プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

エトワール・ガラ2016

 さて、楽しみにしていたオペラ座エトワールの来日です。5日間で5公演、Aプロを8月7日(日)とBプロを8月5日(金)と両方見て来ました。チケットを取った時には、エルヴェ・モローが来ることになっていたのですが、怪我のために降板。モローは怪我が多いダンサーですね。昨年のオーレリ・デュポンのアデュー公演のマノンも怪我で降板しました。今のところ、モローを見られた率は5割ほど。

 モローの代わりに、バンジャマン・ペッシュが目玉になりました。ペッシュ、今年の2月にオペラ座を引退したとのこと、プログラムに書いてありましたが、42歳で定年だったんですね。

 今回、個人的に注目していたのは、2014年にエトワールになったアマンディーヌ・アルビッソン。女性エトワールとしてはかなり大柄です。Bプロのローラン・プティの“ランデブー”、はとても良かったです。ペッシュと切れのある動きで、しかも洒落ている。長い手足を生かしてダイナミックでした。Aプロの“アザーダンス”もマチュー・ガニオとのコンビがとても良く、クラシックの技術も光っていました。しかし、一人で踊った「それでも地球は回る」は、大きな体を持てあましている感じがありました。ちょっと肉感的すぎるんですよね。エトワールとしての「凄み」が出てくるのはこれからでしょう。それにしても、あと3−4kg体を絞っても良いのではと感じました。

 その点、その「凄み」が出てきたのはドロテ・ジルベールとマチュー・ガニオだと思いました。ドロテはもともとやせていますが、筋肉もついてきて、手足の動きが速い!関節がはずれるんじゃないかというくらい動きます。それでいながら、ルシア・ラッカラみたいなサイボーグにはならず、あくまで優雅で“可愛い!”。デュポンや、ルテステュとは全然違うんですが、「輝くエトワール」という貫禄が出てきました。Aプロの“チャイコフスキー パ・ド・ドウ“は全演目の中で最も良かったです。余裕を持って超絶テクニックを使っているのが凄いですね。

一方のマチュー・ガニオもようやく30代になって、落ち着きが出てきていい感じになってきました。前は、なんか浮いている感じがあったのです。パートナーへの気遣いなどの動作が実にノーブルです。アルビッソンなどは、ガニオに生かされている感じです。

 今回はスジェのジェルマン・ルーヴェや、プルミエールのユーゴ・マルシャン、レオノール・ボラックなどの若手も参加していました。この中では、マルシャンの優雅さが光っていました。パートナー(チャイコフスキー パ・ド・ドウではジルベール、シルヴィアではローラ・エケ)への手の使い方が実に美しい。

 バンジャマン・ペッシュ、エトワールとしてはあまり陽の当たる環境にはいなかったような気がします。けっこう「濃い」顔と動きをしている割には、それがぴったりな踊りを見たことが無いような気がします。ジル・ロマンなんかより、ベジャールを踊ったら良いような感じがしますね。この日のル・パルクの“解放のパ・ド・ドゥ”も悪くはないのですが、全盛期のルグリや、マラーホフに比べるとなにか「格調」に欠ける、、、と言ってはファンの方にはちょっと怒られそうですが、、、そんな感じがしました。

 来年は、デュポンが2度来日してくれるようです。それで2月にはボレロを踊ってくれる! 大ニュースです!絶対見に行きます。

【Aプログラム】
『瀕死の白鳥』
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:カミーユ・サン=サーンス
出演:ドロテ・ジルベール

『グラン・パ・クラシック』
振付:ヴィクトル・グゾフスキー
音楽:フランソワ・オーベール
出演:ローラ・エケ&ジェルマン・ルーヴェ

『シンデレラ・ストーリー』
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ

『クローサー』 *日本初演 
振付:バンジャマン・ミルピエ
音楽:フィリップ・グラス
出演:エレオノラ・アバニャート&オードリック・ベザール
ピアノ:久山亮子

『三人姉妹』 
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
出演:アマンディーヌ・アルビッソン&オードリック・ベザール
ピアノ:久山亮子

『カラヴァッジョ』
振付:マウロ・ビゴンゼッティ 
音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディの原曲に基づく)
出演:レオノール・ボラック&マチュー・ガニオ

『くるみ割り人形』より
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
出演:レオノール・ボラック&ジェルマン・ルーヴェ

『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
出演:ドロテ・ジルベール&ユーゴ・マルシャン

『感覚の解剖学』
振付:ウェイン・マクレガー
音楽:マーク=アンソニー・タネジ
出演:ローラ・エケ&ユーゴ・マルシャン

『スターバト・マーテル』
振付:バンジャマン・ペッシュ
音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ
出演:エレオノラ・アバニャート&バンジャマン・ペッシュ

『ル・パルク』より“解放のパ・ド・ドゥ”
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ
音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
出演:エレオノラ・アバニャート&バンジャマン・ペッシュ

『Sanzaru』 *日本初演
振付:ティアゴ・ボァディン
音楽:フィリップ・グラス
出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ

『アザーダンス』 
振付:ジェローム・ロビンズ
音楽:フレデリック・ショパン
出演:アマンディーヌ・アルビッソン&マチュー・ガニオ
ピアノ:久山亮子


【Bプログラム】
『それでも地球は回る』 *女性版世界初演
振付:ジョルジオ・マンチーニ
音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ
出演:アマンディーヌ・アルビッソン

『病める薔薇』
振付:ローラン・プティ
音楽:グスタフ・マーラー
出演:エレオノラ・アバニャート&オードリック・ベザール

『With a Chance of Rain』 *日本初演
振付:リアム・スカーレット
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
出演:ローラ・エケ&オードリック・ベザール、ドロテ・ジルベール&マチュー・ガニオ
ピアノ:久山亮子

『ラ・シルフィード』より
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル
音楽:ヘルマン・レーヴェンショルド
出演:レオノール・ボラック&ジェルマン・ルーヴェ

『See』 *日本初演
振付:大石裕香
音楽:アルヴォ・ペルト
出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ

『人魚姫』
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:レーラ・アウエルバッハ
出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ

『ランデヴー』
振付:ローラン・プティ
音楽:ジョゼフ・コスマ
出演:アマンディーヌ・アルビッソン&バンジャマン・ペッシュ

『ロミオとジュリエット』第1幕より“マドリガル” “バルコニーのパ・ド・ドゥ”
            第3幕より“寝室のパ・ド・ドゥ”
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
出演:レオノール・ボラック&ジェルマン・ルーヴェ(マドリガル)、
   ドロテ・ジルベール&ユーゴ・マルシャン(バルコニーのパ・ド・ドゥ)
   アマンディーヌ・アルビッソン&マチュー・ガニオ(寝室のパ・ド・ドゥ)

『シルヴィア パ・ド・ドゥ』
振付:ジョージ・バランシン
音楽:レオ・ドリーブ
出演:ローラ・エケ&ユーゴ・マルシャン

『ル・パルク』より“解放のパ・ド・ドゥ”
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ
音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
出演:エレオノラ・アバニャート&バンジャマン・ペッシュ

≪パリ・オペラ座バレエ エトワール≫
エレオノラ・アバニャート
アマンディーヌ・アルビッソン
ドロテ・ジルベール
ローラ・エケ
バンジャマン・ペッシュ 
マチュー・ガニオ
≪パリ・オペラ座バレエ プルミエ・ダンスール≫ 
レオノール・ボラック
オードリック・ベザール
ユーゴ・マルシャン
≪パリ・オペラ座バレエ スジェ≫
ジェルマン・ルーヴェ
≪ハンブルク・バレエ プリンシパル≫ 
シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ

久山亮子(パリ・オペラ座バレエ 専属ピアニスト)


  
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オールスター・バレエ・ガラ

 これも少し前の公演になってしまいましたが、7月27日に東京文化会館で行われた”バレエの祭典“に行ってきました。毎年、7-8月はバレエ観劇が多いですね。

 今回、ガツンと来たのは、何と言ってもザハロワ。筋力が違う、パワーが違うという感じで、跳躍も開脚も静止もビタッと決まっていました。この人見るたびに筋肉質になってきている感じがします。それでいながら、優美な情感を振りまいています。

 それと、ジリアン・マーフィー良かったですね。「リーズの結婚」は大好きな演目ですが、柔らかい踊りで魅了されました。手の先まで本当に感情のこもった動き。この人素晴らしいですね。今迄あまり気がつかなかった。(迂闊!)

 そして、個人的にはいつも「瀕死の白鳥」しか見ていないイメージのあるウリヤーナ・ロパートキナのコンテンポラリー、表現力が素晴らしいです。以前、世界バレエでタマラ・ロホのコンテンポラリー(モダンでしょうか?)を見た時は、はあまり良いと思いませんでしたが、ロパートキナは素晴らしい。そして、あまりメイクをしていないと若い!

男性ダンサーでは、マルセロ・ゴメスに注目していましたが、やや力を抜いた感じがしました。特に最後の「眠りの森の美女」のパ・ド・ドゥはどうも感心しませんでした。"王子感”ではホセ・カレーニョを継いでいると思いますが。。。

しかし、やっぱりAプロも行くべきでした。特にアレクサンドラ・フェッリの踊りを安藤赴美子さんのフォーレのレクイエムで見られるというのは、はずせなかったなぁ。残念。。それにしても、これだけのダンサーを集めたジャパンアーツさんに拍手!!


今週は、オペラ座エトワールの来日です。これはAプロ、Bプロともチケット取りました

この日のプログラムB
「ラプソディ」(振付:F.アシュトン) アレッサンドラ・フェリ、エルマン・コルネホ [ピアノ:中野翔太]
「白鳥の湖」より第2幕アダージォ(振付:M.プティパ) ニーナ・アナニアシヴィリ、マルセロ・ゴメス
「Fragments of one's Biography」より(振付:V.ワシーリエフ) ウリヤーナ・ロパートキナ、アンドレイ・エルマコフ
「ジゼル」(振付:M.プティパ) スヴェトラーナ・ザハーロワ、ミハイル・ロブーヒン
「リーズの結婚」(振付:F.アシュトン) ジリアン・マーフィー、マチアス・エイマン
[休憩]
「プレリュード」(振付:N.カサトキナ) ウリヤーナ・ロパートキナ、アンドレイ・エルマコフ
「フー・ケアーズ?」より(振付:G.バランシン) ジリアン・マーフィー、マチアス・エイマン
「ディスタント・クライズ」(振付: E.リャン) スヴェトラーナ・ザハーロワ、ミハイル・ロブーヒン
「レクリ」(振付:V.チャブキアーニ~ジョージアの民族舞踊に基づく) ニーナ・アナニアシヴィリ
「ル・パルク」(振付:A.プレルジョカージュ) アレッサンドラ・フェリ、エルマン・コルネホ [ピアノ:中野翔太]
「眠りの森の美女」(振付:M.プティパ/A.ラトマンスキー) カッサンドラ・トレナリー、マルセロ・ゴメス


出演者プロフィール
ニーナ・アナニアシヴィリ Nina Ananiashvili(ジョージア国立バレエ)
アレッサンドラ・フェリ Alessandra Ferri(元アメリカン・バレエ・シアター他)
ウリヤーナ・ロパートキナ Ulyana Lopatkina(マリインスキー・バレエ)
ジリアン・マーフィー Gillian Murphy(アメリカン・バレエ・シアター)
カッサンドラ・トレナリー Cassandra Trenary(アメリカン・バレエ・シアター)
スヴェトラーナ・ザハーロワ Svetlana Zakharova(ボリショイ・バレエ)
エルマン・コルネホ Herman Cornejo(アメリカン・バレエ・シアター)
マルセロ・ゴメス Marcelo Gomes(アメリカン・バレエ・シアター)
マチアス・エイマン Mathias Heymann(パリ・オペラ座バレエ)
ミハイル・ロブーヒン Mikhail Lobukhin(ボリショイ・バレエ)
アンドレイ・エルマコフ Andrei Yermakov(マリインスキー・バレエ)

指揮:アレクセイ・バクラン 管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

東フィル定期公演、モーツァルト40番、チャイコフスキー4番

だいぶ前になってしまいましたが、東フィルの定期公演第103回、チョンミョンフン指揮のコンサート、7月21日にオペラシティで聴きました。素晴らしかったです。忙しかったので、なぜか頭の中で41番「ジュピター」と勘違いしていました。(レレレ)もちろん、開演前には気づきましたが。

モーツァルト交響曲第40番は、おなじみの旋律。小林秀雄は「ほんとうに悲しい音楽」と評した、とプログラムにありますが、この日の40番は、ソフトな感じで弦に深い奥行きを感じ、長調の旋律が美しく盛り上がってきて、それほど「悲しい」とは思いませんでした。実に丁寧な演奏だったと思います。

そしてチャイコフスキーの交響曲第4番は、うってかわって「鳴らして」くれました。あまりチャイコフスキーは聴かないので、この曲も実は初めて聴きました。スケール感が大きく、オケを鳴らし切ってくれました。

ミョンフン、小さな体ですごいパワーを持っています。満足な夜でした。

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