プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

アントニオ・シラグーザリサイタル

シラグーザは、僕が最も多く生で聴いているテノールだと思います。この1年ほどでも4回、ギョーム・テルのあるノール、愛の妙薬のネモリーノX2回、そして昨日のリサイタル。

シラクーザは、その時の公演でかなり出来不出来にムラがあると良く聴きますが、僕が聴いた限り(あまり耳も良くないですが)、いつも輝かしく繊細な声を聞かせてくれています。思い出すのは2008年のエヴァ・メイとのリサイタル、2009年のカサロヴァとのチェネレントラ。(bisがありました)

今回のプログラムに加藤浩子さんが書いてありましたが、シラクーザはパヴァロッティの後をついで、明るく輝かしい声で、聴く人を幸せにしてくれる、そんな歌手です。歌い始めたら、そこはイタリア、それもシチリアという感じですね。デジレ・ランカトーレもシチリア出身で、一緒にリサイタルやることもあるそうですが、まだ日本では実現していません、残念。

この日のメニュー下記に記しました。前半はイタリア歌曲。初めて聴くものも多かったですが、立ち上がりはやや安全運転でしたが、すぐに絶好調。自分でも調子が良いのが嬉しいようで、もう「ノリノリ」という感じでした。

後半はオペラのアリアでしたが、彼の「人知れぬ涙」は今年3回目、2回は新国立で聴いたのですが、今日のは、本当にベルカント。装飾がたっぷり入って、自由に唄っていました。シラクーザのリサイタルはこれが楽しいんですよね。指揮者や演出の制約無く、自由にアジリタや装飾を駆使して唄ってくれます。

嬉しい驚きだったのは、プログラムにはヴェルディは椿姫のカヴァレッタ1曲だけしか乗っていなかったのに、実際は3曲歌ってくれました。

2幕目初めの"Lunge da lei per me~”からのカヴァレッタ。これは予定通り。それで終わって、ブラヴォが入ったんですが、すぐにプログラムには無かった"O Mio rimorso~"のカヴァレッタが! これ僕大好きなんですよ。「パリに金返しに行くぞー」というアルフレードの性格が良く出ている歌です。昔はだいたいカットされてしまってたんですが、最近復活してきましたね。

このカヴァレッタ2曲、良かったです。僕のオペラ友達が「あんな風に力で押すだけじゃないカバレッタは初めて聴きました。」と言っていましたが、まさにその通り。声量は充分あるのですが、繊細で思いのこもった表現力、素晴らしかったです。シラグーザがアルフレードでメイがヴィオレッタの、"ベルカント椿姫”が実現しないかなぁ。

そしてアンコール4曲の中に、マントヴァ公爵の"La donna è mobile"も!

加藤浩子さんの解説にシラグーザはこれからヴェルディも歌っていきたいと言っているとありましたが、こんなに早く聴けるとは思いませんでした。ブラヴォ−!

フェニーチェ来日のグレゴリー・クンデだって、元々ロッシーニ歌いで、オテロまで来たんですからね。期待できます。

最後は、オーソレミオを客席を廻りながら歌い、大歓声。いや、エンターテイナーです。

連隊の娘からも一曲歌いましたが、デセイの相手はフローレスよりシラグーザのほうがいいと思いました。フローレスはそれは素晴らしいですが、表現力、演技力はシラクーザのほうが良い。なにより人間臭さがあります。シラクーザ、これからが楽しみです。夢遊病もやってほしいなぁ。メイがホセ・ブロス(この人もシラクーザっぽい声で良い)とやっていますが、同じプロダクションで。。そしてやはりヴェルディの前半の作品やってほしいです。アルフレードはきっと近々にやってくれるでしょう。

リサイタル後、大変幸せな気分になって帰宅しました。

最後に言い忘れましたが、浅野 菜生子さんのピアノ良かったです。ベルカントしていました。

プログラムより            

前半

トスティ: 理想 / 暁は光から闇をへだて
F.P.Tosti : Ideale / L’alba separa dalla luce l’ombra
エマヌエル・カーリ : シチリアの朝の歌
E. Cali : E vui durmiti ancora!
デ・クルティス : 泣かないお前
E.De Curtis : Tu, ca nun chiagne
ダンニバーレ : 太陽の土地
V.D’Annibale : ‘O paese d’’ o sole
ビクシオ : マリウ、愛の言葉を
C.A.Bixio : Parlami d’amore Mariu
ララ : グラナダ
A.Lara : Granada
後半

ドニゼッティ : 《愛の妙薬》~“人知れぬ涙”
G.Donizetti : «L’elisir d’amore» ~ “Una furtiva lagrima”
プッチーニ : 《ジャンニ・スキッキ》~“フィレンツェは花咲く木のように”
G.Puccini : «Gianni Schicchi» ~ “Firenze è come un albero fiorito”
ヴェルディ : 《ラ・トラヴィアータ》~“燃える心を”
G.Verdi : «La traviata» ~ “ De’ miei bollenti spiriti”
フロトウ : 《マルタ》~“夢のごとく”
F.F.von Flotow : «Martha» ~ “M’ appari tutt’ amor”
グノー : 《ロメオとジュリエット》~“ああ、太陽よ昇れ”
C.F.Gounod : «Roméo et Juliette» ~ “Ah! léve toi soleil”
ドニゼッティ : 《連隊の娘》 ~ “ああ友よ、なんと楽しい日!”
G.Donizetti : «La fille du résiment» ~ “Ah! mes amis….Pour mon ame”
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