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プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

ホフマン物語 新国立劇場

 雪のミラノから戻ったら日本は暖かったです。世界の天気を見たら、パリもミラノも今週は暖かいんですねー。12度ですって…..今週に行きたかったです。

さて、まだ時差ボケもそこそこ残っている状況で、水曜日(3月7日)にオペラシティで、東フィルの定期公演、バッティストーニと小曽根真のセッション(?)を聴き、昨日3月10日に、新国立劇場で“ホフマン物語”を聴きました。先に“ホフマン物語”の感想をアップします。

 このオペラは新国立では2013年に、今回と同じフィリップ・アルローの演出で見ています。そして、2014年に大野和士が率いて来日したリヨン歌劇場でも見ているので、3回目になります。(バレエでも見ていますけど)いつも、なんとなく「長いなぁ」と思う演目でしたが、今回は惹き付けられてしまい、全くそう感じませんでした。その大きな要因は歌手陣の充実でしょう。まずは何と言ってもディミトリー・コルチャック。2014年にパルマ王立劇場で、降板したシラクーザの代役でナディールを歌ったのを皮切りに、新国立のウェルテル、マリインスキーのオネーギン、そしてこの日のホフマンと4回聴いていますが、聴く毎にどんどん上手くなっています。もちろん最初から甘い歌声は素晴らしかったのですが、ブレスがきつかったり、やや音程がふにゃふにゃしたりするところがあったのですが、この日のホフマンは、もう甘くて、しかも立派という感じで、感激しました。ルックスもいいですから、女性のファンが急増しているのも頷けます。もともとは指揮者を目指していて、現在もロシアの小劇場(どこだったか….)の主席指揮者を務めているそうです。この紹介はゲルギエフが行ったとか。ということで、彼は楽譜と台本から役柄の心情をくみ取るのがうまいのだと思います。ちなみに、先週スカラ座で聴いた、フローレスもホフマンを最近得意としているようで、こっちも聴いてみたいですね。

 そして、バスバリトンのトマス・コニエチュニーも抜群の出来だったと思います。出来が良いというか、もともとのこの人の実力はワーグナーの作品で折り紙付きなので良くて当然でしょう。リンドルフ、コッペリウス、ミラクル博士、ダペルトゥットの4役を歌い分けましたが、彼が歌うと舞台がトマス色に染まる感じ。ただ、この色があまりフランスっぽくないんですね。ワーグナー歌手なのでしかたないところですが、デセイの夫君のロラン・ナウリあたりを引っ張ってきてもらって聴きたいなという感じがちょっとしました。

 日本人歌手も大健闘でした。特に素晴らしかったのはアントニアを歌った砂川涼子。ウェルテルのソフィーの時もそう思ったのですが、今、日本のソプラノでフランスものを歌ったら最高でしょう。ちょっと鼻にかかった美しいフランス語(だと思うんです。。)が素晴らしい。出演者中、一番フランスっぽい発音じゃなかったでしょうか?演技も病のアントニアの刹那を良く出していて引き込まれました。

 とにかく全体の歌手のレベルがとても高い!多くの歌手をそろえなくてはならない点では、“ランスへの旅”に匹敵するくらいです。これだけのホフマンは海外でもなかなか聴けないと思います。

 そして、僕の大好きなのが、アルローの演出。実に洒落ています。特にアントニアの場面での斜めになった家具や、舟歌のところで、廻りながら出てくるゴンドラなど、そんなにコストをかけているとは思いませんが、抜群のイメージ作りをしています。

 印象に残らなかったのが指揮です。決して悪くはないのですが、一貫してシンプル且つ淡泊。大野和士さんの指揮などは、その重みが今も頭の中に残っていますが、このルランの指揮は、やや物足りない感じでした。

 それでも、全体としては十二分に満足。次回は、音楽監督になる大野さんに振ってもらいたいところです。

指 揮:セバスティアン・ルラン
演出・美術・照明:フィリップ・アルロー
衣 裳:アンドレア・ウーマン
振 付:上田 遙
再演演出:澤田康子
舞台監督:斉藤美穂
ホフマン:ディミトリー・コルチャック
ニクラウス/ミューズ:レナ・ベルキナ
オランピア:安井陽子
アントニア:砂川涼子
ジュリエッタ:横山恵子
リンドルフ/コッペリウス/ミラクル/ダペルトゥット:トマス・コニエチュニー
アンドレ/コシュニーユ/フランツ/ピティキナッチョ:青地英幸
ルーテル/クレスペル:大久保 光哉
ヘルマン:安東玄人
ナタナエル:所谷直生
スパランツァーニ:晴 雅彦
シュレーミル:森口賢ニ
アントニアの母の声/ステッラ:谷口睦美
合 唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団


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