プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

バッティストーニ/東フィル@大賀ホール(ビゼー&チャイコフスキー)

 東京フィルハーモニーの主席客演指揮者として、活発に活動をしているバッティストーニ来日とともにゴールデンウィークが始まりました。まずは、今日、4月29日、軽井沢大賀ホールへ遠征しました。曲目は”アルルの女“と”チャイコフスキー交響曲5番”どちらも、彼がいかにも得意そうな演目で注目していましたが、チケットを取るのが遅くなってしまい、最後の3席のうちの1席をゲット。2階の1列目(1列しかないですが)、オケの左横、コントラバスの上あたり。音響的には?ですが、バッティの指揮ぶりが良く見えるので満足なシートでした。

 序曲の「3人の王の行列」、又は「ファランドール」、「いわゆる「王様の行進だ!」は、高校の合唱コンクールで歌った覚えがあって懐かしいです。バッティストーニ得意の、彫刻的な音で建築を作っていくような、あるいは油絵を描いていくような、立体感のある指揮ぶりです。でも、これまでの、ローマ三部作、新世界に比べると、ややおとなしいスタートでした。これが、彼の今回の特徴か!いや、前進だと思います。大きな音から中音、微弱音までのつながりが、素晴らしくスムースで美しい。指揮棒の先から蜘蛛の糸が出ていて、それで音を引っ張り出してくる感じです。目をつぶると、2月に行った、アムステルダムの美術館のゴッホのアルルの絵を思い出します。しかし、今回の予習で知ったのですが、第2組曲はビゼーの死後、彼の友人のエルネスト・ギローが、追加して作曲したのだそうです。おー、びっくり。と言っても、メヌエットはビゼーの「パースの美しき娘」からの転用、第4曲は、再び「ファランドール」ですから、(こっちが「ファランドール」と呼ばれている曲そのものみたいです。)ビゼーの美しい曲の調べは全く崩れていません。バッティストーニは今回の来日で、トゥーラン・ドットもやりますが、この曲もリューが自刃したところまで書いて、プッチーニも亡くなってしまい、その後は、フランコ・アルファーノという作曲家が書いたものですから、何か偶然とは言え共通項があって面白いですね。そして、序曲に比べて、第二組曲最後のファランドールはすごいパワー。これぞバッティ!という感じでした。こういう鳴らし方はミケランジェロが音楽を彫っているような感じです。ちなみに、アバドはラファエロでしょうか?

 休憩を挟んで、チャイコフスキーの交響曲第5番。

 この曲も学校の音楽の授業で聞いた覚えがある程度だったので、ムーティー/フィラデルフィア交響楽団の盤で予習。この盤もなかなか凄い迫力ですが、今日のバッティストーニの情感溢れる、うねるような指揮には圧倒されました。正直、チャイコフスキーというとバレエ音楽のほうが得意なもんで、あまり内容のある文章も書けずにすみません。

 前述しましたが、今日のバッティストーニは「鳴らすバッティ」でもありましたが、音量の低いところでも、素晴らしくテクニックを見せてくれました。今迄がBOSEのスピーカーだとすると、今日は中音はJBL、弱音はタンノイという感じでしょうか? そのつながりが素晴らしかったです。その意味で、アンコールのチャイコフスキーの「弦楽のためのセレナーデから”ワルツ“」は、全体が中音量で流れるように奏でられ、彼の新しい面を聴いた感じがしました。

 大賀ホールの観客も素晴らしいですね。最近、演奏中に雑音が出ないのはもちろん、変なところで拍手する人も皆無。そして、指揮棒が曲の終わりを告げた正にその時に割れんばかりの拍手。本当に音楽の好きな人が来ているなぁと感じました。今回初めていったホールですが、環境は素晴らしく休憩中にはバルコニーに出て、目の前の湖のような大きな池を渡る風を受けて興奮を静められます。ホールは木の香りがして、音響も素晴らしい。また是非来たいところです。

 今回も、公演後マエストロにご挨拶する光栄な時間を頂きました。首にタオルを巻いていましたが、握手した手も、額も、リゴレットの終演直後と同じで、全く汗をかいていませんでした。これから、この若きマエストロは、どんどん進化するでしょう。40代まで、僕が生き延びて聴けるようにがんばらなくてはと思います。

 5月は、トゥーラン・ドット(演奏会形式オペラ)の他に、ヴェルディ、プッチーニ、ロッシーニ、レスピーギの序曲などを指揮します。実に楽しみです。http://www.tpo.or.jp

 そして、夏のヴェローナでは、ヴェルディのアイーダと、オルフのカルミナ・ブラーナ! これも行きたいなぁ。特にカルミナ・ブラーナは最高だと思います。

ああ、この1週間は、ポール・マッカートニーと、アンドレア・バッティストー二、祖父と孫くらいの年齢の差がありますが、二人の天才を満喫し、トラヴィアータでは才能ある若手に刺激され、充実していました!
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