プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ワルキューレ at 新国立劇場

久し振りにオペラ!と言っても、前回の”ラインの黄金”から1ヶ月足らずしか空いていないのですが、なんか今年は景気後退の影響か、これから年末にかけてもめぼしい引越公演はスカラ座くらい。あまり行くのがないのです。去年は、ソフィアとかキエフとかプラハも一軍、二軍、三軍と来ていたのですが。。ま、つぶれるプロモーターもあるくらいだからしかたないでしょうね。

さて、キース・ウォーナー演出のワルキューレ、本人が来日していない公演ですが、その斬新さは感動的。特に3幕目で9人のワルキューレが看護婦で、傷ついた死体が素性していくところなど、奇抜でありながら非常に説得力がある。METのクラシックな演出よりもワルキューレがやっていることが明確にわかります。それにくらべて1幕目のフンディングの館は、今ひとつ手抜きっぽい舞台装置が気になりましたが、後半に巨大な木馬は出てくるし、コスト的にも4時間半を全部驚かせる演出は難しかったのでしょう。

今回は女性陣の歌唱力は素晴らしかった。ジークリンデのマルティーナ・セラフィン、一幕目の"春の訪れ”など、ワルトフラウト・マイヤーもしのぐのではないかという声の伸び。完全にジークムントのエンドリック・ヴォトリッヒを喰ってました。と言うか、このヴォトリッヒ、声量も無いし、小さくまとまりすぎていておもしろくない。セラフィンと格が合いません。このセラフィンって指揮者のセラフィンと関係あるのかなぁ?

ブリュンヒルデのユディット・メーネット、姿もまさにブリュンヒルデ、強く美しく、歌唱力も素晴らしい。声ではセラフィンより良かったかもしれませんが表現力ではかなわなかったかもしれませんね。また、新国立に良く出ている、ツィトコーワ、ワーグナー歌手ではないけれど、なかなか良かったです。これで又幅が出た感じ。とは言うものの、実は2幕目冒頭のヴォータンとの夫婦げんかをクチョクチョやるところは、僕は寝てしまったのです。あそこ、誰がやってもちょっと退屈ですよね。(と言い訳...)

それにくらべて、男性陣はヴォータンのユッカ・ラジライネンがまあなんとか、長丁場を歌いきったので拍手!というくらいであとは前述のヴォトリッヒは、電池の充電忘れてステージに立ったみたいだし、最悪はフンディング役のクルト・リドル。第一声目から「頼むよ、オヤジ」と言いたくなりました。やたらに声が大きいし、その声がまた、カラオケみたいにビブラートしまくりで聞きづらいこと。。オックス男爵もやっているということで粗野な役が得意なんでしょうが、ここまで粗野だとちょっと。。この人だけは確信的に悪く言えます。

あとわからないのは指揮のダン・エッティンガー、前回はとにかく控えめにという感じでしたが、今回は序曲から音の強弱がすごい。。これは、ものすごい力の入れ方か!と思って聞いていましたが、1幕目、2幕目の歌の無い部分が、特になんでこんなにゆっくりになるのかというくらいペースダウンします。まるで曲の行間を読んでいるかのようですが、まだるっこしい感じでした。それと、ブリュンヒルデがジークムントに死を告げるところは、演出も能楽っぽいんですが、音楽もゆっくりで重く、和楽のよう。これは意図したものですかね?

ようやく3幕目になって、ワルキューレの騎行からはフツーになって聴きやすくなりました。

僕は正直あまりワーグナーはわからないのですが(このブログのタイトルからご推察下さい)、このワルキューレは素人向けなので、元々良く聴いていて、フルトヴェングラー、ショルティ、バレンボイム、クナッパーブッシュなどをCDを持っているせいか、どうもこのダン・エッティンガーを聴きながら、それらの大御所と比較してしまいます。今日、指揮者の顔を双眼鏡で見たらまだ40代そこそこの若さ。それにしてはラインの黄金も、ワルキューレもあまり若さを感じない演奏でした。

今日は、遠慮無く書きました。あーすっきりした。でも、演出と女性陣の活躍で満足感は充分ありました。しかし、ワーグナーのオペラというものは、だいたい男性はどーもならんという感じの奴が多くて、それが素晴らしい女性に救われるというパターンですから、実際の出演者もそうなるのではないでしょうか?
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