プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ヴェルディのテノール

イタリアからは、ヴェローナでの音楽祭の話題が毎日のように届いて来ます。アリーナでバッティストーニが振った「アイーダ」がすごい反響です。バッティの指揮もですが、グレゴリー・クンデのラダメスが好評! ヴェルディ協会の武田雅人さんが、現地より速報レポートを送ってきています。是非ご覧下さい。

http://vsj-official.sblo.jp/article/161433344.html
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世界バレエフェスティバル Bプロダクション

さて、先週のAプロに続いて、Bプロに行ってきました。どちらのプロダクションを期待していたか?それを言うのは難しいところですが、Bプロでは5月にオペラ座で見損なったエルヴェ・モローとオーレリ・デュポンのマノンがあるので、どちらかというとBプロに惹かれていた感じです。前から6列目という良い席が取れたので始まる前から興奮!ここらへんの席になると、廻りは関係者っぽい方、美しいジュニアのバレリーナ(小学生くらい?)が多いです。もうだいぶ慣れましたが、この日のように家内と一緒でない時には、なんか居心地が悪いです。

 例によって出演者の変更は多々ありましたが、クォリティは全く落ちていません。ちなみに、今回の第14回で初めてA,B両プロとも4時間を超えたそうです。16日のガラ公演は6時間になるとか!こうなると観劇も体力勝負ですね。歌舞伎の昼、夜の部を続けて見るのも体力いりますけど。。。

 今回は、下記のプログラムで良かったと思うものには☆印を付けました。まず、椿姫のパ・ド・ドゥが第1幕、第3幕、両方見られたのは幸せでした。マリア・アイシュヴァルトは元シュツットガルトバレエのダンサーです。41歳という年齢はデュポンやジュリー・ケントよりも若いのですし、テクニックも素晴らしく「元」と紹介されるのには早すぎる感じです。ハンブルグバレエのアレクサンドル・リアブコのコンビネーションも素晴らしく、この情感溢れる場面を堪能させてくれました。

 タマラ・ロホが、珍しくノイマイヤーを踊るということで、注目していた3幕のパ・ド・ドゥ。動きはとてもシャープでスピードも速く、デュポンのそれとはだいぶ違っていました。パートナーのアルバン・レンドルフよりもクィックなんですよね。ロホはやはりクラシックで見たいというのが本音ですが、この日は、彼女の「新境地を開く」という意欲がみなぎっていました。

 そして、デュポンとモローのマノン、寝室のパ・ド・ドゥ。もう言うことありません。やっぱりボッレよりモローのほうが一段上です。男が見てもかっこいい。まあ、この二人を10数メートルのところで見ただけで、この日のチケット代は償却した感じあり。体全体、特に後ろ姿、背中、脚、手先での演技が素晴らしいです。この二人のコンビはこれからも見られる野でしょうか?是非、そうして欲しいです。

 ルグリの「こうもり」での動きも凄かったですね。Aプロの「フェアウェル・ワルツ」と違い、走るわ跳ぶわ!この日もっとも拍手が多かったようです。それに比べると、マラーホフの動きの鈍さ。おなかはへっこんでいましたが、もしかしたらサポーターで締め上げているのではと思うほど動きませんでした。これはAプロの「オールド・マン・アンド・ミー」でも同じでした。

 今迄あまり見たことがなくて、この日感嘆したのは、マルセロ・ゴメスです。優雅!ヴィシニョーワを立てて、自身も素晴らしいテクニックを披露していました。フリオ・ボッカがいなくなり、ホセ・カレーニョも引退してから、最近あまりABT見ていませんでしたが、やはりしっかり見てないと駄目ですね。

 これで8月のバレエ週間も終わり、しばらく観劇はお休みを頂いて9月のROH、バッティストーニ(展覧会の絵)、ハーゲン四重奏楽団ですね。

■「ディアナとアクテオン」
ヴィエングセイ・ヴァルデス、オシール・グネーオ

■ 「シナトラ組曲」より”ワン・フォー・マイ・ベイビー”
イーゴリ・ゼレンスキー

■「ペール・ギュント」
アンナ・ラウデール、エドウィン・レヴァツォフ

☆「ライモンダ」より 幻想のアダージオ
ウリヤーナ・ロパートキナ ダニーラ・コルスンツェフ

☆「椿姫」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
マリア・アイシュヴァルト、アレクサンドル・リアブコ

■「眠れる森の美女」
リュドミラ・コノヴァロワ、マチアス・エイマン

■「ノー・マンズ・ランド」
アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー

■「海賊」
サラ・ラム、ワディム・ムンタギロフ

☆「ヴァーティゴ」
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス

■「ギリシャの踊り」
オスカー・シャコン

■「ロミオとジュリエット」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マクレイ

■「伝説」
アリシア・アマトリアン、フリーデマン・フォーゲル

☆「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
タマラ・ロホ、アルバン・レンドルフ

☆「レ・ブルジョワ」
ダニール・シムキン

☆「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
オレリー・デュポン エルヴェ・モロー

■「シンデレラ」
ヤーナ・サレンコ、ウラジーミル・マラーホフ

☆「瀕死の白鳥」
ウリヤーナ・ロパートキナ

☆「シルヴィア」
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

☆「こうもり」よりパ・ド・ドゥ
イザベル・ゲラン、マニュエル・ルグリ

■「ドン・キホーテ」
マリーヤ・アレクサンドロワ、ウラディスラフ・ラントラートフ

世界バレエフェスティバル Aプロダクション

世界バレエAプロ

 バレエの祭典、NBSの“世界バレエフェスティバル”がやってきました。今年で14回、1976年から続いているというのはたいしたものです。バレエのオリンピックのようなこの公演、世界でも他にはありません。”パ・ド・ドゥ“だけを集めた公演は変則的なものですが、3年に1回のこの豪華な祭典は観客だけでなく、出演者も楽しみにしているようです。ダンサーだって、こういう同窓会みたなのは楽しいに違いありません。僕は2003年の第10回から見ています。ちょうどオーレリ・デュポンが9回から出始めているので、彼女の全盛期から引退までを満喫できたことになります。いや、もちろんこれから先もこういう機会では踊ってほしいのですが。

 この日の目当ても、彼女とエルヴェ・モローの ”Together Alone” これは、どこかでルグリとのパフォーマンスを見ていると思います。が、You Tubeでも良く見ているので勘違いかも。5月に”マノン“での引退公演をパリで見ましたが、もともとエルヴェ・モローがパートナーとして踊るはずだったのが、彼の怪我のために、ロベルト・ボッレになりました。ボッレも素晴らしいのですが、オペラ座の雰囲気、洒落た感じ、感情表現はモローにはかないません。この日の踊りもなめらかな動きの中にデュポンとモローならでは、踊りが観客に何かを訴求するような迫力がありました。デュポンの踊りはまさに、彫刻が動くようです。その存在感(実在感かな。)は彼女をおいてありません。

 そして、彼女の元パートナーのマニュエル・ルグリが、同じく元エトワールのイザベル・ゲランと踊った”フェアウェル・ワルツ“も素晴らしかったですね。双方ともに50歳を少し超えていると思いますが、年齢が表現力の深さをさらに掘り下げていました。ヴェルディのオペラが”泣けるオペラ”であるとすれば、パリのオペラ座のバレエは”泣けるバレエ“なんですよね。この”フェアウェル・ワルツ“を振り付けた、パトリック・ド・バナ、彼とルグリの公演も昨年か一昨年見ましたが、バナの振付の才能も素晴らしいです。オペラ座は引退しても時々踊るエトワールが凄いですね。何年か前にやはりルグリとモニカ・ルディエールが踊ったオネーギンも脳裏に焼き付いています。この時のルディエールは50歳半ばだったと思います。前述しましたが、デュポンもこういう形で年に一度は見たいです。

 クラシックでは、やはりタマラ・ロホの黒鳥が凄かった。彼女も41歳、円熟味を増していますが、その切れ味の素晴らしいフェッテのスピード、芯がぶれないところは、ますます磨きがかかり、バランスでの静止も他のダンサーを寄せ付けません。今回は、キューバ国立バレエ団のヴィエングセイ・ヴァルデスがキトリを演じた”ドン・キホーテのパ・ド・ドゥ“があり、この新人も素晴らしフェッテと静止を見せましたが、ロホに比べるとまだまだという感じ。ロホは、Bプロで珍しくノイマイヤーの椿姫を踊るので、これも楽しみです。

 以下、出演者と演目は次の通り。きら星のようなキャストです。ただ、残念なのは日本人ダンサーがいなくなってしまったこと。前回の上野水香にミスが多かったからでしょうか? それなら新国立の米沢唯や永田佳世を入れてほしいのですが、NBSのバックは東京バレエ団ですからね。難しいでしょうね。それにしても4時間半がまたたく間に過ぎました。

アリシア・アマトリアン
フリーデマン・フォーゲル 「オネーギン」第1幕のパ・ド・ドゥ

アシュレイ・ボーダー
イーゴリ・ゼレンスキー 「お嬢さんとならず者

アリーナ・コジョカル
ヨハン・コボー      「シンデレラ」

オレリー・デュポン
エルヴェ・モロー    「トゥギャザー・アローン」

マリア・アイシュヴァルト
マライン・ラドメーカー 「3つのグノシエンヌ」

イザベル・ゲラン
マニュエル・ルグリ    「フェアウェル・ワルツ」

ヤーナ・サレンコ
ダニール・シムキン    「パリの炎」

サラ・ラム
ワディム・ムンタギロフ  「ジゼル」
ジュール・ペロー

アンナ・ラウデール
エドウィン・レヴァツォフ
シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ  「いにしえの祭り」

ウリヤーナ・ロパートキナ
ダニーラ・コルスンツェフ  「白鳥の湖」より第2幕アダージオ マリウス・プティパ

マチアス・エイマン     「マンフレッド」 ルドルフ・ヌレエフ

タマラ・ロホ
アルバン・レンドルフ      「白鳥の湖」より“黒鳥のパ・ド・ドゥ”

ヤーナ・サレンコ
スティーヴン・マックレー   「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」

ヴィエングセイ・ヴァルデス
オシール・グネーオ      「ドン・キホーテ」

ディアナ・ヴィシニョーワ
ウラジーミル・マラーホフ    「オールド・マン・アンド・ミー」


清教徒」サントリーホール ブルーローズ

 8月2日、日曜日の夜、南條年章オペラ研究室の主催によるベッリーニの「清教徒」を聴いてきました。ピアノ伴奏による演奏会形式でしたが、充分に楽しめました。不勉強でしたが、南條さんのこの研究室は25年も続いており、ほぼ年に1回のペースでイタリア、フランスオペラのなかなか日本では公演されないものを、手がけているのです。ここ10年を見ても。。。

2001年:ドニゼッティ「ルチア」
2002年:ドニゼッティ「マリア・ストァルダ」
2003年:ドリーブ「ラクメ」
2004年:トマ「ハムレット」
2005年:ベッリーニ「ビアンカとフェルナンド」
2006年:プーランク「カルメル会修道女の対話」
2007年:ロッシーニ「泥棒かささぎ」
2008年:ドニゼッティ「ルクレツィア・ボルジア」
2009年:ロッシーニ「オリー伯爵」
2010年:ロッシーニ「ギョーム・テル(ウィリアム・テル)」
2011年:ベッリーニ「夢遊病の女」
2012年:ベッリーニ「海賊」
2013年:ベッリーニ「異国の女」
2014年:ベッリーニ「アデルソンとサルヴィーニ」

いや、けっこうオタク(失礼)っぽいです。この中で新国立で公演されたオペラは無いのでは?「カルメル会」は見た覚えがありますが、新国立の主催ではなかったような気がします。

研究会と言うだけあって、毎回の歌手は会所属の名前が順に出て来ています。この日の清教徒は下記のようなキャストでした。

エルヴィーラ:平井香織
アルトゥーロ:青柳明
リッカルド:坂本伸司
ジョルジョ:久保田真澄
エンリケッタ:細見涼子
ヴァルトン:小林秀史
ブルーノ:琉子健太郎
指揮:佐藤宏
ピアノ:村上尊志

 ベッリーニ大好きな僕ですが、今迄生で聴いたのは「ノルマ」と「夢遊病の女」のみ。清教徒は初めてでした。ベッリーニ最後の作品は、得意の「ながーい」美しい旋律に磨きがかかっていますが、一方でベルカントには別れを告げつつ書かれているように感じます。前述の2作にくらべると、ハイライトの「狂乱の場」でも、歌手の自由度は制限されています。ベッリーニからヴェルディで、ベルカントは終焉を迎えたと言えるのでしょうか?

 この日のエルヴィーラは、平井香織さん。新国の「ピーター・グライムス」や「カルメン」、「死の都」で素晴らしい歌声を聴いていましたが、この日も素晴らしかったです。ふくよかな軽い高音は天井を知らないようにきれいに上がります。情感の込め方にも余裕があって、この日の歌手の中では群を抜いていました。ジョルジョ叔父を唄った久保田真澄さんも素晴らしいバスを聴かせてくれました。いつももっぱら、カラス、ステファノのCDで聴いていると気がつきませんが、ジョルジョの歌うパートは多いんですね。テノールの青柳明さん、この超高音を求められるアルトゥーロを果敢に挑戦していましたが、ちょっときつそうでした。リッカルドは、バリトンが憧れる役のひとつだそうですが、坂本伸司さん、だんだんと調子を上げてきて、3幕目のジョルジョとの2重唱は素晴らしかったです。
しかし、この日のBravoはピアノの村上尊志さんではないでしょうか?この難曲を2時間半、弾きっぱなしでしたが、厚みがあり、オーケストラに引けを取らない音楽の力を発していました。

 この日の聴衆の方々は、多分ずっとこのシリーズを聴かれている方が多いのでしょう。とても平均年齢が高かったですが、皆さんがお知り合いのようで、休憩にはそこここで挨拶の場が出来ていました。出演者の家族の方も多く見られました。なんか良いムードでした。日曜の夜、幸せな気分で帰路につきました。

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