プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

オペラ・スクオーラ講座セミナー終わりました。

23日水曜日に、新百合ヶ丘の昭和音楽大学北校舎5階 ラ・サーラ・スカラで開催された、川崎・しんゆり芸術祭(アルテリッカ発)アート講座第 「オペラ・スクオーラ」の第4回目の講師として、「オペラに見る男と女の素敵な関係」というテーマで2時間お話をしてきました。

大学で教えていますから、しゃべるのは慣れています。けれど、オペラをテーマにして180人もの方を前に話すのは本当に緊張しました。けっこう練習しましたけど、練習通りには行きませんでしたね。それでも、講演後、何人かの来場者の皆様とお話することが出来て良かったです。

今回の「男と女の素敵な関係」は次の例を取り上げました。

 “愛と妙薬”のアッディーナとネモリーノ
 “夢遊病の娘”のアミーナとエルヴィーノ+ロドルフォ伯爵
 “フィガロの結婚”のスザンナとフィガロ、伯爵夫人とケルビーノ、伯爵夫人と伯爵
 “ばらの騎士”のオクタヴィアンとゾフィー、オクタヴィアンと元帥夫人
 “こうもり”のアイゼンシュタインとアデーレ
 “ラ・トラヴィアータ“ のヴィオレッタとアルフレード+ジェルモン、そしてアルフォンシーヌ・プレシとペレゴー伯爵

ばらの騎士とこうもり以外は、藤原歌劇団のご厚意で、映像をお借りすることができたので良かったです。しかし、なにせ、トラヴィアータ好きの僕なので、話の半分くらいを”ラ・トラヴィアータ”に裂いてしましました。ペレゴー伯爵の話は良い話です。これはオペラ以上に実話で「素敵な関係」があったということですね。

もしご覧になってなかったら、僕が昨年に、日本ヴェルディ協会の機関誌”ヴェルディアーナ”にのせたエッセイをご笑覧くださいませ。http://provenzailmar.blog18.fc2.com/blog-entry-564.html


その前の週末は、ベーシストの鈴木良雄さんのライブセッションに行きましたが、それはまた次回。。。。
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サロメ@新国立

 初の“生サロメ”でした。新国立劇場ではこれまでに何度もサロメを公演をしているのですが、何故か今迄機会を逃していました。しかし、今日はかなり良かったですね。特に歌手陣は素晴らしい。タイトルロールのカミッラ・ニールント、どこかで聞いた名前だと思ったら2007年の印象的な”ばらの騎士“の元帥夫人を唄っていました。ワーグナー、シュトラウスを良く歌っているだけあって、強い声で高音にとても表情がありますし、中低音でのドスもたいしたもので、”サロメらしさ“を出していました。演技も女優級!なにしろ踊りもやるんですからね。(あまり上手ではなかったけど)おまけに美人です。ヨハナーンのグリア・グリムスレイは新国立初登場ですが、良く響くバス・バリトンで聴き応えがありました。個人的に今回一番良かったと感じたのは、おなじみのクリスティアン・フランツ。双眼鏡で見るとスーパーマンのスウェットシャツを着ていた、”神々の黄昏”のジークフリートを思い出してしまいます。人なつっこい顔で「威厳」からはほど遠いんで、ヘロデ王のキャラクターに合っているとは言いかねるのですが、やや明るめのヘルデン・テノール、実に甘くて深みがあり「俺がヘロデだ!」という感じの説得力のある歌唱なんですね。この人、聴く度にうまくなっているような気がします。今回、ユダヤ人2で出ていた新国研修生卒の糸賀修平も彼のような声質です。早く良い役が付かないかなぁ。

 先週、”イエヌーファ“でブリヤ家の女主人を演じたハンナ・シュヴァルツが、ピンチヒッターでヘロディアスで出ていますが、両公演がダブったスケジュールになっていたので、すごい強行軍。73歳とは思えない、素晴らしい声と存在感で、舞台を締めていました。ヘロデ王とのやりとり、娘とのやりとり、すごく充実していました。

 指揮のダン・エッティンガー、久々に新国立で聴きましたが、緊張感を保った切れのよい指揮だったと思います。昔の印象とだいぶ違いますね。まあ、今はザルツブルグでも振っているんですからね。それにしても新国立でこれだけの歌手陣と音楽を聴けるなら海外に行く必要ないと思ってしまいます。相当なレベルでした。イタリアものでも昨年のイヴ・アベル指揮のラ・トラヴィアータのレベルをキープしてほしいです。来シーズンのルチアに期待です。

 エファーディングの演出は、井戸を中心においたシンプルなものですが、その廻りに人間を配置し、動かすことで、心理的な距離感も表す、わかりやすいもので好感が持てます。

 というわけで、十二分に満足な公演なのですが、問題は僕がこのサロメの音楽があまり好きになれないということなんです。嫌いというわけではありませんが、リヒャルト・シュトラウスでは、一にナクソス、二にローゼン、三四がなくて五にアラベッラという好みからすると、このサロメの音楽は現代的なのは良いにしても、何か詰めが甘い。軽い。という気がしてしまうのです。リヒャルト・シュトラウスのごく初期の作品なので、実験的な意味もあったのでしょうか?オスカー・ワイルドの戯曲に、「一生懸命、曲をつけました!」という感じ。オペラのストーリーの重さからして、やはりワーグナーのパルジファルとかトリスタンのように、音楽に「持って行かれてしまう」ような蠱惑的な魅力が欲しいのです。あくまで個人的な思いですので、お許しください。今日はこれでおしまい。

指揮:ダン・エッティンガー
演出:アウグスト・エファーディング
美術・衣裳:ヨルク・ツィンマーマン
振付:石井清子
再演演出:三浦安浩
舞台監督:大澤 裕
サロメ:カミッラ・ニールント
ヘロデ:クリスティアン・フランツ
ヘロディアス:ハンナ・シュヴァルツ
ヨハナーン:グリア・グリムスレイ
ナラボート:望月哲也
ヘロディアスの小姓:加納悦子


 
 

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