プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

スカラ座は豪華だ! ドン・カルロ

フェスティバル・ヴェルディ第三夜、超豪華キャストのスカラ座「ドン・カルロ」

さて、第三夜、などというとリングみたいですが、いよいよスカラ座にやってきました。久しぶりです。5年前にマゼール指揮、イリーナ・リングのトラヴィアータを見て以来。
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今日のドン・カルロはタイトルロールが僕の大好きなテノール、ファビオ・サルトリです。昨年4月にチューリッヒ歌劇場で、シモンボッカネグラ(レオ・ヌッチ)を見た時に、ガブリエーレ・アドルノ役で素晴らしい歌唱を聴かせてくれて以来ファンにになりました。が、残念なことに全く日本には来たことが無いと思います。

彼の声は、テノールでも高めのほう。実にイタリア的な凝縮感と明るさ、そして柔らかさを持った美声です。フローラスやシラクーザに比べれば、もう少し重いところまで歌えるのでヴェルディにはぴったり。タマーニョってこんな声だったのではと思ったりします。まだ30代後半に見えますが、かなり太っていて(太りつつある)100Kgは軽くありそうな巨体。ヴィジュアル的には全く騒がれないので、日本のオペラファンの間でも名前が出てくることさえ少ないのですが、実力的には今、最高のヴェルディ・テノールで引っ張りだこです。是非、どこか日本で読んで欲しいイタリア歌手第一位ですね。
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今日のキャストはまさに豪華絢爛。フィリポⅡ世にルネ・パーペ。彼は来日の時にもこの役を歌いました。僕は5月にザルツブルグでドイツレクイエムも聴いていますが、いまやバスのオールラウンダーとして”キング“と言える実力と貫禄がありますね。そしてエリザベッタには、マルティナ・セラフィン、エボリ公女にはエカテリーナ・グヴァノヴァという、イタリアやMETで引っ張りだこの二人が歌います。生で聴くのは初めてですが、二人とも表現力が素晴らしい。この演目にはかかせないところです。前日の群盗はヴェルディ初期の作品で、あまり表現力を必要とする声質のオペラではなかったのですが、ドン・カルロとなると、同じ作曲家が書いたとは思えない内容。恋愛、政治、憎しみ、友情、名誉という感情がてんこ盛り。だからこそここ数年、世界のオペラ批評家の間でもヴェルディの作品で、一番人気の作品になっています。この感情の絡みを表現できる歌手がそろわないと、ドンカルロはブラボーになりません。今や観客も作品を良く知っているのです。ただ、個人的に言えばパーペのフィリポは何度も聴いているんで、フルラネットあたりで聴いてみたかったというのも本音。

この日、拍手が一番多かったのは、ポーザ公ロドリーゴを演じた、バリトンのマッシッモ・カヴァレッティ。先月のスカラ座来日のファルスタッフで見事なフォードを演じてくれましたが、この日も大変良かった。ヴェルディ・バリトンとしてはやや低めですが、音程が安定していて美しい声です。ただ、まだヤーゴやシモンを歌うには素直すぎるか? 拍手が多かったのは、彼がここミラノの出身だということもあったそうです。

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指揮はファビオ・ルイージ。今や、スカラとMETでヴェルディを振るといえば彼、という暗い安定した力を持っていると思います。まさにイタリアオペラの指揮者。オケも素晴らしかったのですが、なぜか金管がややもごついたような感じがしましたのが残念。それと、ルイージやガッティも何度か聴いたので、最近の若い指揮者、マリオッティとかバッティストーニで聴いてみたいなぁ、、とこれも贅沢ですね。

ところで、来日の時も感じたのですが、スカラ座合唱団の実力。ただ、きれいにそろっているのではなく、群衆が集まるところは群衆っぽく聞こえるのです。力強さがあります。タンホイザーなどの合唱では新国立は素晴らしいと想いますが、ヴェルディの合唱は、スカラ座のほうが迫ってくるものがあります。

今回のヴェルディ3夜は、エージェントにチケットをお願いしたので、すべてプラティア席という贅沢でした。スカラ座で良いのは、シートの前に字幕があること。これはMetも同じですが、舞台がきれいになりますね。日本でも新国立あたりは最初からこれをやってほしかったです。英語への切替もできますし。

それと、幕間の飲み物と軽食が色々あって、しかも美味しい。これもいいところ。ただ、プログラムは厚いだけで、内容は歌詞と過去の公演の記録が主で、内容に乏しいです。これは新国立などのほうが全然充実していますね。日本のオペラのプログラムは高いものもありますが、総じてレベル高いと思います。

公演が終わった後、ぶらぶら歩いて帰って5分。楽です。季節も良かったので、もう少し遠いホテルでも問題ありませんでしたが、寒い時は大変ですね。

これで、イタリアともアリデベルチです。あー、楽しかった。
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