プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ここは日本か!? 二期会「ドン・カルロ」

いや、満足です。日本で、日本人キャストでこんなに凄いドン・カルロが聴けるとは!

23日、マチネ。若手中心のキャストでしたが、いきなりエリザベッタ役の安藤赴美子がインフルエンザで降板! いやあ、残念..。昨年のパーティでお会いした時にもロールデビューとなるエリザベッタへの思いを語ってくれていましたし、20日でのパフォーマンスも素晴らしかったと知人から聞いていたので、とっても楽しみにしていたんです。そう言えば、エリザベッタって、METではフリットリにふられたし、今回は安藤さん。なんかそういう運命にある役なんでしょうかね。いや、そういう運命にあるのは僕か....... ともあれ、Aプロの横山恵子さんが急遽出演!ということになりました。

今回は、ポーザ公ロドリーゴ役、これもロールデビューの上江隼人さんとも新年会でお会する機会がありました。そこでは、この役への意気込みやヴェルディへの想いを色々とお聞きしました。ロドリーゴは、このオペラで唯一実在しなかった人物。つまり、ヴェルディの想いがそのまま結実した役柄で、名誉と友情のために死を選ぶ….まあ、すごい「いい役」なんですよね。上江さんのロドリーゴは、内に秘める想いと覚悟を実に繊細に表現していました。彼はナブッコやジェルモンを聴いていて、その歌唱の上手さでずっと注目していたのですが、今日のロドリーゴでは表現力も、歌唱もBravissimoでした!! あんなに輝かしい高音が出るんですね。決して力で押さない、知的さを感じさせる抜群のヴェルディ・バリトンだと思います。この”名誉”がかもし出せないとヴェルディ歌いではありません。上江さん、いつかシモンもやってほしいなあ。今日は3幕目最後のアリア、死にいく時に最後の力を振り絞って歌うところには完全にやられました。ここはいつも感激のシーンですが、今日上江ロドリーゴは圧巻でした。そして死の後に少しひびく「友情のテーマ」がまた、涙を誘いますね。

今日は、ジョン・ハオと加藤宏隆のバス二人(加藤はバス・バリトンだが)のフィリポと宗教裁判長の二重唱も大迫力でした。決してモゴモゴしない美しいバス。低い声で感情表現はむずかしいと思うのですが、二人の威嚇と諦め、同意がつまったやりとりには息をこらえました。両方のバスがこれだけ上手く呼応しあうというのは、海外のドン・カルロの舞台でもそうありません。しかし、加藤さんは、この音域でジェルモンを突然歌わされて、ムーティにさんざんレッスンでしごかれて可哀想でした。

話それました。

横山恵子も素晴らしい出来でした。絶賛したいです。ただ、僕は個人的にはヴィヴラートの多い彼女の声のエリザベッタよりはフリットリスタイルのほうが好きなので、やはり安藤赴美子で聴きたかったのが本音なんです。トリノの仮面舞踏会のオクサナ・ディカもそういうタイプでちょっと苦手です。最近聞いた新しいソプラノでは、ルイゾッティのヴェルレクでのメキシコ人(だったと思います)のアイノア・アルテータが良かったですね。ああいう人ならそんなに高くないでしょうから新国立あたりで使ってもらいたいものです。

あ、また話それました。

若手の山本耕平も血気にあふれるカルロを熱演し、情熱とほとばしる感情を声に入れ込んでいて好感持てました。29歳!後ろから見ると衣装も含めて、”ダニール・シムキン”みたいです。踊りだしそうな躍動感。イケメンですしこれから人気でますね。ただ、惜しむなくはもともとの声がイタリア的でない感じですね。4幕目では輝きが出てきましたけど、どちからというと内向的な声か?直近で生で聞いたカルロが、ファビオ・サルトリなんで余計そう感じるのかもしれません。 フランス語版のカルロのほうが合いそうです。清水華澄のエボリ公女、ちょっと良い人でしたけど、歌は実にうまい!特に後半、3幕から全開でしたね。

とにかく、今日の歌手のレベルにはびっくりです。

昨年10月にスカラ座で、ファビオ・サルトリ、マッシッモ・カヴァレッティ、ルネ・パーペ、マルティナ・セラフィン、エカテリーナ・グヴァノヴァ,指揮はファビオ・ルイージという超豪華キャストでドン・カルロ聴きましたが、それから4ヶ月で今日の公演を聴いて、十分比較できる!!日本のオペラの実力もすごいなあ。

ちょっと、残念だったのは、指揮のフェッロでしょうか。可もなく不可もなくという風にいえなくはないですが、ずーっと中音でボリュームが固定したような感じ。テンポにもメリハリがないです。それでいて、友情のテーマのところなど、変にのばすのが違和感がある。これはルイージとはだいぶ差がありました。このくらいの人をイタリアから招聘するほどのことはないのでは?と思いました。

それと、必ず書いておきたいのは、今日の舞台幕があがってまず、あっと思ったのは衣装の素晴らしさ。マクヴィガーの演出は期待通りよかったのですが、衣装は期待をはるかに超えていました。まず、色がまさにアルマーニが作った舞台衣装のよう。あるいはジオットのフレスコ画か。特にグレイはイタリアの近代画家、ジョルジョ・モランディのグレイを使っていましたね。この手のグレイはアルマーニ・グレイとも言われます。これは絶対衣装担当はイタリア人だと思って、帰宅してからパンフレットでチェックしたところ、“ブリギッテ・ライフェンシュトール”! おお、4月のスカラ座来日でファルスタッフの衣装を担当して、僕もブログで絶賛したあのオランダ人でした。ペーズリーを大胆に使ってましたよね。

オペラの公演で「衣装が良い」なんて特筆したことなんて10年で数回しかないのに、彼女がそのうちの2回を占めるとは! 完全にファンになりました。ファンレター書きたいです。

5幕のドン・カルロ、 METでモデナ版を見ました。演出はだいぶ違いましたけど。とにかく4幕版に比べてストーリーがよくわかります。ちなみに、トリスタンとイゾルデも前にもう一幕付けてくれるとストーリーが良くわかるんですけどね。ドン・カルロとトリスタン、王の花嫁と息子 or 家臣ができてしまうという点でそっくりです。ラストはワーグナーのほうが夢想家というのがわかりますが。

両方とも長いオペラです。のめり込まないと、お尻が痛いとか、トイレにいきたいとか、4時間以上集中するのが難しくなります。今日は? やっぱり指揮ですね。4幕でのめり込まされるだけの緊迫感のある音ではありませんでした。ヴェルディ得意かどうかは?ですが、二期会系なら沼尻マエストロのほうが良かったのでは?

良かったといいながら色々と文句言っていますが、満足度最高です。

実は、今愛用のMacbookAirが不調で、これだけ書くにも大変苦労しています。ということで今日はおしまい。
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