プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

スカラ座来日公演"アイーダ”

公演寸前になって、歌手に急病人が大挙(4人?)出て、キャスト交代が相次いでしまったスカラ座公演。もしかして豚インフルエンザか? 誰がだれになったのか良くわからないうちに初日のアイーダに行ってきました。

とにかく、バレンボイムの振るヴェルディを聴く! これが何より今回の大目的。結果、非常に満足でした。実に緻密な音を出します。かと言って弱々しいわけではなく、変に自己主張をするためのテンポなどもなく、音楽がストーリーを奏でるという感じ。一週間前から、気に入りのアバドとカラヤンのアイーダのCDをずっと聴いていましたが、両者とも全く違う世界でした。表現するボキャブラリが少なくて失礼。

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歌手は総じてレベルが高かったのですが、特にアムネリスに代役で出たエカテリーナ・グバノヴアは突出して良かったです。登場人物中最も複雑な心境を見事に歌に込めていました。ほとんど歌手は正面を向いて立って歌うというクラシックな演出で、寝転んだりしながら歌うこともないので、歌手は歌に集中でき、これが良かったと思います。

神官のランフィスも一幕目冒頭をはじめ、重要なところで歌いますが、ジョルジョ・ジュゼッペー二のバスは素晴らしかったです。エジプト王のカルロ・チーニとの二重唱はグッとくるものがありました。

ラダメス役のヨハン・ポータ、一幕目ややで音が安定ぜず、「清らかなアイーダ」への拍手も少なめでしたが、序々に声が温まるとグッと良くなり、3幕目幕切れのあたりは聴かせました。

タイトルロールのヴィオレッタ・ウルマーナもとても良かったのですが、今回はアムネリスに喰われた感じあり。2幕目のアイーダとのやりとりでも4幕目のクラリネットが印象的な旋律でもアムネリスのグバノヴァは心を揺するものがありました。

アモナスロのホアン・ポンスは、今回グバノヴァと並んで最も観客の拍手が多かったのですが、個人的にはやや単調かな、という感じを持ちました。二幕目の甘い二重唱から激高していくところなど、瞬間湯沸かし過ぎる感じを受けました。

とは言え、歌手全体がすごいレベルの高さ。また忘れてはいけないのが、合唱の迫力。 新国立のアイーダに比べると、国産の普通アンプと、マッキントッシュの真空管アンプの2本立てくらいの違いがあります。

ただ、NHKホールという舞台の制限からか、せっかくのゼッフィレッリの舞台装置が「豪華絢爛」というtころまで行きませんでした。特に最後の2重舞台が出来ず、地下牢を電気ごたつのようにしてしまったのは残念。舞台は新国立に軍配を上げます。

アイーダを聴くと、いつも思うのですが、ヴェルディが正妻ストレッポーニへの愛をベースに作ったラ・トラヴィアータに比べて、20数才年下の愛人テレーザ・ストルツへの想いを全開にしているこのアイーダ、もちろんワーグナーへの対抗心もあるのだろうけど。その甘さとはかなさがに自身の愛を込めて作った旋律は、他のヴェルディのオペラとは異質な音を作っていると思います。


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