プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

椿姫 at 神奈川県民ホール

今年は4回も聞く予定の椿姫、その1回目が今日の二期会、神奈川県実ホール、びわ湖ホール共同プロダクションです。

今日は、指揮者が二人いた感じでした。一人はもちろん、びわ湖の音楽監督の沼尻さん、そしてもう一人はタイトルロールの安藤赴美子さんです。

今日の歌手、皆張り切っていたのは良いのですが、力が入りすぎて歌いはじめでテンポを狂わしたり、声が上ずったりするところがあったのですが、その中で落ち着いて歌っていたのが安藤さん、この人とからんで歌うことで、皆序々に安定して行きました。

安藤赴美子さん、前回も何年か前にトラヴィアータで聴いたのですが、その時よりずっとゴージャスで余裕のある声になっていて本当に感動しました。ただ、1幕目はやや声が出ずらい感じがあったようで、フィナーレのところも本来高音で終わることろを1オクターブ下げて終えていました。しかし、2幕目は素晴らしいできでした。ちょっと震えが来るくらい。日本人離れしていると言ったら、日本人の他の歌手に悪いですが、ボリュームのある声、力強い高音、表情豊かな中音で、完全に魅了されました。また、姿も美しいんですよね。タイトスカートのスーツのヴィオレッタというのは初めてでしたが、本当に素敵でした。3幕目、安藤さんはピアニシモで聞かせるタイプではないので、割と元気なヴィオレッタでしたが、やはり輝かしい高音うっとりしました。ソプラノでこれほど満足するのは久しぶりでした。

上江隼人さんも最初ちょっと力が入り気味でしたが、安藤さんにコントロールされるような感じで安定し、2幕目の二人のやりとりは素晴らしいものがありました。残念だったのは、1幕2場の”プロヴァンスの海と土”の後のの、カバレッタ(?)が省略されていたこと。あれ、好きなんですよ。お父さんが息子をはたいてしまって、それからオロオロしてなだめるところが人間味あふれていて。

不調だったのは、ブラジル出身のテノール、ポルターリです。声質は良いものがあると思うのですが、一幕目は完全に上がっていたのか、歌い出しがやたらに強くなってしまって全く安定せず。2幕目はその傾向は良くなったものの、オケを置いてきぼりにしてパリに行ってしまいました。そして、3幕目はほとんどの曲の出だしの音程が、1/4音くらい外れていました。今日に限っては、ポルターリさん残念ですがハラハラしていて安心して聴けませんでした。

一方で、フローラの谷口睦美(ぜいたくな配役です)、ガストン子爵の大槻孝志、ドビニー公爵の鹿野由之らの脇役がとても良かった。これで、1幕目、2幕目の最初が締まりました。このキャストがこんなに高いレベルにはそろうのは珍しいのではないでしょうか。

そして演出ですが、これは微妙なところで、制作意図はわかるのですが、1幕目は複雑な動きがあるのに、2幕目は後半ほとんど全員直立不動で唄うなど、ちょっと理解に苦しむところがありました。

序曲は、非常にスローで、僕の好きな感じでしたが、沼尻竜典さんの指揮はところどころ曲の終わりを伸ばすところがあり(特に1幕2場)、「おっとっと..」と,前にのめりそうな感じが若干ありました。(イタリアオペラの"インテンポ”感に欠けるところがあったんですね。)でも弦の音などは、とても良く引き出していて、聴いていて違和感があるようなことはありませんでした。

ともあれ、今日は、久しぶりに1階12列目の真ん中という良い席で聞いたので、オペラグラス無しで楽しめました。

最後に、びっくりしたのは、無料で配られたプログラムの解説が充実していること!椿姫でこんな素晴らしい資料は、優良でも入手したことがありません。加藤浩子さんを初め、東条碩夫さん、小畑恒夫さん。岡田暁生さん、岸純信さんと、そうそうたる先生方が力のはいった解説を寄稿されていて、休憩時間では読み切れないほど。カラー写真などはありませんが、内容はものすごい充実です。こういうプログラムを無料で配布するというところに、主催者の意気込みを感じました。2,000円も払ってアイドル写真集みたいなプログラムもありますからねー。

この週末もオペラ漬けでした。今日は21時から、METのカルメンをWOWWOWでやります。ガランチャ、アラーニャ、フリットリ!! これも見なくては!

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