プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ラ・トラヴィアータ(プラハ国立)

今日は、今年3回目!!の「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」鑑賞でした。


チェコ国立プラハ歌劇団の横須賀芸術劇場公演です。横須賀、近くていいですねえ。うちから20分。


今年はとにかく椿姫の年でした。昨年暮れから正月はずっと椿姫のDVDとCDばかり聞いていた。(ちなみにその前の年の暮れ正月は「ロードオブザリング」エクスエテンドバージョンを3巻X2回見たような覚えがある。)椿姫は、ここ半年の間、7月にはイタリア、ミラノスカラ座でマゼール指揮のを見て、9月には台風で気圧が下がる最悪の体調の中で、渋谷オーチャードホールで、メスト指揮のチューリッヒ歌劇場を見て、メストのクールな指揮とエヴァ・メイ、レオ・ヌッチに感激、そして今日の講演で半年で3つめです。さすが、これだけ見ると色々と比べられて面白い。(DVDはすでに10個くらい見比べましたが、2005年頃のLAオペラのルネ・フレミングのヴィオレッタが、一幕目のカヴァレッタで”笑い”を入れている、最近珍しい。とても素敵な演出。この話はまた別の機会に。。)


今日の公演がチケット代も交通費も含めてかかったコストは一番は安かったが、思ったよりずっと良かった。Value for money,,,満足だあ!主演のソプラノの若いロシア人、オレーシャ・ゴロヴネヴァと演出、舞台装置で点を稼いだ感じですね。

2007-11-10 23:02
どちらかというと現代演出で、一幕目はちょっと2005年のザルツブルグのリッティ指揮、ネトレプコ主演の、例の時計じかけのオレンジみたいな真っ白い半円形の舞台で始まったので、「パクリ」かと思ったのですが、2幕目以降演出の意図がわかると、「なるほど、パクリじゃないな」と思いました。

一幕目はまあ普通だったのだけど、「おッ!」と思ったのは2幕目第2場。アルフレードと分かれたヴィオレッタが、再び戻って行った夜の社交界のフローラのパーティが、あやしげな高級売春婦のパーティという感じが良く出ていて、そういうところに戻ってしまったヴィオレッタの哀しみを、アルフレードや伯爵の横で連唱で歌って表現するゴロネヴァにはグッときました。

正直なところ、ミラノで見た同じロシア人ソプラノのイリーナ・ルングより良かったかもしれないなあ。高音がちょっと安定していない.....スッと声が出るときと、かなり力を込めてひねり出す時があるのが、まだ経験不足という感じがしましたが、中音の表現力はかなりのもので、ルングよりも可能性を感じた。これからが楽しみ。


しかし、せっかくミラノまで行ったのに、横須賀でみた同じロシア人、しかも同じくらいの年齢とキャリアのソプラノのほうが良かったかもしれないというのも、僕自身に納得させにくい感じはあります。ま、ミラノは特別です。それに指揮がマゼールだったし。。カウフマンも聞けたし。。(と納得する。)


演出はアルノール・ベルナールというフランス人(?)の若手、41歳。クールにヴィオレッタの2つの社会的側面を見せていて、なかなかフランス人ぽいシニカルでお洒落な演出。


3幕目の最後にヴィオレッタが倒れて死ぬところに、アルフレードも、ジェルモンも、グランヴィルも、アンニーナも駆け寄っていかず、離れたところでうずくまって悲しむ。このような終わり方は、DVDで見たグルヴェローヴァやショルティ/ゲオルギューでも無かった。ここにもヴィオレッタの社会的地位が表れて、余計に哀しみを誘われました。カワイソ。。。舞台下手に一人倒れたまま幕が下りる光景は、目に焼き付きました。

わがまま言えば、このクールな舞台で、クールなメスト指揮の音楽を聞きたかったです。チューリッヒ歌劇場の舞台装置と演出はちょっとひどすぎたので。



とは言え、今日の公演のすべてが良かったわけではもちろんなくて、まずは指揮者がなにを意図しているのかが全くわかりませんでした。あくまで、歌の引き立て役になのかという感じで始まったら、突然、スピードを落としたり、伸ばしたり、音を小さくしたり、大きくしたり。あきらかに3幕目はうるさくてたまらなかった。あまり自己主張をしなでくれたほうが良かったです。スカラ座だったらきっと2幕目の始めで大ブーイングだよ。3幕目始めもせっかく演出で、謝肉祭の音を録音で遠くに聞こえるようにしているのに、音楽が大きすぎてまるで謝肉祭のようでした。オーケストラ自体はそこそこうまいのになあ。もったいない。


それと、ジェルモンのトーマシュ・なんとか。2幕目登場から、声ばかりでかくて、せっかく好演しているヴィオレッタ約のゴロヴネヴァとの30分近い掛け合いのシーンが、このオペラの一番の感動ものになるはずなのに、全くダメでした。3幕目に入る前に、多分楽屋裏で「おまえ、声デカすぎ!」と言われた(?)らしく、その後多少良くなったけど、トラヴィアータで一番のピークとも言える2幕目、しかもそこでの儲け役であるはずのジェルモンが全くアピールしないという変則的な流れになってしまった。


まあ、レオ・ヌッチと比較したらかわいそうだが、スカラで聞いた時に、そんなに良くないなあと思ったフロンタリと比較してもかなり落ちた。フロンタリも、その後、色々なCD聞いたり、今日のトーマシュのジェルモンを聞いたりすると、「実はうまいんだ!」と思うようになりました。なにせここ10年以上、スカラでジェルモンやり続けている人が下手なはずないよね。


トーマシュさんの場合は、ヴェルディバリトンとしては、ちょっと低すぎるのも不幸だったかも。フィガロみたいな声だった。



アルフレードのチェルニーは、慣れた中堅という感じで悪くはなかったのだけど、歌によって出来不出来がややあったような気がしました。ブリンディシは軽すぎ、2幕目はなんか鼻にかかりすぎ。でも3幕目の”パリジ”は良かった! それとも3幕目は喉が温まってきたということなのか?


色々と書いたけど、プラハ国立の今回の公演の中では、多分一番下のランクのキャスティング、つまり、ソプラノではテオドッシュウ、ノラ・アンセレムの下、多分、他の役もみなそうでしょう。それにしては、素晴らしかったと思います。すべてのオペラ公演横須賀でやってくれると近くていいなあ。


車の中には、ミュージックサーバーに各種の「椿姫」がそろっているので、早速ショルティのを聞きながら帰りました。今回は、2幕目第1場のアルフレードの「パリに金返しに行くぞ!」のアリアが省略されてました。あれ、僕の主題歌で好きなのになあ。それと、ジェルモンの「プロヴァンスの海」の後の2幕目1場最後の「アルフレードをなぐさめる」歌も省略。まあ、この2曲はよく省略されるのだけど、この2曲で、ジェルモン家の父子の、甘ったれさ加減というか、馬鹿さ加減がわかると、その前後のストーリーの理解が良くわかると思うので、すくなくともどっちかは入れて欲しかったなあ。そういう馬鹿親子にやられたヴィオレッタが余計かわいそう過ぎるから、はずされるのか、単にヴェルディとしては月並みで、とってつけた感じのアリア、カヴァレッタだからはずされるのか。。。


まあ、それにしても我ながらトラヴィアータだけは、よくもはまったものだと思う。イタリア語台本見ながら歌詞追っかけて楽しめるようになりました。他のオペラは、まだ感心して聞くだけだけなんだけどね。これって、僕のMacオタク、Nokiaオタクと同じ方向性みたいな感じだね、


さて、終演後は、逗子のスズキヤ裏のJJモンクス(今年七里ヶ浜から引っ越し)行って食事。おいしい! 地元で、これだけのオペラ聞いて、お洒落なところで食事できて、5分で帰宅できるとなれば、新国立や上野文化会館まで行かなくていいのになあ。。。。


今年のあとの鑑賞予定は、11月18日のナタリー・デセイのコンサートと12月1日のカルメンです。年明けて、1月5日(?)の新国立のガラコンサートの、ヴェルディ"ナブッコ”の"行け我が思いよ、黄金の翼に乗って”が今から楽しみです。12月、あともうひとつくらい行きたいな。レニングラードの”イーゴリ公”というのも、たまにはロシアもの、良いかも。。。
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