プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

最初に見るべきオペラは何でしょう?

今月、ソフィア歌劇場の「トスカ」にうちの次女を連れて行きます。オペラ初見参。なんで、ソフィアなのかというと、切符が一枚タダでもらったからです。出演者のレベルにややムラがありますが、トスカはまあまあ良さそう。最初に見るオペラとしては推理小説的要素も入っていて良いでしょう。ちなみにうちの娘は、文学部の「文芸創作科」というところにいて、ミュージカルや、芝居、映画、本などにつかっています。

長女の方はアメリカの大学に行っていたので、21歳くらいの時にNYで会って、METでシモン・ボッカネグラを見ました。僕は、それとステュッフィーリオを見に行ったのですが、どっちも初めて見るオペラとしては勧められるものではなかったです。ところが、長女は、英語の字幕(シートの背についている)が難なく理解できたせいか、シモン、えらく気に入ったようでした。良かった。良かった。

でも、一般的に友人から「初めてのオペラ、何を見たら良い?」と聞かれるとけっこう困りますよね。オペラの演目はいくらでも頭に浮かぶけど、近いうちに手頃な値段で、質の良いオペラで、とっつきが良いものをやっているとは限らない。

今なら、3月の新国立のアイーダですね。これがなんと言ってもお勧め。あるいは、来週から始まるセヴィリアの理髪師も、舞台装置、演出が素晴らしいのでお勧め。ここらへんだと2万くらいでまずまず良い席取れますね。新国立劇場(今は、オペラパレスと呼ぶのだけど、どうもそうは呼びにくい)は、ここ数年は”大外れ”がなくて、安定して良いパフォーマンスを見せてくれています。それでいて、1万3千円くらいから2万円のB-C席でも、選べば充分眺望の良いところで見られますし、もちろん音響もNHKホール、文化会館、神奈川県民ホール(最悪)、オーチャードホール(ここも最悪)などに比べて良いのです。ですから、ここで最初のオペラを見るのは、リーズナブルで良いと思います。

あとは演目ですが、僕の独断で羅列するとつぎの演目かな。

トラヴィアータ(ヴェルディ)
リゴレット(ヴェルディ)
仮面舞踏会(ヴェルディ)
アイーダ(ヴェルディ)
ニュールンベルグのマイスタージンガー(ワーグナー)
リング:(ラインの黄金)
リング:ワルキューレ(ワーグナー)
フィガロの結婚(モーツァルト)
コジ・ファン・トゥッテ(モーツァルト)
トゥーランドット(プッチーニ)
トスカ(プッチーニ)
カルメン(ビゼー)
セヴィリアの理髪師(ロッシーニ)
ランスへの旅(ロッシーニ)
連隊の娘(ドニゼッティ、ただしナタリー・デセイ主演に限る)
愛の妙薬(ドニゼッティ)
夢遊病の女(ベッリーニ)
バラの騎士(リヒャルト・ストラウス)

この中でも、もっと絞れと言われたら、”トラヴィアータ”、”フィガロの結婚”、”バラの騎士”を挙げます。トラヴィアータと、バラの騎士は、何と言っても序曲が、これぞオペラ、正統のオペラという感じがするんです。ただ、トラヴィアータの場合は、置き換えが多いですからね。いきなり、カーセンとかコンビチュニーの演出を見ると混乱しますよね。演出家で言うならば、初心者向けはゼッフェレリをおいて他にないと思います。豪華絢爛!

その点、バラの騎士はあまり置き換えはないんじゃないでしょうか?(あまり見ていないので、間違っていたらごめんなさい)最初のオペラをブッファにするかセリアにするかというのも、アドバイスする時の課題ですけど、ハンカチ握りしめてという期待を持たれている方には、ヴェルディ以降のオペラを勧めるしかないですね。この中だと、トラヴィアータとトスカくらいかな。

ストーリーに多少無理はあってもおもしろい、という意味では、ドニゼッティはいいですね。ベルカントの良い歌手で聞きたいところですから、引っ越し公演がメインになりコストはかかりそうですが。"連隊の娘"は、もう絶対にデセイのでないとダメです。僕も生では見ていません。リゴレットは、ヴァリトンが良くないと貧相になりますから、来年のスカラ座来日のヌッチのタイトルロール(高そう。。。)まで待つことです。その点、仮面舞踏会は、曲が楽しいので、藤原歌劇あたりでも満足できそう。

ワーグナーは、はまる人はどの作品からでもはまるので、特にこれというのを示さなくても良いと思いますが、ヴェルディファンとしての僕個人は、マイスタージンガーからリングに行って、結局トリスタンという感じです。タンホイザーは歌手の善し悪しがもろに出るのですが、マイスタージンガーのほうが二人の主人公でごまかせそうです。

僕が最初に見たオペラは、フィレンツェ歌劇場、ゼッフェレリ演出のトゥーラン・ドットでした。これは圧倒されましたね。今になれば、実はプッチーニはあまり好きじゃ無いので、ラ・ボエームも上のリストには入れていませんが、それでもプッチーニは甘いメロディーと朗々と歌い上げる感じが、初めての人には””ザ・オペラという感じに響くのではないでしょうか。

カルメンは、なにせストーリーの勉強をしなくてもわかりますし、曲も美しいですし、良く上演されているので見やすいと思います。これも藤原が良くやりますね。ただ、初めて見る人には関係無い話ですが、カルメンの曲ってラクメの作曲家のドリーブの、歌曲”カディスの女”の8割がたコピペみたいなところが多くあって、なーんかビゼーの人柄を疑いますね。この時代、そいういうのは有りだったみたいですが、カルメンとカディスの女はちょっとひどすぎ。ちなみにカディスの女は1850年頃、カルメンは1875年に作曲されています。

さて、モーツァルト。フィガロとコジ・ファン・トゥッテと無難なところを挙げました。実は、僕、そんなにモーツァルトのオペラに興味ないんです。モーツァルトはどちらかというと、室内楽のほうがたくさんCD持っています。でもフィガロは好きですけど。魔笛なんかは、ドイツ語圏では一番良く上演されているということですが、2度ほど生で見ましたが、全然おもしろくない。曲もつまらない。と言うことではずしました。全くの個人的好みです。

そういう意味では、ロッシーニのそれも”ランスへの旅”を入れたのは、逆にえこひいきです。こんな演目、日本で10年に一回公演されるかどうか........ 僕はマイリンスキーのゲルギエフ指揮で見た他は、DVDでしか見ていませんが、絶対おもしろいです。ドタバタですが、11重唱だか14重唱だかがあって、すごい迫力。実際マイリンスキーの時は、初めてオペラを見る人と一緒に見に行きましたが、感激していました。セヴィリアは、ちょうど今月末から新国立でやります。これは演出も舞台装置も良く(何度も使い回しているという批判はありますがが)、最初に見るオペラとしては、直近で一番良いのではないかと思います。

あとは、現代物では、ヤナーチェクの"利口な女狐”いいですね。大人も子供もそれなりに楽しめます。小澤征爾指揮のサイトウキネンのDVDが良いんですが、高いですね。オペラ座のDVDは安いのですが、演出がエンゲルよりもペリーのほうが洒落ていて、夢が膨らむ気がします。ただ、絵本を読んで、その結末を知っている子供を連れていくとPTSDになりかねないのでやめたほうが良いかも。

現代ものでは、METで一時良くやっていた”ヘンゼルとグレーテル”もおもしろいと思いますが、ヤナーチェクもそうですが、ここらへんから入るのは、やっぱり邪道なんでしょうね。

なかなか若い人(でなくても)がオペラを見ないのは、やっぱりチケットが高いということがあると思います。僕はバレエも見ますが、バレエならいつもS席取ります。せいぜい1万6千円くらいですし、バレエは音楽だけ楽しむというわけにはいかないですしね。

オペラも同様に、特に最初のうちは良い席で見たいものです。でも、そうすると高いですよね。バレエの倍以上します。そのうちに慣れてきて同じ演目を2回、3回見るくらいになると、今日は音楽を中心に聞こうとかすれば、安い席でもいいんですけど、最初はストーリーも、歌手の姿も、舞台装置も音楽も、みんな良いところで聴くのと、そうでないのではすごく印象が違いますからね。最初に悪い席でオペラを見ると、ファンにはならないかもしれません。

そういう意味でも、新国立劇場はまあ手頃だと思って下さい。

実は、このブログ書きながら、今、パリオペラ座のバレエ、”シルヴィア”のノイマイヤー振り付け版、オレリーデュポン、マニュエル・ルグリの2005年公演版DVDを見ています。ちょうど今日届いたので。

オペラとバレエ両方見る人は少ないですね。でも、このシルヴィアもドリーブ作曲ですが、チャイコフスキーも両方作曲していますし、グランドペラにはバレエも入っていますし、利口な女狐や椿姫、オネーギンなんかはバレエにもなってますし、比較したりしておもしろいですよ。オペラを見ている方にはバレエを、バレエを見ている方にはオペラをお勧めします。

おしまい。

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