファノ・ランザーニです。その他のキャストは次の通り

SimoneLeo Nucci (31 Oct.; 2, 5, 9p Nov.)
Plácido Domingo (6, 11, 13, 16, 19 Nov.)AmeliaCarmen Giannattasio (31 Oct.; 2, 5, 9p Nov.)
To be determined (6, 11, 13, 16, 19 Nov.)FiescoAlexander Tsymbalyuk (31 Oct.; 2, 5, 9p Nov.)
Orlin Anastassov (6, 11, 13, 16, 19 Nov.)Gabriele AdornoRamón Vargas (31 Oct.; 2, 5, 9p Nov.)
Fabio Sartori (6, 11, 13, 16, 19 Nov.)PaoloVitaliy Bilyy (31 Oct.; 2, 5, 9p Nov.)
Artur Rucinski (6, 11, 13, 16, 19 Nov.)PietroErnesto Panariello

で、ヌッチとヴァルガスは、来年1月のウィーンでも聴けます。

Leo Nucci | Simon Boccanegra
Ferruccio Furlanetto | Fiesco
Ramón Vargas | Gabriele Adorno
Barbara Frittoli | Amelia

これすごくないですか!おそらく史上最強のシモン。まだ指揮者は決まっていないようですが。。ティーレマンというのは無しにしてほしいなあ。

フォスカリも歌うと思うので要チェック。ヌッチのウェブサイトには全然スケジュールが載っていないんですね。

ただいま自宅療養中なので、こんなことやってます。

モシモシ、クズキリ

マルコス・ヴァーリと言っても知っている方は少ないと思いますが、ボサノバの第2世代の歌手として活躍した(まだ活躍しているか...?)ブラジル人。ワルター・ワンダレイと共演したサマーサンバや、デオダートとの共演で知られていて、歌も英語のものが多く、あまりボサノバのイメージが無かったのですが、おとといのFMで彼の佳作”moshi moshi”が流れたそうで、家内が教えてくれました。いや、僕もこんな曲があるの知らなかったです。なかなか良い曲。軽くてなんと言っても夏っぽくて葛切り食べたくなります。

この曲は他にも、”オス・カリオカス”も歌っています。これもいいなぁ。

https://www.youtube.com/watch?v=EMIOFGINKDM

でも、とりあえずヴァーリのアルバム"Ensaio"をAmazonで発注しました。歌詞もとても素敵です。ここに訳があります。(8/5追記:アルバムは到着したんですけど、この曲は入っていない!おかしいなぁ??) 

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1490597764

ボサノバの第一世代は、ジョアン&アストラッドジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビン、ヴィニシウス・モライス、ナラ・レオン、ワンダ・サー達ですが、第2世代はセルジオメンデス以外あまり知られていません。そもそも第2世代と付けたのは僕なので、あくまで便宜上ですが。。。カルロス・リラ、トッキーニョ、カエタノ・ヴェローソ、クァルテートEMCY、ジルベルト・ジル、エド・ローボなど、、あまり知られていないアーチストが多いんです。(第一世代だってジョビンとジルベルトを除いたら知られてないですよね)

ということで、時々はYou Tubeにリンクして曲を紹介していこうと思います。

ご心配おかけしております、肝炎のインターフェロン治療は金曜日から始まりました。熱は微熱程度まで収まってきましたし、何より前2回にくらべてだるさが少なくて、これなら1週間休めば通常勤務に復帰できそうです。あとはC型肝炎が完治すると良いんですけどね。

上江隼人バリトンリサイタル

お目当ては休憩後の”スッティエーリオ”だったのですが、前半の歌曲の2曲目、スカラルッティの歌曲「私を傷つけるのをやめるか」で既ににウルウルしてきました。低音から高音までむらなくが美しい! 口から玉のように声が出てきて観客の目の間ではじける感じ。非常に輝きのある声です。感情が自然に込められていて感動せざるをえません。ヌッチの若い時を彷彿とさせました。



イタリアで頑張っているだけのことはあるなぁ、うまくなったなぁとつくづく思いました。美しいイタリア語の発音(と言っても当方にそれほどの耳がないのですけど)、安定した音程。どの音階でもピアニシモが美しい。決して張り上げない声。バリトンの高音は”筒のような”声になりがちですが、彼の声は”珠玉”です。そして情感の入れ方は全くイタリア人。後半のジェルモン役でヴィオレッタの腕を掴むときの力強さ、スティフェーリオのスタンカー役で娘リーナの手をとって下手に引っ張っていくところなど、まるでオペラの中に入り込んでいました。6月のリサイタルでのロドリーゴ役でのカルロとの二重唱でも、一曲でオペラの世界に入り込んで行ってすんごい歌を聴かせてくれました。

彼がリサイタルで変身するとき、近くにピアノがあるとそこに手をかけてちょっと横を向いてうつむくんですね。スーパーマンの電話ボックスです。これで「へんしーん!」

まだ若いですから、これからが本当に楽しみ。イタリアの大劇場でのデビューも遠いことではないでしょう。その前に、来年2月にバッティストーニ指揮のリゴレットのタイトルロールがあります。1日しかやりませんからどうぞ聴き損なわないよう。。

FC2Ad