プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ナタリー・デセイ&フィリップ・カサール デュオ・リサイタル

 4月19日のオペラシティのリサイタルに行ってきました。デセイを聴くのは久しぶり!(CDではしょっちゅう聴いていますが)至福の2時間を過ごしました。デセイの声は、オペラを歌っていたころに比べると、高音が丸くなった感じがしますが、これは「衰えた」というよりも、リートやポップスも歌って「声質が変わった」というべきだと思います。口から声が出ているというよりは、デセイの頭の周りに直径1mくらいの空気の球ができて、そこから声が響いてくる感じ。(なんか昔の球形スピーカーみたいですね。ビクターのGB-1?)実にまろやかです。しかし、表現力が素晴らしい!シューベルトのリートの落ち着いた響きや、初めて聴くプフィッナーの歌曲「古い歌」のユーモラスな表現、ショーソンからドビュッシーに至る、フランス歌曲ならではの洒落たメロディライン。声量を抑えた分、繊細なイメージを声に託して歌うデセイのなんと魅力的なこと。

 ピアノのフィリップ・カサールとのデュオももう5年くらいになりますかね。CDも一緒に3枚出しています。息もぴったり合っています。水の流れの音のように、舞台の上に音符を広げて行きます。若い頃のバレンボイムみたいですね。ドビュッシーの2曲、素晴らしかったです。デセイとのユーモアのある掛け合いも最高。そして、パミーナのアリアの最初のところでは、モーツァルトのピアノ協奏曲23番の出だしの部分を使うという、なんと洒落た仕掛けでしょう。バレエの“ル・パルク”が始まるのかと思ってしまいました。

 この日は、デセイの52歳の誕生日。ハッピーバースデイを聴衆が歌って、花束とケーキを舞台に持ち込みます。そして、4曲のアンコールのサービス。僕の大好きなドリーブが2曲もあって嬉しかったです。アンコール1曲目の「カディスの娘たち」が始まった時は興奮しました。

 今まで聴いたデセイ、いつも咳をしていました。ちょっと癖のような感じですが、明らかに風邪っぽいこともありました。この日も途中少し咳をしていましたが、喉の調子は絶好調だったと思います。また、オペラに戻らないかなぁと思ってしまいます。「マスネ」や「連隊の娘」聴きたいですよねー。

・モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』より
・スザンナのアリア「とうとうその時が来た〜恋人よ、早くここへ」 
シューベルト:
・ひめごと D719 
・若き尼 D828 
・ミニョンの歌 D877 
・ズライカⅠ D720 
・糸を紡ぐグレートヒェン D118 
・モーツァルト:歌劇『魔笛』よりパミーナのアリア「愛の喜びは消え」 
・プフィッツナー:歌曲集《古い歌》op.33 
休憩
・ショーソン:終わりなき歌 op.37 
・ビゼー:別れを告げるアラビアの女主人 
ドビュッシー(ピアノ・ソロ):
・亜麻色の髪の乙女 
・水の精 
ドビュッシー:
・未練 
・死化粧 
・グノー:歌劇『ファウスト』より宝石の歌「何と美しいこの姿」 

アンコール曲

・ドリーブ:カディスの娘たち
・R.シュトラウス:僕の頭上に広げておくれ op.19-2
・ドビュッシー:歌劇『ペレアスとメリザンド』第3幕より
・ドリーブ:歌劇『ラクメ』より「美しい夢をくださったあなた」
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