プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

二期会 "こうもり"は日本語バージョンでした。

久しぶりに二期会の公演に行ってきました。多分2009年の宮本亜門演出の椿姫以来。

この時期の観劇の最大の敵は"花粉症”です。ここ1週間ほどで本格的に始まってしまい、もう目はかゆいわ、鼻水は出るわ.......時々目玉を取り出してブラシで洗っています。

でもって、この日の文化会館の会場に行ってまず気付いたのは、オーケストラピットが1m以上持ち上げられていること。指揮者の上半身だけでなく、演奏者の顔まで一階の観客にも見えるようになっていました。これは、多分演出上2幕目のオルロフスキーのパーティーの場での一体感を出そうとしたものだと思いますが、大植英次のエネルギッシュな指揮がよく見えて、演奏者も緊張感が持てるだろうし、音響上も良い効果が出てなかなか良いアイデアだと思います。前にマリインスキーが来日して"ランスへの旅”をやった時、ゲルギエフとオーケストラが皆舞台上に乗っていたことがありましたが、こういう演出はもっとやってもらいたいものです。

大植の指揮で始まった序曲、ウィーン風にゆらぐような感じが出ていて良い感じのスタートでした。ところが、幕が上がると、広い舞台の上にアイゼンシュタインの家が8畳ほどの狭い小舞台にしつらえてあり、そこで日本語で、かなりのドタバタのアクションを繰り広げるので、いきなりウィーンから浅草の芝居小屋に移った印象。でも、それが演出の意図でもあったようです。

しかし、最初は感情移入できなかったですね。特にこの日は、午前中加藤浩子先生のアイーダの講義でシミオナートやドミンゴを聴いてきた直後だったので、いきなり日生劇場のミュージカルに来たみたいな感じになり心落ち着かなかったです。しかも、なぜか聴衆のマナーが非常に悪い。僕の前列の人達は半分以上、腰が浮くほど前に乗り出し、おしゃべりはするは、ガサゴソ音は出すは.......これが前後左右の席で起きるので、一幕目はくさって寝てしまいました。

気を取り直して(高い切符を買ったのだから楽しまなくては損と)、2幕目から気合いを入れて見始めると、これがけっこうおもしろい。全く浅草オペラの感じなんですね。とにかく、歌手がよくまあ、ここまでできるなぁというほど、演技するし、転がるし、踊るし、それでもちろん歌うのですから感嘆しました。特に幸田浩子、生で聴くのは4年ぶりくらいですが、前はか細かったコロラトゥーラという感じしかなかったソプラノが、芯のある強い声も出るようになり、ききごたえありました。良い声に醸成されたなぁという感じ。フォルクスオーパーに出ているだけあって、演技もセリフの言い回しもたいしたものです。決してキンキンしないのに、よーく響く声が出てくるんです。すごく素敵なアデーレでした。これは、新国立の次のシーズンのホフマン物語が楽しみです。そして、今回まで名前を知らなかったのですが、ロザリンデの腰越満美も、非常にゴージャスな声のソプラノで、この二人が断然舞台を引っ張っていました。

fledermaus2013.jpg


アルフレード(テノール歌手)の樋口達哉も、役にぴったり。ヴェルディイヤーということもあって、ヴェルディのナンバーを口ずさんでサービス精神たっぷりでした。

ちょっと残念だったのは、期待していた林美智子のオルロフスキーが、あまりにも線が細くて、オルロフスキーならではのなまめかしい感じが出なかったこと。彼女が不調だったというより、ミスキャストだと思います。最近の林美智子はどちらかというとベルカントっぽい声になってきていて、今後ロッシーニあたりを唄う予定ですから。

大植の指揮は最後まで、舞台を盛り上げる力強さと切れがありました。

ヨハンシュトラウスのウィーンの”こうもり”として考えた場合、この公演は???でしょう。でも、二期会(東京二期会というより、大阪二期会の乗りでしたが......演出の白井晃も関西出身だし)の"こうもり”という味を充分に出していていました。

ただ、舞台装置に関しては、広い舞台をフルに使わずに、小さい箱を乗せるという方式(幕が進むに連れて箱も大きくはなりましたが)、宮本亜門の椿姫もそうでしたが、やや見にくくてチマチマしている感じがありますね。二期会は箱が好きなのかなぁ。

2月に新国立、藤原、二期会と見て来て、やはり藤原、二期会は、良く練習しているという感じを持ちました。それはそうですよね。年に何回しか公演しない会場を満員にして、同じキャストで一日か二日しかやらないのですから、「初日だから不調」ってのは許されません。それに比べると新国立の「愛の妙薬」は初日と最終日の出来があまりにも違いました。海外から指揮者も含めたキャストを呼んでいるので仕方がない面もありますが、シラクーザだけは初日も最終日も良かったことを考えると、もう少しちゃんと練習をしてほしい、でないと初日のお客様に失礼だと思いました。

藤原と二期会、僕はイタリアオペラ派ということもあり、藤原のオペラがすんなりと体に入ってきます。でも、日本を代表するこの2団体、良く頑張っていると思い、嬉しくなりました。

さて、しばらく観劇の予定はなく、その間は5月のハンブルグ、ザルツブルグ行きのお勉強をします。特に”ノルマ”はある程度覚えてしまいたいです。バルトリの声に集中したいですから。

それで、3月30日に新国立のアイーダ。これは新国立の宝ですね。楽しみです。
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