プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

「群盗」パルマ・レッジョ歌劇場

ヴェルディの旅2日目「群盗」パルマ・レッジョ歌劇場

さて、今日の劇場は、昨日のブッセートのテアトロ・ヴェルディよりはだいぶ規模も大きく1,000人入れるパルマレッジョ劇場。イタリアの劇場はどこでも、外側は地味で、そこが劇場とは気がつかないくらいですが、中は絢爛豪華です。今日はシーズンの初日プルミエで、スカラ座でも見られないような背中丸出しのロングドレスの女性や、テレビ局のインタビューなどが入っていました。
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この劇場はたしか去年のフェスティバルでは「レニャーノの戦い」を上演したはず。ヴェルディのマイナー作品を良くやってくれるところのようです。「群盗 I Masnadieri」は、ヴェルディ11 作目で、マクベスと同年、ルイーザ・ミレルの2年前の1887年に書かれています。この頃のヴェルディは年に1作以上のオペラを生み出しており、「苦役の時代」と呼ばれています。この「群盗」はヨーロッパでも滅多に上演されることがありません。日本では過去にびわ湖ホールが上演しただけだろうということです。原作はロマン派の代表的な作家シラー、話の流れはなかなか勇ましく刺激的なのですが、Tutto Verdiのブルーレイを見た限りは、音楽ならびに台本も今ひとつ単調、退屈という感じでした。指揮はルイゾッティで、バリトンも今回と同じルチンスキなんですけどね。。

ところが、生で聴いた今日は序曲から気合い充分!なんと言っても指揮が良い。

基本的には、ヴェルディ初期〜中期のズンパッパ節なんですが、この切れ味が良く、まったく臆面なく鳴らしています。変に伸ばしたり引っ張ったりせずに、ひたすらズンパッパ。これがとても良い。舞台とのシンクロナイズは完璧。歌手をグングンと引っ張ります。指揮者のチャンパはまだ若い売り出し中。ポニーテールのあんちゃんという感じですが、良くオケを把握しています。イタリアは若い指揮者はいいのがたくさんいますね!

群盗の親玉カルロのロベルト・アロニカ、今売り出し中のテノールです。彼は2011年のボローニャの引っ越し公演の際に急逝したリチートラの代わりにエルナーニを演じたのですが、その時は高音がきつかった印象がありましたが、今日はそんなことはありませんでした。むしろ最初から全開モード。群盗は一幕目からテノールは歌いっぱなしです。艶のある良い声をしていますし、声量も充分。なかなか良いと思っていましたが、幕間に師匠に会ったところ「声大きすぎない?」と言われました。それから後半、たしかに、どんどん声が大きくなってきて、いやそれはパワーはすごいのですが、ベリズモもびっくりという感じで、ソプラノのフローリアンもぶっ飛ばす勢い。また、これに拍手喝采になるものだから余計乗ってきます。これはあきらかに、怒鳴り過ぎで、曲に陰影がなくなってしまい興をそぎました。

これに対して、バリトンのルチンスキ、兄を亡き者にしようという悪役のフランチェスコですが、これはなかなか良かったです。地味な声で迫力はありませんが、こいつ、悪いなぁ」と思えるだけの充分な表現力がありました。サンカルロのブルーレイで聴いた時より良かったです。

パルマの劇場は今大変な財政難にあえいでいると聞きます。最近劇場専属のオケも解散して、今は公演のたびにオーディションで短期間契約を結んでいるとのこと。また、別にトスカニーニ管弦楽団をオケに使うこともあるようで、この日の公演もそうでした。演奏家の生活も楽ではないですね。

群盗、かなり満足な公演でした。この頃のヴェルディの音楽は理屈抜きで楽しめます。他にもCDでしか聴いたことがないですが、アッティラなんかも非常に良いですね。これも滅多に上演されませんが、いつか生で見たいものです。
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レッジョ劇場の横は大きな公園になっていて、ここを抜けて夜も更けたパルマの町の気持ちの良い空気を吸いながらホテルに帰りました。町中にフェスティバル・ヴェルディの飾りがしてあり、昨日のブッセート同様にヴェルディへの親しみ、尊敬、愛情が満ちあふれたところだと感じました。あ、それから前述のトスカニーニもここで生まれたんですよね。生家訪問しました。
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