プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

新しい時代の ”夢遊病の娘”

昨日のパルジファルから打って変わって今日はベッリーニの "夢遊病の女”。今回の昭和音楽大学の主催では"娘”になっています。昨日のブログであろう事か"パジルファル”と書いてしまい、すぐに撤回したのですが、Googleやフェイスブックには何故か"パジルファル”がキャッシュされてしまったようで、みっともない.......

さて、今回の公演ですが、ついに現代演出になりました!演出のマルコ・ガンディーニと美術担当のイタロ・グラッシは前回のオベルトでも美しい舞台を作りましたが、今日の舞台も素晴らしい。クプファーの舞台のようにお金はかけていませんが、キュビズムっぽい舞台装置と、モランディのようなフレスコっぽい色に深紅をアクセントに使い、まぎれもないイタリアです。部分的に紗幕が車のウィンドウのように出てきて、これが室内外の境になったり、心理的な近さと遠さを表します。すぐれた演出だと思います。昔の馬場紀夫さんのアルプスの少女ハイジみたいな演出も良かったですけど。

僕はヴェルディ以外の作曲家ではベッリーニがとても好きです。特にこの演目の曲の美しさは比類ないものです。姉妹版とも言える「異国の女」のCDも持っていますが、今ひとつです。ノルマはバルトリの素晴らしい上演を聞きましたが、カプレーティとモンテッキ、清教徒はまだ聴いていません。METでの清教徒は行きたかったのですけど、NYはヨーロッパに比べフライトもホテルもコストが高いので諦めた苦い思いがあります。やっぱり行っておくべきだったかなぁ。この時代の作品でもうひとつ大好きなのがロッシーニの"ランスへの旅”で、これは後で後悔しないように来年2月にマチャイゼが出るのを聴きに行きます。

話がそれましたが、そういうわけで、出演の歌手もいよいよ寝っ転がったり、ひっくり返ったりして歌うようになりました。今回はアミーナ役には藤原歌劇団準団員の柏川翠。え、準団員!とびっくりするような歌唱力、演技力、落ち着き、「暖まってから声が良くなる」というようなものではなくて、最初から全開です。藤原のベルカント系ソプラノの素晴らしさは、決して大きな声ではないけれど、絹の糸のようにプリマの歌が合唱の上を飛んでくるような鋭い繊細さがあること。高橋薫子さんが全くそうですが、この人もそうでした。まだまだ技術は伸びるでしょうが、充分に磨かれている素晴らしい原石です。最後のアリアもBrava!!!!!!!! そしてエルヴィーノの岡坂弘毅、ホセ・ブロスを思わせるような締まって甘い声。大物の予感です。

指揮者は僕にはお馴染みのダンテ・マッオーラ。人の良いお爺ちゃま、という感じですが、イタリアの小劇場の雰囲気を充分に出すような優しい指揮。実に丁寧に、そして歌手に寄り添って曲を紡ぎます。先生としても最高でしょうね。

テアトロ・ジーリオ・ショウワ、良い劇場です。音響も舞台装置もライティングも素晴らしい。今日は奮発してS席。それでも4,800円。会員ですので4,350円、二人で2回行けば元が取れる”ゆりフレンズ"会員です。

なんか、劇場の宣伝みたいになりましたが、このレベルの劇場であれば、シーズンに3-4作を組んで会員を募っても良いのでは、と思ってしまいました。もちろん僕は行きます。


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