プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

レオ・ヌッチ バリトンリサイタル

おとといの26日のリッツカールトンでのパーティーの冒頭の挨拶で、ヌッチ氏は「オペラという場所で皆さんとお会いするのも大好きだが、それよりももっとリサイタルというもっと皆さんと近い距離で、皆さんを抱くようにできることが大好きだ!」と言っていました。

 昨日11月28日の東京プロムジカ主催のリサイタル、そういう意味では、観客は2時間半、ヌッチの歌と胸に抱かれたままとびっきり上質の感動の時間を味わいました。

 2年前のリサイタルでは、渋滞に巻き込まれて一曲目のヴェルディの歌曲「詩人の魂」の世界初演を聴き逃すという失態を演じたので、この日は早く出かけました。年末の車での観劇は気をつけないといけませんね。2年前も11月28日だったんですよね。11月28日はヌッチの日!

この日の曲目、ずいぶん若々しい曲が多いんです。しかも、軽い音から重めの音まで。プログラム見ただけで胸が高まります。

 最初のセヴィリアの理髪師は、喉ならしというところでしょうが、もうここで久しぶりに彼のロッシーニ聞いて興奮です。そして、今年3月にモデナでシモン・ボッカネグラを聴いた時にも痛感したのですが、ヌッチさん最近になって、また中音、高音が昔のように輝かしく伸びてきているように思えるんです。歳を取れば中音、高音は失われて行き、その分、表現力が素晴らしくなってくる....このパターンでここ4-5年はシモンやフォスカリ、リゴレットを中心にを歌ってきたと思っていましたし、実際シモンは僕自身も各地を追っかけて聴いているのですが、今日のベッリーニの清教徒、アンドレア・シェニエのジェラール、そしてアンコールの仮面舞踏会のレーナート、目をつぶれば40代のヌッチを聴いているような輝かしさあります。そして表現力はますます素晴らしく、プログラムにある加藤浩子さんの言葉を借りれば「歌う俳優」の極みに達してきていると思います。

アンコールは8曲!いつも4-5曲ですから、すごいですよね。楽曲のみの演奏無しで、連続8曲ですから、アンコールというより第三部です。だって1時間Uたったんだんですから。これはサービス精神というよりも、歌うだけの力がある、毎日毎日練習をかかさないそうです。歌うことが何より彼の魂を解き放っているのだと思いました。アンコールの「わすれな草」、あれだけ歌った後で、美しいピアニシモの低音がホールの端まで流れてきます。もうダメ。。。

先週のジェノヴァのルイーザ・ミラーはフライトまで取って行けませんでしたが、来年2月のウィーンでのシモン・ボッカネグラは行きますよ。はじめて、フリットリのアメーリアとヌッチのシモンの2重唱が聴ける!来年もヌッチを追っかけたいなぁ。

帰り際、楽屋からサイン会に出て来たヌッチ氏と鉢合わせに。おととい話しをしたので覚えてくれていたかどうかわかりませんが、"Grazie Maestro!"と握手すると。あたたかい手でギュッと握り返してくれました。その手で帰りの車でおにぎり食べてしまったんですけど。。。

そして、最後にヌッチも何度もパーティで言っていましたが、こんな素晴らしいリサイタルを世界で開催してくれるのは東京プロムジカだけだと!プロムジカは音大生を無料招待しているんですよね。それに応えて音大性や若い歌手はヌッチが手を挙げると一緒に歌うんです。いつもは"帰れソレントへ”、か"オーソレミオ”なんですが、この日は”カタリ・カタリ”をまるで新国立合唱団のようにヌッチと歌い上げました。すごい!こんな劇場、イタリアだってないですよ。ムーティの2011年のローマでのVa Pensieroのbisでも観客は歌詞の紙見ていましたから。

いつまでも書いていてもしかたないので、これで終わります。まだ今日一日は興奮が収まらないでしょう。

この日の曲目

ロッシーニ:《セビリャの理髪師》~“私は町の何でも屋”
G.Rossini : «ll barbiere di Siviglia» ~ “Largo al factotum”
トスティ:初めてのワルツ(インストゥルメンタル)
F.P.Tosti : First Waltz(strumentale)
     :君なんかもう / 魅惑
     :Non t’ amo più / Malia
ファルヴォ : 彼女に告げて
R.Falvo : Dicitencello vuje
ヴェルディ:煙突掃除屋(インストゥルメンタル)
G.Verdi : Lo spazzacamino (strumentale)
     :亡命者
     :L’ esule

ベッリーニ:《清教徒》~“ああ、永遠におまえを失ってしまった”
V.Bellini : «l puritani» ~ “Ah! Per sempre io ti perdei”
ロータ:映画音楽のテーマ(インストゥルメンタル)
N.Rota : Temi da films (strumentale)
レオンカヴァッロ:四月
R.Leoncavallo : Aprile!
ジョルダーノ:《アンドレア・シェニエ》~“国を裏切る者”
U.Giordano : «Andrea Chenier» ~ “Nemico della patria”
マルカリーニ:《ファルスタッフ》~“九重唱”(インストゥルメンタル)
P.Marcarini : Falstaff’s Notturno (strumentale)
ヴェルディ:《ドン・カルロ》~ “終わりの日は来た”
G.Verdi : «Don Carlo» ~ “Per me giunto è il dì supremo”

アンコール(この後にもう一度“、私は町の何でも屋”のbis(?!)
IMG_1401.jpg






関連記事
スポンサーサイト

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://provenzailmar.blog18.fc2.com/tb.php/493-4e9cd6ec
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad