プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

"真珠採り”METライブビューイング

今年に入ってから、なんだか仕事が忙しくなってしまい、週末も家に閉じこもってます。4月にヌッチのシモン・ボッカネグラとルイーザ・ミラーを聴きにバルセロナ、マドリッドへ行くためにも、今働かないと....

とは言え、昨日は気軽に見られる東劇のMETライブ・ビューイングに行ってきました。”真珠採り”。大好きな演目です。2年前の3月にパルマで初めて生で見ました。その時はマチャイゼ、シラクーザのキャスティングのはずが、当日になってシラクーザが降板、ディミトリー・コルチャックになり、楽団も変更になっていました。でも、この時の公演は素晴らしかったです。

で、今日のMETのはカルーソー以来100年ぶりの上演とか!新制作で舞台はまるでカリブの海賊みたいで相当にお金かかってますね。主演のレイラを演じたダムラウがMETのゲルブ総裁に直接談判で実現したというこの公演、さすがにダムラウは声質もフランスっぽく変えて素晴らしい歌を聴かせてくれました。このオペラ、良い曲はけっこう最初のほうに集中して出てくるのですが、レイラの「空にさえぎるものなく Dans le ciel sansa voiles」も1幕目のフィナーレで聴かせてくれましたね。ただ、鼻にかかる強い声を出しているとは言え、ダムラウ、もともとは軽めの声なので、僕自身はマチャイゼの真鍮のような強い声のレイラのほうが好きでした。ナディールのマシュー・ポレンザーニも同様。何かイタリアンなんですね。誰と比べてかと言えば、現在の歌手ならアラーニャでしょうか?過去では、1978年の録音(多分?)のプレートゥル指揮版でのアラン・バンゾのナディールが最高だと思います。フランス歌劇の歌唱って、鼻にかかって音が内側に入っていくような感じが欲しいんですよね。

METの話なのに恐縮ですが、僕のベスト3のナディールはこれです。

Alain Vanzoの"耳に残る君の歌声 Je crois entendre encora"

Nicolai Gedda 版

アルフレード・クラウス版

興味のある方は、ドミンゴとかカルーソー、リチートラなどのも聴き比べるとおもしろいと思います。

この日、圧倒的に良かったのは、ズルガのマリウシュ・クヴィエチェン。最高のドン・ジョヴァンニ唄いと言う印象でしたが、ズルガを唄っても凄かった。ラストの火事の場面の三重唱”聖い光よ、すばらしき抱擁 O lumiere sainte” はグッと来ました。

ノセダの指揮、本人は「津波のように抑揚を付けた」と言っていましたが、プレートゥルの指揮にくらべればあっさり目。ただ、コントラバスを強く押し出して、たしかに津波の強さを打ち出していました。妙な小細工をせずに、楽譜の持つ美しいメロディーを追った良い指揮だったと思います。演出は、冒頭にも述べたように「カリブの海賊風」。ややゴチャゴチャしすぎていてうるさい感じがしました。パルマの倒れた仏頭のある海辺のほうがシンプルで強烈なイメージがあり、僕の視床に焼き付いています。

個人的に僕はライブ・ビューイングって欲求不満がたまりますね。Bravoもできないし(して良いとパンフレットに書いてありますが.....)、何より見る場所をカメラで指示されるのが嫌です。MET自身も言っているように、ライブが一番! この"真珠採り”は再演もあるでしょうから、その時にはNYまで行きたいです。
関連記事
スポンサーサイト

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://provenzailmar.blog18.fc2.com/tb.php/571-942e71de
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad