プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

イタリアで出逢った日本の「おもてなし」

今回のイタリア旅行は、ちょっといつもとは違ったアレンジメントをしました。

ひとつは、初めて旅行社のツァーを利用したこと。いつもは、オペラに行くにも観光に行くにもツァーは使いません。個人でフライトもホテルもオペラのチケットも手配します。どうしてもオペラのチケットが手配できなかったことが一度(スカラ座で)ありまして、この時は旅行代理店を使いましたが、その公演を見に行くツァーは敢えて避けて、個人旅行を組んで貰いました。

ツァーには、過去に一度苦い経験があり、クリスマス時期に急にバケーションが取れることになった時にホテルもフライトも取れなかったので、仕方なく家族でオーストラリアへのツァーを利用したのが良くなかったんです。別に旗を持った添乗員さんの後をついて歩くのは全然良いのですが、現地に着いてから自由行動がなく、すぐにホテルには入れずで、到着後2時間でもう我慢できずに、旅行会社に「一切の事故等の責任を自身で負う」という念書にサインをして、以降帰りのフライトまで自由行動にしてもらいました。ま、すぐにそういう念書が出てくるということは、僕みたいな人はけっこう多いのでしょう。

ですので、今回のツァーにも多大な期待はしていなかったのですが、オペラツァーということでホテルも豪華、食事も豪華ということで、果たしてどんなもんだろうか?という興味はかなり持っていました。結論から言うと、これがなかなか良かったんですよ。催行社のYツァーは音楽関係の旅行に強いということもあって、すべてに渡って非常に手慣れていましたが、かといってマニュアルで流すようなことはなく、個性の強い高齢のお客様一人一人のリクエストに自然体で応じていました。僕はイギリスで仕事をしていたので、パルマからの参加になったのですが、日本から来たツァーの本体一行の方々は、台風のために成田発が10時間近く遅れ、そのためフランクフルトの空港近くのホテルで仮眠を取って翌朝パルマに入るという強行軍になってしまいました。天候のせいとは言え、急なことで色々な手違いもあっただろうし、お客様は相当ストレスが溜まっているだろうと思いつつ到着した方々と昼食を共にしました。実際皆さん、「いや参った、参った」という感じで顔には疲れもにじんでいる中、旅行者の添乗員は「天候のせいとは言え、大変なご迷惑をおかけしました」と挨拶をします。ところが、「いや、あんた良くやってくれたよ。」という声がご老人からかかりました。これが、さいさきの良いスタート。その後も遅れを取り戻すためにスケジュールの変更や短縮が相次いだのですが、添乗員の手際が素晴らしい。そして、同行している音楽評論家の女性(誰だかおわかりですよね)も、バスの中で2時間も立ちっぱなしでDVDやCDでオペラを見せながら、熱の入った解説をしてくれますので、時差呆けで寝る人も見当たらず拍手まで入ります。

そうは言っても、皆さん疲れていますし、中には杖をついていらっしゃる方もいるので、徒歩での移動は遅れる方も出ます。しかし、添乗員はそのような人に目配りはしながら、決して「お荷物持ちましょうか?」とか「お休みされますか?」とは言いません。高齢でこのようなツァーに参加される方の個人の尊厳にリスペクトを払っている姿勢が明らかなのです。ですので、もちろん旗も持ちませんし、「皆さん、ついてきてください。」とか「集まってください。」という掛け声を一度も聞かなかった気がします。

オペラが終わると、出待ちをするという評論家の方が希望する仲間を誘って、歌手と写真を撮ったり、遅くまでバーで音楽談義をしたり、まあ実に楽しそうです。

話せばきりがありませんが、このオペラツァーにはびっくりしました。日本風の至れり尽くせりではないんです。あくまで個人の自由と尊厳を尊重し、心地よく旅行をしてもらうために、サイドや後からアシストするという姿勢。

僕はまだ一人でも夫婦でもツァーに参加しないで海外旅行に行けると思っていますが、70歳、いや80歳すぎた時にどうでしょうか? 今回、このツァーに参加して、「死なない限りはオペラツァーに行けるな」と確信が持てました。すごーい、良い気分で帰国しました。

そして、もうひとつの体験。これは、このツァーに途中参加するためにロンドンからパルマまで個人で移動する際のことです。移動することには全く不安はないのですが、アリタリア航空(まさしく、僕が出張中に2度目の倒産をした)でミラノリナーテ空港についてイタリアのタクシーで中央駅まで行き、イタリアに残るヨーロッパ伝統の低床式ホーム(低床式電車ではない)から、重い荷物を電車に載せて、時間に正確なイタリア国鉄でパルマまで行き、それからまたタクシーで…..、それも夜の10時過ぎに….、と思ったら、けっこう面倒になりました。

で、いつもはアメリカンエクスプレスに相談するのですが、インターネットを見ていたら、日本語でのイタリア内のリムジンサービスのサイトを発見。とりあえず見積依頼のメールを入れたところ、その日のうちに日本語で返事が来ました。値段もとてっもリーズナブルです。早速予約。予約金も10%程度。出発まで2回ほど確認のメールも来ましたが、これも自動送信のメールではなく個人名の日本語で丁寧なメール。でも、肝心のサービスが悪ければしようがないのですが、ミラノの空港では頼んだのよりも立派なメルセデスのSクラスが待っていました。英語をしゃべる運転手も感じ良く、ちょっと天気の話などをしますが、こちらが疲れているのを感じ取って、パルマまでの1時間半はシュアで安全、かつ速いドライブに集中してくれました。ま、当たり前のことなんですけどね。でも、こういうサービス他で頼むと必ず「チップは見積の金額に入っています」とは言っても、別にチップを請求される事が多いんです。もしくは欲しそうなそぶりをする。ま、たいした金額でなければ払いますけどね。この運転手、非常に気に入ったので、(イタリア人はしゃべりすぎて休ませてくれない事が多い)降りる時に現金でチップをエクストラに払おうとしたら、”Buena Notte!”と言ってすぐに去って行きました。スマート! ロンドンで仕事で疲れ切っていたので、空港からホテルまで直行、その間、荷物の心配も、スリの心配もせずに快適に休んで、電車とタクシーを利用したのの2倍ちょっとくらいの料金なら安いと思います。昔、こういう日本人専用のリムジンサービスをバブルの頃に利用したことがありますが、現地のリモよりも高いんです。で、日本人のドライバーなのに、チップをねだられたりして、嫌な思いをしたことがあります。(特にニューヨーク) でも、このリムジン会社のサービスは、とても洗練されていました。後から「いかがでしたか?」というメールも届き、「オペラを見に行ったんですよ」と言うと、「小さい会社で忙しくやっていて、オペラ見に行く暇もなくて。。」と返事がありました。こういう表情が見えるサービス、そしてY社同様に、押しつけがましくないサービスいいですね。ウェブサイト(日本語です)を見ると経営者はローマ出身のイタリア人の方ですが、日本からのリクエストにはすべて日本語で対応です。

Tiber Limo テヴェレ・リモという会社です。今度家内とイタリアに行った時にも是非利用したいと思いました。

まだ、日本人がヨーロッパでやってるレストランとか、同じくオークションを代理で入札して商品を落として送ってくれるサービスとか、日本人がむこうでやっているサービスを、ここ数が月でいくつか利用しましたが、みんな感じが良くて、正確で安心。値段もリーズナブル。押しつけがましくない。日本のおもてなしが、海外で洗練されたスタイルかな、と思います。
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