プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

バレンボイムは素晴らしい。が、何故ひまわりの丘に来たのか?

Felice anno nuovo per tutti ! 文法間違っているかもしれません。3年もイタリア語をたらたらと習っていますが、学生時代に1ヶ月マドリッドでスペイン人のフラットに住んで、スペイン語学校に行って習ったスペイン語のほうがよほど良く覚えてます。歳をとるとそういうものらしく、そのうち昔話しかしなくなるようです。

さて、今年のNHKの(NHKがやったのではないが)ニューイヤーコンサート、バレンボイム指揮。これは皆さんお聴きになったと思うので、感想は簡単に。

スクリーンショット


・曲の選び方が絶妙だった。かなり普通とは違っていたが、この伝統あるコンサートにそぐわないことは全く無く、内紛下にある国に心を寄せたエジプト行進曲には感激。また、僕の大好きなドリーブのシルヴィア組曲が出てきて、これにバレエが付いたのも感激。

・演奏は、そもそもこのウィーンフィルは定番ワルツや行進曲は指揮者はいらないくらいの高いレベル。小澤さんのように、あまりに真面目にオケをコントロールしようとして重苦しいコンサートなってしまったのは残念な例です。彼は、2002年の指揮のあと、ウィーンフィルの音楽監督でありながら、2006年に体調を崩すまでの在任中にも再演の機会はなく、ニューイヤー史上唯一人、一度だけの指揮者になってしまいました。

話がそれました。このコンサートは、まず指揮者は曲のメニューを考えること、そしてキイとなる部分だけ押さえて、あとは楽団にまかせれば良いコンサートになると思います。昨日のバレンボイムはまさにそれをやったと思います。彼の思想である、平和、もっと具体的に言えば、ユダヤとパレスチナの融合、そして今のエジプトの情勢に心を寄せる選曲。素晴らしかったと想います。今年生誕150周年を迎えるリヒャルト・ストラウス、そして僕が大好きなドリーブを入れたことも秀逸なメニューでした。それでいながら、政治臭さがない。

彼はこれで2度目のニューイヤー、そろそろ引退をほのめかしています。最後のラデツキー行進曲では演奏者一人一人と握手していました。これは、日本でモーゼとアロンを敢行した(色々と軋轢があったようです)時のウィーンフィルに感謝し、指揮者として最後の直線にさしかかっている彼が演奏者に感謝しているのかなぁと思いました。(そういう深読みがはずれることが、僕の場合60%くらいありますけど)

しかし、一方でスカラ座でブーイング続きで、昨年の来日でも音楽監督不在という異常事態をもたらしている現実もあるのです。彼は、長い付き合いで信頼関係のあるドミンゴと、再びスカラ座でシモン・ボッカネグラを振ります。ダブルキャストでヌッチがタイトルロールの時はマリオッティだったかな、ガッティだったかな。とにかくイタリア人(あ、また素人ブログの弱さ暴露)

前回の時のドミンゴのシモンの指揮、バレンボイムはワーグナーのように、ゆらいで振っていました。あの音は、僕自身が素人であることを自覚しつつも「ひどい」ヴェルディと思わざるをえませんでした。一方で、彼のトリスタンとイゾルデ、ベルリン歌劇場来日の時に聴きましたが、ヴェルディも入れた今まで聴いた250くらいのオペラ公演の中でも5本の指に入るもので、それは感激しました。彼のワーグナーは素晴らしい。

僕は昨日のバレンボイムに感激しつつも、イタリア映画の「ひまわり」のワンシーンを思い出していました。夫がロシアで記憶喪失になって、他の女性と結婚しているのを知らずにロシアまで夫を探しに行くと、大戦でイタリア人が大勢なくなった地に石碑があり、ロシアの詩人がこのようなことを書いていたと思います。「ナポリの子達よ、
なぜ遠くロシアの平原まで戦いに来たのか?
 故郷の海にあきたのか
? ベスピオの山は君を待っていた。」というような感じ。今、ググったのですが、正確な記事が見つかりませんでした。でも確かに映画のワンシーンにありました。とても心を動かされるシーンでした。

そして、テレビでコンサートを見ながら僕はこう思いました。

「ユダヤの子、バレンボイムよ、
なぜ遠くミラノまで戦いに来たのか?
 故郷の寒さにあきたのか
? ベルリンのピットは君を待っている。」

ムーティがいくら重くなってきたと行っても、ベルリンフィル歌劇場の音楽監督にはならないでしょう。僕がまだボサノバ99%の音楽生活を送っていた時から、ピアニストとして大好きだったバレンボイム、その最後がスカラ座のブーイングで終わらずに、ベルリンでの歓声で終わることを一人のファンとして心より祈ります。

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