プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

清水和音&バッティストーニ

 この日のコンサートの正式なタイトルは「デビュー35周年記念、清水和音オール・ブラームス・プログラム」です。清水とバッティストーニの出会いは、偶然からでした。2014年1月の東フィルの定期演奏会で、予定されていた女性指揮者のアロンドラ・デ・ラ・パ-ラが出産のために、そしてピアニストのホルヘ・ルイス・プラッツが指の骨折によりそれぞれ出演をキャンセルした、その代打として出演したのです。この時に共演したのはガーシュインのラプソディ・イン・ブルーだけでした。それもチャベスの「インディオ交響楽」とドヴォルザークの「新世界より」の間にはさまれる格好でしたので、印象が薄かった方も多いと思いますが、そこには不思議なケミストリーが生まれました。大胆で音楽を切り出して行くようなバッティストーニと、繊細なピアノタッチの清水和音。両極端と言える二人の表現が何とも言えない魅力を音楽に与えていました。

「まるで、今、そこで作曲したばかりというように指揮をする。」とバッティ評したのは、僕のオペラ、いや音楽の師匠のK先生ですが、この日のブラームスもまさしくそういう感じでした。

コンサートの曲目はすべてブラームス。

■大学祝典序曲 ハ短調 op.80
■ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 op.15 

■3つの間奏曲 op.117 

■ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.83

“大学祝典序曲”は、良く知っているフレーズも入った高揚感溢れる曲ですが、バッティストーニらしい、立体感のある指揮でした。これほど生き生きとしたブラームスはあまり聴けないでしょう。そしてピアノ教書湯曲第1番、どちらかというと“退屈”というイメージが強かったこの曲ですが、あっという間に終わったという感じで、全く退屈などしなかったです。清水さんのピアノのデリケートなタッチに合わせて、バッティストーニも押さえた指揮をしているのですが、それでもオケは彫刻を刻むようにエッジの効いた音を出します。この音とピアノの化学変化が素晴らしい!

協奏曲第2番は“明るい曲調と「ピアノの序奏をもつ交響曲」”と言われますが、バッティストーニの指揮棒からホルン、チェロの音色が魔法のランプから立ち上がる煙のように蠱惑的に響きます。

今後も、清水和音とバッティストーニのコラボは東フィルで聴くことができると思いますが、一方で太い響きを出す小菅優のような若手のピアニストとの共演も聴きたくなりました。
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