プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ランスへの旅 @ オランダ国立オペラ劇場

「演出の勝利」と言って良いでしょう。そのくらい、演出が際立っていました。今回の演出のドミナーノ・ミキエレットは新国立の定番になった、キャンピングロッジ仕立ての”コジ・ファン・トゥッテ“や二期会のイドメネオなどの現代演出で日本でも知られていますが、今回は、”ランスへの旅”をまるで、ハリウッド映画の”ナイト・ミュージアム“のように仕立て上げました。

「黄金の百合咲く宿」は美術館に、ランスへの旅人は名画の中から飛び出してきた登場人物。彼等が現実と夢の世界を境界なく動き回り、最後には、フランソワ・ジェラールが描いた「シャルル10世の戴冠式(1829年)」の絵の構図になって額に納まり、そのまま紗幕に焼き付いてしまうんです。

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 しかし、美術館にフォルビル伯爵夫人の荷物として運び込まれる名画の数々とそこから飛び出す登場人物が、誰が誰やらわからず、僕は途中まで宿の主人とフォルビル伯爵夫人を勘違いしている始末。マチャイゼのファンがこれでは面目無い。(ホントひどいもんです。自省…)このオペラの上演のあった3日の午前中に、マチャイゼのFBに「はるばる日本から来ました」とか書いたというのに、全く…..

 言い訳になりますが、今回は平土間の3列目を取ったウィーンと違って、最上階天井桟敷のど真ん中を取ったので、大きな劇場ということもあり、ステージが遠い。持っていったオペラグラスが曇っていて歌手の顔が確認しずらいのと、夜の美術館で動き回りながら歌う歌手の誰の口が動いているかもわかりずらかったんです。

 あえて、その席を取った理由は、“ランスへの旅“は、舞台の真ん中に花道のような細長いステージを作ったり、オーケストラボックスをプールに見立てたりするので、高いところから見た方が良いだろうと思ったのですが、そういう仕掛けはありませんでした。

ただ、歌手以外にも、レンブラント、ベラスケス、マルグリッド、ピカソ、ヘリングなどから飛び出した人物や犬が舞台を動き回りますから、どうしても歌よりも演出に目が行ってしまいます。

 指揮は、バロック・ヴァイオリンの名手としても名高いステファノ・モンタナーリ。チェンバロの弾き振りです。最初の序曲は随分と強弱、とテンポの変化があったので、どんな感じになるのかな、と不安と期待がありましたが、その後は全体として非常にオーソドックス。やや弦が弱い感じがありましたが、聴きやすいロッシーニでした。ただし、僕はヴェルディに比べればロッシーニはもっと素人。この“ランス”もアバドや、コボス指揮ののDVDやCDは何度も聴いていますが、生では2008年のマリインスキー来日の時のゲルギエフ指揮しか聴いていませんので、なんとも言えないところです。

 歌手では途中から役柄が判明したフォルビル伯爵夫人のマチャイゼ、声は素晴らしいのですが、ロッシーニにはやや固すぎるか? ”真珠取り“や”タイス”の時は素晴らしくはまっていましたが、今回はコリーナ役のエレノーラ・ブラット(昨年のムーティ指揮のローマ歌劇場来日”シモン・ボッカネグラ”のアメーリア役)や、ロッシーニを得意としている、メリベーア公爵夫人役メゾのアンナ・ゴリャチョヴァの軽めの声のほうが良かったように思います。男声ではドン・アルヴァーロのマリオ・ガッシ、騎士ベルフォールのホアン・フランシスコ・ガテール以下、良くここれだけの歌手を集めたという感じで、14重唱は圧巻!しかも演出がその16人が白いキャンバスの向こう側からキャンバスを破って顔を出して歌うというおもしろさ! たまりませんでした!

 しかし、このプロダクション、相当にお金もかかっていると思います。その割にチケットは格安。国の補助が大きいのでしょう。今年もベルクの“ルル”、ベルリオーズの“ベンヴェヌート・チェルリーニ”、ヘンデルの”アルチーナ“など、滅多に聴けない意欲的なプログラムを組んでいます。

Musical Director Stefano Montanari
Stage Director Damiano Michieletto

Corinna Eleonora Buratto
La Marchesa Melibea Anna Goryachova
La Contessa di Folleville Nino Machaidze
Madama Cortese Carmen Giannattasio
Il Cavaliere Belfiore Juan Francisco Gatell
Il Conte di Libenskof Michael Spyres
Lord Sidney Roberto Tagliavini
Don Profondo Nicola Ulivieri
Il Barone di Trombonok Bruno De Simone
Don Alvaro Mario Cassi
Don Prudenzio Biaggio Pizzuti
Don Luigino Carlos Cardoso *
Delia Maria Fiselier
Maddalena Teresa Iervolino
Modestina Florieke Beelen
Zefirino Jeroen de Vaal
Antonio Tomeu Bibiloni

 ところで、アムステルダムの食事はあんまり美味しくないという噂でしたが、新鮮な魚を中心に、美味しい料理、さがせばあります!下の写真の魚介類のプレート(少し食べてしまいましたが)で税込み22ユーロ!

また来たくなる街です。
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