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プロヴァンスの海と土を少し 湘南人草間文彦

世界バレエAプログラム

先日の“ドン・キホーテ”に続いて、第15回世界バレエのAプログラム見て来ました。堪能しました。3年に一度の世界バレエフェスティヴァル、僕は2003年から見ています。今回は、佐々木忠治さんという偉大なインプレサリオが亡くなって、その継続を心配しましたが、なんのなんの!今年も素晴らしいキャストで素晴らしいバレエを見せてくれました。前回同様の両プロ共4時間越えです。今年のAプロは、どちらかというと派手な演出のものよりもじっくり見られる演目が多くて、とても良かったです。

全作品コメントしていると20にもなるので、気になったものだけ書きます。

世界バレエで最初の演目として取り上げられることが多い、「ディアナとアクテシオン」、オランダ国立バレエのダニエル・カマルゴは若いダンサーですが、基本がきちんと出来ている感をビシバシと感じます。ジャンプも高く、動きも優雅。ティツィアーノの同名のルネッサンス期の大作品絵画を彷彿とさせる様式感もあって、今後目が離せない感じです。シュツットガルト・バレエのエリサ・バデネスもバネが良くきいた体で美しかったです。

ABTのチームが踊ったのはジゼル、第2幕のパ・ド・ドゥ。シムキンも大人になりましたね。昔はマネージュがものすごく高く、これだけで大拍手でしたが、ジゼルにこのアクロバティックな舞踏は不似合い。今回は余裕のある実に美しい手足の使い方で廻っていました。相手役のマリア・コチュトワ、上品です。ABTの名ダンサー、ジュリー・ケントを彷彿とさせます。百合の香りがするような作品になりました。

ヤーナ・サレンコの「瀕死の白鳥」、大きな動きの中に力尽きていく白鳥の悲しさを表現していてとても良かったです。ただ、どうしてもロパートキナの長い手足での劇的な演技と比較してしまいますね。

オペラ座からは3組が出ていました。レオノール・ポラックとジェルマン・ルーヴェのくるみ割り人形。これは、ルーヴェが良かったです。初めて見たのは、スジェの時(2016年)でしたが、その後、プルミエールダンスーズを飛び越えてエトワールに昇進、すぐに来日し、デュポンと「ダフニスとクロエ」を踊ってくれました。まさに天才という感じ。やや線が細いのですが、その繊細さは手足の先まで神経がはりつめていています。それに比べて、クララを踊ったレオノール・ポラック、ちょっと動きに張りがありませんでした。というか僕の好みではないのかも。可愛いことは可愛いんですがね。

オーレリ・デュポンの「・・・アンド・キャロライン」。これは見逃せなかった。一昨年のパリでのアデュー公演以来、彼女の踊りを見るのは久しぶりです。完全なコンテンポラリーで、なんか寝ている時間が長かったような感じで、彼女の魅力を出すには、演目が役不足な感じ。ここは、月並みですが、キリアンの「扉は必ず」あたりをやって欲しかったです。とは言え、彼女が見られただけでも満足。

タマラ・ロホの「カルメン」モダンとクラッシックの融合という感じですが、個人的には、今回一番良かったと思います。前回はノイマイヤーの作品を踊ったと記憶していますが、今ひとつでした。やっぱり彼女はクラシックの人かなぁと思いました。が、今回は、アロンソの振り付けを完全に自分のものにして、相手役の若いエルナンデスを引っ張っていた。グランフェッテなどの超絶技はなかったですが、新しいロホを見ました。彼女もまだデュポンと同じ年齢かと思います。頑張って欲しい!

第4部は、トリを飾るスーパーなキャスティングになっていましたが、やはりここで輝いたのはオペラ座の2組。マノンの寝室のパ・ド・ドゥを踊った、マチュー・ガニオとドロテ・ジルベール。貫禄ですね。家内が「ガニオって見るたびに格好良くなってくる」と隣でつぶやいていましたが、男から見てもそう思えます。ドロテは、昨年オペラ座で全幕の「オネーギン」のタチアナで見ていて、素晴らしかったのですが、ちょっと貫禄あり過ぎでした。でも、このマノンはぴったり。もはや、オペラ座をしょって立つという感じ。しかし、デュポンもそうですが、このドロテも、年を取るに連れて、体を絞り、筋肉体質にしているのが凄いですね。これもギエム以来のオペラ座の伝統か?

そして、フィナーレはいつも通りドン・キホーテのパ・ド・ドゥ。これは先日の全幕ものでも見ていたのですが、少し振り付けが違っていました。アティテュードでの静止が長くなっていて、見せ場がありました。そして、全幕では真っ赤な衣装だったのが、黒のチュチュに変更。僕はポラックより、このミリアム・ウルド=ブラームのほうが好きです。

それにしても休憩入れて4時間半。ワーグナーでも見ている感じですね。Bプロは8日に行くのですが、5時過ぎまで汐留で仕事があるんです。その後、車で駆けつけて間に合うかなぁ。電車で行けば大丈夫なんですが、終わるのが10時半過ぎということを考えると逗子まで車でスーッと帰りたい。素敵なバレエの後に、お酒臭い電車載りたくないですよね。

― 第1部 ―

「ディアナとアクテオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ
音楽:チェーザレ・プーニ
エリサ・バデネス
ダニエル・カマルゴ

「ソナタ」
振付:ウヴェ・ショルツ
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
マリア・アイシュヴァルト
アレクサンドル・リアブコ

「ジゼル」より 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー
音楽:アドルフ・アダン
マリア・コチェトコワ
ダニール・シムキン

「アポロ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
オレシア・ノヴィコワ
デヴィッド・ホールバーグ

「コッペリア」
振付:アルチュール・サン=レオン
音楽:レオ・ドリーブ
サラ・ラム
フェデリコ・ボネッリ

― 第2部 ―

「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:カミーユ・サン=サーンス
ヤーナ・サレンコ

「カラヴァッジオ」
振付:マウロ・ビゴンゼッティ
音楽:ブルーノ・モレッティ(クラウディオ・モンテヴェルディより)

メリッサ・ハミルトン
ロベルト・ボッレ

「くるみ割り人形」
振付:ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフに基づく)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
レオノール・ボラック
ジェルマン・ルーヴェ

「・・・アンド・キャロライン」
振付:アラン・ルシアン・オイエン
音楽:トーマス・ニューマン
オレリー・デュポン
ダニエル・プロイエット

「ファラオの娘」
振付:ピエール・ラコット(マリウス・プティパに基づく)
音楽:チェーザレ・プーニ
マリーヤ・アレクサンドロワ
ウラディスラフ・ラントラートフ

― 第3部 ―

「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ
音楽:ジョルジュ・ビゼー、ロディオン・シチェドリン
タマラ・ロホ
イサック・エルナンデス

「ルナ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ
エリザベット・ロス

「アンナ・カレーニナ」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アンナ・ラウデール
エドウィン・レヴァツォフ

「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
アシュレイ・ボーダー
レオニード・サラファーノフ

「アフター・ザ・レイン」
振付:クリストファー・ウィールドン
音楽:アルヴォ・ペルト
アレッサンドラ・フェリ
マルセロ・ゴメス

― 第4部 ―

「ドン・ジュアン」
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:クリストフ・ウィリバルド・グルック、トマス・ルイス・デ・ヴィクトリア、トマス・ルイス・デ・ヴィクトリア
シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ

「シェエラザード・パ・ド・ドゥ」【世界初演】
振付:リアム・スカーレット
音楽:リムスキー・コルサコフ
アリーナ・コジョカル
ヨハン・コボー

「ヘルマン・シュメルマン」
振付:ウィリアム・フォーサイス
音楽:トム・ウィレムス
ポリーナ・セミオノワ
フリーデマン・フォーゲル

「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
ドロテ・ジルベール
マチュー・ガニオ

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
ミリアム・ウルド=ブラーム
マチアス・エイマン

指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
チェロ:伊藤悠貴(「瀕死の白鳥」)
ピアノ:原久美子(「瀕死の白鳥」、「タランテラ」)

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