プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ドン・パスクワーレ 藤原歌劇団

公演から1週間もたってしまいましたが、やっと”ドン・パスクワーレ”のブログをアップします。

 ドニゼッティの数あるオペラ(実際70余作品ある!)の中で、今でも上演されている作品はそう多く無いと思います。ブッファ(喜劇)では”愛の妙薬”、”連帯の娘”、"シャモニーのリンダ”(ブッファかな?)、そしてこの"ドン・パスクワーレ”、セリア(悲劇)では、”ランメルモールのルチア”、"マリア・ストゥアルダ"、"アンナ・ボレーナ”、"ロベルト・デヴリュー”あたりでしょう。日本では、"愛の妙薬”は比較的良く上演されますが、その他の作品では、"ルチア”が1-2年に一度上演される程度。実際、新国立劇場でも、今年まで"愛の妙薬”しか上演されておらず、来年の春に初めて"ルチア”が登場します。

 そういうわけで、女王三部作も日本で全部見ることはほぼ不可能。このドン・パスクワーレも全幕版を通しで見るのは、僕も初めてです。(昨年の新国立研修所公演でサマリー版を見ましたが。)僕が見たのは7月2日で、キャストは次の通り。

指揮:菊池 彦典
演出:フランチェスコ・ベッロット
ドン・パスクワーレ 折江 忠道
マラテスタ     押川 浩士
エルネスト     藤田 卓也
ノリーナ      坂口 裕子
合唱:藤原歌劇団合唱部
管弦楽:東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団

 この日は折江さんと坂口さんの歌唱が群を抜いていましたね。折江さんはファルスタッフとかこのドン・パスクワーレには風貌も声もぴったり。実に余裕のある声と演技も素晴らしく、心地よく聴くことができました。ブッファのバリトンは彼のように自信に溢れて、安定していて声量もある歌い手は重要です。折江さんは最近藤原の総監督に就任されてお忙しいこととは思いますが、このように彼ならではの役柄は、これからも歌ってもらいたいものです。そして関西を中心に活躍されているという坂口さんが演じたノリーナも素晴らしかったですね。声質はベルカント向きのレッジェロというよりも、ややスピントに寄っていましたが、とにかく声の表情が豊かで、彼女が歌いはじめると舞台がその歌唱に支配されるような感じでした。昨年12月の藤原の公演"仮面舞踏会”でリッカルドを歌って好評だった同じく関西出身の藤田卓也さんもエルネストで頑張っていましたが、やや声量の豊かさに頼りすぎた感じがありました。それにしても、藤原は関西に歌手の宝庫を持っているようですね。

 フランチェスコ・ベッロットの演出は藤原らしいクラシックな1幕、2幕、そして転じて無機質な空間になる3幕目が、ピリッとしたスパイスになっていて、原作の流れを崩さないとても良い演出だと思いました。

 指揮の菊池彦典さん、とても良かったと思います。おおらかな味付けでドニゼッティの良さをストレートに出していましたが、東京ユニバーサル・フィルハーモニーの演奏がやや緩い感じを受けました。

 それにしても藤原歌劇団、今年は、このドン・パスクワーレに加え、9月には、"カプレーティ家とモンテッキ家”をやります。興行的には必ずしも簡単とは言えない、このような佳作(日本では)に挑戦してくれるのは、オペラファンとしては嬉しい限りです。こちらのサイトもどうぞ、「カプレーティ家とモンテッキ家」




 
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