プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

最もオペラっぽい(?)バレエ、ドリーブの”シルヴィア" at 新国立

10月はオペラのほうは不遇な月でした。ウィーン国立歌劇場来日で楽しみにしていたメストが来日しないので、ラクメをあきらめてチケット譲りました。シュナイダーあんまり好きじゃ無いんです。うまいのは認めるけど、重い、鈍い。で、その代わりに、フィガロかアンナ・ボレーナ行こうと思ったのですが、土日は切符が取れず(遅すぎた..)、平日は仕事の都合で、結局行けませんでした。ま、フィガロとアンナ・ボレーナ、作品としてそんなに好きなほうではないので、最初からサロメしか取っていなかったのですが。これがヴェルディとかドニゼッティだったら全部取っていました。

それに続いて、11月シチリア行きで楽しみにしていたマッリエッラ・デヴィーアがトラヴィアータ降板。結局、フォスカリだけのためにイタリア行くのも時間とお金かかりすぎということであきらめることに。これで11月デセイが来日しなかったら、踏んだり蹴ったりという感じです。デセイのサイトには来日の予定がないんですよ。もっとも、最初から載っていないんですが。ジャパン・アーツのサイトにも実に控えめにしか出ていないし、先月パリ公演をキャンセルしたらしいし、ドタキャンなんて嫌だなぁ。ルチアを演奏会形式で聞くのを楽しみにしているのですが。

さて、昨日は、夏に、世界バレエを見て以来、久々のバレエ公演。それも僕の大好きな演目、”シルヴィア”です。同じ、ドリーブの作曲でも”コッペリア”より音楽も、作品自体も好きです。この2つ、良く「シルヴィア、コッペリア組曲」になって、踊られる事が多く、一緒くたにされますが、中身は全く違う。ただ、作曲家が、オペラ、”ラクメ”の、レオ・ドリーブ(1836 - 1891)は、バレエ音楽や歌劇で知られるフランス・ロマン派の作曲家で あるなので、作曲家から語られることが多い作品です。同時代の音楽家でオペラもバレエも手がけたチャイコフスキーが、ドリーブの舞台を見て「バレエ音楽とはこうでなくてはならない。」と賞賛したと言われます。フランスのチャイコフスキーとも呼ばれる、ロマンチック・バレエの作曲家、ドリーブは、しかし、このバレエ2曲とオペラ、"ラクメ”、そして小歌曲”カディスの女たち”しか余に残さず50代で亡くなりました。一説には、若くして成功し、パリのコンセルヴァトワールの教師になり、生活が安定して、作曲への意欲を失ったという話もあります。

しかし、どの曲も、才能がほとばしるすばらしさがあり、僕はマイアーベーアーなどより好きです。

コッペリア、シルヴィアも音楽だけ聴いても素晴らしく、今も1953年録音のピエール・モントゥー指揮、ボストン交響楽団のモノラルCDを聴きながら書いていますが、2幕目、3幕目の序曲は、そのままオペラにつながりそう。3幕目のブラスによるファンファーレは、ワルキューレさながらです。

肝心のバレエのほうですが、この演目があまりやられない理由のひとつは、相当のレベルのダンサーがそろわないと出来ないということがあります。オペラで言うと「ランスへの旅」での14重唱のようなもんですね。

今回、シルヴィアが公演できるというのは、新国立バレエ団のレベルが、非常に高くなっていることの証明みたいなもんだと思いました。客演で主演の庭師を踊ったツァオ・チーは、技術面でもジャンプ力、華やかさでも今ひとつ。シルヴィアの佐久間奈緒はバーミンガムのプリンシパルの輝きがありました。オライオンの新国立ダンサー、厚地康雄は表現力も技術力も素晴らしく、主役を食っていましたね。海賊役の3人もすごかったですね。昔、ABTでホセ・カレーニョがライモンダを踊った時、非常に不調でジャンプは低いは、軸はぶれるは、かわいそうなくらいでした。僕はカレーニョのファンで何度も見ていますが、悪かったのはその時だけですね。フリオ・ボッカの引退公演でした、たしか。とにかく、その時、まわりで踊っているダンサーが、チョー張り切ってカレーニョの倍くらいジャンプするんですよね。僕のバレエの師匠のKさんに言わせると、ABTはそういうところだそうで、ヒロインが不調の時は、アピールするチャンス!とばかりに、プリンシパル以下のダンサーは張り切るらしいです。ヨーロッパの劇場では、それは許されないらしい。でも、昨日の舞台、チーがカレーニョっぽくて、日本人のダンサーがものすごい張り切っていて、ABTの舞台思い出しました。

pct_10.jpg



今回、誰よりも良かったのは、本島美和。前から好きだったんですが、今回のダイアナの役ははまり役、存在感と立ち居振る舞いの美しいこと。日本のモニカ・ルディエール!と思いました。全く目が釘付けになっていました。

ビントレーの振り付けは、現代の夜会から、出席者が仮装をして夢の世界に行くという構成になっており、二人のゲイのスキンヘッドが、おもしろい役回りをしたり、動きにも複雑さがあり、それでいて置き換えをやりすぎなくて、好感が持てましたが、やはりアシュトン版のほうが、動きが激しく、まさに踊りまくるという感じで好きかなと思います。

僕のようにオペラとバレエを7:3くらいの割合で見るものにとっては、19世紀のフランスのグランドペラのように、バレエの入ったオペラってのは、魅力的ですよね。なかなか今では公演されることも少ないですが、新国立ならできますよね。見たことないですが、アレヴィの「ユダヤの女」なんかはバレエシーン、かなり壮大だそうです。

それにしても、鬼才ドリーブ、4作しか書かなかったなんてもったいない。ラクメの「花の2重唱」など、CMにもよく使われていますから、多くの人が知っていると思います。本当に美しい女性2重唱です。「カディスの女」はめったに聴けませんが、パトリシア・プティポン得意としています。ここで、多分オリンピアでの歌唱が聴けます。http://www.nicovideo.jp/watch/sm4116513

今回のシルヴィア、音楽も良かったです。指揮者のポール・マーフィー張り切ってた感じですね。

最もオペラに近いバレエ(と僕が思う)シルヴィア、堪能しました。
関連記事
スポンサーサイト

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://provenzailmar.blog18.fc2.com/tb.php/252-b40ebd5d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad