プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ラ・ボエーム 新国立

今年の"初芝居”は、新国立のラ・ボエーム。新国立は、新年のガラがなくなってしまって、ちょっと寂しいし、おかげで初芝居の機会も遅くなってしまった。

出がけに家内が、玄関の掛け軸を、父の句 「風花がきらりとひとつ初芝居」 に掛け替えた。雪が降りそうな天気だし、良い感じです。

さて、ひさびさのプッチーニ、ましてラ・ボエームは前回の新国立の同じプロダクションを見てから8年ぶり。まずは、当たり前だが、プッチーニとヴェルディは違うなぁ!と改めて思いました。特にラ・ボエームはヴェリズモの匂いがプンプンとします。前日にDVDでシモン・ボッカネグラを聞いていたので、この19世紀後期の20年間の間に、オペラの方向性が随分変わったのだなと感心しました。

僕は、完全にヴェルディのファンなので、プッチーニについての知識は貧しいのですが、この日の指揮、オーケストラについて感じたのは、プッチーニって、こんなに大きな音で演奏するの?という感じです。特に、一幕目、二幕目は、ミミやロドルフォの歌が聞こえなくなるほどの大音量なんです。逆に言えば歌手の声量が足りない? たしかに、ミミ役のヴェロニカ・カンジェミは、特に中音以下の声量は足りなく、しかも音程もやや不安定でした。ロドルフォ役のジミン・パクは特に悪いというところもないですが、特に感激する要素も持っていなくて、ヴェルディで言えば椿姫のアルフレードが、まあそつなくこなせると言ったところ。むしろアルフレードで出た方が良い感じです。指揮は、歌手に合わせているという感じがなくて、時に早すぎたりして、安心して聴けなかったというのが本音。

良かったのは、ムゼッタ役のアレクサンドラ・ルプチャンンスキー。声量も表現力も素晴らしかったです。マルチェロ役のアリス・アルギリスもなかなか良かった。

しかし、最近の新国立の公演を聴いていて、主役クラスを全部海外から呼ばなくても良いのではないかと、強く思います。今回もカバーに安藤赴美子や樋口達也など、そうそうたるメンバーが入っており、カバーだけでやってもいいくらい。特にミミとロドルフォはアゴアシ持って呼び寄せるのは、経費(国費?)の無駄と思います。

プロダクションはもう10年近く変わっていないので、何度も見ている方には、そろそろ新しいものをと、思われてしまうのだと思いますが、新国立の劇場としての機能をフルに活用して、ラ・ボエームの甘い、感傷的な音楽を楽しめるものになっていると思います。本当にパリに行きたくなります。

今回、一番楽しめたのは2幕目の合唱、さすが新国立という感じです。カヴアレリア・ルスカティーナも聞きたくなってしまいました。それと4幕目のロドルフォとマルチェロの「ああミミ、君はもう戻ってこない」の二重唱でした。二重唱の方は地味で拍手もおきませんでしたが、4幕目の悲劇のプロローグとしてはとても良い出来でした。

そんなわけで、不満も少しありましたが、全体としては良い気分の初芝居でした。

ただ、僕は、実はプッチーニの作品で、”ラ・ボエーム”ってあまり好きじゃないのです。甘ったる過ぎて、洗練されてなくて。。というのが理由なんですが、印象画の絵が好きなので、ユトリロとかモジリアニ、ヴァランドンなんかの、当時のパリの生活のイメージと重なって、時々無性に見たくなります。プッチーニでは、本当は「三部作」が一番好きなんです。

来週はバルバラ・フリットリのリサイタル、楽しみです。
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