プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

藤村実穂子、第44回サントリー音楽賞受賞記念コンサート

僕はイタリアオペラを聴きに行くのが多いので、藤村さんは、新国立の「神々の黄昏」のヴァルトラウテでしか生では聞いていないのです。イドメネオのイダマンテは何か用が出来てしまって行けなかった記憶があります。

しかし、ヴァルトラウテでの第一声、今でも覚えています。ジークフリートのクリスチャン・フランツやブリュンヒルデのガブリエーレ・シュナウトが、まったりした感じで歌っているところに、「お姉様!」とやって来る藤村の地を響き渡るようなメゾの迫力。びっくりしました。日本人でこんな歌手がいるなんて。

その後も、彼女を聞くのはNHKのニューイヤーオペラ、という状態でしたが、今回、一日限りのリサイタル、本当に行って良かったです。プログラムは下記の通りですが、特に「ヴェーセンドンク歌曲集」はトリスタンとイゾルデにほとんどそのまま使われているとのこと、そのまま終わらないでオペラに移って行って欲しいと思いました。

彼女の声を表現するには、僕の文章力が足りませんが、”熟成された” 声というのが一番形容詞としてはふさわしいかと..... ドイツワインは甘い、というのはピースポーターあたりを飲んでいると、そうとしか思えませんが、最高級のワインで不思議な形のボトルに入った”ヴュルツブルガー シュタイン”という辛口のワイン、これが彼女の声をワインに例えられるでしょう。このワインは、たしか、新国立のリングの時にワーグナー協会が協力して、一杯1,000円くらいでホワイエで飲めた記憶があります。

聞こえるか聞こえないかのようなピアニシモから彼女の声質は美しく、オーケストラの中から突き抜けて広がってきます。今回はサンサーンスの"サムソンとデリラ”からのアリアも入ったのですが、これは、食後酒で最高級のアイスヴァインのように甘い。こんなデリラがいたらサムソンもメロメロでしょう。

アンコールはなんと、ビゼー。カルメンから「セギディーリャの砦のほとりで」。休憩で真っ赤なドレスに着替えたのはこのアンコールのためでしょうか? 実に気品のあるカルメンでした。Brava!

実は、2013年にザルツブルグの音楽祭に行った時、その数ヶ月先にアッバードがルツェルンの音楽祭で、藤村実穂子さんとブラームスをやるというので、行きたかったのです。(この年は5月にもベルリンフィルでアッバードがベルリオーズを振るというので行こうとしたのですが、ドイツまで行って果たせませんでした。)ご存じのようにアッバードは2014年の1月に亡くなり、藤村さんは、アッバードが最後に共演したソリストになったわけです。

この日のサントリーホールのコンサートのプログラムで、藤村さんはアッバードとのことをそのように呼ばれると涙が出ると書いてあります。

この時の藤村さんの歌唱はすごいです。ダイジェスト版がYouTubeにあります。

完全版は演奏会の後、削除されていたのですが、数週間前にまたアップされました。1時間半ほどのフルバージョンのHDで27分くらいから彼女が登場します。

次ぎに彼女を生で聴けるのはいつでしょうか? できればブランゲーネで聴きたいものです、。

J. S. バッハ:カンタータ 第170番「満ち足れる安らい、うれしき魂の悦びよ」から第1曲アリア
シューベルト:魔王
ベートーヴェン:『献堂式』序曲 op. 124
ワーグナー:ヴェーゼンドンク歌曲集 天使/止まれ!/温室で/痛み/夢
チャイコフスキー:オペラ『オルレアンの少女(ジャンヌ・ダルク)』から「さらば森よ」
サン=サーンス:オペラ『サムソンとデリラ』から「あなたの声に心は開く」
ワーグナー:楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』前奏曲
ワーグナー:楽劇『ワルキューレ』第2幕第1場から(フリッカ)

アンコール

ビゼー:歌劇『カルメン』から、セギディーリャの砦のほとりで
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