プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ウィリアム・テル at チューリッヒ国立歌劇場

チューリッヒ最後の夜は、"ウィリアム・テル”でした。これも、あまりやらないロッシーニの作品だと思います。
僕は1988年のスカラ座のムーティー指揮、ジョルジョ・ザンカナーロのタイトルロールのDVDを見て、ちょっと勉強をしていきました。演出はロンコーニのクラシックなものでした。

この日も前から2列目ということで、良い場所で見られましたが、幕が開いてびっくり。完全な現代演出で、芝生に今風のベンチがおいてあり、向こうにはアルプスの山が見えるのですが、長い序曲の間に、介護されている老人と介護人、各国の観光客、サラリーマンなどが次から次に無言でステージに出てきます。40人くらいまでは数えていましたが、そこらでやめました。そして、序曲の最後のほうになると、工事をする人が出てきて、立ち入り禁止のテープで、舞台上の人を区切ってしまうのです。一体何を意味しているのか? でも、おもしろいスタートであったことは間違いありません。

そして、幕が開いてからも驚きは続きます。原作ではオーストリアと闘うスイスという設定ですが、この演出ではECとECに入っていないスイスの戦いということになっているのです。昨年も、マルタラーのこの演出は賛否両論とがあったということですが、納得できます。劇中にステージにいる人数がいつもかなり多く、時々、ロッシーニとおぼしき19世紀の衣裳の男性が楽譜のような書類を持って歩き廻るというのも不思議な設定です。

それでも、キャストは、アントニオ・シラクーザ、エヴァ・メイを主軸に、タイトルロールのヨッヘン・クプファー、そしてあとは僕には初めての歌手でしたが、粒がそろっていて、聴き応えがありました。特にシラクーザは最初から、きらめくような美声でした。メイは最初やや声量が出ない感じでしたが、高音までスッとあがる感じは素晴らしく、中盤からは軽く、高く、声量も充分で存在感を示していました。指揮者のジェルメッティはロッシーニを得意とするイタリアの指揮者だそうです。風貌はウィリアム・テルという感じ。

しかし、僕が下勉強していたDVDはイタリア語で、今回のキャストもイタリア人が多かったので、イタリア語の上演だとばかり思っていったら、なんとフランス語で始まりました。あとで教えられたのですが、そもそもこのオペラはフランスからの要請で作られたもので、元々フランス語、だからタイトルも"ギョーム・テル”。イタリア語版は、改訂版で"グリエルモ・テル"と呼ばれるということです。知らないとは恐ろしいことでした。

最近は、ウィリアム・テルがヨーロッパでは人気で、どうやら映画にもなるそうです。スイスの最後の夜には、ふさわしい演目でした。

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序曲の最初のステージ風景th-DSC00416.jpg
カーテンコールに答えるシラクーザとメイ

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