プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ルサルカ@日生劇場

 ルサルカを見るのは本当に久しぶり。2011年の新国立での公演以来です。今回、一番良かったのは、指揮。ともすれば凡庸な交響楽になりがちな、ドヴォルザークのオペラを厚みがあり、情感のこもった、しかしそれが過剰になりすぎず、うまくコントロールされたものに仕立てていました。山田和樹の実力を感じました。そして、読売日本交響楽団の実力も感じました。先日の新国立の「神々の黄昏」も良かったですし、こういう重みのある交響曲的なオペラ音楽、読響はうまいですね。このルサルカは一幕目の森の精が3人出てくるところは、ワーグナーの「ラインの黄金」オープニングにそっくり、そして二幕目の森番が出てくるところの「ドードドソ、ドードドソ」という感じのフレーズは、同じくワーグナーのファーフナーとファーゾルトの巨人のモチーフとうり二つ。その後もワーグナーっぽいところが多くありました。

 歌手も総じて良かったと思います。特に魔法使いのイェジババを歌った、清水華澄は際だっていました。王子の樋口達也は、ちょっと役柄には声が明るすぎる感じはありましたが、演技も含めて素晴らしかったです。

 ただ、このオペラについて、今日はあまり書く気にならないんです。それは、演出が、好みに合わなかったから。正直、退屈でした。舞台が変わらないのは、日生劇場という古い舞台であることや、コスト面を考えると仕方がないと思いますが、間奏曲の時のラジオ体操には参りました。2幕目でルサルカが30分も動かないまま立っているのも、見ていて疲れました。色々なブログではこの演出に好意的に書いているようですが、見る物が突っ込んでいって理解しようと努めると、色々と面白い解釈ができるとは思います。しかし、登場人物がほとんど真ん中の穴から上がって来るところとか、効果の目的がわからない照明など、僕には全くその「良さ」がわかりませんでした。途中からは目をつぶって、音楽と歌唱に集中しました。

 同じくらいの規模の劇場に、昭和大学付属のテアトロ・ジーリオ・ショウワがありますが、ここもコストの制限のある中で、安価ではあるけれど、素晴らしい演出をしています。演出はイタリア人のマルコ・ガンディーニと美術のイタロ・グラッシ。いくつも公演を見ていますが、実にアイデアが豊富。

 ということで、個人的にはちょっと満足感を得られない公演になりました。

指揮:山田和樹
演出:宮城 聰
ルサルカ 田崎 尚美
王子 樋口 達哉
ヴォドニク(水の精) 清水 那由太
イェジババ(魔法使い) 清水 華澄
外国の公女 腰越 満美
料理人の少年 小泉 詠子
森番 デニス・ビシュニャ
森の精1 盛田 麻央
森の精2 郷家 暁子
森の精3 金子 美香
狩人 新海 康仁
管弦楽:読売日本交響楽団
合唱:東京混声合唱団

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