プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

英国ロイヤル・オペラ特別演奏会(短評)

 先週土曜日のROHの特別演奏会、日にちがたってしまったので、短評にて。

 パッパーノの指揮とピアノの弾き振りは、ドン・ジョヴァンニの時よりも積極的に歌手を引っ張り、彼らしいきびきび感に溢れてしました。これだけでも行った甲斐があったというもの。

 前半はモーツァルトのアリア、後半は同じくレクイエムでしたが、歌手ではやはりジョイス・ディドナードが圧倒的に良かったです。歌を歌うという部分では、もはや余裕たっぷりで、いかに情感を歌に託すかというところで素晴らしい表現力を聴かせてくれます。出だしから安定しているのは、アメリカ人ソプラノの特徴!ヴォイトとかフレミングもそうですね。家内が"アスレチック”なソプラノ、と言っていましたが同感。同じソプラノのアルビナ・シャギムラトヴァも悪くはないのですが、ディドナードと並んで重唱を歌うに至ってはあまりにも差が歴然。

 ドン・ジョヴァンニでツェルリーナ役で、あまり合っているとは言えなかったユリア・レージネヴァ、この日はアジリタも聴かせてくれました。ただ、それでも2月の「メッセニアの神託」のような神がかった歌唱は聴けませんでした。やや残念。ローランド・ヴィラゾンは、13日のドン・ジョヴァンニでも「高音が出ていない」と書きましたが、やはり喉の調子が悪かったとのことで、前半のアリアのあとに突如発表があり後半は降板になりました。急遽(でもない、予想されていたのかもしれません)サミュエル・サッカー(マクベスでマルコムを演じた)がレクイエムに登場。マルコムよりもずっと良いと思いました。ヴィラゾンは、ヨーロッパでも不調による降板が多いようです。最近は演出も多く手がけているようで、そちらのほうにシフトかもしれませんね。彼は人柄も良いようですし、今回の日本滞在中の気温の変化などを考えると責めるのは可哀想ですが、1公演半、不出来なパフォーマンスを聴かされるのは、D席でも2万6千円(オペラ)も取られることを考えると残念です。ヴィラゾンのファンも日本には多いでしょうが、僕としては早めにサッカーに交代してもらったほうが良かったかと思います。

 イルデブランド・ダルカンジェロは評価している人も多いようですが、僕はドン・ジョヴァンニ同様、あまり感動しませんでした。声質は良いし、歌唱も上手いのですが、それ以上のものがなくなんとなく退屈かなぁという印象を受けました。というふうに、またネガティブなコメントが多くなってしまったのですが、これをすべて打ち消して大満足感を与えてくれたのが、パッパーノの指揮とディドナードの歌唱でした。Bravi!!!!

そして、けっこう過密なスケジュールをこなして頂いたオーケストラの皆さんには感謝です。

指揮:アントニオ・パッパーノ
ソプラノ:アルビナ・シャギムラトヴァ
アルト:ジョイス・ディドナート
ソプラノ:ユリア・レージネヴァ
テノール:ローランド・ヴィラゾン
バス:イルデブランド・ダルカンジェロ
演奏:ロイヤル・オペラハウス管弦楽団、ロイヤル・オペラ合唱団
曲目 第1部 アリア集(演奏順未定)
<シャギムラトヴァ>
モーツァルト: レチタティーヴォとアリア
「わが美しき恋人よ、さようなら~
  とどまって下さい、いとしい人よ」K.528
<ディドナート>
モーツァルト:レチタティーヴォとアリア
「どうしてあなたが忘れられるだろうか~
  心配しなくともよいのです、
         愛する人よ」K.505
  (ピアノ:アントニオ・パッパーノ)
<レージネヴァ>
モーツァルト:アリア「あなたは今は忠実ね」K.217
<ヴィラゾン>
モーツァルト:レチタティーヴォとアリア
「憐れな男よ!夢なのか、それともうつつなのか?
 ~あたり吹くそよ風よ」K.431(425b)
<ダルカンジェロ>
モーツァルト:レチタティーヴォとアリア
「このようにあなたは裏切るのか
 ~苦く酷い後悔よ」K.432(421a)
モーツァルト:演奏会用アリア
「このうるわしい御手と瞳のために」K.612

第2部 モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626
ソプラノ:シャギムラトヴァ
アルト:ティドナート
テノール:サッカー
バス:ダルカンジェロ
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