プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

オペラ講座開幕 ”ヴェルディとワーグナー”

昨日の土曜日、学習院のオペラ講座後期「ヴェルディとワーグナー」が始まりました。講師は、前期同様、慶応大学の音楽史講師、加藤浩子先生です。生徒は30人ぐらいで満席です。これは楽しいですよ。色々なオペラをDVDやCDで、歌手や指揮者によって聞き比べたり、歌唱法の色々、演目のバックグラウンドなどについての話があります。僕も前期の授業で、やっとベルカントとかリリコ・スピント、アジリタ、レジェッロなどの歌唱法について、なんとかかんとか理解できるようになりました。

ヴェルディは、作曲家としての著作権を実際に行使した初めての音楽家ですが、そのことと、リゴレット、エルナーニの原作者、ヴィクトル・ユゴーが現在まで有効な著作権の国際条約、ベルヌ条約を19世紀の末に起草したことと、密接にからんでいるのです。実は、僕はこの後期から、都内のある大学院で「著作権とライセンシング」という講座を持って教え始めました。ライセンシングは、僕の生業ですが、著作権についてはだいぶ勉強しました。そうしたら、オペラとのつながりが出てきて小躍りしましたね。今、ちょうどそこのところを教えているところです。 習って、教えて、インプットとアウトプットがあって、刺激的でいいです。でもやっぱり習うほうがおもしろいですね。

ワーグナーもヴェルディと同じ1813年に生まれて、今年が二人とも生誕200年。日本では今ひとつ盛り上がりに欠けますが、世界で見ると特にヴェルディは随分多く公演されます。僕は、今年はレオ・ヌッチを追いかけています。4月のチューリッヒ歌劇場でのシモン・ボッカネグラ(今までみたオペラの中でもベストのひとつ)、11月の日本でのリサイタルと、シチリアパレルモマッシモ劇場での、二人のフォスカリです。これに、来年9月来日のスカラ座公演で、リゴレットのタイトルロールをやるらしく、本人も「私のヴェルディイヤーは日本で始まり、日本で終わる」と言っています。ヌッチももう70歳、イタリアの、いや世界の宝ですね。彼のあとを継ぐヴェルディバリトンが見つからない中、できるだけ長くがんばってほしいものです。まあ、レーナード・ブルゾンも75歳近くまで唄ったと思いますから、大丈夫でしょう。

一方のワーグナーですが、これはバイロイト音楽祭があるので、ここに集結している感じですが、日本でも、先日の”神の声” フォークトのローエングリン、来年1月のタンホイザー、これも良さそうですね。キャストも充実しています。まあ、僕はタンホイザー、あまり好きじゃ無いので行きませんが。ワーグナーの場合、オランダ人も、リングもややそういう感じありますが、女性によっての救済みたいなのが多くて、これがあまり好きじゃ無いですね。マイスタージンガーは、とても好きなんですが、最後に、ドイツ万歳みたいな場面があって、これが、それまでの流れから完全に浮いていて、また、ヒットラーがこれを見て、ドイツ帝国のコマーシャルソングみたいになってしまったんですね。そういうことを音楽の鑑賞も持ち込むのは邪道とは思いますが、毎回、最後で白けるので、その前に退場したいくらいです。

ヴェルディのMy Fovouriteは、シモン・ボッカネグラ、椿姫、二人のフォスカリ、イル・トロヴァトーレと続きますが、(ま、全部好きです)、ワーグナーの場合は、又見たいと思うのは、やはりリングでしょうか。でも、体調が良く元気なら、一番見たい(聴きたい?)のはトリスタンとイゾルデです。これはすごい音楽だと思います。

それにしても、妻と愛人をうまくてなづけ(?)、自分の膨大な資産で建てた、音楽家の憩いの家に眠るヴェルディ、(カソリックなのにそんなのありか?)、自分自身を作曲家よりも農民と呼んで欲しいと言ったヴェルディと、借金と詐欺で逮捕状まで出る中、作曲を続け、ついにはルードヴィヒ2世のスポンサーを受け、祝祭劇場を作りながら、妻コジマと壮絶な人生を送ったワーグナー。全く違う人格ですね。


さて、そんなわけで、何度も書きましたが、今年は11月にシチリアまで、ヌッチのフォスカリと、デヴィーアのトラヴィアータを見に行くのですが、来週ファイナルの、LAオペラでのドミンゴのフォスカリ、これは息子のフォスカリをフランチェスコ・メッリ、ルクレチアをマリア・ポプラフスカヤと悪く無いキャスティング。是非行きたいと思って、講義の間を縫って1拍で行ってこようと画策したのですが、どうしても休講しないと行けません。すでに、シチリア行きで一回休講が決まっているので、新米の大学院講師としては、あきらめました。

これも何度も言いますが、どうして日本ではヴェルディのシモンとか、フォスカリ、ステュッフィーリオ、ルイーザ・ミラー、シチリアの晩鐘などやってくれないのでしょうか? 海外ではけっこう公演されているのに。僕もヴェルディの26のオペラ全部生で見るのは無理かもしれません。

では、最近、ヴェルディとワーグナーばかり家でも聴いているのかと言うと、実は、バルトリ、デセイ、メイというベルカント歌手ばかり聴いています。特にバルトリですね。この人日本には来ませんから。とにかく、ベルカント中のベルカント、超絶技巧と美しい高音、アジリタも素晴らしく、メゾとしての中音も迫力です。

来年5月に、バイロイトの音楽祭でベッリーニの”ノルマ”にタイトルロールで出ます。その翌日にはブラームスのドイツ・レクイエムをルネ・パーペと唄うので、これ、99%行きます。もうすぐチケット売り出しなので、チケットさえ買ってしまえば行くしか無い。ついでに、その2日ほど前に、ベルリンフィルで年に一回、アバドが指揮をするんです。ベルリオーズの真夏の夜の夢。ただ、彼はもう80歳くらいと思いますから、体調によるでしょうね。

シモン・ボッカネグラがヴェルディの代表作として、今、日本以外の各地で公演されているのは、80年代のアバドの功績です。とにかく生きているうちにアバドの指揮を聴きたいです。

色々行きたい公演があり、それが日本以外のものも多く、悩ましいところです。とりあえずは、来月の新国立のピーター・グライムス、初見です。楽しみにしています。

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