プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

こうしてオペラに行き着きました。

僕のこのブログも書き始めてから8年になります。最初に書いた公演は2007年の文化会館でのバレエ公演でした。オーストラリアバレエ団の“白鳥の湖”グレアム・マーフィー演出でダイアナ王妃のストーリーを下書きにした意欲的な作品でした。で、そのすぐ後に、ミラノに旅行した際に見た、スカラ座でのマゼール指揮、イリーナ・ルング、ヨナス・カウフマン主演の”ラ・トラヴィアータ“を、オペラ公演として初めてブログにアップしました。ルングとカウフマン!、なかなかのキャスティングと思われるでしょうが、2007年時点では両者ともにまだ無名、ルングは固く、カウフマンは良かったものの、今のようなもの凄さはなかったです。もう今では彼はアルフレードを唄うことなどないでしょうね。

 僕はここらへんからオペラとバレエにはまり、今日までにオペラは250、バレエは50くらいの公演に行きました。でも、もともとはオペラもバレエも喰わず嫌い。クラシックは室内楽中心でした。さらに遡れば中学生からボサノバが好きで、これは今でもオタクを自認しています。車の中で聴く音楽もボサノバが一番多いと思います。アントニオ・カルロス・ジョビンやヴィニシウス・モラエスなど。ご存じない方もいらっしゃると思いますが、今は無きこの二人は、「イパネマの娘」の作曲家と作詞家で、“ヴィニシウス&トム”の愛称で、来年のリオデジャネイロ五輪のマスコットにもなっています。そして、ボサノバという音楽は1950年代にリオの“フランク・シナトラファンクラブ”の会員だったミュージシャンが作った新しい音楽です。JAZZとサンバをミックスしたもの。と言うことで、僕の興味もJAZZに向かいました。それが20代後半のことだったでしょうか。スタン・ゲッツやチャーリー・バードから入って、結局ビル・エバンス、キャノンボール・アダレイにたどり着きます。特にアダレイとデビュー前のセルジオ・メンデスが共演しているボサノバアルバムは今も良く聞いています。それで、ロン・カーターのJAZZ風の“バッハ、無伴奏チェロソナタ”を聞いたり、友人の勧めでグレン・グールドのバッハを聴いているうちに、いつのまにかバッハだらけになりました。今では滅多に聞きませんが、その頃はカザルスのチェロソナタがお気に入り、そしてカザルスがイタリアの作曲家ルイジ・ボッケリーニ(1743-1805)のチェロ協奏曲を演奏しているのを聞いたのに大きな感銘を受けて、イタリアの室内楽に入っていきました。その頃(80年代)メロドラマで良く使われていたアルビノーニ、コレッリ、スカルラッティ、ヴィヴァルディ、そしてレスピーギあたりです。なにせボサノバに費やす時間が多かったので、室内楽のほうは上っ面だけだったのですが、ボッケリーニの次にショックを受けたのは、ロッシーニの弦楽のためのソナタでした。

 初めてオペラを聴いたのは、2001年のフィレンツェ歌劇場来日のトゥーランドット、メータの指揮でした。これで“オペラ喰わず嫌い”は治ったのですが、それでも、2007年にミラノに行くまでは年にせいぜい4-5回の観劇だったのです。盛夏の暑いミラノに行って“ラ・トラヴィアータ”を聴いて、ヴェルディが亡くなる間際に自費で建て、今でも養老院としてなお現役の“音楽家のための憩いの家”を尋ねてから、完全にヴェルディにはまりました。でも、ヴェルディだけでなく、ロッシーニ、ベッリーニ、ドニゼッティなどのイタリアオペラを聴くのに、イタリアの室内楽を聴いていたのは良かったと思います。入りやすかったです。音楽として当然のことながら共通したものがありましたから。その点、ワーグナーに入るのにはちょっと苦労しました。入り口はリングでしたが、きっかけになったのは「ロード・オブ・ザ・リング」。この映画に相当入れ込んでいたので、いわゆる指環伝説からワーグナーに入った(裏口入学?)わけです。

 離れ島に持って行く10のオペラと言ったらなんでしょうかね。

1. シモン・ボッカネグラ(ヴェルディ)
2. ラ・トラヴィアータ(ヴェルディ)
3. ファルスタッフ(ヴェルディ)
4. リゴレット(ヴェルディ)
5. オテロ(ヴェルディ)
6. 夢遊病の女(ベッリーニ)
7. 連隊の娘(ドニゼッティ)
8. ナクソス島のアリアドネ(R.ストラウス)
9. 真珠取り(ビゼー)
10.トリスタンとイゾルデ(ワーグナー)
次点. ランスへの旅(ロッシーニ)

 離れ島ですから、ややブッファを多くしました。ただ、シモン・ボッカネグラは僕に取っては他のすべてのオペラより一段上の位置を占めています。ヴェルディが生涯大切にした(ファルスタッフでは馬鹿にしていますが)、“Onore”(名誉)を描き切ったオペラだと思います。このオペラは日本ではなかなかやってくれないために、海外に何度も聴きに行きました。来年もヌッチのシモンを聴きにいくつもりです。ヴェルディはこの他にも、オテロ、マクベス、ナブッコ、エルナーニ、群盗などみんな持って来たいんですが、基本的に悲劇ですから、一人で離れ島で悲劇しかなにというのはまずいですよね。ちなみにヴェルディが生涯に書いたオペラ26作品のうち、19作品は生で公演を見ました。で、あと3つくらいは見られそうですが、なかなか出くわさないのは、「一日だけの王様、あるいは偽のスタニスラオ」、「ジョヴァンナ・ダルコ」、「アッティラ」、「アルツィーラ」あたりでしょうか。

 僕はオペラを聴いてきたのはまだ15年にもなりません。もっと昔から聴いていたならなぁ、と思うこともありますが、幸いだったのはその15年の間に“先生”と呼ばれる何人かの先輩に会えたことです。今昔のオペラの楽しい話、難しい話などを教えてもらいました。オペラを知って懐は寂しくなりましたが、生活は豊かになりました。

つれづれに書いてきました。今日はこんなところで失礼します。



 

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